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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
守護武闘編
98/1085

98話 猶予


 屋敷を出たヒロムはユリナとサクラを連れてニュースにて《センチネル・ガーディアン》のヒロムを比定しようとした大淵大臣に反発した葉王から詳細を聞こうと葉王がいるであろう《一条》の屋敷に来ていた。……のだが、部屋へと案内されているヒロムはユリナとサクラ以外は連れていかないと伝えていたはずなのに3人の後ろには何故か真助とナギトがいた。

 

「……何でついてくるんだよ? 」

 

「気にすんな。《一条》のとこの能力者ならシオンより優れた能力者がいるだろうから特訓がてら向かってんだよオレは」

 

「……ナギトは?」

 

「オレも同じようなもんだよ。というか《一条》の家にはいるの初めてだからってのもある」

 

「……そうかよ。

勝手にしろ」

 

 真助とナギトの目的を聞いたヒロムは呆れながら彼らに好きにしろと伝えると案内された部屋へと入る。入った部屋の先には葉王と《一条》の当主のカズキがいた。

 

「来たかァ」

 

「来るのは当然だな。オマエが内閣の大臣に喧嘩を売ったんだからな」

 

「……詳しく話してくれるよな?」

 

 座れ、とどこか機嫌の悪いカズキが言うとヒロムたちはソファーに座り、ヒロムたちが座るとカズキはまずヒロムに謝罪した。

 

「姫神ヒロム、まず謝る。

すまなかった。葉王が独断でこんなことを受けるとオレも想定してなくてな」

 

「そんなのはいい。

決闘ってのについて詳しく聞かせろ」

 

 ただ冷静に情報を得ようと話を本題に入らせようとするヒロムにカズキは頷くと葉王が大淵大臣と話を進めたとされる決闘についてヒロムたちに話していく。

 

「……大淵麿肥子が必要としてるのは《センチネル・ガーディアン》としてのオマエの地位の不要性の主張とそれを日本国に知らしめること、そしてそれにより空いた穴を埋めるように自分の用意した能力者たちでそれを補い新たな防衛戦力として披露することだ」

 

「要するにヒロムとその大淵何とかってのが用意した能力者と殺し合いするって話か?」

 

「言い方が野蛮だね」

 

「間違ってねぇだろナギト?つうかヒロムの穴埋めるために用意する能力者とかいうのをオレも潰してぇな。1対1の決闘ならオレは……」

 

「早まるなよ鬼月真助。今回の決闘、姫神ヒロムと大淵麿肥子の用意した能力者による1対1などではない」

 

「何?決闘なら……」

 

「ヤツがほかの言葉を知らないからそう言っただけだ。

今回の決闘、大淵麿肥子が用意するのは《フラグメントスクール》の先鋭30人と大淵麿肥子が各地方から《センチネル・ガーディアン》に匹敵するとされる優れた能力者10人を選定、計40人の能力者による新体制の防衛戦力として披露して姫神ヒロムを潰そうって魂胆だ。しかもその40人は確定ではなく《センチネル・ガーディアン》のシステムに不満を持つ腕の立つ能力者がいるのなら追加枠として採用するとも言っているようだ」

 

 卑怯ね、とカズキの話を聞いたサクラは大淵大臣の狙いや大臣の用意するとされる能力者の数などについて不快感を露わにすると続けて葉王に尋ねた。

 

「アナタは私たちのヒロムをそんな卑怯な相手と戦わせることを承認したの?ヒロムの断りもなく、アナタの独断で決定したの?」

 

「……勘違いするなよォ?オレがなんの策もなしにあの中年太りの言いなりになッて姫神ヒロムを危険に晒すとでも思ッてんのかァ?」

 

「違うのかしら?」

 

「ヤツが数の力で姫神ヒロムを圧倒したいのは理解してるがァ、数を束ねても姫神ヒロムを倒すなんてのは夢物語でしかないィ。姫神ヒロム1人にやらせてもよかッたがオレはある条件を提示して決闘を盛り上げてやろうかとおもッてなァ」

 

「アナタ、パーティーか何かと勘違いしてるのかしら?」

 

「話は最後まで聞けェ。ヤツはオレが《フラグメントスクール》を指揮して育てている能力者が有能だと勘違いしているゥ。そこでェ……《センチネル・ガーディアン》の姫神ヒロムの味方として風乃ナギトの参加を第1条件にしたァ」

 

「オレを?」

 

「……《フラグメントスクール》のエリートどもを《フラグメントスクール》を抜けて強さに磨きをかけてるナギトにつぶさせるのか」

 

「《フラグメントスクール》のエリートどもが中年太りが気に食わないとして陥れようとしている《センチネル・ガーディアン》の姫神ヒロムの弟子に完膚無きまでに倒されたらァ……ヤツの顔はどうなるだろうなァ?」

 

「……ごめんなさい、アナタを誤解していたわ。

アナタ、すごく性格が悪いのね」

 

「人間、誰もが相手の嫌がることをしたがるもんだろォ?

これはその1つだよォ」

 

「だがナギトの特訓はまだ未完成だ。完成させたくてもオレはオレでオマエが課した課題をクリアしなきゃならねぇで大変なんだが……鍛える宛でもあるのか?」

 

「今までどおりオマエの精霊が相手をする実戦形式の特訓をとりあえず続けておけェ。ひとまずはそれを続けてればいいィ」

 

「……了解だよ」

 

「で、葉王よ。第1条件ってことは他にもあるんだよな?」

 

 ナギトの参加と彼の特訓の方法について葉王が話すと真助は葉王の言った『第1条件』という言葉からまだ続きがあるとしてそれを聞き出そうとする。真助に迫られる葉王、真助の反応にどこか呆れながら葉王は彼に話していく。

 

「第2条件としてこちら側も姫神ヒロムと風乃ナギトとともに中年太りのチームを迎え撃つメンバーを数人参加させることだァ。このメンバーについてはまだ未定だが数は5人、《天獄》のメンバーからそのうちの2人の席を選ぶ予定だァ」

 

「2人!?マジかよ、オレら6人いるのにその席取り合いじゃねぇか」

 

「そのメンバーはオレが選ぶのか?」

 

「いいや姫神ヒロムゥ。この2人に関してはオレが決闘当日まで品定めして決める予定だァ。そして残る3人の席についてはすでにカズキが手配しているゥ」

 

「……信用していいんだよな?」

 

 心外だな、とカズキはヒロムに対して言い返すと続けてヒロムに自身の考えについて明かしていく。

 

「オマエがどう考えていようが勝手だが、オレとしては《センチネル・ガーディアン》としての役目をしっかり果たして《世界王府》を相手に渡り合っているオマエをそれなりに評価してるからこそオマエのチームを勝利に導くだけの実力がある能力者を2人選んだつもりだ。信用云々はそれを見てから決めろ」

 

「……そこまで言うならそうさせてもらう」

 

「第3条件として中年太りが決闘の内容と形式を決めていい代わりに事前の内容次第ではこちらはチームメンバーを4人まで追加する事を可能とするサブメンバーを用意することだァ。メインメンバーは姫神ヒロムをリーダーにした7人でサブメンバーとして4人を待機させるッて話だァ」

 

「ってことは……」

 

「そういうことだァ、鬼月真助ェ。

《天獄》のメンバーはもれなく全員参加だがァ、その中の2人はメインメンバーとして活躍して他はサブメンバーとして万が一に備えて待機するッてワケだァ」

 

「ならオレが暴れるチャンスはあるってわけだな」

 

「試合形式は?」

 

「そこはまだお預けだなァ。気になるのはわかるがァ、今は精神的な成長を視野に入れてそッちに集中しとけェ」

 

 葉王の言葉に真助がやる気を見せ、そしてヒロムは今やるべきことをやるしかないと気持ちを切り替えようとするとカズキはヒロムたちに伝えた。

 

「急な決闘で悪いがこれはこれまで何もしてこなかった野郎が調子に乗って始めた喧嘩だ。生殺与奪の有無は関係なく、ただオマエが他の能力者では代用出来ない最高の能力者であることを他に示す機会だと思え」

 

「他に示すチャンス……」

 

「決闘の日は2週間後、葉王が勝手に引き受けた決闘だからこそオレが《一条》の力を使って可能なかぎりバックアップしてやるから……大淵麿肥子の何もかもを壊すくらいに強くなれ」

 

 カズキの言葉を受けて静かに闘志を燃やすヒロム。ヒロムと共にかつての仲間と戦うことに意気込むナギト、そしてヒロムとともにメインメンバーとして戦うべくその座を狙いやる気になる真助。彼らのやる気をカズキや葉王だけでなくユリナとサクラはしっかりと感じ取っていた。

 

 2週間後、《センチネル・ガーディアン》としてのヒロムの全てを賭けた戦いが始まる……

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