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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
魔獣怪異編
9/1085

9話 闘争申請


「よォ、新参者」

 

 転校生・風乃ナギトを怪しんでガイと隠れるように話をしていたヒロムの前に現れた風乃ナギト。話題となっていた本人の登場に動じることも無くヒロムは落ち着いた様子で彼のことを見ており、視線を受けるナギトは不思議そうな顔でヒロムに言った。

 

「ねぇ、その新参者って何?

オレには風乃ナギトって名前があるんだけど?」

 

「うるせぇよ転校生。

テメェの方こそ人のこと天才とか呼んで名前で呼ばねぇだろ」

 

「……所謂意趣返しってこと?

オレは恨み買われるようなことはしてないよ?面倒くさいし」

 

「あ?」

 

「オレはただ確かめに来たのさ。

約束通りに天才の強さをね」

 

 目的とも思える言葉を告げたナギトはヒロムに歩み寄ろうとするが、そんなナギトの前2立ち塞がるようにガイはどこからともなく刀を出現させて手に持つとヒロムの前に立ってナギトに向けて構える。

 

 刀を構えるガイ、彼の構える姿を前にしてナギトは足を止め、足を止めたナギトにガイは中国と質問を同時にした。

 

「それ以上近づくなら敵としてオマエを斬る。斬られたくなかったら質問に答えてもらう……オマエの目的は何だ?」

 

「え?今言ったよね?

オレは天才の強さを確かめに来たんだよ」

 

「……なら質問を変えるが、オマエは数日前に街で化け物が現れた日にヒロムに何かメッセージを残したか?」

 

「残したよ。だからその約束を果たすためにここに来たのに……何なの?」

 

 化け物が現れた日にヒロムが聞いた言葉を発した人物、ガイの質問でその正体が風乃ナギトだと判明し、それが分かるとガイは刀を少し強く握りながらナギトにさらなる質問をした。

 

「何故ヒロムの強さを確かめたい?」

 

「何でって……理由はちゃんとあるけど教えたくはないかな。

でもアンタも自分が天才の友だちとかじゃない一般人だとしたら強さの秘密を知りたいと思わない?」

 

「質問に質問で返すな」

 

「ならアンタどいてくんない?

オレはそこの天才と話しがしたいんだ」

 

「……どうしてもヒロムと話がしたいならオレを力づくで倒してみろ」

 

「ガイ、何勝手なことを……」

 

 黙ってろ、とガイは落ち着いた様子でヒロムの言葉を遮ると刀を握る手に力を入れて全身から殺気を発する。発せられる殺気を感じ取ったのかナギトは一瞬驚いた顔をしてみせるも嬉しそうに笑みを見せると体勢を低くする。

 

「話がしたいなら実力を示せってことだね?

面倒だけど、下手なことするよりは簡単そうだよ」

 

 体勢を低くしたナギトは嬉しそうに言うとガイに向けて走り出し、走り出したナギトは一瞬でガイのもとへと近づく。ナギトの一瞬での接近にガイは驚きを見せながらも刀を振って攻撃を放つが、ナギトは刀を避けるように跳ぶとガイの後ろへ回り込もうとする。

 

 回り込まれないようにガイは瞬時に後ろを向くとともに一撃を放とうとするが、ナギトはガイの刀の軌道より低い位置に来るように体を低くしながら避けるとガイを蹴ろうとする……が、ナギトが蹴りを放とうとするとガイは刀を持たない手でナギトの蹴りを弾き止める。

 

「やるね、天才剣士」

 

「どうも……!!」

(コイツ、速いだけじゃなくて身のこなしが軽い!!

敏捷性(アジリティ)が高いだけじゃなくて咄嗟の行動のスタートへの切り替えが上手い!!

距離のとり方も、間合いの詰め方、生じたスキの埋め方……どれをとってもしっかり鍛えられてる!!)

 

 ナギトの動きに驚くガイは刀を強く握るとナギトを斬り倒そうと一撃を放ち、受けるのは危険と感じたのかナギトは華麗な身のこなしで避けると後ろへ跳んでガイとの距離を開ける。

 

 距離を取ったナギト、このナギトにガイは今抱いた純粋な疑問を彼に質問をした。

 

「オマエ、何処で鍛えられた?」

 

「ん?」

 

「その身のこなし、機動性の高さが天賦の才だとしてもその身のこなしについてはそんな簡単に答えを出せるような技術じゃない。明らかに誰かに教えられて出来た技術、オマエのその身のこなしはそれに値する。オマエを鍛えたのは……どこの誰だ?」

 

「どこの誰でもよくない?

それより今の攻撃、オレを殺そうとしたよね?」

 

「……試したかったからな。

あの身のこなしは今までヒロムが《センチネル・ガーディアン》に任命されてからその名と効力欲しさに挑んできた他のヤツらとは違うものがあった。オマエが本当に強いなら確実に避けると仮定して殺すための一撃を放った」

 

「それって言い方変えたら見当違いならオレ死んでたって事だよね?

一か八かの賭けをよくやったね」

 

「賭けじゃねぇよ。

オマエが避け無かったらヒロムに付きまとわれる前に終わらせられる、オレからすれば躊躇う理由がないだけだ」

 

「……へぇ。

天才に仕える天才の誇り(エゴ)ってやつか」

 

「どうとでも思え。

オマエがどう思おうがオレには関係ない」

 

 ナギトのどこか気安い言葉にガイは感化されるでもなく殺気を強く放ちながら刀に炎にも見えるエネルギーを纏わせる。

刀に纏わせられたそのエネルギーを前にしてナギトは少し驚いた顔を見せる。

 

「スゴいね。今まで色んなヤツが武器に《魔力》を纏わせてたけど、こんなレベルの魔力は見たことないよ」 

 

「……《センチネル・ガーディアン》が従える《天獄》の1人としてこれくらい出来て当然だからな!!」

 

 刀に炎にも見えるエネルギー……《魔力》を纏わせたガイはナギトを倒そうと走り出し、走り出したガイは身のこなしが軽いナギトを制するかのように攻撃を連続で放って追い詰めようとする。

次々に放たれる攻撃を前にしてナギトは深呼吸を軽くすると両足に《魔力》を纏わせると素早い動きで動きながらガイの攻撃を全て躱していく。

 

 《魔力》、それは能力者が体内に宿すエネルギーであり力の源。人が呼吸で酸素を取り込み二酸化炭素を体外に排出するように《魔力》は時間経過とともに体内に蓄積され能力の使用などで消費される。その《魔力》を高い技術を持つ能力者ならば体外に排出するとともに高濃度でコントロールすることで一定の状態で固定・定着させて己の武器の1つとして扱う。ガイが刀に纏わせている《魔力》は纏う刀の一撃を高め、ナギトの足に纏われる《魔力》は彼の身体能力の強化を担っている。

 

 ガイは敵を倒すため、ナギトはガイの攻撃から逃れるために己を高めるためにその技術を用いている。が……

 

「足程度でオレから逃れられると思うなよ?」

 

 次々に放たれる刀の攻撃を避けるナギトに向けてガイは冷たい眼差しとともに全身に《魔力》を纏い、ガイが全身に《魔力》を纏うと強い衝撃が周囲に走るとともにナギトは威圧されてしまう。

 

「こ、これって……!?」 

 

「技術の高さは認める……だが、オマエがヒロムの相手をするのは100年早い!!」

 

「……やりすぎだ」

 

 全身から強い殺気を放つガイは《魔力》を纏ったままナギトに迫ると刀を振り上げ、威圧されて動きが遅れるナギトを斬り伏せさそうと勢いよく振り下ろされ……るが、いつの間にかナギトの前に移動していたヒロムはガイの振り下ろした刀を殴り壊し、ヒロムの邪魔と刀の破壊に驚くガイの事など無視するようにヒロムは彼を蹴り飛ばし、蹴りを放った勢いを殺すことなく体を回転させるとナギトを蹴り飛ばしてしまう。

 

「「!?」」

 

 突然の事に驚きを隠せないガイとナギトは蹴り飛ばされるも受身を取ってすぐに立ち上がり、2人が立ち上がるとヒロムはため息をつくとガイに忠告した。

 

「やりすぎだガイ。《センチネル・ガーディアン》は能力者との戦いでの正当化の権利を与えられてるけど私情で民間人を傷つけていい権限は与えられてない。まして転校生を敵だと判断して先走って殺すための一撃を放つなんて誰にも許されない」


「……悪い」

 

「……転校生、オマエが他のヤツらと一味違う強さを持つことは分かったが、オレはオマエの挑戦は受けない。ガイを本気の手前までその気にさせた点は認めるけど、その程度じゃオレは滾らない」

 

「……あっ、ごめん。

オレはまだ天才と戦うつもりは無いよ?」

 

「……は?」

 

 ナギトとは自分と戦うつもりだ、そう思っていたらしいヒロムは彼の言葉を聞くと呆気にとられたような顔をし、ヒロムが困惑しているとナギトは背を向けると立ち去ろうと歩きながらヒロムに言った。

 

「オレは天才(姫神ヒロム)が何で強いのかを確かめたかっただけ。ひとまずは天才剣士の本気とそれを止めたアンタの実力を知れたから今はそれで満足だよ」

 

「はぁ……?

オマエ、《センチネル・ガーディアン》の座が欲しいとかじゃなかったのか?」

 

「……いらないよ、そんな面倒くさいの」

 

 じゃあね、とナギトは足に《魔力》を強く纏わせると地面を強く蹴って高く跳び、高く跳ぶなりそのまま颯爽と去っていく。

 

「何なんだよアイツ……」

 

 謎の多い風乃ナギト、その彼の行動と言葉にヒロムは惑わされる……

 

 

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