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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
異痛命動編
78/1085

78話 誤解理解


 ユリナを安心させようとしたヒロムの言葉は彼の思惑に反して告白にも似たものとなってしまい、それを受けたユリナはその趣旨で受け止めたらしく顔を赤くして逃げてしまう。

 

 ユリナに逃げられたヒロムは落ち込みながらもひとまずアドバイスをくれたノアルの手伝いとして夕飯の支度を共にしたのだが、しばらくしてから災難に直面する。

 

「さてヒロム!!話を聞かせてもらいましょうか!!」

 

 何がどうなったのかはさておき鎖で体を縛られたヒロムを前にしてアキナは怒りのような眼差しを向けており、その後ろでユキナとエレナ、サクラがヒロムのことを見ており、ガイたちは夕食に興じてヒロムの方すら見ようとしない。

 

「おいアキナ。頼むから話を……」

 

「ええ、聞くわ。

ユリナに告白したことについて!!じっくり!!しっかりと!!」

 

「誤解を招くような言い方するな!!

オレはただユリナの不安を少しでも……」

 

「言い訳無用!!本音を語りなさい!!」

 

「だから……」

 

 落ち着きなさい、とサクラはヒロムを庇うようにアキナに話しかけると彼女の説得を試そうとする。

 

「そんなに頭ごなしに言っては話し合いが出来るものも出来なくなるわ。アナタの気持ちもわかるけどここは落ち着いて」

 

「アンタも気になるでしょ?それをハッキリさせたいんだから止めないでよ」

 

「ハッキリさせたい気持ちは分かるわ。でも考えてみて。

あのヒロムが……手紙を出す約束も会う約束も無断で破るような《無能》と言われて大変だと思って愛華さんがアナタやユキナをわざわざ紹介しても何の反応も起こさないユリナが中学からお弁当を欠かさず用意してもノートを代わりに取ってるとしても何の反応も見せないようなヒロムがこんな大変な時に告白するなんておかしいでしょ?どうせそういうことから逃げてきたから上手く言葉にできなくて何とかした結果ユリナを混乱させるようなややこしい言い方したと考えたら自然と納得いくはずよ」

 

「おい待てサクラ。オマエはオレを貶してるのか?」

 

 アキナを説得してくれるとヒロムは思ったらしくサクラの口から出る言葉に戸惑い、サクラの的確な言葉を食事をしながら聞くガイとソラ、イクト、真助は笑いを必死にこらえていた。

 

 そしてサクラの言葉が的確なのかユキナも笑いを必死にこらえており、エレナは気まずそうに無理に繕った笑顔をヒロムに向ける。

 

 ヒロムを問い詰めようとしていたアキナもサクラの的確な言葉を聞いて納得したらしく、ヒロムを拘束する鎖を外すとサクラに言った。

 

「それもそうよね。ヒロムにそんな勇気あるなら見てみたいもの」

 

「おい、オマエまでディスるな。

つうかオレのことそんな風に思ってたのか?」

 

「多少は思ってるわよ。アンタってそういうところあるし」

「まぁ、ヒロムが答え出さないから私たちはある意味仲良くできてるんだけどね」

「ひ、ヒロムさんの優しさだと私は思ってますよ」

 

 ヒロムに対して遠慮なくアキナは言い、アキナにハッキリ言われるヒロムをフォローするかのようにユキナとエレナは優しめの言葉を彼に言うがもはやサクラの言葉が効いているらしくヒロムは少し落ち込んでしまう。

 

「……オレって裏で嫌われるタイプなのか……」

 

「あら、そんなに落ち込まないで。

ハッキリさせないでいることが時に優しさとして機能する、それをヒロムが示してるのなら何も文句はないわよ」

 

「サクラ……散々言っといてそれ言われても納得できねぇよ」

 

 元気出しなさい、とサクラはヒロムの肩を叩くと彼を励まし、その上でユリナのことを伝えた。

 

「とりあえずユリナは私が送迎の車を手配してノアルを護衛につけさせて家に帰らせたから彼女も気持ちを落ち着かせて明日からは普通になるはずよ」

 

「……オマエのその行動力の高さに頭が上がらねぇよ」

 

「そう思うなら少しは気をつけるようにしてね。

私がフォロー出来ることにも限度があるから」

 

「……今のがフォローって言うならオレはこれからが怖い」

 

「フフ、ご心配なく。私はアナタのために最善を尽くすだけですから」

 

 ヒロムに対して優しく微笑みながら伝えるサクラ。そのサクラにヒロムが頭が上がらない様子をガイたちが面白そうに見ていると誰かの携帯電話の着信音が鳴る。

 

 誰のが鳴っているのか、ヒロムがそれを気にしているとガイが慌てて携帯電話を取り出して通話に応じる。

 

「悪い 、少し取り込んでて……え?いるけど……変わればいいのか?」

 

「?」

 

「ヒロム、オマエに用があるらしい」

 

 電話に応じたガイはヒロムに向けて自分の携帯電話をなげわたし、落とすことなく受け取ったヒロムは相手が誰かも分からぬまま電話をかけてきた相手の通話に応じようとする。

 

「……変わったぞ」

 

『おう、調子はどうだ?』

 

 電話の相手、その相手が誰なのかは声でわかった。普段は気の抜けたような口調をするその相手は今は何故か口調を変えて話している。

 

「何の用だ、葉王」

 

『つれないこというなよ姫神ヒロム。

こっちはリュクスとアイツが強制契約したノブナガと戦って疲弊してるオマエを心配してるのによ』

 

「……調べたのか?」

 

『情報はこっちに届いてるからな。それよりも……精神的な成長を遂げて《未来輪廻》を会得したようだな』

 

「オマエ……」

 

『まぁ、不完全だろうな。とくにオマエの場合経験が浅すぎて連続使用はフィードバックしてくるダメージに耐えられないはずだ。もっとも発動出来るだけの精神力を得られたのなら今後連続使用を克服できるだろうよ。あっ、告白紛いの発言はやめとけよ』

 

「おいオマエ、どっかにカメラ仕込んでるだろ!?

んでそんなのまで知って……」

 

『ヒロム、これは鬼桜葉王としてではなく姫神葉桜てして伝えておく』

 

 茶化すような言い方でヒロムをイジった電話越しの葉王は打って変わって真剣な口調でヒロムに伝えていく。

 

『今のオマエはまだペインを倒すには到らない。その地点に到達するにも時間が足りない。どれだけ肉体を鍛え強さを高めてもオマエはまだヤツには勝てない。世界を護るものと世界を壊すものとでは格の差はともかく通る道が違いすぎるが故に成長の過程も異なる。オマエが《未来輪廻》をマスターしても届かないのが現実だ』

 

「……ならどうしろと?」

 

『ペインになくてオマエだけにあるものを極めるしかない。そのためのカギとなるものを教えてやる』

 

「極めるしかないって何を……」

 

『精神力を高めろ。オマエは何かの窮地に立たされてもそれを打開するだけの潜在能力を持つ反面でいざという時に精神的に弱い面を見せる弱点がある。オマエはまず精神力を高めて誰よりも強い強靭な精神の持ち主となって己を磨け。それをクリアしなければオマエは前に進めない』

 

「……なら何をすればいい?」

 

『そんなのは自分の手で見つけろ。既に課題は始まっている。1週間後、オマエの精神力が高まっているかをテストするから覚悟しとけ』

 

「わかった。それまでにオマエが望む形に成長してやるよ」

 

『フッ、楽しみだな。そうそう、女の扱いについても最低限学習しとけよ』

 

 じゃあな、と余計な一言を残した葉王は一言言うと通話を終わらせる。葉王が通話を終わらせると彼の最後の言葉にイラッとするヒロムはガイの携帯電話を持ち主に向けて乱暴に投げ返す。

 

「おい!!オレの携帯を投げるな!!」

 

「うるせぇ、ストレス発散に使われたと思え」

 

「よくねぇよ!!」

 

「電話のお相手は何て言ってたの?」

 

 誰と話していたのか、それが気になったサクラが話しかけるとヒロムはため息をついた後に詳しく話さずざっくりとした説明をした。

 

「……死にたくても死ねないくせに余計なお節介でアドバイスしてくるイカレ野郎の戯言を聞かされたんだよ。まぁ、今回のは参考になりそうだから聞いてられたけどな」

 

「はぁ……?」

 

「……やってやるよ」

(オマエが何を望むかは知らねぇがやってやるよ。精神力を高めてる、その先に何があるかはオマエしか知らねぇみたいだが上等だ)

 

「オマエが計れないほどの強さを得てオマエを見返してやるよ……葉王!!」

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