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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
異痛命動編
67/1085

67話 作戦立案


 放課後の学校。

ユリナから傷の手当を受けたヒロムは顔に絆創膏を貼っており、そんなヒロムはユリナ、ガイ、ソラ、イクト、シオン、ナギトと屋敷への帰路を歩いていた。その中でガイはペインへの対抗策について話を進めようとしていた。

 

「ヒロムが元に戻ったからハッキリさせておく必要があるんだけど、ペインをどう対処する?」

 

「ペインの相手はオレがやる。元が同じ人間なら……」

 

「気持ちはありがたいがヒロム、それはリスクが高い。

ペインとヒロムの精神が繋がって記憶が流れてくる、それを防ぐことをせずにまたやればただの一瞬の記憶を見せられて取り乱したヒロムの心が持たなくなる」

 

「……ならどうするんだよ?」

 

「そこの解決策は知恵を出し合うしかない。それ以上に今やれることとなれば戦力の確認だ」

 

「現状の戦力で役割を割り振るってこと?」

 

「そうだイクト。《世界王府》の動きに対してオレたちはその場その場で対処する他ないのは事実だがいざとなれば集結して挑むだけの行動力と連携がある。そこを理解することも重要だ」

 

「戦力、か……どこから把握する? 」

 

 現状を把握しようとするガイの話に合わせるようにシオンは質問し、それを受けたガイは今現在の《天獄》の戦力について分析していく。

 

「まず機動力と俊敏さの高さでナギトとオレとシオン、トリッキーな動きが出来る術士にはイクトがいる。オレたちは現状メインで戦うよりはクリーチャーの殲滅やサポート、足止めなどを買って出る方が得策だ」

 

「おい、新入りとイクトはともかく何でオレまで雑魚の担当なんだよ?」

 

「落ち着けシオン。これはただの確認だから。

今オレが話してるのは《世界王府》の主要メンバーとの直接の対決がない、もしくは対決した上で決め手にかけてたメンバーだ。イクトとシオンは全車、オレとナギトは後者って意味で話を進めてる」

 

「……なら次に結果を出せばいいって話か」

 

 そういうことだ、とガイはシオンを納得させると現状の戦力の確認の続きを進めた。

 

「次に真助とゼロ。この2人に関してはハッキリ言って未知数だ。ビースト相手に互角の戦いを出来る真助とペインの攻撃の1つに唯一対処することが出来るゼロ、この2人が前衛として躍進した時の《天獄》の成長は大きいと思う」

 

「要はアイツらの成長次第ってことか。

あと残るはオレとヒロムとノアルか」

 

「ああ、3人は現状《世界王府》の主要メンバーとの戦いを優位に進めた実績のある決め手となる存在だ。とくにヒロムは《世界王府》のリーダーのヴィランを前にして精神攻撃を受けてもそれを跳ね除ける力を見せ、ノアルとソラはビーストの《魔人》の力を圧倒する結果を残している」

 

「大将たち3人を軸に対処するって感じになるの?」

 

 それは違うな、とヒロムはイクトの言葉に対して異を唱えるとガイの意見について自分の考えを踏まえて話していく。

 

「ノアルの力を取り込んでいるビーストはおそらくまだ完全にその力を見せていない。身体変化の力とクリーチャーの展開能力の強化はその恩恵で間違いないはずだ。そしてペインの力に対抗出来るゼロの支援無しではオレは一撃を入れることも難しい。それとノーザン・ジャックの底知れぬ力、あれはどれだけ戦力を揃えても今のままじゃ太刀打ちできない力の差がある。ガイの言う主要メンバーにダメージを与えるという点での実績のみを見た場合、オレたちには敵を本格的に対処するすべをどうやって解決するかという点が課題として残される。ましてオレはペインと精神が繋がって記憶が流れてくるというリスクもあるしな」

 

「……たしかにヒロムの言う通りだ」

 

「え?なら今の話意味ないの?」

 

「いや、そうでも無い。

現状ヒロムはペインを相手にしなければ何とかなるって話だろ。ならペインをオレが仕留めてヒロムはノーザン・ジャック、ノアルはビーストを仕留める方向でプランを立てて……」

 

「それは早計すぎるな、相馬ソラくん」

 

 ソラが話をする中でそれを遮るように彼らの前に怪しげな男が現れる。赤い髪に金色の瞳、赤い翼の装飾の施された黒いロングコートを身に纏う青年は現れるなりヒロムたちに向けて手を振り、青年が現れるとヒロムたちはユリナを守ろうと彼女の前に出て構える。

 

「オマエは……リュクス!!」

 

「覚えてくれてて嬉しいよ、姫神ヒロムくん。

それとそのお仲間たち……おっと、久しぶりだね黒川イクトくん」

 

「リュクス……!!」

 

 名を呼ばれた青年・リュクスはどこか嬉しそうに笑みを浮かべてヒロムたちに言うと何故かイクトにだけは久しぶりと挨拶をする。リュクスの挨拶を受けたイクトは何かの理由でその言葉に感情が抑えられないのか拳を強く握っており、それを見たリュクスは面白そうに笑う。

 

「ハハッ、いいねその反応。そうやって感情を抑えず露わにして乱れればいいよ。どうせキミのような人間は道化の手のひらの上で踊るしか出来ないんだからね」

 

「ふざけたことを……!!」

 

「そうそう、そうやって感情を……」

 

 楽しそうだな、とヒロムはイクトとリュクスの間に入るように立つとリュクスに向けて落ち着いた様子を見せる。そのヒロムの落ち着きように何故かリュクスはガッカリしてしまう。

 

「……おかしいな。ペインの姿を前にして精神がそんなに安定してるなんてありえないんだけど……大した効果なかったのかい?」

 

「オマエは知ってるようだな。ペインのことを」

 

「もちろん、仲間だからね。それに彼は平行世界をいくつも壊してきた能力者。キミのような精霊頼みの人間とは本質が異なる強さを持つ。仲間として信頼に値する存在だよ」

 

「仲間ね……世界を転覆させたがってるオマエらにそんな美意識があるとは驚きだよ」

 

「驚いてるなら顔に出しなよ。見てて面白みがない」

 

「イクトの命どころか人生を利用して目的を達成しようとし、多くの人間を利用してきたオマエの楽しみに成り下がるつもりは無い」

 

「でもオレが黒川イクトを嵌めなかったら彼はここにいないんだよ?少しは感謝……」

 

 リュクスが話す言葉を最後まで聞くことなくヒロムは白銀の稲妻を強く纏うと殺気を放ち、殺気を放ちながらヒロムはリュクスに冷たく告げる。

 

「あんま調子になるな。見ててイライラするしオマエの声を聞くだけで吐き気がするからな」

 

「……脅しのつもり?」

 

「忠告だ。次言葉を発したらオレがオマエを殺してやるよ」

 

「……ならやってみろよ姫神ヒロム」

 

「そうしてやるよ」

 

 ヒロムの言葉を受けても余裕のリュクスは挑発するようにヒロムに言い、彼の言葉を受けたヒロムは首を鳴らすと走り出す。指示を出すでもなくリュクスを倒すべく走り出したヒロム、そのヒロムの後に続くようにイクトもリュクスに向けて走り出す。

 

「オレだって……!!」

 

「あのバカ!!」

 

「ソラ、シオンと一緒にヒロムとイクトの援護を!!

オレとナギトはユリナを守る!!」

 

「「分かった!!」」

 

 ヒロムの代わりにガイが指示を出すとソラとシオンは走り出し、ガイとナギトはユリナに危険が及ばぬように彼女を守ろうとする。

 

 自分を倒そうとヒロムたちが動き出した。その光景を前にしてリュクスは嬉しそうに笑いだした。

 

「ハハハハ!!そう、それでいい!!

そうやってオレを楽しませてくれ!!」

 

 ただし、とリュクスが指を鳴らすとヒロムたちの前に彼らの行く手を阻むように魔力の柱が2つ現れる。

 

「「!!」」

 

「姫神ヒロム、オマエのお得意がオマエだけのものだと思うなよ?」

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