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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
魔獣怪異編
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6話 不可思議な残骸


 2体の化け物を倒したヒロムとシオン。そのうちのヒロムが倒した1体が爆散して消えた場所へとシオンは近づくと何かを拾った。

 

 何かしら化け物と関係があると言うシオン。ヒロムも化け物との因果関係についてはあるとは思っているが、彼の拾ったものがものだから妙に納得いかない点があった。

 

「シオン、それが原因の1つだとしたら他の理由は何があると思う?」

 

「他?そんなのは調べねぇと分かんねぇだろ。

つうか初めてだぞあんな化け物。今まで見たことないし、能力者とも違って爆発して消えるなんてよ」

 

「けど、それは爆発していなかった」

 

「……壊れてないとはいえ、手に持ったかぎりではこれから何かしら特殊な力は感じられない。つうか……何でこんな置き時計が化け物の中から出てくるんだよ?」

 

 化け物について話すヒロムとシオン。そのシオンは自らが手に取ったもの……アンティーク調の置き時計を手にしながらヒロムに話していく。

 

「あの化け物は物を集める趣味でもあったのか?

破壊しか能がなさそうな見た目してて小洒落た真似をするってか」

 

「いや……そもそも化け物自体に破壊の意思があったのか?」

 

「あ?何ふざけたこと言ってんだ?」

 

「いや、現れてから倒すまでの化け物の動きを考えたんだが……別段何かを壊したりして暴れる様子が無かった。オレたちの攻撃を受けたから反撃してきたようにも見えたが……結局のところ、化け物の出自が分からないと何も言えないな」

 

「簡単な話がどこかにコイツらを生んだ野郎がいるってことだ。

その野郎はきっと……」

「マスター、これを」

 

 シオンが真剣な話をする中でラミアはそれを邪魔するようにヒロム何かを手渡す。ヒロムがラミアから受け取ったもの、それは……金属製の食器だった。

 

 話を遮られたシオンは苛立ちの表情を浮かべながらラミアをにらむも彼女はそれを気にすることも無く平然としており、ヒロムはラミアから受け取った金属製の食器に何か不自然な点がないか探そうとした。

すると……

 

「マスター、これって……」

 

 フレイが何か見つけたらしくヒロムに報告しようとする。フレイが見つけた何かを確かめようとヒロムとシオンは彼女に歩み寄り、2人に報告するようにフレイは自分の見つけたものを指さした。

 

 フレイが指さしたもの、それは……足跡のように地面に焼け焦げた痕跡だった。一定の間隔で残された痕跡、その痕跡が何によって残されたのかはヒロムはすぐに理解した。

 

「さっきの化け物、1体は炎を纏ってたからその影響で歩いた場所が焼けたんだな」

 

「ならこの足跡を辿れば出処が分かるかもな」

 

「あぁ、シオンの言う通りだが……それは期待しない方がよさそうだ」

 

 化け物の出処が分かると考えたシオンの言葉にヒロムも賛同するが、ヒロムはすぐに期待できないと言う言葉を伝えて残された痕跡の出処と思われる方へと視線を向ける。視線を向けた先、そこにあったのは雑貨屋だった。2枚扉の入口、その扉は今両方とも開いているが、それが化け物の仕業なのか元々その店の誰かが開けていたのかは謎だ。

 

 シオンも痕跡から雑貨屋へと視線を向け、彼とヒロムは雑貨屋を見るなり疑問を抱いた。その疑問をお互いに抱いてるかを確かめるかのようにシオンはヒロムに質問した。

 

「……まさかの話だけどよ、あの雑貨屋に犯人がいると思うか?」

 

「可能性はゼロに近いだろうな。

けど、あそこに何か手がかりがあるかもしれないと思ってるのはたしかだ」

 

「調べてみるか?」

 

 ああ、とシオンの確認の言葉にヒロムは返事をすると彼とともに痕跡を辿るように雑貨屋へと向かい、雑貨屋へとつくと中へと入る。扉は開いていたから開けるてまもなく2人は綺麗な内装の店内へと入っていき、中に入ると2人がまず目にしたのは壊された棚だ。

 内装の綺麗さから考えて経年劣化はありえないと思われ、何より棚の壊れ方が何かによって意図的に壊されたような状態だった。その壊れた棚の近くには同じようにおかしな壊れ方をしたテーブルだったものもあった。

 

「ヒロム、まさかだが……」

 

「多分このおかしな状態を見たままだな。この状態から察するに……食器と置き時計はこの店にあったものだ」

 

「誰かが何か細工したのか?それとも元々そういうものを扱ってたのか?」

 

「間違いなく前者だろうな。ただその誰かが誰なのかを店の人間に聞かないかぎりは……」

「あの、すいません……」

 

 雑貨屋の店内でヒロムがシオンと状況を整理しながら何があったのかを考えていると店の奥から店員と思われる若い2人の女性が恐る恐る現れる。2人の女性が現れると何故かシオンは無言で背を向けて外に出ようとし、彼の行動に呆れるヒロムはため息をつくと2人の女性のもとへ駆け寄ると2人の話を聞こうとした。


「あ、アナタは確か……」

   

「何があったか教えてもらってもいいですか?」

 

「あっ、はい……。

私たち2人でこのお店をやってるんです。それで……さっき1人のお客さんが来た後、急に棚の食器とテーブルの上の置き時計が変な黒いモヤのようなものに包まれて……それに驚いていたらさっきの変な化け物になったんです」

 

「その時アナタたちは?」

 

「変な黒いモヤが出てきた時、急に怖くなって慌てて奥に逃げたんです。そのせいか変な化け物に襲われなかったんですが……」

 

「なるほど。その、変なこと聞くけど……そのお客の特徴とかって分かるか?

何かの手掛かりになるかもしれないから覚えてるかぎりで教えてもらえないか?」

 

「あっ……はい。

背は180cmくらいだと思います。それと……髪の毛が銀というか白というか……」

 

「髪の色……?」

 

 手掛かりになるかもしれないと聞き込みをするヒロムは店員の1人が言った銀か白の髪について思い当たる節があった。それは化け物が現れる直前にヒロムの横を通り過ぎた銀髪の人物。顔までは覚えていないがその人物がヒロムに意味深な言葉を言った直後に化け物が現れた。

 

『……天才の実力、そのうち確かめに行くよ』

 

 通り過ぎる瞬間に告げられた言葉、あれがもし化け物を従えているものの言葉なら……とヒロムは思ったが、ヒロムが気にしているその人物の背丈は店員の言う人物像の身長180cmくらいという点に当てはまらないのだ。シオンと似ていると錯覚するほどの背丈、その人物と店員の言う人物が別だとすぐに察したヒロムは店員の2人に伝えた。

 

「……これ以上何か問題が起きても不安にしかならないと思うから、オレから警察に化け物の痕跡が残ってないか調べてもらうように伝えておく。それが無事に終わったらまた2人で頑張ってください」

 

「あ、ありがとうございます!!」

 

 ヒロムの計らいに店員の2人は先程までの恐怖感が無くなったのか元気よくお礼を言い、2人の感謝の言葉を受けたヒロムは一礼すると雑貨屋を去ろうとする。雑貨屋の入口に背を向けたまま立つシオンは話が終わったと察したらしく先に外へ出、ヒロムも続くように外に出た。

 

「ご苦労だったな」

 

「……オマエのその女嫌いが直らないから面倒なことも我慢してるだけだ。これじゃまるで正義のヒーローの真似事だ」

 

「ならオマエがそのヒーロー嫌いを直せばいい」

 

「誰のせいだと思ってんだよ……!!」

 

 それより、とシオンは自身の言葉に少しイラつくヒロムに話題を変えるかのようにヒロムに質問をした。

 

「オマエ、今回のあの化け物の件の犯人に心当たりがあるのか?」

 

「……何でそう思った?」

 

「これでも聞き耳くらいは立ててた。

オマエが化け物が現れる前にいた客の髪色を聞いた時の反応が少し違ったのも聞き逃さなかった」


「なるほど……オマエの考えは間違ってねぇけど、犯人とはまた違うヤツが気になっただけだ」

 

「……そうか。ならオマエの中で納得する答えが出るまでそれについては聞かないでおいてやる。これからどうする?」

 

「とりあえず警察に向かう。この店の調査は直に駆けつける警察に頼むとして、オレたちは上の人間に報告しなきゃな」

 

「上の人間、つまり……」

 

「ああ、警視総監のところにいく」

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