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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
魔獣怪異編
5/1085

5話 謎の化け物


 突然現れた岩のようなゴツゴツした体に炎を纏った化け物とサイのような獣人にも似た化け物。それの出現によって街の人々がパニックを起こす中、ヒロムは化け物が人に危害を加える前に対処すべく走り出した。

 

「ユリナ!!どっかにシオンいるから見つけてきてくれ!!」

 

「う、うん!!」

 

 ヒロムに言われるとユリナはシオンを探すべく慌てて走っていき、ヒロムは化け物に向けて走る足を加速させると一気に距離を詰めて蹴りを放つ。が、ヒロムの蹴りを受けた岩のような化け物は彼の蹴りを受けてもビクともせず、攻撃が効いていないと判断したヒロムは距離を取ると化け物の動きに警戒した。

 

 攻撃された化け物は唸り声をあげるとヒロムに殴りかかろうとし、ヒロムはそれを避けると拳撃を叩き込む……が、化け物はビクともしない。それどころかヒロムが岩のような化け物に攻撃しているとサイのような化け物はヒロムではなく街を攻撃しようと動き出した。

 

「この野郎……!!

力を貸してくれ、フレイ!!」

 

 街を守らなければ、ヒロムはそう思う中で精霊の名を叫び、彼の叫びに応じるように彼の右手の白銀に輝くブレスレットが光を発し、発せられた光が変化すると精霊・フレイとなる。現れたフレイは金色の装飾を持つ大剣を構えてサイのような化け物に攻撃を仕掛けるが、攻撃を受けた化け物はダメージを受けても怯まない。

 

「この化け物、痛覚が……!?」

 

「フレイ!!

街の人がパニック起こしてるせいで派手には暴れられない!!ひとまず避難が終わるかコイツらを人のいない所に誘導するなりしないと派手にはいけねぇ!!」

 

「了解です!!

ですが時間をかけてる場合でもないのなら……厄介ですね」

 

「……派手にやりたいのは山々だが街の人を危険に晒すのだけは避けたい。

無理を言ってるのは分かるが頼む!!」

 

「分かりました!!」

 

 街や街の人の安全を優先すべく派手な攻撃を控えるようにヒロムは指示し、その指示を受けたフレイはサイのような化け物を体験で攻撃しながらなるべく街の人がいる方から離れさせようとする。

 

 ヒロムも炎を纏った岩のような化け物を何度も殴って何とかしようとするが、ヒロムの攻撃を受ける化け物は岩のようなそのゴツい見た目通り硬いらしく中々怯まず動かない。

 

「クソッ!!

コイツ、全然動かねぇ!!」

『その前に炎纏ってるヤツを素手で平気で殴るマスターもヤバいわよ』

 

 化け物の硬さにヒロムが苦戦していると彼の頭の中で精霊・ラミアの声が響く。

 

『マスター、この敵の出自が分からないのに派手な攻撃を避けてとか流暢なこと言ってる場合?

どこの誰が差し向けたのか分からない敵に時間をかけてる暇はないんじゃない?』

「そんなことは分かってる!!

だけど……」

 

『街の人を危険に晒したくないのは結構だけど、私やフレイはマスターが危険に晒される方が嫌よ。そうなるくらいなら街の人数人が危険になった方がマシよ』

「……ッ!!」

 

『マスター、よく考えて。《センチネル・ガーディアン》に任命されたからといって必ずしも守らなきゃならないわけじゃない。守れるのなら守るのがマスターが与えられた役目、それ以上は何もしなくていいのよ。それとも……マスターは正義のヒーローにでもなりたいの?』

 

 頭の中で響くラミアの声。その声が口にした《正義のヒーロー》というワードを受けたヒロムは化け物を殴ろうとする手が止まってしまう。ヒロムの攻撃の手が止まると化け物は唸り声をあげながらヒロムを襲おうとする……が、化け物がヒロムを襲おうとするとどこからともなく轟音が響き、轟音が鳴り響くと同時に全身に雷を纏いながらシオンが現れて岩のような化け物を殴り飛ばす。

 

 殴り飛ばされた化け物は飛ばされた先にある建物に激突し、化け物を殴ったシオンはヒロムに向けて忠告した。

 

「……躊躇ってんじゃねぇぞ」

 

「シオン?」

 

「街の安全とか人を守るとか……そんなことに気を取られて戦う本質を忘れんじゃねぇよ。敵は倒す、オマエがこれまでの戦いで胸に秘めていたその思いはもう消えたのか?」

 

「それは……」

 

「正義のヒーローでも正義の味方でもなりたきゃなれ。だが……これだけは覚えとけ。オレたち能力者は奪う側の人間だ。戦いで命を奪い、その戦いで必ず誰かの何かを奪う。オレたち能力者はそうしなきゃ戦えねぇってことをな」

 

 ヒロムに忠告したシオンは殴り飛ばした化け物の方へと走っていき、シオンの忠告を受けたヒロムは拳を強く握ると頭の中で声を響かせていたラミアに向けて言った。

 

「力を貸せ……ラミア」

『あら、戦う気になった?』

 

「あぁ、そうだ。

それに……頭の中とアイツに散々嫌いな言葉を言われたせいでイライラが止まらねぇから発散する」

『……ごめんなさいね。

マスター、ヒーロー扱いされるの嫌いだったわね』

 

 いいわよ、とヒロムのそばに精霊・ラミアが現れ、現れたラミアはヒロムに伝えた。

 

「やるからにはとことんやるわよマスター」

 

「当然だな。

フレイ!!派手にやるぞ!!」

 

「は、はい!!」

 

 派手な攻撃を避けるように言われていたフレイは突然の指示に驚きながらも返事をしてサイのような化け物を攻撃し、ヒロムは岩のような化け物の相手をシオンに任せてラミアとともにフレイに加勢するよう走り出す。

 

 走り出したヒロムの左手首の白銀のブレスレットが紫色に光ると彼の手に紫色の刃を持つ刀が装備され、ラミアもヒロムが持つのと同じ刀を抜刀して2人同時にサイのような化け物を攻撃する。

 

 先程まで1人を相手にしていた化け物は突然の2人の加勢と攻撃に驚いたのか反応が遅く、ヒロムとラミアの攻撃をまともに受けると仰け反ってしまう。

 

「オラァ!!」

 

 仰け反った化け物に立て直す間を与えぬようヒロムは刀による連続攻撃を化け物に食らわせ、ラミアは刀を地面と水平に構えると刀を握る手に力を入れる。

 

「私の刀、《蛇天》の斬れ味をその身で味わいなさい!!」

 

 ラミアは強く握った刀に紫色の稲妻を纏わせると鋭い突きを放ってサイのような化け物に攻撃し、放たれた突きは化け物の右肩の肉を抉りながら貫く。肩の肉を抉られ貫かれた痛みに耐えられないらしく化け物は苦痛により叫びに似た声をあげ、化け物が声をあげる中でヒロムは刀を投げ捨てると今度は右手首の白銀のブレスレットを金色に光らせ、精霊・フレイが持つものと同じ金色の装飾を施された大剣を出現させて装備し、手に持った大剣に金色の稲妻を纏わせると振り上げて強力な一撃を放つ。

 

 ヒロムの放った一撃により化け物は更なるダメージを受け、ヒロムに続くようにフレイも大剣に金色の稲妻を纏わせると化け物に向けて巨大な斬撃を放って追撃のダメージを与える。

 

 3人の攻撃を受けた化け物は全身ボロボロになってしまい、ヒロムは大剣を光にして消すと拳を強く握る。

 

「終わらせる」

 

 ヒロムが強く息を吐くと彼の両手首の白銀のブレスレットが眩い輝きを発し、眩い輝きは白銀の稲妻となってヒロムの全身に纏われていく。白銀の稲妻を纏ったヒロムは稲妻の力を高めながら走り出し、化け物が次の動きを見せる前に接近すると右の拳に力を溜めて渾身の一撃を放つ。

 

 放たれたヒロムの渾身の一撃、その一撃となる拳撃を受けたサイのような化け物の体を強い衝撃と稲妻が駆け抜けると化け物の体は爆散して消滅してしまう。

 

「……ふぅ」

 

「さすがはヒロムだな」

 

 ヒロムが化け物を1体倒すとシオンがこちらに向けて歩いてき、シオンが来た方にヒロムが視線を向けると視線の先には無数の雷の槍に貫かれた化け物がいた。その化け物はそのままサイのような化け物と同じように爆散して消える末路を迎え、化け物を倒したシオンはヒロムを見ながら言った。

 

「やっぱオマエはそれくらい派手にやらなきゃな。

でなきゃオレたちの上に立つ資格はねぇよ」

 

「うるせぇ。

偉そうに言うなら、1回でもオレに勝ってみろ」

 

「そのうち倒してやるよ。

それより……」

 

 シオンはヒロムとの話の最中、何かを見つけたらしく話を中断させるとヒロムが倒した化け物が消えた場所へと近づき、近づくなり腰を下ろすと何かを拾う。

 

「それは……?」

 

「さぁな。

けど、消えたあの化け物がいたところにあるってことは関係あるかもな」

 

 ヒロムも不思議に思ってしまう。シオンが手に取ったものは……

 

 

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