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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
魔獣怪異編
43/1085

43話 受け入れ、見習い


 提案に来た、ヒロムがそう口にするとナギトは何故か身構えてしまう。勇波タクトが現れ、そして一触即発のムードになる中で現れたヒロムが何を提案するのか。事と次第によってはナギトのここからの動向が変わる。

 

 プラスになる提案なのか、マイナスの提案なのか……ナギトは今、全容すら分からないヒロムが提示するであろう提案について戸惑いを隠せなかった。

 

 その傍らで、ナギトがヒロムの出そうとする提案に戸惑いを見せる中でタクトはヒロムに臆することなく話しかける。

 

「そうやってアンタがナギトに何か吹き込んでるのか?」

 

「あ?」

 

「ナギトはスクールでオレとチームを組んだことがあるいい相棒でもあった。いつかは2人で上に登り詰めて互いに強くなって頂点を決めようって約束までしたのに……そのナギトが約束を破ってスクールを出ていくなんてアンタが何か吹き込んだからとしか思えないんだよ」

 

「……なるほど、都合のいい解釈だ。

頭の悪いヤツが得意とする見たくない現実から目を逸らしてそれらしい理由で他人に八つ当たりするって鬱陶しいやり方だな」

 

「鬱陶しいだと?オレたちスクールの生徒は……」

 

「スクール、スクール、スクール……口を開けばオマエらはそれしか言わない。これなら転校生が嫌気をさして抜けたのも理解できるわ」

 

「嫌気をさして……抜けた……?」

 

 ヒロムが口にした言葉、ナギトは自らの意思で《フラグメントスクール》を抜けたと聞いたタクトが驚きを隠せない表情を見せるとナギトはタクトに向けて己の意思を伝えた。

 

「……ごめん、タクト。オレはオマエとの約束を破った。 それは確かに事実だよ。でも……上に行けば行くほど結果に囚われるオマエや周りのヤツらの変化を前にしてオレは思い知らされたんだ。オレが求めてるものはここでは手に入らないって」

 

「オマエ……」

 

「だから天才のこの人は何も悪くない。むしろ今オレのことを助けてくれてるくらいだ」

 

 タクトに意思を伝えたナギトはどこか申し訳なさそうな顔を見せ、ナギトが話し終えるとタクトは拳を強く握りながらヒロムを睨む。

 

「……ナギトの意思はよく分かった。

その上でオマエに聞くが、ナギトに何を提案しようとした?」


「別に大したことじゃねぇし知ったところでオマエには何の利益もない話だ」

 

「んなのいいからさっさと話せよ。

こっちは大事な仲間に裏切られてんだぞ?」

 

「そうやって無駄に怒りを大きくして意味の無い理由を作って恨んでるってか?哀れで仕方ねぇな」


「オマエ、いい加減に……」

「んだコイツ、弱そうだな」

 

 ヒロムの言葉を受けて苛立ちを見せるタクトがヒロムに向けて何か言い返そうとしたその時、タクトの背後に音も立てずにソラが現れ、現れたソラはタクトを見るなり呆れながら彼を弱そうと酷評する。

 

 ソラが現れるとタクトは振り返ってソラに対して何かしらのアクションを起こそうとするが、タクトが振り返ろうとするとソラはそれよりも早くタクトの背後から消えるとヒロムのそばに現れる。

 

「なっ……」

 

「これが噂の《フラグメントスクール》の連中か。

大したことなくてくだらねぇな」

 

「オマエ……!!」


「ソラ、まさかついてきたのか?」

 

「ついてきたのかじゃねぇよガイ。

オマエとヒロムで勝手に話進めやがって、オレも一応は《天獄》の1人だし昔からの仲なんだから事前に話すくらいしやがれ」

 

「イクト風に言うならサプライズってやつだよ」

 

「いらねぇよそんなもん。それより、話はついたのか?

それとも……アイツらが邪魔で進まねぇのか?」

 

 現れるなりガイに向けて愚痴をこぼすソラは突然タクトたちの方を見るなり殺気を放ち、ソラから放たれる殺気を前にしてタクトや少年たちは身構えてしまう。

 

 ソラに威圧されている、それをヒロムは止めるでもなくただ一目見て無視するとナギトに自身が提案しようとしたことについて話していく。

 

「転校生……いや、風乃ナギト。

オマエ、オレたちの仲間になれ」

 

「え……?」

 

「オマエ、このままじゃあんなバカどもに狙われる毎日になってただ面倒なだけだろ?オマエが嫌でないなら《天獄》に加入してオレたちが何とかしてやる」

 

「それにキミが望んでたヒロムの強さを知るってのも《天獄》に加入してそばにいれば詳しく知れると思うしな」

 

「……実力不足で勝手に負傷してもオレは知らんけどな。それでもこの2人がオマエの実力を認めてるならオレは止めねぇ」

 

 ナギトの現状を何とかすると口にするヒロム、ヒロムの強さを知りたいナギトに近くで見るチャンスだと言うガイ、そんな2人が認めたのなら《天獄》への参加は止めないと言うソラ。3人の言葉を受けたナギトの目には何か希望のようなものを得たように明るくなり、ナギトは何かを確かめるようにヒロムに尋ねる。

 

「オレは……オレは天才の強さを理解して強くなれるの?」

 

「ユリナを守ってくれた借りがある。オマエが望むなら……オレが直々に師事してやる」

 

「……そっか、わかった。

どうなるか分からないけど、やるよ。その誘いの先にどんな自分がいるか分からないけど、オレはオレにできることをやってみたい」

 

「……なら、交渉成立だな」

 

 《天獄》への加入、その先にどんな未来があるのか見てみたいというナギトの意思を受けたヒロムは彼の《天獄》への加入を歓迎するように手を差し伸べ、ヒロムの差し伸べた手をナギトは掴む。

 

 ガイとソラは2人のやり取りを見ると頷き、2人を守るように立つとタクトに向けて忠告した。

 

「オマエらが風乃ナギトを狙いたいならこれからも狙えばいい」


「ただし、オマエらがコイツを襲うのなら《センチネル・ガーディアン》のヒロムの傘下にある《天獄》に対して宣戦布告したとして武力行使するから覚悟しとけ」

 

「ふざけるな。そんなこと許されるはず……」

 

「それが許されるのが今のヒロムの力なんだよ。前回の件であえてヒロムがオマエらのお仲間を痛めつけるだけで終わらせたのはただの民間人でしかなかったこの転校生を守るためだ。けど次からは……1人の仲間が倒されるってことになるからそれなりの覚悟はしとけ」

 

「……ッ!!」

 

 ガイとソラ、2人の言葉とただたっているだけのその状態から放たれる異質な威圧感を前にしてタクトと少年たちは無意識に後退りしてしまい、タクトはナギトに視線を向けるとどこか悔しそうに彼に伝えた。

 

「……オレはオマエと強くなりたかった。

正当な理由でオマエと戦える日が来たときは……必ずオレがオマエを倒す」

 

 ナギトへ言葉を伝えるとタクトは少年たちを連れて撤退していき、去っていく彼らの背中をどこか申し訳なさそうに見つめるナギトにヒロムは話しかけた。

 

「さて、と。転校生……ってのはよそよそしいな。

せっかく新しい仲間として迎えたのに距離があるような感じはおかしいだろうし……ナギトでいいよな?」

 

「えっ、うん。えっと……オレの方は何て呼べばいいの?」

 

「そこは任せる。オレはオマエを仲間として認めた証として名前で呼ぶだけだからな」

 

「そっか……じゃあ、オレ決めたよ」

 

 ヒロムの言葉を受けたナギトはどこか嬉しそうな表情をヒロムやガイたちに見せるとヒロムのことをこう呼んだ。


「これからよろしく頼むよ……ヒロム」

 

「おう、《天獄》のメンバーとして恥ずかしくないように1から鍛え直してやるから覚悟しとけ」

 

「うん、よろしく頼むよ」

 

「……じゃあ、さっそくオレの屋敷に行くぞ。

他のヤツらにオマエを紹介しなきゃならないからな」

 

「そうだな。ナギト、これからよろしくな」

 

「まともな能力者なら歓迎してやるよ、ナギト」

 

 ガイ、ソラにも歓迎され、ナギトは2人にもよろしくと挨拶をし、ヒロムたちと共に歩き始めた。ヒロムの強さの秘密を知りたい、そう言って現れた少年は今ヒロムとともに進み始めた。

 

 だがそれを……どこからか怪しい人影が睨んでいた……

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