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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
魔獣怪異編
38/1085

38話 レディアント・アームズ


「オマエの力、オレに貸せ!!」

 

 白銀の稲妻を強く纏うヒロムが叫ぶと彼の両手につけられた白銀のブレスレットが眩い輝きを発し、白銀の稲妻は輝きに呼応するようにヒロムを包み込んでいく。

 

 白銀の稲妻に包まれたヒロムは蹴りを放つようにして稲妻の中から姿を現し、姿を見せたヒロムの姿にアザナは驚いた顔を見せる。

 

「何だ……その姿は?」

 

 アザナが目にしたヒロムの姿、それは両腕が白銀のガントレットと装甲に包まれ、肩部にはコクーン状のパーツが施されたアーマー、脚部は白銀のブーツを装備した彼の姿だった。輝きが放たれ稲妻に包まれただけにしか見えなかったのにヒロムはその中で何かをした。それ故に今の姿となっているが、アザナは何故そうなったのか理解できなかった。

 

「その姿は何だ?貴様は今何をした?」

 

「オレは何もしていない。ただオレはこの白銀のブレスレットの霊装……《レディアント》に力を貸せと言っただけだ」

 

「言っただけ?まるで霊装に意思があるかのような言い方だな。それはただの道具だろ?」

 

「いや……これは道具じゃない。オレの意思に呼応してくれる戦う意思を持った存在だ」

 

「デタラメを……見てくれが変わるだけのその姿に何が出来る?」

 

「……オマエは多分勘違いをしている」

 

 アザナの言葉に対して冷静に言葉を返すとヒロムは1歩踏み出し、続けてもう1歩踏み出すとヒロムはアザナに言った。

 

「オレは能力を持たない能力者だ。だからこそ身に宿す精霊が持つ力をアイツらがそれぞれ持っている霊装を借り受けることで能力のように扱えるようになってるだけだ。そしてこの《レディアント》はオレと精霊を繋ぎ合わせる仲介であり、オレを守るために白銀の稲妻を与えてくれている」

 

「何を……」

 

「オレはただ純粋に身体能力が秀でてるだけの人間。そこに《レディアント》や精霊が力を貸してくれるから戦えている。この装備は……《レディアント・アームズ》はオレが力を求め、《レディアント》の意思とオレの心がシンクロした時に高出力で発生させられる力を圧縮して形にして初めて武装できるものだ。オレのココロと《レディアント》な意思、オマエが見下す人間と精霊が心を合わせたこの力は……」

 

 言葉の途中でさらに1歩踏み出したヒロムは音も立てずにアザナの前に移動し、ヒロムの接近にアザナが気づくと同時にヒロムの拳がアザナの顔に叩き込まれ彼を殴り飛ばす。

 

「!!」

 

「オマエなんかに負けない力となってオマエをぶっ潰す!!」

 

 殴り飛ばされたアザナは何とかして立ち上がるとヒロムを攻撃しようとするが、ヒロムは肩部のコクーン状のパーツを後方へと向けるように可動させるとコクーン状のパーツから白銀の稲妻を強く放出させ、稲妻が放出されるとヒロムはアザナに一瞬で接近して彼の腹に蹴りを食らわせる。

 

「バカな……速すぎ……」

 

「オラァ!!」

 

 蹴りを食らわせたヒロムは敵を蹴り飛ばすのではなくその場で回転して敵の頭部を蹴ると地面に叩きつけ、さらに両手に白銀の稲妻を纏わせるとそれを地面に叩きつけたアザナへと撃ち放つ。放たれた白銀の稲妻に襲われるアザナが負傷しながら吹き飛ばされるとヒロムは肩部のコクーン状のパーツから白銀の稲妻を強く放出させて姿を消すと先回りするようにアザナが飛ばされた方へと移動すると今度はコクーン状のパーツを前方へと可動させ、前方へと向けられたコクーン状のパーツに白銀の稲妻を収束させて圧縮させるとビームのように放つ。

 

「インペリアルブラスター!!」

 

 コクーン状のパーツから放たれた白銀の稲妻のビームは受身を取っていない吹き飛ばされている状態のアザナに襲いかかり、攻撃を受けたアザナは全身をさらに負傷しながら地に転がされる。


「くっ……ふざけた真似を!!」

 

 地を転がされたアザナは《魔人》の力で負傷した体を一瞬で再生治癒させると闇を強く放出させ、全身を黒く染めると鬼人のような姿となって闇をヒロムに向けて放つ。

 

 アザナの放った闇を前にしてヒロムはコクーン状のパーツに白銀の稲妻を集めると広範囲に拡散させながらその場に定着させて防御壁のように展開すると闇を防ぎ消し、稲妻をコクーン状のパーツに一点集中させるともう一度ビームのようにして撃ち放つ。

 

 同じ攻撃、そう思いながらアザナは闇を纏いながら走り出すと横に飛んでヒロムの放った稲妻を避け……ようとしたが、アザナが避けたと確信するとヒロムの放った稲妻は炸裂して衝撃波とともに周囲に拡散され、拡散された稲妻と衝撃波を想定できなかったアザナはそれらに襲われてしまう。

 

「ぐぉぉぉお!!」

 

「はぁぁあ!!」

 

 ヒロムはコクーン状のパーツを後方へと向け直すと高速で動き始め、加速し続けながらアザナに迫ると目にも止まらぬスピードで周囲を駆けながら連撃を叩き込んでいく。

 

 連撃を受けるアザナは為す術もないまま一方的に攻撃を受け、反撃の隙を与えまいとヒロムは拳に白銀の稲妻を集めると渾身の一撃を叩き込んでアザナを殴り飛ばす。

 

 殴り飛ばされたアザナは勢いよく飛んでいくとその先にある建物の壁に叩きつけられ、アザナが壁に叩きつけられるとヒロムは自身の頭上に白銀の稲妻を集めると巨大な球体の形へと変えていく。

  巨大な球体に変化させた白銀の稲妻の上を行くようにヒロムは飛ぶと続けて右足と左足で交互に球体に蹴りを何度も放ち、ヒロムの左右の足の蹴りを受ける球体は力を高めるように巨大化していく。

 

「エボリューションドロップ!!」

 

 ヒロムは巨大化していく球体化した白銀の稲妻を両足で蹴り飛ばし、蹴り飛ばされた球体化した白銀の稲妻はアザナに迫っていく中でさらに大きくなり、建物の壁に叩きつけられたアザナに命中するとさらに巨大化して炸裂する。

 

 球体化した白銀の稲妻が炸裂、それにより発生する強い衝撃と白銀の稲妻本来の力が力を増しながらアザナに襲いかかり、アザナをお僧白銀の稲妻と衝撃は周囲の建物を巻き込むようにして敵を葬ろうとする。

 

 強すぎる力は敵諸共周囲のものを破壊していき、そして戦塵を巻き起こして全てを飲み込んでいく。

 

 戦塵が舞い上がったことによりアザナを倒せたかどうかはヒロム自身目視による確認は難しいと思われたが、ヒロムは敵が見えぬ中攻撃が止むのと戦塵が晴れるのを待つと同時に何かを感じると舌打ちしてしまう。

 

「今のを耐えるのか……」

 

 ヒロムが何かを感じ取っていると舞い上がった戦塵が何かにより強引にかき消され、周囲の建物が破壊されたその中心にアザナが姿を現す。

 

 鬼人となったその姿を保ってはいるが、再生が間に合っていないと思われるほどの負傷をしており、右腕に関しては肘部分まで消し飛んでいた。

 

「テメェ……さっさと殺されろよ」

 

「……その程度で死ぬほどオレは甘くない。

かなり魔力を消耗させられたがオマエのその言い方から察するに今のが最強の技らしいな。それを耐えた今、オレが殺される確率はかなり下がっ……」

 

「オレが終わらせる」

 

 アザナの言葉を遮るように誰かが声を発する。ヒロムの声ではなかった。では誰の声だ?そう思いながらアザナが声のした方に視線を向けるとその先には……満身創痍の体で立つ東雲ノアルがいた。

 

「今……オマエがオレを殺すと言ったのか?」

 

「その通りだ、東雲アザナ……オレの兄よ。

アンタはオレが終わらせる。血の繋がりのある兄弟であるこのオレが終わらせる」

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