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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
魔獣怪異編
23/1085

23話 荒れ狂う


 その頃……

 

 ガイやイクト、葉王の手助けでユリナとともにクリーチャーの包囲を抜けたヒロムは彼女を精霊・ラミアに抱き上げさせる形で連れながら危機が迫っているであろうノアルのもとへ向かっていた。

 だが、向かおうとするヒロムが焦るのとは裏腹に彼はノアルのもとへと思うように向かえずにいた。

 

「クソ……ノアルの気配を探りたいのに全然探れねぇ!!」

(クリーチャーが《魔人》の力で生み出されてるせいで多少なりともノアルの持つ《魔人》の力と同じ気を発してる可能性があるのは分かってる。だけどあの包囲網を作っていたあの数のクリーチャーのせいで正確にノアルの気配を探るのを邪魔してやがる!!)

 

「マスター、ノアルの気配はまだ掴めないの?」

 

「あと少し……あと少しで掴めそうなんだ!!」

 

「早く掴んで向かわないといつユリナに危険が迫るか分からないんだから。追っ手が現れてもおかしくないのだから頼むわよ」

 

「分かってる!!」

 

 精霊・ラミアに急かされるような言葉を告げられたヒロムは焦りを押し殺すように強く言うと集中して探ろうとするが、やはりなかなかノアルがどこにいるかの気配もそれに繋がる手掛かりも掴めない。

 

 そんな中……

 

 唸り声をあげるように闇とともにクリーチャーがヒロムたちの前に数体現れ、さらに退路を断つようにヒロムたちの背後にも闇とともにクリーチャーが数体現れる。

 

「クソが……!!

テメェら雑魚に付き合ってる暇はねぇんだよ!!」 

 

 行く手を阻もうとするクリーチャー、そのクリーチャーの出現にヒロムは苛立ちを感じるとともにそれを爆発させるように白銀の稲妻を強く纏うと強力な一撃を放って立ち塞がるクリーチャーを一瞬で一掃してみせる。だがそれでも次から次に現れるクリーチャー、そのクリーチャーの止まることの無い出現を前にしてヒロムはさらなる一撃を放ってクリーチャーの群れの一部を一蹴すると両手の白銀のブレスレットを光らせる。

 

「道を切り開く力となってくれ、アイリス!!テミス!!」

 

 ヒロムが叫ぶと右手のブレスレットから青い光と稲妻、左手のブレスレットから赤い光と稲妻が放たれる。放たれた青い光と稲妻は冷気を放ちながら人の形を得ると毛先のみ紫色になっている長い青い髪の少女となり、少女は方を露出するような服とスカートを身に纏って腰にローブを巻いてその手には青く光る槍を持っていた。

 

 赤い光と稲妻は焔となると少女へ変化していき、炎のような髪飾りをした長い銀髪の少女は真紅の以上に身を包むと炎のマフラーを首に巻き、そして両手に2つの銃剣を装備して構える。

 

「《天零》アイリス、お助けします」

「《天焔》テミス、殲滅行動を開始します」

 

 槍を構えし少女の精霊・アイリス、銃剣を構えし少女の精霊・テミス。2人の精霊は現れると同時にクリーチャーに向けて攻撃を放ってヒロムたちが進む道を作り、ヒロムとユリナを抱き上げるラミアはそこを駆け抜けていく。が、執念深いクリーチャーは突破しようとするヒロムをしつこく追いかけようと動く。そのクリーチャーの動く姿にテミスはクリーチャーを強く睨みながら紅蓮の炎を全身に纏うとそれを敵に向けて放出する。

 

「薄汚れた化け物がマスターに触れようとするな!!」

 

 放出された紅蓮の炎は荒々しく燃えながらヒロムたちを追いかけようとするクリーチャーを焼き消していく。彼女の怒りを体現するかのように激しく燃える炎、その炎を見てヒロムはどこか安心した表情を見せていた。

 

「さすが《憤怒》を司るテミス。こういう化け物退治はお手の物だな」

 

「ッ……!!マスター、上です!!」

 

 テミスの炎にヒロムが関心しているとラミアが彼に注意を促すように叫び、それに反応してヒロムが上を見ると上空から狼を思わせるようなクリーチャーが向かってきていたのだ。

 

 上空からのクリーチャーの接近に対してヒロムは意識をそちらに向けると落ち着いた様子で対処しようとしたが、ヒロムが対処しようとしたその時何かが上空から迫っているクリーチャーに接近してヒロムを守るように吹き飛ばしてしまう。

 

「!?」

 

 何が起きた?吹き飛ばされたクリーチャーではなくヒロムは何がクリーチャーを吹き飛ばしたのかを気にしているとクリーチャーを吹き飛ばしたであろうものがヒロムのそばに着地する。

 

「オマエは……!!」

 

 

 

 

 

******

 

 追い詰められたノアルは抵抗する力もなく闇を纏いしアザナの右手に体を貫かれていた。そしてノアルの体を貫くアザナの手は彼の体から闇を……《魔人》の力を少しずつ吸収していた。

 

「がっ……ああああああああぁぁぁ!!」

 

 体を貫かれ、そして力を少しずつ吸収されていることで激痛が生じているのかノアルは悲痛な叫びの声を上げてしまい、見ているしかできないガウは涙を流しながら鳴いていた。

 

「ガゥ!!ガゥ!!」

 

「フハハハハハ!!

哀れだな、精霊!!何も出来ずに鳴き叫ぶしか出来ないとはやはり下等な精霊として相応しい有様だ!!」

 

「ガゥ!!ガゥ〜!!」

 

「……そんなに熱烈に鳴くなよ精霊。

ノアルから完全に力を奪い取ればオマエは存在を維持できずに消える。万が一にも存在を維持して生き長らえたのなら……オマエの大好きなこの忌み子の力で始末してやる」

 

「ガゥ〜!!」

 

 ノアルを離せと言わんばかりに鳴き続けるガウ。そのガウの声を聞いてか避難していたはずのユキナとエレナが走って戻ってくる。

 

 戻ってきたユキナはガウを抱き上げ、そしてユキナはノアルを離せと言わんばかりにアザナに向けて言った。

 

「この子を悲しませて実の弟を苦しめるのがそんなに楽しいの?ノアルを苦しめるのが楽しいなんてアンタは人として終わってるわよ!!」

 

「人として終わってるも何も無い。オレは《魔人》、下等な人類や精霊などより高貴で強き力を与えられた選ばれた存在だ。ノアルはその選ばれた存在でありながら力を正しく使わなかった。だからオレは罰を与えているにすぎない」

 

「アンタとノアルは血の繋がった兄弟なんでしょ!!それなのに何で躊躇いなくそんなことが出来るのよ!!」

 

「勘違いするなよ女。元々コイツは捨てられ死ぬだけだった所をいいように利用された生物兵器となるはずだった。研究所を脱走したコイツに人としてなんていう無様でふざけた思想を植え付けたのはオマエらだ。血の繋がりなど関係ない。コイツは捨てられた時点で兵器となるべき運命にあった。オレはそんなコイツを運命に従って兵器利用するだけだ」

 

「イカれてるわよ、アンタ……!!」

 

「常人の理解の外にあるのがオレだ。女如きに理解されたくもない。それに、強気な口調も今のうちに出せるだけ出しておけ。コイツから力を完全に奪い取ったら……次はオマエらだ」

 

「……ッ」

 

「させねぇけど」

 

 ノアルから力を奪えばユキナたちを次に始末すると宣告したアザナが言葉に対して誰かがどこからか言うとアザナに向かって黒い雷を帯びた斬撃が飛んでくる。

 

 飛んできた斬撃がアザナの喉元を狙うように迫っていくとアザナは慌ててノアルの体から右手を引き抜くと斬撃を回避し、斬撃を避けたアザナは警戒してるのかノアルから離れるように後ろに飛ぶと斬撃が飛んできた方へ視線を向ける。

 

「何者だ……?」

 

「何者かってか?そんなの今のオマエに関係あるのか?」

 

 斬撃が飛んできた方へアザナが視線を向けると1人の少年が刀の切っ先を地に引きずらせて火花を散らせながら歩いて来る。手入れされていないらしく伸びきったままでボサボサの茶色の髪に赤い瞳、右の頬に黒い痣のようなものがある少年は道着のような衣装に身を包んでいた。

 

 いかにも怪しい少年の登場にアザナは闇を纏いながら警戒するような愛で少年を視界に捉え、アザナの視線を受ける少年はノアルのそばまで歩み寄ると引きずっていた刀を握り直して切っ先をアザナに向けると彼に告げた。

 

「……まぁ、とりあえずオマエはここで斬り殺すから覚悟しとけ」


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