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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
魔獣怪異編
21/1085

21話 危険な誘い


 突然のクリーチャーの包囲にヒロム、ガイ、イクトは非戦闘員のユリナを守るように構え、葉王もヒロムたちに手を貸すように構える。

 

 5人を包囲するクリーチャーの数は明らかにヒロムたちより多く、その数は数倍でまとめられるような数ではなかった。

 

 葉王のもたらした情報により狩屋敦也と名乗っていた男がノアルを狙っているとしてヒロムはすぐにでもその事をノアルに伝えたいのだが、包囲するクリーチャーの数が数だけになかなか簡単には事が運べそうになかった。下手に動けばユリナに危険が及ぶ、その事への躊躇いが少なからずあるせいで決死の決断を下すことも出来ずにいるとクリーチャーが徐々にヒロムたちに迫ろうとゆっくりと動き出す。

 

 クリーチャーが動き出してますますヒロムの中に焦りが生まれる中、葉王は首を鳴らすと右手をかざして衝撃波を生み出すとそれを用いてクリーチャーを数体吹き飛ばして人が通れそうな道を強引に生み出した。

 

「葉王……?」

 

「姫神ヒロムゥ、そのお嬢さん1人を連れながらでも何とか東雲ノアルのもとへ向かえるよなァ?」

 

「何を言って……」

 

「ここはオレと黒川イクトと雨月ガイで引き受けてやるゥ。ここに居るよりは東雲ノアルのもとへ向かう道中に同行させた方が安全だろうからなァ」

 

「だけどこの数を3人でなんて……」

 

 任せとけ、とガイはヒロムを安心させるように言うと蒼い炎と共に霊刀《折神》を出現させて手に持ち、イクトも自身の影に手を伸ばすと影の中から漆黒の大鎌ヘルゲイナーを飛び出させると柄を握って構える。

 

「葉王が手助けしてくれるならこの数くらい余裕だ」

 

「それに万一の場合姫さんのことを精霊に任せて単独で大将がノアルのとこに向かうって選択肢も取れるしね。選択肢の幅の広さならここでは大将が1番多い、だから大将が姫さんとここを突破してくれた方が助かるんだよ」

 

「オマエら……」

 

 

「いけヒロム」 

「ここはオレたちに任せろ」

 

「……任せるぞ。

ラミア、ユリナを頼む!!」

 

 ガイとイクトの言葉にヒロムは彼らにこの場を任せる意志を固めると精霊・ラミアを呼び出し、現れたラミアはユリナをお姫様抱っこのように抱き上げてヒロムとともに葉王が切り開いたクリーチャーの群れの中に出来た抜け道を駆け抜けようとする。

 

 だがクリーチャーはヒロムとユリナを抱き上げるラミアの行く手を阻むべく詰め寄ろうと動き出し、ガイとイクトはヒロムたちの行く手を阻もうとするクリーチャーを消し飛ばすべく斬撃を飛ばしてヒロムを援護し、ガイとイクトの飛ばした斬撃がクリーチャーを吹き飛ばしていく中をヒロムとラミアは駆け抜けクリーチャーの包囲網を突破するとさらに加速してノアルの元へと駆けて行く。

 

「さて葉王、久しぶりにオマエの力を見せてもらうぞ」

 

「偉そうに言いやがるなァ、雨月ガイィ。

オマエらはせいぜい足引ッ張らないように気をつけとけェ」

 

「安心しろ。そんなつもりは……最初からないからな!!」

 

 いくぞ、とガイが周囲のクリーチャーを倒すべく走り出すとイクトと葉王も走り出し、3人は自分たちを包囲するクリーチャーを倒そうと一撃を放っていく。

 

 

 

 

 

******

 

その頃……

 

 ノアルの兄を名乗る青年・東雲アザナの登場に困惑しているノアルはどうしていいか分からぬまま黙ってしまい、黙るノアルを前にして青年は彼に伝えた。

 

「戸惑うのは無理もない。母さんと父さんがオマエをどこかに捨ててからもう10年は経つ。長い間顔を合わせてないからオレのことが分からなくても仕方ないさ」

 

「いや……本当にアナタはオレの兄なのか?その……記憶が曖昧すぎるのに突然の事で兄がいたからすら分からなくなってしまって……」

 

「家族と離れ離れになってしまえば誰だってそうなるさ。だから不安にならなくていい。久しぶりに会うんだから肩の力を抜いて話をしよう」

 

「あ、ああ……」

 

「大丈夫、怖がらなくていい。オレたちなら姫神ヒロムも倒せるくらいに強くなれる。死んだ家族の分も強くならなきゃダメだからな」

 

 兄を名乗る青年の言葉に乗せられるようにノアルは緊張しながらも青年に歩み寄ろうと歩を進めようとした。そんなノアルに青年はさらに家族としての話を話していくのだが、ノアルはその言葉を聞いて足を止めてしまう。

 

 青年が口にした言葉の意味、そしてその真意を確かめようとノアルは彼に問う。

 

「……どうしてヒロムを倒さなきゃならないんだ?ヒロムがいたから今のオレがあるのに……どうしてヒロムを倒すために強くならなきゃならないんだ」

 

「ノアル、オマエの持っている《魔人》の力は唯一無二の力だ。その力があればオマエの望むものが何でも手に入る。地位も名声も女も……姫神ヒロムを倒せばオマエの仲間はオマエのことを認めてリーダーとして従ってくれるはずだ」

 

「違う、オレがやりたいことはそんなことじゃない」

 

「ちょっとアンタ、ノアルのお兄さんだか知らないけど久しぶりに会ったってわりには随分とふざけたことを吹き込むのね」

 

「……水色の髪のお嬢さんには申し訳ないが、今オレはノアルと話しているんだ。邪魔するなよ」

 

「邪魔したくなんてなかったけどアンタの言い方が我慢できなかったから口出ししてるのよ」

 

「ノアルに残された家族はオレだけだ。殺された母さんと父さんなんかよりも今いるオレと掴める未来の話を……」

 

「殺された……!?さっきアンタは母さんと父さんどころか死んだ家族はと言っていた……。オレの……母さんと父さんは今どこにいる!!」

 

 何かを悟ったノアルはユキナとエレナを守るように警戒しながら数歩下がる中で青年に強く問い、ノアルの言葉を受けた青年はため息をつくと首を鳴らし、青年が首を鳴らすと彼の足元から闇が溢れ出る。

 

 溢れ出る闇にユキナとエレナを巻き込まぬようにノアルは2人を下がらせようとすると闇が膨れ上がるとクリーチャーが次々と現れ、青年はその身に黒衣を纏うとノアルを睨む。

 

「……素直に従えば楽に死ねたのに、愚かなヤツだ」 

 

「何を……」

 

「……オマエを捨てたあの2人はいつかオレを捨てると思った。何度も何度もオマエと同じ力が宿っていないか検査させられ、嫌気がさすほどのストレスを抱えたある時、オレにも《魔人》の力が宿った。それに気づかれる前にオレは……オレとオマエを産み育てた親を殺した」

 

「なっ……」

 

「2人を殺した後オレの中の力はさらに強くなった。最近になって《魔人》の力の研究をする中でオレにはまだ強くなる方法があることを知ったんだよ。ノアル……オマエの持つ純粋種の力を寄越せ。オレがそれを取り込んで一体化すればオレは完全となって全てを破壊できる!!

憎き人間共を根絶やしにして《魔人》の世界を築き上げる!!力こそが絶対の世界の中でオレは支配者となる!!」

 

「ふざけるな……。

父さんや母さんがどこかで生きてると信じてたのに……アンタが現れて兄と名乗ってくれた時、やっと血の繋がりのある家族に出会えたと思ったのに……オマエはその家族を殺したのか!!」

 

「所詮人間は《魔人》の餌になる運命だ。そしてノアル、弟でオレよりも優れた力を宿しながら愚かな道を選んだオマエのことはオマエが探していた血の繋がりのあるオレが始末する。オマエを始末した後にその力を奪い、オレたち《世界王府》はこの国を絶望させる」

 

「そんなこと……絶対にさせない!!」

 

 青年の……東雲アザナの言葉にノアルは強く言い返すと両腕を《魔人》の力で黒く染めて爪を鋭くさせ、東雲アザナを倒そうとノアルは動き出す。

 

 ノアルが動き出すと迎え撃とうとクリーチャーも動きだし、そしてアザナは不敵な笑みを……

 

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