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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
戦絶震闘編
201/1085

201話 魔神となりし人


 十神アルトは変貌した。人に近しいその姿を前にしてヒロム、シンク、キッド、刀哉、そしてゼロは変貌を遂げた十神アルトが発する異質な力を前にして警戒して構える。

 

 ヒロムたちが構える中、十神アルトはヒロムを冷たい眼差しで見つめ、十神アルトの視線を受けたヒロムたちは頭の中で奇妙なことが起こる。

 

〘……想像を超える体験だ〙

 

「!?」

「頭の中に声が!?」

「まさかヤツが……」

 

〘驚くことは無い。オレはただ持つべき力を取り戻して転生を果たしただけ。そしてそのきっかけをテラーが与えたに過ぎないのだからな〙

 

「転生、だと……!?」


〘かつてオレはオマエやゼロ 、八神トウマ、そして《天獄》の能力者の力を利用して神の力を継承せし機械兵器である神機を操り全てを支配しようと目論み、それをオマエに阻まれた。神であるゼウスの力を持った神機を使ってもオマエに勝てなかったその理由……憎悪の中では見つけられなかったその理由を今理解した。姫神ヒロム、オマエが精霊と1つになって得たあの力がオレとオマエに力の差を生んだのだと。だからオレはこうして転生し、《魔人》の力を取り込むことでその力を神へと近づけることで再現して見せた〙

 

「オレたちの力をオマエのその不気味な力と一緒にするな……!!」

 

〘同じだ。オマエは人でありながら精霊という別の存在の領域に踏み込むことで異次元の力を得た。ならばオレも同じようにするためにかつてオレの中にあった神の力をリュクスたちの魔力で再現し、そこに《魔人》の力を加えた2つの力でオマエと同じように人でありながら別の存在の領域に踏み込むことに成功した。つまり……互いに人を超えようとしたことに変わりはない〙

 

「黙……」

「黙ってろヒロム」

 

 黙れ、ヒロムが十神アルトの言葉にそう反論しようとするとゼロが間に入って邪魔をする。そして邪魔をしたゼロは落ち着いた様子でヒロムに話していく。

 

「迂闊にヤツのペースに思考を踏み入れるな。

そうやってオマエは半年前に油断させられて命を落としかけてるのを忘れてるのか?」

 

「けど……」

「第一、あの手のタイプは盲信する癖があるんだからオマエと似たようなやり方をしてると錯覚してオマエと何かしらの因果があると思い込みたいだけだ。オマエとフレイたちの力の本質がアレとは全く違うことなんてオレたちがよく理解してるだろ?」

 

「……わかってるさ」

「なら切り替えろ。

今優先すべきことを頭で認識して行動に移せ。オマエがやるべきことはそれだけだ」

 

「ああ、わかって……」

 

 十神アルトの言葉により一時は心が乱れかけたヒロムはゼロの言葉で冷静さを取り戻し、今やるべきことをやるというゼロの言葉にヒロムが言葉を返そうとすると彼の目の前で誰も予期せぬ事が起きてしまう。

 

 ヒロムを諭すように話していたゼロ、そのゼロは……突然吐血すると勢いよく吹き飛ばされてフィールドの壁面へと叩きつけられていた。

 

 

「……は?」

 

 一瞬、一瞬の出来事だ。瞬きをしたかしてないかのレベルの一瞬でゼロが吹き飛ばされて負傷させられていた。

 

 ヒロムだけでなくシンクたちも突然のことに戸惑っていると十神アルトはヒロムの前に現れて彼に冷たく告げる。

 

〘力の本質が違う……ゼロの言い分は正しい。

今のオレの一撃で全てが確信に変わった。姫神ヒロム、今のオマエよりオレの方が強い〙

 

「……黙れ!!」

 

 頭の中に響く十神アルトの声に口答えするように叫ぶとヒロムは十神アルトを殴ろうとするが、十神アルトが目を見開くとヒロムは何かに襲われて吹き飛ばされてしまう。

 

 何が起きた?それも分からぬまま吹き飛ばされたヒロムは慌てて立ち上がろうとするが、立ち上がったヒロムは吹き飛ばされたはずなのに何故か十神アルトの前にいた。

 

「……は?」

〘理解できないだろう?

これがオレの力だ〙

 

「ヒロム!!」

「野郎、させるか!!」

「オレたちも加勢するぞ!!」

 

 十神アルトがヒロムに何かする、それを確信して阻止しようとシンク、キッド、刀哉はヒロムに加勢しようと動き出すが十神アルトが瞳を妖しく光らせると3人は球体状の奇妙な結界に囚われて身動きが取れなくなってしまう。

 

「結界!?」

「この……!!」

 

〘その結界は内部からは破壊出来ない。外部からオレが許可しないかぎりオマエたちは外に出ることすら出来ない〙

 

「コイツ、奇妙な術を……」

〘そこで見ていろ。オマエたちの信用しているこの男を何も出来ずに殺される瞬間を見せてやる〙

 

 3人を結界に閉じ込め動きを封じた十神アルトは彼らにヒロムが殺されるところを見せてやると告げると闇を纏いながらヒロムに手をかざし、十神アルトが手をかざすとヒロムの全身を至近距離から無数の光線が襲いかかって彼を負傷させる。

 

 光線を受けたダメージで負傷してしまうヒロムは攻撃の余波で吹き飛ばされそうになるが、十神アルトがかざした手を後ろに引くように動かすと吹き飛ばされそうになったヒロムの体は十神アルトの方へと引き寄せられる。

 

「!?」

〘オマエに自由は与えない〙

 

 十神アルトが両手を前に突き出すと烈風がヒロムを吹き飛ばし、ヒロムを吹き飛ばした烈風は刃となりヒロムを襲い、さらに炎や氷、雷、岩石がどこからともなく飛んできてヒロムに襲いかかって追い詰めていく。

 

 《ソウルギア》が発動している状態でも防げないのかヒロムは全て全身で受けてしまい、ヒロムがひどく負傷すると十神アルトは両手を勢いよく合掌させると天に魔法陣を出現させて幾つもの光線をヒロムに向けて降り注がせてさらに追い詰め、ヒロムが光線を防げすボロボロになると地を突き破るようにして蔦のようなものを出現させてヒロムを拘束する。

 

「この……」

〘まだ意識があるか。素晴らしい。

その発動させている力のおかげか?ならばそれを消してやろう!!〙

 

 十神アルトは合掌させる両手の間に隙間を生み出すとそこに闇と光を集め、集めた2つの力を融合させて強力な力を生み出すとビームにして放ってヒロムに直撃させ、ヒロムを拘束する蔦のようなものを消し去る形でヒロムを吹き飛ばして倒してしまう。

 

 吹き飛ばされたヒロムは勢いよく倒れてしまい、ヒロムは全身ボロボロになりながら吐血すると《ソウルギア》の力が解け始め、力が解けると力の発動の証とも言える両腕に浮かんでいた白い紋様が消える。

 

「くっ……」

 

 何とかして起き上がろうとするヒロム。するとヒロムは自分のそばにある存在がいることに気づいた。

 

 ヒロムが吹き飛ばされた場所、そこは先程ヒロムが倒したペインの亡骸がある場所だった。

 

「ペイン……」

〘そいつは……たしか別世界のオマエだったか?

哀れだよな?世界を壊しに来たとかなのに別の世界に来てそこにいる別の自分に殺されるなんて……笑えて仕方がない〙

 

「……黙れ……!!」

 

〘どうした?敵でしか無かった男に情が移ったのか?

そんな惨めに死んだやつに何を感じるのやら……〙

 

「黙れ……クソ野郎……!!

ペインは……コイツは自分に出来ることをやろうとして進み方を間違えただけだ!!オマエみたいな卑劣な悪党に笑われるようなやつじゃない……オマエみたいなクズよりも立派に生きようとした男だ!!」

 

〘神に等しいオレをクズだと……?

万死に値する!!〙

 

 ヒロムの言葉により十神アルトは激昴し、十神アルトが力を強く放出すると闇が炎や雷を放ちながらビームとなってヒロムに向けて放たれる。

 

 放たれた攻撃、それを前にして満身創痍のヒロムは避けることも防ぐことも出来そうになかった。

 

 ゼロやシンクたちも現状からして間に合いそうにない。

 

 終わった、ヒロムがそう心の中で感じたその時だった。

 

 亡骸となったペインの肉体が赤い光に変化してヒロムの前に現れると人の形を成しながら十神アルトの攻撃を防ぎ止め、人の形を成した赤い光は一瞬ペインの姿を重ねると光の粒子となってヒロムを包み込み、光の粒子に包まれたヒロムの体から十神アルトの攻撃により負った全ての傷が消える。

 

「ペイン……?」

『見せてみろよヒロム。オマエが信じる希望の力を……オレとユリナを闇から救ってくれた力を』

 

 傷が消えたことで痛みが無くなったヒロムが何が起きたか分からぬまま立ち上がるとペインの声が聞こえ、それを受けたヒロムは拳を強く握ると白銀の稲妻を強く纏いて《ソウルギア》の《ファーストライド》を発動させる。

 

「……見せてやるから見とけペイン!!

オマエが信じてくれているオレの力で絶望をぶち壊す!!だから……オマエの持つ力を託してくれ!!」

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