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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
魔獣怪異編
16/1085

16話 チルドレン


 突然ナギトとユリナの前に現れた少年たち。その中の1人である眼鏡をかけた黒髪の少年はナギトを冷たい眼差しで見ながら彼に言った。

 

「落ちぶれたな、ナギト。昔のオマエはまだ見てくれだけでも強さを感じられたのに……今ではその強さすら感じられない」

 

「飾りの強さとかならいらないんだけどね。相変わらずスクール

の教えに忠実に従ってるみたいだね御剣」

 

「その余裕、それだけは変わらないようだな元ランキング54位」

 

「……元ってつけるくらいならその中途半端な数字で呼ばないでくれない?正直言って迷惑だから」

 

 仕方ないですよ、とナギトとユリナの後ろから右目が隠れるような髪型の青髪の少年たちナギトに向けてどこか冷たく言葉を発していく。

 

「スクール内には15歳から18歳での総数400人近い能力者が集まり、普通の高校と同じように授業を受けながら能力者としての実力を高めるために実戦形式の訓練や指導を受ける。その中でボクたちは決闘(デュエル)を行なってランキングが上の者に挑んで勝ってその数字を奪い合っている。キミはその54位という数字の段階で上に行くことを諦め逃げた臆病者、御剣くんに何を言われても文句は言えない立場にあるんですよ」

 

「……その言い方、人をバカにするような言い方は相変わらずみたいだね二子川」

 

「相変わらずと言われるような間柄じゃないでしょ、キミとボク

は。それにあまり懐かしんでる暇はないですよ」

 

「どういう意味?」

 

「……御剣くん、彼に教えてあげてください」

 

「あぁ。ナギト、オマエを粛清するように命令が下された。今日オレたちが来たのはそのためだ」

 

 眼鏡をかけた黒髪の少年・御剣剣正が口にした言葉を耳にしたナギトの顔は真剣なものとなり、言葉の意味がある程度分かるユリナはここから逃げたくなるほどの恐怖のような感覚を抱いていた。

 

 そのユリナが恐怖のような感じていると察知した青髪の少年・二子川梨斗は御剣にそれを伝えるかのように……いや、彼女を利用するかのような言葉を御剣に伝える。

 

「御剣くん、彼女を狙えば風乃ナギトは手出し出来ないはずです」

 

「……了解だ」

 

「え……?」

「御剣、彼女は民間人で無関係だ。狙うならオレだけにしろ」

 

「却下だ。オマエを効率よく始末する、そのためにその女は道具として役に立ってもらう」

 

「……ッ!!姫野さん、逃げて!!」

「う、うん!!」

 

 二子川の言葉とそれを受けて実行しようとする御剣にユリナが恐怖を隠せなくなっていると彼女を守ろうとナギトは逃げるように強く言い、逃げるように言われたユリナは慌てて走って逃げようとした。

 

 前には御剣と他の少年、後ろには二子川ともう1人の少年がいるため逃げるには前後ではなく横と選択が限られていた。ユリナが右へと走り始めると御剣とともに数人が同時に動き出してユリナを狙うように迫っていき、彼らが迷うことなくユリナを狙おうとするのをナギトは止めるべく素早く移動して割り込むと御剣を攻撃しようとした。

 

 だが御剣はナギトが攻撃しようとすると数歩後ろに下がる形で距離を開け、ナギトが攻撃を放つと同時に二子川は自身のそばにいる少年とともにユリナに向けて走り出す。

 

「誘導された……!?」

 

「バカナギトめ、どこを見ている」

 

 二子川の動き、御剣を止めるよう自身を動かして誘導したとナギトが感じながら視線が一瞬二子川の方に向けていると御剣はその一瞬に付け入るように蹴りを放ち、放たれた蹴りはナギトの腹に直撃する。

 

「……!?」

 

「オマエに言われなくてもあの女に手を出すつもりはない。ただし、オマエが抵抗しなければの話だけどな」

 

「この……卑怯者……」

 

「卑怯者?スクールでは勝つためなら手段を選ばないのがセオリーだろ。それに元54位は黙ってろ。今のオレは過去のオマエを超えてランキング41位の実力者だ」

 

 御剣は足に魔力を纏わせるとナギトを連続で蹴り、連続で蹴りを受けたナギトが怯んでいると二子川と彼と動いた少年はユリナの方に向かうのをやめるとナギトの方へと進路を変え、進路を変えると二子川はどこからともなく水を発生させるとそれを高圧の弾丸にしてナギトにぶつけていく。

 

「!!」

 

「ちなみにボクはランキング37位。ここに集まっている他の彼らもキミが諦めた時のランキングの数字より上に達した実力者だからキミに勝ち目はない」

 

「この……」

 

「もっともキミがボクたちに勝つのは不可能なことです。ボクはキミのことを調べ、弱点も把握している。キミの得手とする敏捷性と反応速を封じて弱点を狙い続ければキミは手だし出来なくなるのは当然のこと。御剣くんのパワーとも相性の悪いキミに勝ち目はありません」

 

「まぁ、仮にこの状況を抜けれたとしても54位までの力しか無かったオマエじゃ勝てないがな」

 

 二子川と御剣はナギトに冷たく言葉を発するとさらなる攻撃を放って彼を追いつめ、さらに他の少年たちは武器を持ってエネルギーのようなものを纏わせると強力な一撃を放ってナギトを負傷させる。

 

 全身ボロボロで血を流し、倒れまいとフラつきながらも立っているナギト。そのナギトの姿が見ていられないユリナは御剣たちに向けて叫んだ。

 

「やめて!!こんなのひどすぎる!!

風乃くんをそんな風にするなんて……アナタたちはそれで楽しいんですか!!」

 

「……スクールにはいないタイプの女だな、二子川。どうする?」

 

「どうもこうもありませんよ。スクールの能力者は強い、それを保持するために臆病者は排除しなければならない。それを邪魔するのならスクールの能力者が強いということを教えなければなりませんよ」

 

「民間人を潰せってことか。まぁ……躊躇う理由はないな」

 

 二子川の言葉を受けた御剣は首を鳴らすと足に強くエネルギーのようなものを纏わせ、まるでサッカーボールでも蹴るかのような動きで何も無いところに蹴りを放つと御剣の足が纏っていたエネルギーのようなものが勢いよくユリナに向けて飛ばされる。

 

 飛んでくる御剣の攻撃を前にしてユリナは逃げようにも体が動かずどうしていいか分からぬまま立っていたが、ボロボロに負傷しているナギトはそんな彼女の前に出せるだけの力を出して一瞬で彼女の前に移動すると御剣の攻撃からユリナを身を呈して守る。

 

「……ッ」

 

「風乃くん!!」

 

 御剣の攻撃を無防備に受けたナギトは立つ力が無くなったのか膝をついてしまい、膝をつくナギトを見ながら二子川は彼にある話をした。

 

「思えばキミはスクールを去る数日前に指導員にこんな質問をしていましたよね。姫神ヒロムはなぜ強いのか、と。何故そこを気にしているのかは知りませんがスクールに通ってる時点でボクたちは姫神ヒロムに匹敵する力を持っているんですよ。選ばれた指導員に育てられたボクたちと指導されてすらいない姫神ヒロムでは実力に天と地の差があるのですから」

 

「……違う……。アイツは……天才(姫神ヒロム)はオマエらとは違う……」

 

「……そうですか、そこまで愚かになっていたとは呆れました。

どうせ倒されるなら楽に倒されたいでしょうから……抵抗せずに御剣くんに殺されてください」

 

「そういう事だナギト。じゃあな……オマエみたいな愚かなヤツが二度と現れないようにオレはこのことを頭に刻んどいてやる」

 

 満身創痍のナギトにトドメをさそうと御剣はさらなる一撃を放とうと足にエネルギーのようなものを纏わせると蹴りを放つようにして飛ばし、飛ばされた一撃は迷うことなくナギトへ向かって飛んでいく……が

 

 突然天高くから何かが飛来してきてナギトの前へと急降下してくると共に御剣の一撃が弾き消されてしまう。


「!?」

 

「何が起きて……」

 

 突然現れた何か、その正体を御剣と二子川、ナギトが理解するのに時間はかからなかった。

 

 現れた何か……姫神ヒロムは全身から強い殺気を放ちながら立っており、ヒロムは御剣や二子川たちを睨みながらさらに殺気を放つ。

 

「……人の女に手ぇ出してんじゃねぇぞ、雑魚が」

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