表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
戦絶震闘編
158/1085

158話 天霊の能力者


 今だ不動のトウマの相手をしようと現れた三雲迅に対してトウマは不動の意志を解いたのか動こうとし、トウマが動くのを見ると三雲迅は何故か嬉しそうにその場で軽快なステップを踏み始める。

 

「嬉しいよ、当主さん。

正直な話オレなんか相手にされないと思ってたからやる気になってくれて嬉しいよ」

 

「たしかキミは賞金稼ぎのルーキーくんだったね。変なことを聞くけどどうして賞金稼ぎになったんだい?」

 

「決まってんじゃん。強くなるためだよ」

「強く?」

 

「この世界は弱肉強食、半年前の事件でオレはそれを理解した」

「《十家騒乱事件》のことかな? 」

 

「そうだよ。オレの父さんと母さんは《五樹》って家に支えられて会社を運営してた。でもあの事件で《十家》は解体され権力に溺れたとして《五樹》の当主は解雇されその家も破綻……続くようにオレの父さんと母さんの会社も倒産させられ地の底に追いやられた」

 

「キミは十神アルトの被害者なんだね」

「アンタが偉そうに言うなよ。半年前まで十神アルトのあやつり人形として利用されていたくせに罪を逃れて当主を続けてるアンタが偉そうに哀れむなよ。どうせ力のある姫神ヒロムに助けられたんだろ?だから許せないんだよ……アンタらみたいな力のあるヤツは!!」

 

 三雲迅は内に秘めていた思いを吐露すると魔力を纏いながら走り出し、トウマへと接近すると手に持つ剣でトウマを斬ろうとする。

 

「だからオレは賞金稼ぎになって強くなってアンタらを超える強さで全てを覆すと決めた!!何も知らずに生きているアンタや与えられた地位でのうのうと生きている姫神ヒロムをひれ伏すために!!」

 

 トウマへと不満を吐露した三雲迅はトウマの首を斬ろうと剣を振って襲いかかる……が、三雲迅の剣はトウマの首を斬ろうとしたその瞬間に何かに止められてしまう。

 

「!?」

「たしかにキミの言う通りボクは十神アルトに傀儡にされていた罪人だ。そしてそんなボクがこうして当主として世のため働けるのも兄さんのおかげだ。だけど……キミの言い分に反論するなら何も知らないってところだけら間違っている!!」

 

 トウマが三雲迅を強く睨むと彼は何かに吹き飛ばされてしまい、吹き飛ばされた三雲迅は何が起きたか分からぬまま立ち上がり構えると再びトウマへと迫って剣を振るがこれも何かに止められてしまう。

 

「また……!?」

 

「何も知らないと思うなら教えてくれ。当たり前に過ごせる人生を大人に奪われた子どもの苦しみをキミは理解できるのか?当たり前のように家族と過ごせる時間を奪われた子どもから消えた笑顔を今も見れないことの辛さがキミは理解できるのか?大切な存在を守りたいがために危険に命を晒す人間の覚悟をキミは理解できるのか?テロリストから街を守ったのに糾弾され非難される英雄の孤独をキミは理解したことがあるのか?そんな孤独にありながらも日本を蝕んでいたテロリストの仕込んだシステムに立ち向かい国を救おうと傷つき続けた1人の王の姿を否定できるような生き方をキミはしてきたのか?」

 

「何を……」

「答えてみろ三雲迅!!何も知らないとキミの言う姫神ヒロムとおう人間は幼い日から何もかもを奪われながらも抗い強く生きてきた人間だ!!その人間を非難するのならばそれだけの覚悟を示せ!!それが出来ないのなら……覚悟がないのならば今すぐ武器を捨てて去れ!!」

 

 不動を貫いていた落ち着いたトウマから一転して力強い言葉で三雲迅を圧倒するトウマ。ただ言葉をぶつけられているだけだと言うのに三雲迅は気圧されてしまい、覚悟を示せと言われた彼は剣を強く握ると全身に魔力を纏いながらトウマを睨み、そして全てを否定するように叫んだ。

 

「うるさい!!傀儡にされてただけのアンタが偉そうに説教するな!!」

 

 だからだよ、とトウマは三雲迅へと風が吹き抜けるかのように静かに接近すると掌底を叩き込んで彼を怯ませ、三雲迅が怯むと回し蹴りを放って彼の顔を蹴る。

 

「!?」

「傀儡にされて無意識に多くを傷つけたからこそ強く生きて償いを行うしか道がない。それが茨であろうと地獄であろうとオレは兄さんに救われたこの命とこの手で償えるだけの詰みを償い生きると決めた。キミに否定されても構わないが……キミに兄さんを非難されるのだけは許せない」

 

「……黙れ!!」

 

 三雲迅は風を纏うと残像を残しながらトウマの周囲を駆け回り、残像をいくつも残しながらトウマを翻弄しつつ手に持つ剣に力を溜めると彼を仕留めようと徐々に迫っていく。

 

「そんな綺麗事でオレの父さんと母さんは助からない!!オレの家族が受けた苦しみをアンタが理解なんて出来るわけないだろ!!」

 

「……そうかもしれない。でも、兄さんも同じだ。

目の前で家族が……自分のことを必死に守ろうとした父さんが消滅するのを見ていることしか出来なかった兄さんの苦しさは誰にも理解出来ない!!」

 

「ふざけたことを言って……」

「だからこれ以上は兄さんを悲しませない」

 

 三雲迅の言葉を遮るようにトウマが言うと彼の背中に青い光のエネルギー状の羽根を持つ右翼が現れ、青い光の右翼が現れると三雲迅が纏う風と剣に集められた力が消されてしまう。

 

「なっ……オレの……」

「何も知らないと言い続けるキミに教えておこう。ボクの能力は《天霊》、今の時点で日本でボクしか持っていない光の力。その力はボクの認識した悪意や敵意のある攻撃・能力や魔力を無力化して消すことだ」

 

「無効化の力……!?

そんな力があるわけ……」

 

「あるんだよ、実際にね。

そしてボクは十神アルトにそれを利用するために傀儡にされてた。けど兄さんはそんなボクを倒して目を覚まさせてくれた。どんなに非難されても自分を貫いて……どんなに後ろ指を指されようとも必死になってくれた。それに答えるために戦う今のボクの力をキミが越えられると思うのか?」

 

「ふ、ふざけんなよ……オレは……」

 

「残念だよ三雲迅くん。キミは他の能力者と異なり信念で動いてると思ったのに……」

 

 トウマは光の翼を広げると飛翔し、飛翔したトウマは加速しながら天を翔けると両手に光の剣を構えながら急降下して三雲迅へと迫っていく。

 

「とても残念だ。キミも力に心を奪われた人間だったなんて」

 

「……八神トウマァァァ!!」

 

 迫り来るトウマを倒そうと三雲迅は剣を振り上げてトウマが接近すると同時に斬ろうと企むが、トウマは全身を光で包みながら加速して三雲迅へと一気に迫ると光の剣で彼の武器を破壊して彼に一撃を食らわせる。

 

「がっ……」

 

「……あまりオレをナメるなよ。

オレだってやる時は本気なんだからな」

 

「これが……当主の……」

 

 トウマの一撃を受けた三雲迅は倒れてしまい、三雲迅が倒れるとトウマは光の剣と光の翼を消す。

 

「いつか……分かり合える時が来るとボクは信じてるよ三雲迅くん。家族のために戦えるキミが立ち直り前を進むのをボクは信じてるよ」

 

 倒れた三雲迅がこれから立ち直りやり直すと信じるトウマは戦いを続けるゼロとシンクの方に目を向ける。そして、トウマは彼らの勝利を信じて見守るように立っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ