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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
戦絶震闘編
156/1085

156話 ムーヴメント・ゼロ


 開始早々誰よりも先に走り出したゼロ。そのゼロの動きを受けた東条竜樹は《フラグメントスクール》の生徒たちに指示を出していく。

 

「事前の打ち合わせ通りにA班とB班は相手の動きに対応、C班とD班は遠距離支援、E班は火蔵の指示で動くように」

 

 大雑把に聞こえてどこか的確な指示を出すと東条竜樹はゼロを迎え撃とうと走り出し、東条竜樹が向かってくるのを確認するとゼロは右方向に進路を変えるように体を傾けて足を踏み込もうとする。

 

「この動き……」

(こちらが戦力を分担して対処するのを見越して《フラグメントスクール》の生徒たちを先に潰すつもりだな。オレが来るのを想定した上で真っ先に来たのはそのため……ならば!!)


「先に行かすことはできんな」

 

 ゼロの動きに反応するように東条竜樹はゼロが体を傾け足を踏み込もうとする方へと体を重心ごと移動させる形で遮り、彼の進路を塞いだ上で攻撃を仕掛けようとした。だが、東条竜樹が前に立ち重心ごと移動させたのを確認するとゼロはすかさず左へと切り返すように動いて東条竜樹を躱して敵陣に乗り込もうとする。

 

「速い!!」

(なんというステップの軽さ!!あえてこちらが重心ごと体を動かすのを待った上で切り返して攻め込むとは……情報が無いが故に驚きは倍増だな。しかも躊躇いがない点が厄介!!)

 

「だが切り返してすぐには防御は取れまい!!」


 自身を突破したゼロの動きを分析する東条竜樹は今のゼロは防御できないと考えて魔力による攻撃を放って彼を仕留めようとするが、東条竜樹が魔力を放とうとすると東条竜樹とゼロとの間を遮るように氷の壁が現れて魔力による攻撃を妨げる。

 

「氷!?」 

 

「オレたちもいるんだがな」

 

 声のした方に東条竜樹が目を向けるとその先にはシンクがおり、シンクは体に冷気を纏いながらゆっくりと歩を進めていた。

 

「氷堂シンク……《センチネル・ガーディアン》の1人が相手ならば不足無し!!」

「オレにとっては不足だらけだ」


 東条竜樹の意識がシンクに向く中でゼロは闇を纏いながら東条竜樹の背後に現れて蹴りを放ち、ゼロの蹴りを受けた東条竜樹は勢いよく蹴り飛ばされてしまう。

 

「何!?」

(正面突破を狙ったのではなくオレの意識が別に向くように仕向けたのか!?)

 

「ゼロ、横取りか?」

「うるせぇよ。オレは暴れられるなら誰であろうと潰すだけだ」

 

「……加えて仲間意識は皆無か!!」

 

 蹴り飛ばされた東条竜樹は受け身を取って構えると両手に魔力を纏わせるとゼロとシンクに向けて魔力による砲撃を行うが、シンクは氷の壁を作って防ぎゼロはそれを素手で握り潰してしまう。

 

「……仕方ない。どちらがあの男を仕留めるか勝負といこうか」

「勝手に盛り上がんなよ」

 

 シンクがゼロと東条竜樹を取り合おうとする中で突然炎がシンクに襲いかかろうと迫り、迫り来る炎を前にしてシンクは冷気を強く放出させることで自身への直撃を食い止めて消してしまう。

 

 シンクが炎を消すと彼のもとへと和装の男が炎を纏いながら迫り、迫り来る男を確認したシンクはため息をつくと迎撃しようと動き出す。

 

「火蔵紅人……面倒な野郎に目をつけられたな」

「よぉ、氷堂シンク。

最強の盾とか名乗ってるらしいが氷程度でオレの炎を防げると思うなよ?」

 

「……誰かが勝手に言ってるだけだ。それに、オマエの炎じゃオレは燃やせない」

「言ってろ!!」

 

 和装の男・火蔵紅人が迫るとシンクは彼の相手をするかのように冷気を纏いながら走り出し、シンクが走り出すと火蔵紅人はシンクを倒そうと炎を纏いながら襲いかかる。

 

 シンクが標的にされそれを迎え撃とうとする、それによってゼロは東条竜樹の取り合いが無くなったとしてひとまずは東条竜樹を倒すべく彼に迫ろうとするが物事はそう上手くいかない。

 

「どこ見とんねん」

 

 ゼロが東条竜樹に迫ろうとすると1人の少年が小刀を構えて接近してくるとともに一撃をゼロに放って彼を仕留めようとする。だがゼロはそれを難無く避けてしまうと少年を蹴り飛ばすが蹴り飛ばされた少年は上手く受け身を取ると小刀を構え直す。

 

「オマエは……鳥宮飛人とかいうヤツか?」

 

「なんや、初対面やのにもう知っとんのか?」

 

「初対面でも色々あんだよ」

(つうかヒロムの記憶の一部を覗き見てるから知ってるって話だ。オマエのことも……オマエと一緒にヒロムに挑もうとした高宮純也のこともな)

 

 小刀を構える少年・鳥宮飛人を前にしてゼロは彼と同時にもう1人の存在も認識してることを頭で語りながら後ろにも注意を向ける。ゼロの背後を陣取るようにそこには1人の少年が……高宮純也が拳に魔力を纏わせて構えていた。

 

 鳥宮飛人と高宮純也、2人はヒロムが《フラグメントスクール》の生徒に中国と宣戦布告しに向かった際に彼と対峙した能力者だ。ヒロムに手も足も出ずに終わった彼らを認知しているゼロは2人が自分を仕留めようとしていると理解すると首を鳴らす。

 

「……揃いも揃ってやる気満々ってか。

余程自分の力に自信があるって事なんだろうが……オマエらじゃムリだから諦めろ」

 

「諦めろ言われて諦めるわけないやろタコ」

「オマエを潰してこの戦いを終わらせる。オレたちがやるべきことはそれだけだからな」

 

「終わらせる?オマエらがオレを?」


「せやかそう言うてるやろが!!」 

「その余裕……今にへし折ってやる!!」

 

 ゼロを倒そうとやる気を見せる鳥宮と高宮が走り出し、さらにそれに続くように《フラグメントスクール》の4人の生徒がゼロに向けて武器を構えながら走り始める。

 

 敵は本気、ゼロはそれを理解してはいるものの何故か彼らの動きを前にしてため息をつくと鬱陶しそうに首を鳴らす。

 

「オマエらが本気なのはよく分かった。けどな……温いんだよ」

 

 ゼロは闇を纏いながら1歩踏み出すと姿を消し、ゼロが姿を消すとゼロを倒そうと走り始めた4人の生徒が闇を纏いし衝撃波に襲われて吹き飛ばされてしまう。

 

 4人の生徒が呆気なく倒されると鳥宮と高宮は思わず足を止めてしまい、2人が足を止めるとゼロは鳥宮の背後に闇と共に現れて彼の首を後ろから掴む。

 

「っ!?」

 

「笑わせんなよ……オマエらがオレを倒そうなんて天変地異が起きないかぎり不可能なんだよ。パワーもメンタルもアジリティもスタミナも多少訓練された程度のレベルのオマエらが頑張ったら勝てるとでも思ったか?オマエらに勝ち目なんて初めからないんだよ」

 

「鳥宮!!」

 

 動くな、とゼロは鳥宮を助けようと考える高宮を冷たく睨みながら殺意とともに言葉を放つと彼の動きを封じ、高宮が動けなくなるとゼロは続けて鳥宮と高宮に向けて現実を突きつけるように語っていく。

 

「風乃ナギトに出来たなら自分たちもそれなりの強さを実現して互角に戦えるレベルになれると思ったか?悪いがオマエらとアイツじゃ才能から何からしてレベルが違う。風乃ナギトは持つべきして与えられた素質をオマエらと離別して自分の道を選んだから手に入れられただけ。オマエらは何も考えずに上に言われるがまま訓練を重ねただけで自分の強さを示すための場を用意されたガキだ。自分の道も見つけられないような半端者のオマエらがアイツに勝てるわけもない」

 

「この……離せやボケ……」

 

「あ?あぁ……離してやるよ。

その代わり、オマエはここでゲームオーバーだ」

 

 鳥宮に言われるがままにゼロは鳥宮の首を掴む手の力を弛めて彼を離すが、鳥宮を離すと同時にゼロは闇を拳に強く纏わせて鳥宮を殴り飛ばしてしまう。殴り飛ばされた鳥宮は壁面に激突して倒れ、鳥宮を倒したゼロは高宮の方を見ながら歩き始めると彼に告げた。

 

「これが現実……オマエらはクソみたいな政治家に利用されて惨めに倒されるだけの雑魚。自分の人生(エピソード)をここで捨てに来ただけの無能で終わるんだよ……オレの手でな!!」

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