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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
守護武闘編
134/1085

134話 ライバル


 ヒロムがシオンに続いてノアルを倒したその頃……

 

 ソラとイクトの戦いは激しさを増していた。

 

「はぁぁぁあ!!」

 

 《炎魔》の力を両腕の武装として変化させた《イフリート・ナックル》に紅蓮の炎を纏わせて猛攻を放つソラに対してイクトは自身の影を操作することにより拳をガードさせた状態で応戦しているが、ソラの紅蓮の炎の火力がイクトの対応出来る許容範囲をオーバーしているのかイクトは徐々に押され始め、気がつけばイクトはソラの炎の熱で顔などに軽い火傷を負っていた。

 

「さすがに本気のソラの炎は熱いな……」

 

「その余裕、相変わらず減らないな」

 

「戦いには余裕が無いとダメだろ?

心に余裕が無いと能力も制御できなくなって自滅するだけだ」

 

「ゆとりって意味で言うなら結構だが、オレの言ってるオマエの余裕ってのは他人を見下してるようなその調子のいい減らず口の事だ!!」

 

 ソラは紅蓮の炎を纏わせた拳を地面に叩きつけると地面に叩きつけた際に生じる力の衝撃とともに熱波を放ち、放たれた衝撃と熱波はイクトに襲いかかると彼を吹き飛ばしてしまう。

 

「うわっ!!」

 

 吹き飛ばされたイクトは地を何度も転がるように倒れ、倒れたイクトは慌てて起き上がると自身の影を大きくさせながら隆起させると無数の影の拳を出現させてソラに向けて飛ばす。

 

「影殺千手撃!!」

 

 無数の影の拳が放たれソラへと向かっていくが、影の拳が迫り来るとソラは紅蓮の炎を体から強く放出して影の拳の動きを止めるとそのまま焼き消してしまう。

 

 影の拳を焼き消したソラは紅蓮の炎を手に纏わせるとその手をイクトに向けてかざして炎をビームのようにして放ち、イクトはビームのように放たれた炎を防ごうと影を隆起させて壁にするも一部しか防ぎ止められずに残りの炎によって吹き飛ばされて左肩をひどく負傷してしまう。

 

 負傷した左肩の痛みに顔を歪めるイクト。そのイクトに対してソラは舌打ちをすると彼に問い詰める。

 

「オマエ、何で《ヘルゲイナー》を使わない?

オマエのその付け焼き刃の影による《炎魔》の炎対策は誰が見てもその場しのぎの時間稼ぎにもならないようなものだ。それなのにオマエは体の至る所に熱でダメージを受けながらもそれをやめずに続けている。炎対策に加えて《影》の吸収能力があるにしてもオマエの体が限界に近いならそれを続けても無意味だ。たとえ魔力を吸収して力に変換してもオマエ自身の体が疲弊し負傷したのなら吸収して得た魔力は宝の持ち腐れ、つまりは無駄足になるんだぞ。それなのに何故頑なに《ヘルゲイナー》を使おうとしない?神器たる《ヘルゲイナー》ならこの紅蓮の炎を引き裂くのは容易なはず、なのに何でそれをやらない?」

 

「……そりゃ必要ないからだよ。あくまでオレの役目を果たすためには《ヘルゲイナー》よりもこの影の炎対策……名付けて《拳影装護》がベストアンサーだからこうして使い続けてるのさ」

 

「ベストアンサー?ヒロムがシオンとノアルの相手をするのにオレを引き付けておく囮としての役目のことを言ってるのか?それとも……オマエは今のはヒロムの援護をするために何かしてるとでも言うのか?」


「どっちなんだろうね……。でも1つ言えるのはこの対戦はソラの負けで終わるってことだ」

 

「あ?」

「たしかにオレは葉王の評価でもソラより低いし、《天獄》全体で見ればおそらくシオンより弱いし下手すりゃノアルより弱い。だけど、それでもそれを覆すだけの要素は兼ね備えてるつもりだよ」

 

「そうかよ。なら……オマエの言う兼ね備えてるってもんを見せてもらう!!」

 

 イクトの言葉が何を指すのか、それを確かめるかのようにソラは紅蓮の炎を強く放出させると巨大な炎の玉を作り上げてイクトに向けて飛ばす。飛ばされた巨大な炎の玉は周囲を燃やしながらイクトに迫っていき、迫り来る炎の玉を何とかしようとイクトは影の壁を何重にも展開する……が、炎の玉を消すことも止めることも出来ず、影の壁はイクトに迫ろうとする炎の玉の進行速度を遅くさせる程度で終わってしまう。

 

「オマエの言うオレたちの強さを覆すだけの要素とやらはその程度か!!それがオマエの言う兼ね備えてるものなのか!!」

 

「ソラ、悪い報せだよ。

ガイたちのさっきの対戦を見て、ソラたちは一時は柔軟な思考と発想力が必要だと気づいたと思ってた。でも、今のソラの視野はガイと同じで狭くなってる」

 

「視野だと?」

「ソラ……オマエが最初に倒そうとしてたのはオレじゃないだろ?」

 

 何かを伝えようとするイクトの言葉、それを受けて何かに気づいたソラがその何かを警戒して動こうとすると彼の放った炎の玉の前にイクトを守るかのようにヒロムが白銀の稲妻を纏いながら現れ、現れたヒロムは瞳を青く光らせて右手で炎の玉を受け止めるとそのまま右手に炎を取り込んでいく。

 

 取り込まれる炎、その炎に体を焼かれることなくヒロムは炎の玉を形成する力を取り込み、炎を取り込んだヒロムの体から白銀の稲妻がこれまでに無いほどに強く放出されていく。

 

「なっ……アイリスの《熱吸収》か!!」

 

「ふ〜……オマエのおかげで魔力がある程度回復した」

「礼はいいよ大将。

ソラが大将が《セレクトライズ》でアイリスの《熱吸収》の要素を借り受けるのを警戒してるのは予想出来てたからあえてヘイト溜めさせて油断さそう予定だったから」


「あの一瞬でその判断ができるとは余裕があったのは本当らしいな。そのおかげで助かったから感謝しとく」

 

「馬鹿な……」

(イクトの味方としての加勢はヒロムにとって想定外のはずだ。ましてシオンとノアルの相手をしていたヒロムが《ユナイト・クロス》を発動させた状態でここに介入するかすら怪しい状況だったのにコイツは……イクトはオレが大技を放つタイミングでヒロムが現れて《熱吸収》で魔力を回復させることを想定して陽動してたってのか!?)

 

「どうしてだイクト……!!

どうしてヒロムがタイミングよく現れると考えれた!!」

 

「簡単な話だよソラ。大将はこの戦いに限らず必ず勝つ方法を選択する男だ。大将を倒す方に意識を向けているソラたちに対して大将は勝つために何が必要かを常に思考してる。あの手この手を封じる方法で挑もうとしたソラたちの考えはスゴいけど、大将はそれを踏まえた上で柔軟に思考して勝つためのルートを探っていた。だからオレは大将がここに現れて《熱吸収》を使うであろう1つのゴールを見据えて動いてたのさ」

 

「なっ……」

(つまりイクトは最初からオレを倒すつもりで動いていなかったってことかよ。最初からヒロムがシオンとノアルを倒すと信じてオレの意識からヒロムに外れるタイミングを作り出すためだけに……イクトはヒロムがオレに勝つために何をするかだけを考えて動いてやがったのか!!)

 

「んでだよ……何でそんな風に思考できた!!

1歩間違えればオマエは倒されてたんだぞ!!」

 

「だからこそだよソラ。ソラはオレが自分より弱いと見立てて動く、だからこそオレは倒されないように粘る選択をして大将のために動いたのさ」

 

「……ッ!!」

(どうしてだ……どうしてイクトはそこまでの選択を……)

 

 御託はいい、とヒロムはイクトとソラの話を終わらせるように言うと白銀の稲妻を纏いながらソラを挑発するかのように右手で誘うようなアクションをして告げた。

 

「決着つけようぜソラ。

どっちが強いか……出会った頃から何の遠慮もなく語り合える(ライバル)としてここで白黒つけようぜ」

 

「……そうだな。

イクトの介入云々は関係ない。オマエが初めから勝つつもりでやってたんならオレもそうするだけのこと。……オマエをここで倒してオレが勝つ!!」

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