表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
守護武闘編
125/1085

125話 欲望の太刀


 別室のモニタールーム。

ヒロムと次に対戦するソラ、シオン、ノアルの姿はそこにはなかったが、イクトやユリナたち女性陣、さらには飛天やキャロ、ガウたち精霊はそこでヒロムとガイたちの戦いをモニター越しに見ていた。

 

「風乃くんが……」

 

「ヒロムってばナギトに容赦ないわね」

 

 ナギトが倒される瞬間を見たユリナが言葉を失い、加減をしないヒロムにアキナが少し引いているとイクトは彼女たちにこの戦いについて……この戦いの中にある意味について解説するように話していく。

 

「むしろナギトはここで倒されて正解だと思うよ。葉王の狙いはそれだろうし、大将もそれを理解してナギトに加減せずに攻撃したんだから」


「え?」

 

「どういうこと?」

 

「別に決闘組と迎撃組とで編成決められた時点で今回の特訓ってほぼ終わってるんだよ。なのに葉王は大将と対戦するって形式取ってガイたちとソラたちをそれぞれ戦わせる。まだ決闘の日まで日があるのにあえて今そうするのは葉王が大将を使ってガイたちの中の思考の1つを変えようとしてるのさ」 

 

「思考ですか?」


「そっ、思考。たとえばエレナが2kmを10分で走れるように1ヶ月特訓するってなるとして、それを半月でクリアした場合のモチベーションってどうなると思う?」

 

「えっと……半月で達成したのでしたら嬉しくなると思います」

 

「そっ、人間ってのは目標を達成したらそこで1回気が緩む。そんでもって大半が次の目標を持つのに対して大半がそこで挑戦をやめて満足するんだ。ガイたちの場合は今まさに決闘の参加メンバーに選ばれるという1種の課題を前にして目標を失ってる。だから大将と戦わなきゃならない」

 

「で、でもどうしてヒロムさんと……」

 

「そもそも大将はこの特訓期間中、唯一肉体的な特訓を普段以上にしていない。何なら必死に特訓してたオレたちから見たら大将は遊んでるように見えるレベルだ。でも……それくらい特訓ってのに対しての理解が大将とオレたちで違う。大将はもはや大淵云々はもはや忘れて決闘に勝った後を考えてるからね。目標も課題もなにもかも度外視してやるべき事をやる、今の大将はそういう感じだ」

 

「ねぇ、イクト。ガイたちがヒロムくんと戦う意味ってあるの?その……」

 

 あるよ、とイクトはユリナの質問に対して簡単に返すとヒロムを相手に奮闘するガイと真助をモニター越しに見ながら彼女やエレナたちに向けて話していく。

 

「葉王はガイたちに思い知らせたいのさ。何故オレたちは《センチネル・ガーディアン》の大将の恩恵を受ける立場でしかないのか、何故大将がここまで強いのか……さっきの先の読み合いのようにガイたちが今見えてないものを葉王は気づかせたいからこそ大将と戦うことを持ち出したのさ」

 

「見えてないもの……。それって何なの?」

 

「それはね……柔軟性だよ」

 

「柔軟性?」

 

「じゃあ姫さん、ジャンケンしよっか。

オレはグー出すから勝ってね」

「え!?ジャンケン!?急に!?」

 

「ジャンケン……ポン」

 

 突然のジャンケンを言い出したイクトに戸惑いを隠せないユリナは彼に言われるがままにジャンケンでし、そして彼が出すと言ったグーに勝つためにパーを出した。だがイクトは……パーを出していた。

 

「え?イクト?さっきグー出すって……あれ?」

 

「そっ……これが葉王がガイたちに分からせたいもの、ガイたちの見えてない《柔軟性》だよ」

 

******

 

「はぁっ!!」

「だらぁ!!」

 

 ヒロムを倒そうと斬撃を放っていくガイと真助。蒼い炎を纏う斬撃と黒い雷を纏う斬撃が放たれる中でヒロムは手に持つ大剣を盾代わりにして防ぐと続けて斬撃を飛ばして2人を攻撃、斬撃が放たれるとガイは霊刀《折神》でさらなる一撃を放って相殺して見せた。

 

「ちっ……」

(先の読み合いではヒロムに勝つのは無理だ。独自の方法で会得した《流動術》を本家本元の《流動術》で勝るのは無理だとしてもオレたちには剣士としての武器がある。それを駆使して……)

 

 ヒロムに勝つべくガイは思考を働かせるが、ヒロムはそんなガイに考える時間を与えまいとするように斬撃を放つ。放たれる斬撃をガイはもう一度霊刀《折神》で相殺して防ぐが、斬撃を相殺したと同時にガイに向けて大剣が飛んでくる。

 

「!?」

 

 勢いよく飛んでくる大剣を前にしてガイは防ぐのではなく回避を選択して当たらない位置へと体を躱す……が、躱した大剣の先にはヒロムが立っており、ガイがそれに気づいた時にはヒロムは大剣を掴み取って振り切るとともに咄嗟の防御を取ろうとするガイを霊刀《折神》ごと吹き飛ばしてしまう。

 

「ぐぁ!!」

 

 ヒロムの存在に気づいたことで咄嗟の防御を選択したガイは霊刀《折神》で防ぐもそれごと吹き飛ばされてしまい、吹き飛ばされた崎で倒れてしまう。ガイが吹き飛ばされるとヒロムは大剣に金色の稲妻を纏わせながら更なる一撃を放とうと大剣を構えるが、そんなヒロムの邪魔をするように真助は背後から接近すると妖刀《狂鬼》で斬りかかる。

 

 真助の接近、さらには妖刀の一撃を察知したのかヒロムはガイへの攻撃を止めて真助の一撃を防ぎ、攻撃を止められた真助は追撃しようと妖刀を持たぬ手に黒い雷を強く纏わせて手刀の一撃をヒロムに向けて放つ。

 

 だがヒロムはそれを受けてやるほど甘くはない。

 

 ヒロムはこの状況で大剣を手放すと地を強く蹴ってバックステップを決めて真助の追撃の手刀を回避し、真助の一撃を回避したヒロムは白銀のブレスレットを黒と紫に光らせると精霊・セツナの武器である太刀と精霊・ラミアの武器である刀を装備して二刀流となって構える。

 

ヒロムが二刀流となると真助はどこか面倒そうな顔をしながらヒロムが手放した大剣を妖刀《狂鬼》で邪魔にならぬ外野へと斬り飛ばし、二刀流のヒロムを相手にすべく妖刀を強く握って構える。

 

「相変わらず厄介だな、オマエはその《セレクトライズ》は。

精霊の武器としての機能も併せ持つ霊装を借り受けてその力をも使役する白銀のブレスレットの霊装の固有能力、どんな状況下においても精霊とオマエの間にある繋がりが途絶えていないかぎりは常に発動できる力。出会ったばかりの頃は素手で殴るか精霊と連携するしか能がないオマエが今やオレたちの遥か先を歩く能力者に覚醒した……なんて話をしても面白みもねぇわな」

 

「今日はやけにおしゃべりだな、真助。

負けるのが怖くなったか?」

 

「まさか……オレにとって戦いとは勝つか負けるか!!生き残るか死ぬかの究極の2択の世界!!その世界の理を前にして負けを恐れるなどあるわけがない!!」

 

 ヒロムの言葉を受けた真助は黒い雷を強く纏うと妖刀《狂鬼》を振り上げ、妖刀を振り上げた真助は黒い雷を纏う身の上に黒狼を思わせるような黒いオーラを纏いながらヒロムに向けて走り出す。

 

「ただこの胸に抱く思いは……今のオレが思うのは、姫神ヒロムという人間を倒して勝利を掴みたいって欲望だけだ!!」

 

 ヒロムに迫る中で真助は自らの中にある思いを吐くように叫び、それに呼応するように黒狼を思わせるような黒いオーラは雄叫びをあげる。真助の胸に秘めた思いを聞かされたヒロムはまるでそれに応えるかのように走り出して真助との距離を詰めていく。

 

「来い……真助!!」

 

「狂鬼一閃……!!禍太刀天狼!!」

 

 ヒロムと真助、互いに相手に接近すると交差するようにすれ違い、その瞬間に互いに相手を倒そうと一撃を放つ。

 

 互いに一撃を放ち、すれ違うとともに背を向けあった状態になる。互いに負傷してる様子もなく、両者の攻撃が命中したのかは分からない。が、ヒロムが一息つくと彼の右肩に斬撃を受けたであろうかすり傷が現れて血が少量流れる。それを見ずとも一撃を与えられたと真助は感じたのか嬉しそうに笑みを浮かべるが……

 

「はっ……今のでようやくかすり傷かよ……。

ったく……オレもまだまだだな」

 

 笑みを浮かべる真助の手からゆっくりと妖刀《狂鬼》が落ち、そして真助の胴に2本の斬撃の傷が現れるとその瞬間に真助は前に倒れてしまう。

 

 真助が倒れると妖刀は黒い雷となって消え、真助が倒れたのをヒロムは振り向いて確かめると残る1人の方へと目を向けた。

 

 その視線の先には……蒼い炎を纏うガイがいた。

 

「真助……オマエの覚悟は見届けた。

だから……この戦いはオレが勝利に導く!!」

 

「やってみろよガイ。

《天獄》NO.2のオマエの力、それが本物だってことを証明してみろ!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ