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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
守護武闘編
121/1085

121話 新たな指令


 決闘の参加メンバーに選ばれなったソラ、シオン、イクト、ノアルに対して新たな任務を与えると言う葉王。決闘の参加メンバーの発表だけだと思っていた彼らは突然の葉王の言葉に疑問が隠せず、その疑問については参加メンバーに選ばれたガイや真助も抱いていた。

 

 新たな任務とは何なのか?ガイたちがそれについて気になる中でヒロムは葉王に質問した。

 

「オマエの当初の予定ならソラたち選ばれなかった4人はサブメンバーとして万が一に備えて待機する手筈だったはずだ。新たな任務ってことはコイツらには決闘に参加させる気が無くなったってことなのか?」

 

「まァ、コイツらが参加しなくても決闘の方は問題無さそうだと判断したからなァ。それにィ、言い方を変えればこの新たな任務の方が当たり枠でもあるように聞こえるからなァ」

 

「言い方を変えれば?」

 

「正直オレは《始末屋》が雇われたと把握した時点で自分の中である可能性を抱いたァ。1つ目は大淵麿肥子の強行突破、仮にヤツが負けたとして素直に負けを認めずに不当だと文句をつけて《始末屋》を動かすという可能性だがァ、これは極めて可能性が低いとカズキも判断したから万が一この展開になれば姫神ヒロムを軸に参加メンバーのみで半殺しにするッて手筈になッたァ」

 

「その話とオレたちが参加メンバーに選ばれなかったことが当たり枠ってのに何の関係がある?」

 

「そう慌てるなよォ。2つ目に考えられる可能性だがァ……大淵麿肥子がアドバイスを受ける専門家が《世界王府》の内通者だった場合だァ。これについては可能性が大いに考えられるためサブメンバーの枠を壊して秘密裏に《世界王府》の迎撃チームを編成することになッたァ」 

 

「つまり……オレたち4人は《フラグメントスクール》とかいうのではなく本命となる《世界王府》を相手にするってことか?」

 

「ただしィ、この迎撃チームも3人編成だァ。紅月シオン、東雲ノアルをメンバーとした相馬ソラをリーダーとした迎撃チームゥ、対ビーストの戦力となる東雲ノアルと未来視の可能な力を持つ紅月シオンに対してペインやリュクスにダメージを与える役目を担える実力を持つ相馬ソラが指揮を執ることで《世界王府》の襲撃に備える算段だァ」

 

 《世界王府》の迎撃チーム、そのメンバーが発表されるとソラ、シオン、ノアルは予期せぬ発表と展開に思わず笑みが出てしまう。が、そんな中1人名前すら呼ばれなかったイクトは葉王に自分はどうなるのか不安になりながら尋ねた。

 

「あの……葉王さん?オレは?

オレはどうなるの?」

 

「オマエは全ての万が一に備えて待機すると同時に当日観戦しに来るであろう姫野ユリナたちの護衛だァ。オマエの《影》の能力ならば彼女たちをオマエの影空間の中に隠れさせて避難するのも容易なはずだァ」

 

「なるほど……適材適所の人選ってわけか。

てことは万が一の場合はオレも参戦していいってこと?」

 

「女を危険に晒さなければ何をしてもいいがァ、オマエの優先すべき役割は女の護衛だァ。それを忘れるなよォ」

 

 了解、とイクトは陽気に返事をし、イクトの中の不安が消えるのを確認した葉王はヒロムたちに決闘の日に関しての新たな情報を明かしていく。

 

「迎撃チームの編成を話したのだからオマエらには教えておくがァ、別の牢獄に移送される十神アルトの移送日が決闘の日と同じ日となったァ」

 

「「!!」」

「それは大淵のヤツの提案か?」


「いいやァ、これは警視総監の千山の判断だァ。決闘の日ならば決闘の開催場に観客として市民が集まりィ、大淵麿肥子はもちろんのことそいつに助言する専門家も開催場にいるはずだからッてことで警察や自衛隊を変装させた上で複数のフェイクの車両を混ぜて他の移送予定の罪人と移送させるッて手筈だァ」

 

「ソラたち迎撃チームの編成はそれを狙って現れるであろう《世界王府》を迎え撃つためってことか?」

 

「そういうことだァ。仮にも1度は日本の全てを支配する手前まで掌握する荒業を見せた男ォ、その男の力は《十家騒乱事件》にて姫神ヒロムの決死の一撃によって大半以上を失われてはいるが並の能力者じャ手も足も出ないレベルなのは変わりないィ。まして今の日本の警察や自衛隊は十神アルトの支配政治によって本来持つべき防衛力を不足させている状態ィ。万が一にも《世界王府》のヤツらの手で十神アルトが奪取された場合には十神アルトとの戦闘経験のある能力者かつ戦力的な成長を遂げて《世界王府》の主要メンバーに遅れを取らないだけの能力を持つ3人で対応しようッて算段だァ」

 

 葉王の考えを理解するヒロムたち。《フラグメントスクール》と雇われの能力者を率いる大淵麿肥子を迎え撃つヒロムたちの背後で移送される十神アルトを狙うであろう《世界王府》の動きに対して迎撃行動を取るソラを筆頭としたチームが編成された。

 

 ここまで来ればもはや彼らにとってこれは《センチネル・ガーディアン》の立場を守るだの力を証明するだの話では無くなっている。

 

 今の段階で彼らが約1週間後に迎える決闘の日は日本の命運を握る日となったのだ。

 

「オマエらがやるべき事は単純だァ。姫神ヒロム率いる決闘組は大淵麿肥子の野望の打破と全国民へオマエらの存在を主張して《センチネル・ガーディアン》の必要性を理解させることォ。相馬ソラ率いる迎撃チームは秘密裏に進められる十神アルトの移送の護衛とそれを狙う可能性がある《世界王府》への攻撃ィ、そして退けさせることで《センチネル・ガーディアン》の存在の必要性をさらに高めさせることォ。オマエらのやるべき事はそれだけだァ」

 

「それだけ、か。用は細かいこと気にせず敵倒せってことなら話は早いな」

 

「そういうことだァ姫神ヒロムゥ。それよりもォ……オマエェ、体が訛ってたりしねェよなァ?」

 

「ご心配なく。こう見えてやることやりながら鍛えるなり何なりはやってるからな。それがどうかしたのか?」

 

「……ならちョうどいいィ。雨月ガイ、鬼月真助、風乃ナギトは今からここでェ……姫神ヒロムと戦ッてもらうゥ」

 

「オレたちがヒロムと?」

「何のためにだ?」

 

「簡単な話だァ。現在《天獄》実力NO.2の雨月ガイとNO.4の鬼月真助は《天獄》のリーダーたる姫神ヒロムに対してどこまで戦えるかを把握するためェ、《天獄》の実力最下位の風乃ナギトは弟子として今どれだけ師に追いつているかを確認するためだァ」

 

「なんかオレ最下位ってバカにされてない?」

 

「ちなみにィ……NO.3は相馬ソラァ、NO.5は黒川イクトォ、NO.6は紅月シオン、NO.7は東雲ノアルだァ。この順番はオレの独断による査定だからあまり気にすんなよォ?」

 

「気にするなって言うならわざわざ言わなくてよかったんじゃねぇのか?」

 

 気にするなァ、と葉王はヒロムの言葉に対して軽く返すとヒロムとガイ、真助、ナギトに向けて伝えた。

 

「呑気に話をするのは終わりだァ。明日の朝に姫神ヒロムは雨月ガイ率いるチームと対戦、午後には続けて姫神ヒロムは相馬ソラ率いる迎撃チームと対戦してもらうゥ」

 

「連戦か」

 

「《世界王府》が相手なら休む間はねェと諦めろォ。

姫神ヒロムは仲間の実力をォ、雨月ガイたちは今の自分たちの実力がどれほど姫神ヒロムに迫ッているかを把握するつもりでやれェ。万が一に備えて負傷してもオレの能力で無かッたことにしてやるから安心しとけェ」

 

 そうかよ、とヒロムは葉王の話を聞くとユリナたちの方に向けて歩きはじめ、どうしたのかとガイたちが不思議に思っているとヒロムは葉王に告げた。

 

「オマエの思惑は何でもいいけどやるからには本気でやる。

明日の朝に備えてオレはオレで用意を済ませるから……オマエはオマエでそいつらに何か仕込むなら仕込んどけ」

 

「……今からは敵同士ッてことかァ?」

 

「そうだな……でも、今からってわけじゃない。

そもそもオレたちは仲間(ライバル)でしかないんだよ」

 

「……そうだなヒロム。

オマエの言う通りだ」

 

 だから、とガイは去ろうとするヒロムの背中を見ながら彼に宣告した。

 

「オレたちの今の全てをぶつけてやるから覚悟しとけ。オマエがいつまでも前に走るのが当たり前じゃないって教えてやるよ」

 

「……期待してるぜ、ガイ」

 

 ガイの言葉を受けたヒロムはどこか嬉しそうに小さな笑みを浮かべるとユリナたちの方に向けて進み、ガイたちは彼の背を見る中でやる気を見せる。

 

 そんな中、イクトは……

 

「いや、オレは!?!?」

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