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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
守護武闘編
119/1085

119話 交錯する敵意


 夜

 

 ヒロムは暴月ジンとの出会い、ガイは太刀神剣一との出会いについて屋敷に戻っていた真助、ソラ、シオン、イクト、ノアル、ナギトにリビングにて話し、話を聞いたイクトはどこか厄介そうにヒロムに言った。

 

「大将潰すために容赦も何も無く《始末屋》を選ぶなんて大淵麿肥子も手段選ばなくなってきたね。何か手はあるの?」


「いや、ねぇよ。

《始末屋》のヤツがオレとガイのところに1人ずつ来た、それしか情報はないからな」

 

「そっか……せっかく大将が相手を牽制して手出しできなくしたのに、向こうは向こうで既に厄介なところに手を伸ばしてるとは思わなかったね」

 

「オマエの情報網で調べられねぇのか?」

 

「ソラ、調べられるなら厄介なところになんて言い方はしないよ。オレが厄介に思うのは《始末屋》の存在というよりも《始末屋》の立場にあるんだから」

 

「立場?」

 

「《始末屋》の職を請け負うかぎりはあらゆる情報を秘匿するものとされ、いかなる情報屋も政府もその情報を得ることも開示することも許されないっていう闇のルールで守られてんの。このルールを破れば当人はもちろんのこと家族や肉親、親戚に至るまで《始末屋》が派遣されて消されるって危険な罰があるんだから」

 

「つまり、暴月ジンってのと太刀神剣一ってのについては名前だけしか分からないってことか」

 

 いや、とガイはシオンの言葉に対して何か言いたいことがあるような反応をすると彼が今口にした太刀神剣一について知ることを話していく。

 

「太刀神剣一については10年前に1度戦ったことがある。竹刀だったとはいえアイツの剣術は覚えてる」

 

「だがガイ。オマエが10年で成長してるのと同じようにその太刀神剣一ってのも10年で変化してるはずだ。10年前の剣術を覚えてるとしてもアテにはならないぞ」

 

「ガイ、シオンの言う通りだ。過去を知っていても今のそいつは狙った相手の命を平気で奪うような殺しのプロになった男だ。オマエが知ってるかつての剣士はただの人殺しの技を磨いた戦士でしかない」

 

「だが根底には剣士としての……」


 やめとけ、と真助はガイが言おうとした言葉を途中で遮るように言うと彼に忠告した。

 

「今オマエが言おうとしてるのは敵に情けをかけると同時に《センチネル・ガーディアン》の立場を守ろうとするヒロムの戦いを妨げることになる言葉だ。過去に何があったかは知らないが今のオマエが何のために戦うのかを忘れていないならそれ以上は二度と口にするな」

 

「……悪い」

 

「どの道殺しのプロならガイに因縁があろうなかろうとオレたちの誰かが倒すんだから気にすんな。それよりも、だ。情報秘匿で情報を守られる《始末屋》を雇うわ他国の能力者のアーサー・アストリアを雇うわで大淵とかいうヤツの側の戦力は明らかに《フラグメントスクール》を飾りにするような人選だ。《フラグメントスクール》とアーサー・アストリアなら新しい防衛戦力の主張として理解できるが、殺しのプロやら賞金稼ぎやらまでメインで使うなんざ理解も何も無いな」

 

「理解なんてしなくてもいいんだよ真助。ヤツにとって自分の立場を上にするためにオレが邪魔で消したいだけ、オレの今朝の牽制でそのスイッチが入ったのなら今以上のヤツらを揃えて決闘の参加メンバーの枠を増設する体でルールを変えてくるだろう」

 

「ヒロムとしては文句ないんだろ?」

 

「まぁな。どんなヤツが来ても結局は《世界王府》より弱い能力者であることに変わりない。仮に《世界王府》のヤツらを相手に互角に戦えるような能力者がいるのなら……葉王や一条カズキが雇ってるはずだからな」

 

「《世界王府》よりは格下でもオレらより強い可能性はあるだろ?」

 

「そん時はそん時だソラ。つうか、その程度でビビるようなオレらじゃねぇだろ?オレらが相手にしてきたのはテロリストとそれの上に立つ極悪人、幻想抱いて力に酔うだけのヤツらなんざ比較対象にもならないヤバいヤツらだ。そいつらに比べれば大淵の揃えた戦力は大したことなんてない、どんなヤツだろうと完膚なきまでに叩き潰して二度と表に出れなくしてやるだけだ」

 

「……大将、地味にやる気になってない?」

「いいことだ。いつものヒロムの面倒くさいが出たらオレはコイツの頭を《ヒート・マグナム》で撃ち抜くだけだからな」

 

 失礼します、とエレナがリビングの扉を開けるとヒロムに向けて伝えた。

 

「ヒロムさん、皆さんにお客さんが来てるのですが……一条さんの関係者みたいなんですがどうしますか?」

 

「一条?ここに通してくれ」

 

「分かりました。こちらにどうぞ」

 

「案内ありがとう」

 

 ヒロムの返事を受けたエレナは返事をすると来ている客人にリビングに入るように伝え、エレナに案内された客人はリビングへと入ってくる。

 

 リビングに来た客人……それは一条カズキに対して葉王と共に仕えている双座アリスだった。

 

「おっ、アリスじゃねぇか」

 

「……姫神、オマエはもう少し目上の人間への口の利き方を学べ」

「気にすんなよ。それより、ここに来たってことは決闘の件か?それとも大淵のバカのことか?」

 

「両方だな。まず決闘の件だが……対戦形式が決定した」

 

「対戦形式……」 

 

「バトルロイヤルか?それともトーナメントか?」

 

「落ち着け鬼月。対戦形式はチームによるバトルロイヤル。《センチネル・ガーディアン》代表の姫神側は3人1チーム、対する大淵側は《フラグメントスクール》の生徒による3人1チームを3チームと腕利きの能力者3人による大型チームでのバトルロイヤルとなるらしい」

 

「変則的なチーム構成だな」

 

「それで確定なのか?それとも後々チーム編成の変更とかあるのか?」

 

「大淵側からの伝言だが、《世界王府》を相手にしてきた能力者としての余裕があるのなら向こうサイドは《フラグメントスクール》の生徒による3人1チームをさらに増やすそうだ。今のままがいいならそれでもいいらしいが……言い方からして増やす方針を受け入れないなら《センチネル・ガーディアン》のことをあることないこと風潮するつもりだろうな」

 

「待て、それだと人数が……」

 

「今のはあくまで《フラグメントスクール》の生徒内での先鋭30人と10人の腕利きだけの話だ。オマエが挑発したことで大淵はサイドメンバーとしてさらに30人選ぶ方針を《フラグメントスクール》に伝えているとのことだ」

 

「その可能性があるのは今朝の件で予想してた。問題はバトルロイヤル参加メンバーの数と最初の選定メンバーの数が合わないって話だ」

 

「……それなら心配するな。大淵はバトルロイヤルを3度行うつもりでいる。こちら側の3人1チーム対大淵側の大型チームのバトルロイヤルを2戦、3戦目に姫神1人と大淵側の残る参加メンバーの一騎打ちという内容らしい。そしてオマエらの勝利条件はこの3戦全てを勝利すること、大淵側の勝利条件は3戦のうち1勝することだ」

 

 アリスの口から明かされる決闘の日に行われるバトルロイヤルの内容にヒロムたちの顔つきが変わる。内容、話を聞くだけなら明らかに大淵麿肥子はヒロムを確実に潰すために公平性も何も無いルールをぶつけてきた。

 

 ガイたちはヒロムを否が応でも潰そうとする大淵麿肥子の提示したバトルロイヤルについて思うところがあるのか、それともヒロムに対してのこの仕打ちが許せないのか殺気にも似たものを秘めた表情を見せるが、話を聞くヒロムは首を鳴らすとアリスに伝えた。

 

「アリス、大淵に伝言頼めるか?」

 

「別にいいが、何を伝えるんだ?」


「……『手段を選ばずにオレを潰したいのなら好きにしろ。ただし、決闘の日にオレが勝ったらオマエの人生は地獄に落ちるから覚悟しとけ』って。それと《フラグメントスクール》のヤツらにも『四肢を失いたくないならスクール内で自殺する方がマシだと思いながら辞退しろ』ってな」

 

「あくまでバトルロイヤルのルールに文句はつけないのか?」

 

「いらねぇよ、んなもん。

どんだけオレを潰そうと能力者を用意しても無意味ってことをその身で分からせてやるだけだ」

 

「……了解した。伝言は伝えておく。

それと姫神以外に葉王からの伝言だ。『バトルロイヤルに対戦形式が確定したからメンバー選定の日を2日後に早める』とのことだ」

 

「「!!」」

 

「……オレからの伝言と報告は以上だ。姫神は当日まで、雨月たちは2日後に向けて頑張れ」

 

 アリスはヒロムたちにメッセージを伝えるとリビングから出ていき、アリスが去るとガイたちはやる気を満ち溢れさせる。

 

 決闘の日、その日に全てを発揮して敵を葬るための1人となるべくガイたちは己が選ばれるべくやる気になっている。そしてヒロムも、己の立場と守りたいものを守るための《センチネル・ガーディアン》の名を死守すべく心の中で闘志を燃やす。

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