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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
守護武闘編
114/1085

114話 理想の形


 大淵麿肥子、そして《センチネル・ガーディアン》への牽制をヒロムがしたことにより今後の目的とやるべき事が明確となった一同。ヒロムは変わらず屋敷に残り、ソラたちは葉王の指導を受けるべくそれぞれの特訓に向かった。

 

 特訓をさらに進める……はずなのだがヒロムはリビングでくつろいでおり、ヒロムのくつろぐ様子をガイは鬼丸やガウたちの面倒を見ながら観察していた。

 

「……ヒロム、特訓はいいのか?」

 

「今のオレは精神的な成長を優先しなけりゃならない。そのためにも心を休めてイメージ力を高めているんだ」

 

「今になってイメージ力を高める必要あるのか?」

 

「備えあれば憂いなし。万一に備えて……」

「ヒロムくん、何でゆっくりしてるの?」

 

 ガイに対して余裕を見せながら話すヒロムの後ろからユリナがヒロムに話しかけ、ヒロムは聞こえてるはずなのに何も言わずにスルーしようとする。が、ヒロムがスルーしようとするとユリナはヒロムの頬を後ろから引っ張る。

 

「離せ……」

「朝約束してたの忘れてない?私とサクラと姫月さんとで買い物行くからついてきてってお願いしたよね?」

 

「今ガイと話を……」

「さっきまでテレビ見てあくびしてたのは誰かな?」

 

「ガイ、助けろ」

 

「助けろって……。約束してたのならちゃんと付き合ってやれよ」

「おい、適当に返しやがっ……」

「いいから早く準備してね。サクラも姫月さんも用意できてるんだから」


「分かってるって。いつにも増して厳しいな、ったく……」

 

 ユリナが手を離すとヒロムはため息をつくなり立ち上がり、身支度を済ませようとリビングを出ていく。ヒロムの面倒くさそうな態度がお気に召さないのかユリナは少し頬を膨らせており、そんなユリナの顔を見たガイは彼女に問う。

 

「なんかケンカでもしたの?」

「え!?違うよ!?

ここ最近ヒロムくんってば屋敷に籠って鬼丸くんのお散歩とか飛天くんと遊んだり私たちの話聞いたりしかしてなくて。精神的な成長のためってヒロムくんは言うけどここ何日か何も変わらずで皆心配になったの。だからってことでサクラが姫月さんに街の案内も兼ねてヒロムくんの気分転換をしようってことでショッピングに行くことになったの」

 

「気分転換か。ヒロムの方は苦戦してるみたいだな。

でも……それでユリナが不機嫌なのは気になるな。やっぱり何かあったんじゃないのか?」

 

「……だって」

 

 何かあったんじゃないのかとガイが感じて問いかけるとユリナは頬を膨らせる中で少し赤く染めると恥ずかしそうにガイに話していく。

 

「最近のヒロムくんってば私よりもサクラに頼ること多くなってきたし、姫月さんが来てからも何かと姫月さんから離れようとしないし……私だってヒロムくんの役に立てるのに」

 

「えっと……ユリナとヒロムって付き合ってたっけ?」

 

「つ、付き合ってなんかないよ!?

でも……ヒロムくんが私のこと見てくれないのはなんかモヤモヤするの」

 

「な、なるほど……」

(ユリナが珍しく感情に素直になるから何かと思えば……嫉妬か。

ヒロムとしてはサクラとの約束を守れなかったことへの埋め合わせ、ヒカリに関してはヒロムなりの責任を取ろうとしてるだけのつもりなんだろうけど……2人よりも長くヒロムのそばにいたユリナからしたら気が気でないよな。でも……)

 

 ユリナの気持ちを察するガイ。だがそのガイはそのユリナの気持ちを察する中でガイ自身も心の中にモヤモヤしたものを感じていた。その理由をガイは自分で理解しており、ガイはひとまず自身の中のモヤモヤを解決すべくユリナに伝えた。

 

「ごめん、ユリナ……オレにはその悩みを平常心で解決してやれない。その……昔好きだった相手が自分の尊敬するヒロムのことに夢中になるところを見せられるのは少々辛い」

 

「えっ、あっ……ごめん、ね?

その……ガイには何でも相談しやすいから……」

 

「いや、いいんだ。オレとしては自分からユリナに対して好きだったことは話したしヒロムとの恋を応援するって約束したからさ。その……うん、オレの気の迷いだと思って聞き流して忘れて欲しい」

 

「うん……えっと……」

 

「とりあえずヒロムがサクラやヒカリにばかり優しくするのが嫌なんだろうけどあの2人に対してヒロムも何か申し訳なさを感じてるんだ。ひとまずはヒロムのそれが落ち着くのを待つしかないと思う。それでもダメなら……いっそのことワガママ言っちゃうかだな」

 

「うん、やっぱりそうだよね……ごめんねガイ、相談に乗ってくれて」

 

 じゃあ、とユリナは少し申し訳なさそうにリビングを出ていくと身支度に向かったヒロムの後を追って行く。ユリナが去るとガイは何故か安心したような表情で一息つき、ユリナとの今の会話を忘れようとするかのように鬼丸を抱き上げると優しく撫でる。

 

「クゥン?」

「心配してくれてるのか?言葉が分からないからアレだけど、オレは大丈夫……」

「じゃないわよね?」

「ですよね」

 

 首を傾げる鬼丸に話しかけるガイの後ろからいつからいたのか分からないユキナとエレナがガイに話しかける。2人の声に驚いたガイは鬼丸を抱いたまま驚いたリアクションをしてしまい、ガイの反応を面白そうに見るユキナはガイに注意した。

 

「ガイ、アナタのそれは優しさじゃないわよ。

ただ感情押し殺して自分を誤魔化してるだけよ」

 

「……忠告どうも。

でも、叶わぬ恋を追いかけるのはやめるって決めたんだ。ユリナと出会ってからもう10年くらいなる。色々あってユリナの優しいところに惹かれて、それがいつしか好きって気持ちになってた。けど……そんな中でユリナがアイツに夢中になる姿を見続けるのは辛くて仕方ないんだ」

 

「それで諦めるのですか?

それじゃあガイさんは……」

 

「エレナ、言いたいことはわかるよ。

でも、オレがヒロムの役に立つために……自分自身のために決めたことなんだ。分かりきった答えを聞くためにユリナに気持ちを伝えてフラれて、それで応援するって気持ち切り替えたつもりだったんだけど……たまにユリナが見せるあの顔を見ると諦めきれてないことがバレる」

 

「アナタはそれでいいの?」

 

「……男として決めたことだから。オレはヒロムのための刃として生き、ヒロムを愛する彼女がヒロムのそばにいられるように支えたいって。たとえそれが己の心を押し殺し続けることになっても変えないって」

 

「ガイ……」

 

「……悪い2人とも。変な話を聞かせたな。

どうやらユリナがヒロムに嫉妬するようにユリナに好意を寄せられるヒロムの姿に嫉妬したらしい。少し外の空気を吸ってくる」

 

 鬼丸を抱くガイはユキナとエレナに謝罪するとガウたちも連れて外に散歩に向かおうとした。そんなガイのことをエレナは引き止めるように声をかける。

 

「待ってください!!」


「エレナ?どうしたの?」

 

「あ、あの……提案があるのですがいいですか?」

 

「提案?」

 

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