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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
守護武闘編
111/1085

111話 スクールブレイカー


 次の日……

都内から少し離れた場所に築かれた巨大施設、能力者育成機関フラグメントスクールの拠点でもある《フラグメントドーム》。

 

 育成機関というだけあり大規模な設備が揃えられており、外から見ただけでは東京ドームの数倍はあるのではないかという規模の施設となっている。

 

その施設の前には《フラグメントスクール》の全生徒が整列しており、その生徒たちの整列する列の前には防衛大臣の大淵麿肥子がいた。大淵麿肥子はマイクを手に持っており、マイクを持つ大淵麿肥子は生徒たちに向けて話していく。

 

「本来ならキミたちは今日からゴールデンウィークということで特別に休暇を与えられることになるわけですが、ゴールデンウィークが明けるとキミたちの力を世間に見せて《センチネル・ガーディアン》など不要だと証明するための決闘が待っているためこれより数日はキミたちは休みを返上する形で過酷な特訓の日々を過ごしてもらいます。《世界王府》を倒すためと言う名目で立ち上げられながら成果を上げれぬ《センチネル・ガーディアン》の必要性を問うと同時にキミたち《フラグメントスクール》の諸君の努力がどれほどのものかを披露してその力こそが強いと証明してほしい」

 

 大淵の言葉を聞く生徒たちは話が進むにつれて刺激されたかのようにやる気を見せるように騒がしくなっていき、騒がしくなる生徒たちの姿を前に大淵は手を叩いて静かにさせると続けて生徒たちに伝えた。

 

「キミたちの実力を知らぬ者たちが独断と偏見で何の努力もしていない愚かな能力者を祀るように《センチネル・ガーディアン》などという名を与えて野放しにしている。それがどれほど愚かな行いなのかをキミたちが完膚なきまでに破壊して証明してほしい!!私はキミたちの中にある無限の可能性とそのやる気を信じている!!今こそ自らを高めて《フラグメントスクール》の存在を示すのだ!!」

 

 大淵が声高々に叫ぶと生徒たちは触発されて叫びとともにやる気を漲らせ、抑えられぬやる気が生徒たちを興奮に追い込む中で大淵は何故か不吉な笑みを浮かべる。

 

「素晴らしい……」

(《フラグメントスクール》の生徒たちの力はこの目で見ているが、この様子ならさらなる成長が期待できそうだ。アーサー・アストリアの手を借りている以上余裕でしかないが、やる気に満ちる彼らが能力者として完成してしまえば姫神ヒロムも他の能力者も為す術もないまま葬られる。そうすれば忌まわしい《一条》の追放も可能だし私が次期トップに抜擢されるのも時間の問題……私の理想とする日本国家を実現して他国に負けぬ軍事力を展開する日も遠くない。《フラグメントスクール》の生徒たちには申し訳ないが経済のためにも今回の件で大金を動かしてもらわなきゃならない。全ては目的のため……私のこれまでを無駄にしないためにも心を鬼にして利用できるものを利用する他ない!!)

 

「不気味な顔しやがッてェ。悪巧みでもしてるのかァ?」

 

 大淵が良からぬことを考えていると鬼桜葉王が音も立てずに現れる。葉王の登場に《フラグメントスクール》の生徒たちは驚くと共に静かになり、大淵も表情を元に戻すと咳払いをして葉王に話しかける。

 

「これはこれは鬼桜くん。何か御用ですか?

もしかしてですが決闘に関して何か御要望が?」

(今更何を言おうと手遅れだがね。《センチネル・ガーディアン》の必要性を証明するにはどんな条件だろうとこちらの要求を飲む他ないが、そちらからこちらの出す条件を緩和するようなことは言えないはずだ。《センチネル・ガーディアン》というテロリストを相手にする能力者が《フラグメントスクール》の生徒たちに敗北するのを恐れて下手に回るなど世間の評価を落とすに等しい。そんなことを望んで……)

 

「決闘について少し意見があッてなァ。今この場に生徒が揃ッてる中でオマエに交渉したいんだがァ……構わねェよなァ?」

 

「交渉ですか?まさかですが決闘の内容に不満でも?

仮に不満があるにしても《世界王府》の能力者を相手にしてきたご自慢の《センチネル・ガーディアン》などという名を与えている能力者なら何とかしてしまえるのではないのですか?」

 

「おいおいィ、勘違いしてんじャねェよォ。

決闘なんざに不満もクソもねェよォ。それにィ、今回オマエに話があるのはオレじャねェ」

 

「はい?キミでないなら一体誰が……」

「このクソデブが大淵何とかか。見た目通り名前通りの加齢臭野郎だな」

 

 葉王の言葉に大淵が不思議に思っていると大淵の背後に何の前触れもなくヒロムが現れ、現れたヒロムはまるで大淵が臭いとでも言いたいような顔で彼を睨みつけながら冷たく言った。

 

「オレにケンカ売るようなバカって聞いてたからどんな野郎かと思って見に来たらこんな駄肉の塊のオッサンとはな。しかも自分の抱く不満を解消するために他人を利用するんだから尚更クソ野郎だよな」

 

「キミは……姫神ヒロムだな?

私とは初対面のはずだがその口の利き方は何だ?目上の人に対する口の利き方も知らないのか?」

 

「知らねぇな。オマエみたいな他人利用するしか頭にないクズに対しての口の利き方なんざこれでいい。つうか、こんな雑魚どもに頼るしかないオマエに偉そうに言われる筋合いはない」

 

「雑魚?ずいぶんと失礼だなキミは。

この《フラグメントスクール》を学び舎にする生徒たちは世に出て役に立つべくその力を磨いている。キミのような野蛮な人間には分からぬ努力を重ねているんだ。少しはキミも見習っ……」

「努力するだけで強くなれるとか勘違いしてるようじゃまだまだ雑魚なんだよ。結果を出せないようなヤツは努力したなんて口にする資格もない。ましてこんな籠の中の世界でしか戦わないようなガキ共にはな」

 

「何を……」

「大体そんなに《フラグメントスクール》のヤツらの力に自信があるならわざわざアーサー・アストリアなんて他国のヤツに頼らなくて済むはずだ。頼ったってことはテメェがコイツらを雑魚としてしか見てない、その程度の力しかないから信用できないって言ってるようなもんだろ」

 

 ヒロムの言葉に大淵は言い返そうとするもそれを受けつけぬかのようにヒロムはさらなる言葉で大淵を責め立て、ヒロムの話の一部を聞く生徒たちの中で不満の声が上がるかのように少しザワつき始める。不穏な空気が広がりつつある、それを察知した大淵は眉間に皺を寄せてヒロムを睨む。

 

「偉そうに……!!」

(この男……偉そうなことを言いながらもその実、私のここまでの行動を指摘しながら《フラグメントスクール》の生徒たちとの関係性の間にある溝を深めて戦意や結束を削ごうとしている!!

それも万が一の保険として雇用したアーサー・アストリアのことを悪く言いながらも私の判断の仕方にまで口を出して……このままではまずい、このままではこの男のペースに持っていかれて私の立場が!!)

 

「……キミは何が言いたいんだね?

やる前から勝ち負けは目に見えてるとでも?」

 

「そう思ったんならそれでいい。まぁ、決闘の日にコイツらがゴミからゲロに変わる光景を見たいなら強がってろよ」

 

「なっ、何を……」

「おいゴラ……!!」

 

 ヒロムの言葉に大淵が動揺していると生徒たちの中から1人の男が前に出てきてヒロムの方へと近づいてくる。身長はおそらく190cmはあろう長身の男、黒い髪を全て逆立たせた筋肉質の男はヒロムの前に立つと彼を睨みながら言った。

 

「オマエ、オレたちが弱いって言いたいんだよな?」

 

「……察しろよゴミ1号。ボロ雑巾に格下げされたくなかったら下がれ」

 

「そうはいかねぇ。ここで引き下がればオレたちはオマエに侮辱されたことを受け入れることになる……そんなのは《フラグメントスクール》の1人として許されないからな」

 

「つまり?」

 

「王馬狂一、ランキング13位……ここでオマエに決闘を申し込む」

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