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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
叛逆界雷編
1082/1085

1082話 想いを侮るな


 圧倒的、そう言って差し支えない程の力の差をサウザンへ見せつけるヒロム。


 白崎蓮夜としての人間態で挑むのは何かと不便で後手に回されると考えるサウザンはどうにかして《天罰の天霊》としての天霊本来の姿に変身してヒロムの相手しようと考えるもヒロムがそれを許さないせいで不利な状態での戦闘を強いられる事に苛立ちを募らせていた。

 

 サウザンが苛立とうが関係ないヒロムは敵であるサウザンを倒すべくやる気を漲らせており、そんな彼のやる気に呼応するように彼の右手につけられた2つの指輪の霊装が光を帯び始める。

 

「……まだ、進化を引き起こす気か。どこまでも……どこまでも強くなれるとでも言いたいのか!!」



 指輪の霊装が新たに光を帯び始めた事に気づいたサウザンはそれを目にした事で自らの中で『ヒロムが自分との力の差をさらに見せつけようとしている』と感じ取ったらしく自らの中に溜まりに溜まった苛立ちを解き放つかのように叫ぶと禍々しい闇を強く放出させ、放出される禍々しい闇は苛立ちを募らせるサウザンの感情に共鳴するかのように彼の身にまとわりつき始める。

 

 サウザンの体にまとわりつく禍々しい闇は彼の堕天と成った天霊としての黒い光の力と同化すると共にその力の在り方を変異させ、変異したそれは漆黒の羽衣となってサウザンに纏われる。

 

 自らに纏われる漆黒の羽衣、それを得た途端にサウザンの秘めた力が解き放たれるかのように気迫が増し始め、力が高まることをその身で体感しているサウザンはヒロムほの苛立ちなど忘れて嬉しそうに笑みを浮かべるしかなかった。

 

「ふ、はは……ははははは!!なるほど、なるほど!!ファングとスピットの見出した《負の想いの力》とやらはこんな風に予測不可能な奇跡を呼び起こすのか!!」

 

「ふーん……オレに追い詰められて溜まったストレスで力を覚醒させたってのか」

(サウザンの正体が蓮夜だって突き止めてくれたソラからの報告では禍々しい闇の力の増強が起きた段階でアイツの《負の想いの力》が目覚めてその力を表へ現し始めてる可能性があるってのは把握してたが……ソラたちとの戦いで素性バラされたあの日に片鱗を見出し、この瞬間に覚醒させたか)


「利用して蔑んでいたはずのオレと同じように逆境を覆すための意志が引き金になったってのがアレだが……」

 

 サウザンの得た漆黒の羽衣が《負の想いの力》だと当人が認識し喜ぶ中でその存在を視認しているヒロムは冷静に状況を分析、何が起きたのかを思考の中でまとめさせるだけで驚くような反応は見せなかった。

 

 このヒロムの反応が気に食わなかったのかサウザンは漆黒の羽衣を舞い振るうように腕を動かさせ、サウザンが腕を動かし羽衣を舞い振るわせると黒い光と禍々しい闇が無数の斬撃として撃ち放たれてヒロムを切り裂こうとした。

 

 が、ヒロムはため息をつくと白銀の稲妻を斬撃に向けて強く放出させてぶつける事で敵の攻撃を相殺させて直撃を阻止してみせ、対するサウザンはヒロムに攻撃を相殺された身でありながら嬉しそうな笑みを浮かべながら話し始めた。

 

「見たかヒロム?これがオレの新たな力だ。人間態で力を抑制した状態でありながらオマエの力と互角の威力を引き出せるようになった。この羽衣、こいつの存在が今の状態のオレを強化するものだとしたら……オレの本来の姿でこの力を使うとどうなるのか気にならないか?」

「どうでもいい。単にオマエの攻撃力が上がって攻撃方法が増えた程度なら興味を抱く気にもならない」

 

「強がりか?オマエの提唱した《想いの力》は不確定要素が多い、対するこちらの《負の想いの力》は明確で分かりやすい。それ故に力の高まりとその引き金を把握して行動を起こせる……つまり、オマエの信じる力よりも引き金を引きやすいって事だ。まぁ、オマエに対する苛立ち、憎悪がオレの力の引き金になっているのは腹立たしい事だが……この苛立ちもいずれは引き金になるだろうがな」

 

「……おめでたい野郎だな、オマエは」

「何?」

 

 サウザンの語った言葉を聞いた所で心情揺らぐ事の無いヒロムを煽るように追加で語られたサウザンの言葉に対して呆れた口調で冷たく返すヒロム。ヒロムの反応はもちろんの事、彼の返してきた言葉すら思っていたものと違い過ぎたサウザンは聞き返すような反応を見せてしまう。

 

 実力差は確実に埋まった、それ故の余裕があった思考の中で描かれていたヒロムの反応と異なるものを見せられた事で自らの中で思考を止める事になってしまったサウザンの反応を前にしたヒロムはやれやれといったような反応で後ろ頭を軽く掻くと敵の言葉への反論を始める。

 

「引き金だの何だの、勝手に言ってくれてるがオマエらが気に入ってるその力をオレたちの《想いの力》と同列で語ってくれるな。オマエらが手にしたそれはオレたちの得ている《想いの力》を得られないから妥協案として生み出されたとのでしかない。そんなもんで強くなろうが付け焼き刃である事に変わりねぇんだよ」

 

「付け焼き刃だと?デタラメ……

「オマエの言い分の通りならオレへの怒りと憎しみがとうの昔に引き金となって早々にオレを超える強さへと誘わせているはずだ。だがオマエのその力は未だにオレを超えるだけの強さを与えていない。天霊化を邪魔されてもその手助けすらしない、圧倒的不利な状況に追い詰められて発現させられた力ほ互角止まり……それを付け焼き刃と言わずに何と言う?」

 

「オマエ、この期に及んで強がりを……

「強がり?なら教えてやるよ、想いが繋ぐ力……オレたちの信じる想いの先にある力の在り方を!!」

 

 サウザンの言葉全てに反論したヒロムは次は行動を持ってそれぞれの力が如何に違うかを証明しようとし、行動を伴って証明しようとするヒロムの意志に呼応する形で彼の右手の2つの指輪の霊装が帯びていた光が強い煌きへと変わり始める。

 

 そして、その直後……

 

 

「ガオッ、ガオォォォォ!!」

「「ワンッ、ワン!!」」

 

 2つの指輪の霊装の強い煌きに反応したようにライガーが鳴くと白丸と黒丸も続くように鳴き、3匹の幼い精霊が鳴くとヒロムの2つの指輪の霊装と同じようにユリナが授かった白い指輪も煌きを放ち始める。


「え!?ええ!?ヒロムくん!?これ何!?」

 

 突然の事に驚き戸惑うユリナの事などお構い無しに彼女の持つ白い指輪は煌きを強く放ち、ライガーと白丸、黒丸が白い光を帯びるとヒロムとユリナがそれぞれ持つ計3つの指輪の放つ煌きが解き放たれて同じ方向へと飛んで行く。

 

 2人の持つ指輪から解き放たれた煌きが向かった先には……サクラがいた。

 向かってくる煌きにどう反応していいか分からないサクラだったが、そんなサクラへ向けてヒロムが何も言わずに視線だけを向けると、彼女はその視線だけで何かを理解したように強く頷き右手を伸ばした。そして……

 

「私の想い……ヒロムを支え守りたい想いを繋いで!!」

 

 手を伸ばしたサクラが自らの意思を語るように強く発すると彼女へ向かっていく煌きは煌きの球となってサクラの右手へ重なり合わさり、煌きの球が右手へ重ねり合わさるとそれが弾け、彼女の右手中指に花の形をした白い石が施された指輪が装着される。


 それだけでは無い、弾けた煌きの球は光を帯びる白丸たちを思わせる3匹の幼い獣の形となるとヒカリ、アイナ、トウカのもとへ向かっていき、3人のもとへ向かったそれらは彼女たちのもとへ辿り着くと花の形の刻印が刻まれた白い指輪に変化して同じように彼女たちの右手中指へと装着されていく。

 

「これって……」

「一体……」


「ガオッ、ガオォォォォ!!」

 

 サクラたちの理解が追いつかない中、ライガーが強く鳴くと光を帯びるライガーと白丸と黒丸のその光が3匹から離れ、さらにユリナの指輪とサクラの指輪から新たな光が放たれる。

 

 3匹から離れた光と2人の指輪から新たに放たれた光、それらの光がヒロムのもとへ向かうと彼の2つの指輪の煌きと重なり共鳴を起こし、そして共鳴を起こすそれらはサクラのもとへ現れたものと似た造形の石を持つ虹色の指輪へ変化する。

 

 ヒロムはそれを左手で掴み取ると右手の人差し指へ装着させ、そして……

 

「ユニバース・ライズ!!エクシード・ブルーム!!」

 

 ヒロムが叫ぶと新たに現れた指輪を加えた事で3つ横並びに装着される形となった3種の指輪が煌きを解き放ち、解き放たれた煌きはヒロムの両腕のガントレットを包み込むと花の形をした紋章を浮かび上がらせ、その直後にヒロムがサウザンとの戦いの前に纏った胴当て式のアーマーの背面と肩部アーマー、それ以前より纏っているマフラーとブーツへ花の形の刻印が現れ、ガントレットにも同じ刻印が現れるとガントレットについては細身のものへと再構築されていく。

 

「武装が改修されただと!?」

「いくぜ……オレたちの力、堪能しろや!!」

 

 何が起きたのか、そして何を得たのか……ヒロムだけが把握しているであろう事に誰もが取り残される中、ヒロムの示す答えを見届けようとするギルナイトだけは嬉しそうな笑みを浮かべていた。

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