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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
叛逆界雷編
1081/1085

1081話 抑える事など出来ない感情


 新た姿となりサウザンを一方的に攻撃した上に吹き飛ばしてみせたヒロム。彼の圧倒的と言えるその強さを前に為す術なく追い詰められるしかなかったサウザンは倒れた状態から立ち上がろうとする中で自らの身に起きたこと、そして自らが相手にしている男の強さの異常性に戸惑いを隠せなかった。

 

「ありえない……!!何が、起きた……!?」

 (今のヒロムはアウロラと互角に渡り合えるだけのポテンシャルを引き出せる領域に達していることは理解している。だが、そのアウロラとオレの実力差はそれ程大きくない……誤差程度だ。いくら下等な人間の皮を被る人間態(この姿)による出力制限が枷になっていようとアウロラと呪具使い相手に連戦してた以上消耗・疲弊はしていて当然のはずだ。その分のアドバンテージがオレにはあるはずなのに……)

 

「どうして、オマエがオレを追い詰める側に立っている……!!」

 

 起きた事を受け入れられず強く当たる事で自らの優位性を取り戻そうとするサウザンが今起きた事を否定するように強く言葉を発しながら黒い光を強く纏いその力を解き放ってヒロムに直撃させようとする。

 

 が、サウザンが黒い光を解き放ち攻撃しようとしたその瞬間を待っていたかのようにヒロムはサウザンの前へと現れ白銀の稲妻を解き放たせる事で敵の解き放った黒い光と衝突させ、黒い光と衝突させられた白銀の稲妻は煌めきを纏いながらその力を高めると敵の力を相殺させるべく対消滅を引き起こさせる。


「何、だと……!?」

 

 対消滅が引き起こされた事でサウザンが解き放ったはずの黒い光は白銀の稲妻と共に静かに消えてしまい、解き放たれれば防ぐか躱すしか選択の余地など無いはずだった。サウザンの中ではそう考えられていた、だからこそヒロムに直撃させるためにその力を解き放ったのだ。

 

 だがヒロムはサウザンの考えにより放たれた攻撃を敵の想定していた形とは異なる展開を迎えさせる結果を実現させ、彼の実現させたその結果を前にしたサウザンは目の前の人間の内から放たれているであろう異質な気迫に襲われていた。

 

「ありえない……何故、何故だ……!?」

(何故オレの力がこんな人間の力に容易く相殺される!?オレはコイツや他の人間を利用して今の強さを得たんだぞ!?それなのに……それなのに、絶望して失意の底へ沈められ何もかもを失いかけた人間の……失意の底から這い上がった程度の人間の力如きに……!!)

 

「何故人間を利用して強さを得たオレの力が絶望して挫折してしまうような人間の力に太刀打ち出来ない……って考えてんだろ?」


「っ……!!」

 

 ヒロムの力を前にして自らの見下す人間を利用して得た力の方が優れていると信じているであろうサウザンはアウロラによって一度は心を折られ絶望に落ちたはずのヒロムの力如きに劣るはずが無いと自らに言い聞かせようとしているその思考を読んだかのように、そしてそれを簡潔にまとめるように多少言葉を選びながら尋ねるように話し、ヒロムのその言葉が思考の核心を突いている事からサウザンは驚きを顔に出してしまう。

 

 サウザンの反応から思考を読み当てたと認識したヒロムは首を鳴らすと敵を見つめながら中指を立てて挑発の言葉を紡ぎ始めた。

 

「哀れだな、下等な生物だと見下してきた人間……それも長年騙し利用してきたクソガキの思考の上で踊らされる始末かよ。どんな気分だ?疲弊消耗してるなら倒せると侮ってた人間の掌の上で踊らされる気分は?」

 

「黙れ……!!」

「言い返す言葉が無くて黙らせるしかないってか?んだよ、そんなんだから肝心な所でミスを誘発するような事をするんだろ?学べよ……堕天の同志を集めるのも慢心からバレて表舞台から退かされたって苦い思い出の上で経験値に変えろよバカが」

 

「黙れって言ってんだろ!!」

 

 ヒロムの挑発、神経を逆撫でする煽りの言葉に苛立ちと怒りを抑えられず叫ぶように言葉を吐くサウザンは黒い光を放出させるように纏うと共にアウロラや怪物化した灰斗が扱っていた禍々しい闇をも纏い始め、2つの力を纏うサウザンはそれらを自らの肉体に重ねるよう強く纏うと肉体を再構築させて人間態から《天罰の天霊》としての姿へ回帰しようとした。

 

 だが、ヒロムがそれを許さなかった。

 

 白銀の稲妻と虹色の煌めきを重ね纏わせた右手で敵の首を掴み、さらに左手に虹色の輝きと煌めきを重ね纏わせて一撃を腹へと再び叩き込ませる。

 

「がっ……!!」

 

 首を掴まれただけでなく腹へ一撃を叩き込まれたサウザンは一撃の衝撃に襲われる中で苦しみの表情を浮かべ、ヒロムによって腹へ叩き込まれた一撃の力が肉体を駆け抜けるとサウザンの肉体を人間態から天霊の姿へと再構築させようと発現していた力がその肉体から剥がされるように消し飛ばされてしまう。

 

「バカな……!?オレの天霊化を……止めたのか!?」

「お望み通りに黙ってやるよ、サウザン。その代わり……歯ァ食いしばれ。今のオレンジ黙るには内側に溜まってるオマエへの全てをぶつけないと無理そうだからな!!」

 

 自らの肉体再構築を阻止された事に強く驚くサウザンの望み通りに黙ってやると告げる一方で黙るには内側に溜まりに溜まったものを発散させなきゃ無理だと告げたヒロムは敵の首を掴む手を離し素早く拳を握ると目にも止まらぬ連撃を敵へと雨の如く叩き込んでいく。

 

 連撃を叩き込まれたサウザンが数歩下がるように押されながら仰け反るとヒロムは予備動作すら見せる事なく連撃を放ち終えると同時に敵の背後へ移動し、さらに移動を済ませた上で回転を行い勢いをも生み出した状態で敵の頭へ回し蹴りを喰らわせる。

 

 連撃からの止まることの無い回し蹴り、それを頭部へ受けたサウザンは大きくよろけてしまうが、そんなサウザンをさらに追い詰めようと回し蹴りを放っていたはずのヒロムがサウザンのよろけた先に現れ白銀の稲妻を纏わせた拳を顔面へと叩き込んでみせた。

 

 回し蹴りを放っていたはずだったヒロム。その回し蹴りを放っていたはずのヒロムはサウザンの顔に拳が叩き込まれた瞬間にな消えており、ヒロムの姿を認識し追跡する事すら困難になっているサウザンは置かれた状況を理解出来ぬまま顔面へ叩き込まれた拳の一撃の力を受けて殴り飛ばされてしまう。

 

 殴り飛ばされるサウザン。何が起きてるのか、それに対する理解が一切追いつかぬ中で次から次に放たれるヒロムの攻撃に対応する事も出来ないサウザンは勢いよく地へ叩きつけられ倒れるも黒い光を禍々しい闇と共に纏いながら素早く立ち上がろうとした。

 

「ちぃ……クソが!!」

 (もはや人間態から天霊の姿へ移行する事すら一瞬のスキとなって攻撃を許してしまう!!思考を働かせたくてもオレの思考よりも速い思考処理を行うアイツの行動が邪魔をしてくれる!!どうにかしてこの状況を……!!)


「考えはまとまったか?それとも諦め始めたか?」


 何をしても後手に回され劣勢に追い詰められるサウザンが必死に思考を働かせようとする中、その思考を妨げさせるかのようにゆつくりと歩を進め近づいてくるヒロム。

 

「オレはまだ、足りてねぇんだけどな……!!」

 

 敵と認識したサウザンを潰す為に接近しようと歩を進めるヒロム。彼の内に抱かれたサウザンに対する感情は止まる事を知らないらしく、その感情が彼を進み続けさせていた。

 

 いや、もしかしたら違うのかもしれない。そう、歩を進める彼の中で芽生えてるかもしれない何かを呼び覚ますかのように彼の右手の2つの指輪の霊装が光を帯び始め……

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