1070話 ユニバース・フューチャー
《ユニバース・ソウルギア》を介した最適な未来へ向かうための導きの力を駆使してガイたちの連携を高度なものへ昇華させたヒロム。
その力で導き放たれたガイたちの一撃でも倒れなかった灰斗を倒すために自らも戦線に介入して動こうとしたヒロムを止めるだけでなく彼の負担を減らす上で共に戦おうとするフレイとラミアは他の精霊の力と想いを纏うように虹色の装いとなる《ユニバース・フューチャー》と呼称した力を発動させた。
フレイとラミアの新たな装いと彼女たち精霊が新たに掴んだ虹色のブレスレットの軌跡を見せられたヒロムは彼女たちの想いを受け止め力を借りて共に戦おうと彼女たちと共にガイたちの戦いに参戦しようとした。
「またせたな、オマエら。こっからは任せとけ」
「そうは言っても流石にここで譲る気は無いよ大将」
「まったく、イクトの言う通りだな。今のアイツを仕留めるんなら全員で仕掛ける方が無難だろ」
「言いたい事は分かるガイ、イクト、真助。ただ……ここは一旦オレたちに任せて欲しい。別に手柄を獲るとか強がりなんかじゃなく、フレイたちのこの力を見たオレの中に生まれた可能性の光を試したいんだ」
「可能性の光って……この短時間でか?」
(虹色の光の導きの力に改善・改良の余地があるのは分かったけど今のさっきでそんな簡単に見つけられたのか?ヒロム、オマエは一体……いや、ヒロムの見ているものを見なきゃ、オレたちは変われない。ただ、導かれるだけの……)
「……分かった。オレたちは一旦下がる」
「ガイ!?」
「オマエ、ここで譲る気か!?」
「譲るとかじゃないイクト、真助。ただ今はヒロムの言う可能性を見てみたいだけだ。何より……今はヒロムの『一旦』にオレの勘を試したいだけだ」
「うーん、よくわかんないけどガイが言うなら一旦は大将に任せよう!!」
「……オマエらが言うなら従うっきゃねぇだろ、ったく」
「ヒロム、頼むぞ」
「期待させてミスるとか無しだからな?」
「天才……頼むよ」
ガイの言葉によってイクトと真助はヒロムに一任する事を受け入れ、ノアル、タクト、ナギトもヒロムに一旦は任せる形で引き継ごうとした。
ただ、彼らは『一旦』ヒロムに任せるだけだ。ヒロムが何をするのか、それを見るために。
そして……
ヒロムは彼らから受け継いだ『一旦』で示す。
「……さぁ、未来へのピースを繋げるぞ!!」
「「はい!!」」
可能性の光、それを試したいとガイたちに伝えたヒロムはフレイ、ラミアと共に走り出し、ヒロムと共に走り出したフレイとラミアは先行しようと加速して彼より先に敵へ迫ろうとした。
「ゥゥゥゥ……ァァァァァア!!」
ヒロムたちが動き出した、それを視覚情報で捉え認識した灰斗は化け物らしく唸り声と雄叫びを上げて禍々しい闇に身を包み、敵がやる気を見せる中でラミアはさらに加速して先陣を切ろうとした。
「先行くわよ」
加速するとラミア、虹色の輝きを纏った彼女は光の軌跡を残すようにしながらさらなる加速を起こして灰斗との間合いを詰めて刀による連撃を放ち喰らわせようとした。
が、灰斗はそんなに甘くなかった。ラミアが刀による連撃を放つと同時に灰斗は禍々しい闇の強化を施した両手の爪で応戦し、ラミアの刀の連撃全てを相殺してみせた灰斗は禍々しい闇の力を高めると連撃を放った後のラミアへぶつけようとした。
だが……
「どこ見てんの?」
ラミアへ一撃喰らわせようとする灰斗の前から既に彼女は消えており、それに気づいた灰斗が攻撃を躊躇う中でラミアは静かに敵の背後へ現れて刀を逆手に持つと再び連撃を放っていく。放たれた連撃は全て灰斗へ直撃して彼の背へ傷を刻み付け、連撃を受けた灰斗はそれにより怯んでしまうも即座に切り替えたのか素早く振り向いて反撃しようとする。
振り向くと同時に灰斗はラミアへ攻撃を放とうとするが彼女は当たり前のように躱すと蹴りを放って敵を怯ませ、攻撃を躱され蹴りを入れられた灰斗は怯むももう一度仕掛けようと禍々しい闇の力を高めようとするが、灰斗が闇の力を高めようとしたタイミングでフレイが敵の間合いへ踏み込むと同時に手に持つ大剣に虹色の輝きを纏った一撃を放ってぶつける事でそれを妨害してみせ、フレイとラミアは武器に虹色の輝きを纏わせた一撃を同時に放つ事で敵に更なるダメージを与え吹き飛ばした。
「ウガァッ!?」
「遅かったわねフレイ」
「遅いも速いもありませんよラミア」
「ウゥウ……ガァァ、ァァァァァア!!」
「さて……フレイ、試しにやる?」
「そうですね。試しにと言うなら私は手数で行きます」
「なら私も連撃の手数で行くわ」
吹き飛ばされるも立ち上がる灰斗を前にして何かを示し合わそうと話すフレイとラミア。2人は対を成すようにそれぞれが右手首と左手首に装着させた虹色のブレスレットを煌めかせ始め……
「ユニバース・ライズ、《トランジェント》!!」
「ユニバース・ライズ……《リベリオン》!!」
『ユニバース・ライズ』、その言葉を口にしたフレイが虹色の輝きに包まれると装いをそのままにティアーユへと姿を変え、同じ言葉を口にしたラミアは虹色の輝きに包まれると装いをそのままにフラムへと姿を変える。
虹色の装いを纏う2人が別の精霊の姿に変わった……いや、姿が変わったのではなかった。
「ウゥ!?」
「参りますよフラム」
「ええ、お任せを」
姿が変わったというよりはフレイとラミアと一体化した他の精霊と入れ替わったという方が正しいであろう現象が起きた。目の前で精霊2人が別の精霊と入れ替わったことに灰斗が人間のような驚きを見せる中でティアーユは双銃を構えると光の軌跡と共に残像を生む超速で駆け出し、フラムは鋭利な爪のついたグローブを装備して駆け出すと一気に灰斗へ迫って蹴り技と爪撃を織り交ぜた連撃を放って灰斗へ叩き込んでいく。
フラムの連撃が叩き込まれた灰斗は確実にダメージを受け膝をつかされ、膝をつかされた灰斗へ追撃するようにティアーユは敵の周囲を無数に駆けながら光弾を乱射してその全てを直撃させる。
フラムの連撃とティアーユの乱射を受けさらに追い詰められる灰斗。だが追い詰められる過程で苛立ちと怒りは着実に募り、その募ったものを爆発させるように灰斗は雄叫びを上げ叫び声と共に闇の光線を撃ち放って2人にぶつけようとした。
「……ユニバース・ライズ、《ルイン》」
「ユニバース・ライズ、《ヘヴン》!!」
灰斗が闇の光線を撃ち放ったその瞬間、フラムはフレイとラミアが口にした言葉を自らも口にすると装いをそのままに今度はシェリーと入れ替わり、フラムと入れ替わったシェリーは虹色の輝きを纏う中で自らの霊装である盾を構えて敵の攻撃を防ぎ止め消滅させてみせ、シェリーにより敵の攻撃が処理された背後でティアーユも装いをそのままにユリアと入れ替わりを起こす。
ティアーユから引き継ぐように入れ替わったユリアは双剣を構えると虹色の輝きを纏う中で無数の光刃を生み出し撃ち飛ばしながら敵へ迫ると光刃と共に無数の斬撃を喰らわせ灰斗を瀕死に追い詰めようとする。
「ウガァァァァ!!」
「素晴らしい力ですね、これは」
「これなら私の剣も通る!!」
「ウゥ……
「オレを忘れんなよ」
フレイ、ラミア、ティアーユ、フラム、そしてユリアとシェリーの入れ替わりから成る連動に追い詰められる灰斗へと音も何も無しに煌めきを纏い現れたヒロムは虹色の輝きを纏わせた拳を叩き込んで敵を殴り飛ばし、虹色の輝きを纏う拳を叩き込まれ殴り飛ばされた灰斗は抵抗する事すら出来ずにまた倒れてしまう。
「ガァァァア!!」
「どうせこの程度じゃ倒れねぇんだろ?ならさっさと立て、オレたちが倒してやるよ」




