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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
叛逆界雷編
1069/1085

1069話 虹色に包まれ


 灰斗を倒すために見事な一撃を放ったガイたち。

 彼らはヒロムの言う通りにし自由に動き全力を出す事に集中して行動したガイたちは細かな意思疎通をしていた訳では無かった。だが、彼らは1人の敵を倒すという目的のために高度な連携へと自分たちの行動を繋げ続けていた。


 何故こんな事が可能だったのか?それはガイたちにも分からない。が、彼らの中で1つ言える事があった。それは彼らの行動が起こる前に現れてはすぐに消えていた虹色の光の存在だった。


 あの光に導かれるように彼らは行動を起こしていたと認識していた。そして、その光の存在はヒロムに起因しているとガイたちは考えていた。


 一撃が直撃した灰斗は直撃に際して起きた衝撃と戦塵に飲まれてその姿を見えず警戒を解くのは不可能だが、ガイはイクトたちが警戒を続ける中でヒロムの方を向いて彼から直接話を聞こうとした。

 

「ヒロム、今のは……その新しい力の影響なのか?」

「そうなるかもな。ただイメージとして可能だと思ったから試してみたけど……大部分はガイたちが動いてくれたおかげだ」

 

「何をしたんだ?」

「精霊の因子の《先導》の延長上の力として《流動術》による先読みの規模を今発動している《ユニバース・ソウルギア》の虹色の輝きで拡張してみたんだ。いくつかある未来への分岐、その分岐に対してガイたちがその瞬間に最適として認識出来る道筋に導く……てな事を試してみたんだ」

 

「未来への先導……先読みを可能としたヒロムと精霊の王としての力、そこに新たな認識としてヒロムが認識した『未来への考え方』が組み合わさった事で実現出来たのか」

「多分、な。ただ改良の余地はあるだろうし……今回はあのクソキモロン毛が化け物化して思考能力が低下してるから成功したようなもんだ。相手がアウロラ……もっと言うならスピットや四条貴虎、ノーザン・ジャックとかなら話が変わってくる」

 

「その辺は《流動術》の先読みの欠点と似てるのか……」

 (簡単に説明してくれてるがヒロムがイメージとして実行した事はかなりスゴイ事だ。ヒロムのこの力が完成系になって、オレたちが強くなったとしたら今みたいな多人数で行動する際に余計な事を考えす貢献や防御に専念できるようになるし、無駄のない取捨選択を常に行えるのならオレたちは……)

 

「ァァァァァア!!」

 

 ヒロムが自分たちの連携を導き繋げてくれた、そのカラクリを聞かされたガイは虹色の光による導きと強くなった自分たちが連動出来ればと可能性を感じ取っていたが、そんなガイの感じていた可能性を消し飛ばすかのように雄叫びが響き渡り、響き渡る雄叫びによって戦塵と衝撃が吹き飛んで傷だらけの灰斗が姿を現し、現れた灰斗は禍々しい闇を強く纏うと傷を徐々に回復させていく。

 

「アイツ、あんだけの攻撃を直撃で受けたのに動けるのか!?」

「おい、ヒロム!!オマエの今の話が本当なら仕留めれたんじゃねぇのか!?」

 

「勘違いするな真助。今のはあくまでオマエらがアイツに攻撃を命中させるために最適な動きを取れるように導いた上で全員が一点に攻撃を集中させられるようにしただけだ。仕留められるかどうかはアイツの肉体強度の方に問題があんだよ」

「あ!?んだよそれ!?」

 

「ちょい待ち真助。今のは大将じゃなくて火力不足のこっちに問題あるんだから責めんのは違うって」

 

「ちぃ……!!なら、どうすんだよ!!」

 

「それは……今から考えるしかないって!!」

 

 灰斗を仕留められなかった、これについて真助は安直にヒロムの虹色の光による導きが甘かったと考え彼に文句を言うがヒロムは導く力の問題点を伝えた上で化け物化した灰斗の肉体強度にも原因があると伝える。

 

 その説明を受けても納得がいかない様子の真助を落ち着かせようとイクトは彼を宥めようとするが真助は敵を倒す事を思考の中で優先してるのかイクトに当たるような言い方をし、真助の言葉に対してイクトは多少苛立ちながら今から思考すると返すしか無かった。

 

 彼らは別に焦りを感じて取り乱している訳では無い。当然、その理由をガイは気づいており、そして彼はヒロムが言おうとしていた改良の余地が何を指すのかを理解させられた 。

 

「なるほど……こうなるから改良の余地あり、か」

(最適な選択への導きはあくまで確実性の保証ではなくヒロムとオレたちが最悪の展開を避ける事の副次効果としてオレたちの無伝達連携を成立させるための最適行動の道筋の選別をしているだけだ。最適とは答えでは無い……かくじつな未来の結果の確定ではなく未来への導筋の選定でしかないって事か。しかも……)


「相手との実力を埋める訳じゃないから相手次第では通用しない……《世界王府》の猛者共を相手に使えないってのはそういう事か」

 

 最適への導きだけでは敵は仕留められない、この状況において1番理解しておく必要のある要素を理解し認識した上で灰斗を倒すべく構えようとするガイ。

 

 ガイが構えようとする一方でヒロムは深呼吸をすると自身も戦線に加わるべく前に出ようとした。

 

 その時だった。

 ヒロムが前に出ようとすると彼に宿る精霊のフレイとラミアが進行を止めさせるかのように彼の前に立ち、2人に行く手を閉ざされたヒロムが足を止めると彼の宿す他の12人の少女の精霊が彼の後ろへ並ぶように現れる。

 

「オマエら……?」

 

「マスター、待ってください」

「アナタが前に出るのはまだ早いわ」

 

「早くは無いだろラミア。因子の《先導》によるガイたちの連携誘導だけじゃアイツを倒し切れない。ここまで来たらオレが入って連携のクオリティを高めるしかない」

「ですがマスターのその導く力、見た目では分かりにくいですが脳への負担は蓄積されていますよね?」

 

「試し打ちのぶっつけ本番だからな……て誤魔化すのは野暮だな。フレイたちみたいに精神と魂の繋がりを介する訳じゃないから多少の負担は生じてる。けど、あの化け物を潰すには……

「導き手はマスター1人で担うものではありませんよ」

「私たち、これでもアナタの精霊なんだから」

 

「気持ちは有難いが流石に全員で連携に加わるのは……

「いいえ、違いますよ。たしかに私たち全員が力になる意志を持っています」

「でも全員がアナタの導き手になるのは無理がある。だから考え導いたわ」

 

「「私たちがマスターを導くための最適な在り方を!!」」

「「私たちの想いを繋げるやり方を!!」」

 

 フレイのラミアの言葉に続くように他の12人の精霊が心を1つにして言葉を発する。14人の精霊の言葉がヒロムに伝えられたその時、彼の胸元から虹色の煌めきが現れる。

 

 現れた虹色の煌めきは彼女たちの人数と同数に分かれ散ると彼女たちのもとへ飛んでいき、フレイたちが手を伸ばすと14に分かれた煌めきは虹色のブレスレットへ変化していく。

 

 フレイ、マリア、アイリス、ティアーユ、ステラ、ユリア、アリシアが虹色のブレスレットを右手首へ装着するとラミア、フラム、テミス、セレナ、シェリー、セツナ、セラは虹色のブレスレットを左手首へと装着した。

 

 そして……

 

「「「「ユニバース・フューチャー!!」」」」

 

 虹色のブレスレットを装着したフレイたちは声を揃え大きな声で叫び、フレイとラミアのブレスレットが強い煌めきを放つと右手首へブレスレットを装着した6人の精霊は虹色の輝きとなってフレイを包み込み、左手首へブレスレットを装着した6人の精霊は虹色の輝きとなってラミアを包み込んでいく。

 

 虹色の輝きに包み込まれた2人は次第に自らを包む輝きと一体化するように装いを変えていき、装いを新たにしたフレイとラミアは虹色の輝きを纏うようにしながらヒロムたちの前へその姿を現す。

 

 虹色のティアラを頭に乗せ、身に纏うは虹色の輝きから成ったとされる膝丈スカートのウェディングドレスを思わせる衣装、虹色の手袋と虹色のブーツを纏った2人はそれぞれが保有する武器となる霊装を出現させて装備するとヒロムに視線を向ける。

 

「さぁ、マスター。行きましょう、これなら私たち全員でアナタの力になれるわ」

「先程マスターはガイたちの未来を勝利へ向かうよう導きました。先程のが足りなかったのであれば私たちも加わります。今度は私たちとマスターの未来を……共に導きましょう!!」


「……そうだな。アイツが白丸たちの未来のために戦うってんなら、オレたちは皆の未来のために闘うぞ!!」

 

 虹色のブレスレットを介して新たなる虹色の装いを纏ったフレイとラミア。未来へ向かうよう導きの手を言葉でフレイに伝えられたヒロムは力強い返事を返すと虹色の輝きを纏い彼女たちと共に戦線に加わろうと動き出した。

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