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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
叛逆界雷編
1063/1085

1063話 未来を実現するための1歩


 ヒロムの示した答え、不完全なものではなく未だ先行きの見えぬ未来に対する考えを改めたからこそ述べたヒロムのその答えと彼の意思を理解し受け止めたギルナイトはあくまで白丸たち『精霊のため』だと前置きしそのためにしか手を貸さないとしながらもヒロムと協力する意思を示した。

 

 ヒロムとギルナイト、本来ならば悪意の魔女によりヒロムは陥れられギルナイトがヒロムの後釜にされるはずだった。

 

 だが、彼らは悪意の魔女の思惑を打ち破るが如く手を取り敵の思惑には無い未来を切り開こうとしていた。

 


 自らの思惑から大きく外れる形で立ちはだかるようにヒロムとギルナイトが目の前に並び立つ状況にあるアウロラ。イクトと真助の相手をさせられる中で2人のやり取りが嫌でも聞こえていたのか、彼女は2人の顔を見るなり鬱陶しそうに舌打ちをし、アウロラの舌打ちの理由を把握してるであろうギルナイトは敵である彼女を煽るように話し始める。


「どんな気分だ、計画を利用され使い捨てにされた気分は?オマエの思惑通りに精神的な視野狭窄に陥って何も見えなくなって絶望するはずだった男が再起して再び立ちはだかるというのはさぞ苛立たしい事だろう……だからせめて聞かせてくれ、その苛立ちを抱かされる心境を」

「……黙りなさい」


 イクトと真助を赤子のように扱うが如く相手にするアウロラはギルナイトの言葉を行動で拒絶するかのように禍々しい闇を放出させるとそれを用いて2人を攻撃し、イクトと真助が攻撃を察知して大きく下がり躱した事で戦いの流れが1度途切れるとアウロラはギルナイトを睨みつけ冷たく反論した。


「口を慎みなさい……裏切り者が。ギルナイトだなんてふざけた名前を語るだけでもうざったらしいのに私を騙してそんな低能な転生体に加担する道を選ぶなんて……自分はどうかしてると思わないのかしら?」

「オマエに手を貸してもチビたちの未来は約束されない。対してこのバカ転生体にはその可能性が多少なりとも感じ取れる。選択肢としては十分、チビたちの未来を約束出来る方を選ぶのは当然の事だ」


「気持ちの悪い事を口にするなんて……見損なったわ」

「勝手に言ってろクソ魔女。さて……おい、死神もどきと妖刀狂い。一旦戻ってオレとこのバカにその魔女の相手を譲れ」


 ギルナイトの煽りに言葉を返すアウロラ。敵の言葉に対して迷いもなくギルナイトは自らの意思を返し、彼はアウロラの相手をさせられていたイクトと真助に視線を向けどこか適当にも思える渾名を口にしながら戦いの流れが1度途切れた2人へ引き下がるように告げた。


「死神もどきって……もっとまともな呼び方なかったの?」

「呼び名とかどうでもいい。悪いが黒いの……譲れと言われて簡単に譲る気は無い」 


 あまりに適当で雑な渾名で呼ばれた事に不満があるイクトとは異なりどう呼ばれるかよりもアウロラの相手を譲る流れに入り掛けている事が気に食わない真助はギルナイトの命令でしかない言葉を拒否した。

 

 真助が素直に聞くわけがない、そんな事は想定内でしかないギルナイトは面倒な流れになるという事も予想していたらしく真助に対して向けているであろう面倒そうな反応のため息をつく。ギルナイトが面倒に感じているであろう中でヒロムは彼の代わりに真助を納得させようとギルナイトの前に出るとアウロラの相手を譲る気の無い彼に向けて話し始めた。

 

「真助、ここはオレとコイツに任せてほしい。そいつを斬り倒したい気持ちは分かる……けど、ここは一旦コイツの言う通りに譲ってくれ」

「あのなぁ、ヒロム。過去の女との無駄な因縁に終止符を打ちたいのは分かるけど、それとオレの戦いの邪魔をするのは話が違う。この女を半殺しにしてオレとイクトで倒した呪具使いを傀儡に接触してきた『妾』とか言ってた野郎について知ってるか吐かせる」

 

「妾ってのが何の話なのかは知らねぇけどここは……

「待て、妖刀狂い。1つ教えろ」

 

 真助の言い分について知らない点があるせいでヒロムが上手く返事を返せずにいるとギルナイトは何か心当たりがあるかのように真助に尋ねようとした。

 

「そいつはオマエの事……根源的な部分として《月閃一族》の事を話していたか?」

「あん?何でオマエが……

「答えろ。それ次第ではあのクソ魔女を仕留めた後でオマエらの仲間のもう1人の血筋の男が知ってる情報の一部をオレが提供してやる」

 

「オマエ……妖月とか閃月とかの話が分かんのか!?」

「仮にもバカ転生体の精神世界の中に居た頃のクソ魔女の持ち掛けてきた計画の話の中にあった話としての内容で知ってる程度だ。オマエらの仲間のあの男が知るような情報に比べたらあまりにも小さな事しか話せないがな」

 

「……もし今あの女の相手を素直に譲ったら、その小さな事でもいいから話してくれんだな?」

「オレが話すかお仲間の男が話すかはさておいて、タイミング的にオレが先なら知ってる範囲で話してやるよ」

 

「そうか……よし、イクト。下がっぞ」

「嘘ぉ!?あの真助が納得した!?」


「その代わり黒いの……終わって何も無しとかだったらタダじゃ済まさねぇから覚悟しとけよ?」

「だる……信用して譲れっての」

 

 少ないやり取りで戦闘を引き継ぐ上での取引を真助との間で成立させたギルナイト。話し合いが成立するような空気では無いように思えた中での真助の合意にイクトが思わず驚く中で真助は念押しするような視線をギルナイトに向けながら冷たく伝え、ギルナイトは念押ししてまで取引に確実性を持たせようとする真助に鬱陶しさを感じため息をつきながら軽く言葉を返して話を終わらせようとした。

 

 イクトと真助が流れのままアウロラとの戦いから離脱、その戦いを引き継ぐ上で因縁の対決として白黒つけようと考えるヒロムとギルナイト。

 

 アウロラを相手にするべく敵に近づこうと数歩前進する中、ギルナイトは足を止めるなりアウロラの動きを捉えようと視界に入れながらヒロムに指示を出し始める。

 

「……3分だ」

「3分?何の話だ?」

 

「オマエがさっきオレに提示した多くの人間共と歩いて見つける未来とやらのために何を実現するのか、何を実行するのかその力をオレに示せって言ってんだよ。3分であのクソ魔女を見返すついでに体現するその姿をオレに見せてみろ」

 

「5分で答えを出して来いって言った次は3分か……まったく、オマエは急かすのが好きなのか?」

「無駄口叩くようなら完璧な答えを求めてもいいんだぞ?オマエが及第点の答えを提示してもオレの甘さで許してるだけ……判断を覆すのも簡単だぞ?」

 

「オッケー、分かった。そこまで言うなら見せてやるよ」

 

 ギルナイトに答えを出した上で何をするのかを示してみろと告げられ、逃げ場を無くすような言葉で実行を強要されている状況にあるヒロムは仕方なさそうに返事をするとアウロラとの真っ向勝負を始めるかのようにギルナイトの前に出て立ち……

 

「まだ見ぬ未来、想いの数だけ広がり続ける未来を導き共に向かうための力……見せてやるよ!!」

 

 ギルナイトの期待、彼が期待を向けているのかはさておいて示すよう指示された事へのアンサーを実現するためにヒロムは白銀の稲妻を強く纏い始める。そして……

 

「未来へ導いてくれ……オレの魂!!」

 

 白銀の稲妻を纏うヒロムが叫ぶと彼の胸元が眩く輝き始め、その輝きに呼応するように彼の周囲に虹色の煌めきと共に虹色の輝きを放つ粒子となりながら彼の周囲を舞い始める。

 

「煌めきを未来のために解き放て……ユニバース・ソウルギア、ドライヴ・オン!!」

 

 虹色の輝き放つ粒子が舞う中でヒロムが叫ぶと白銀の稲妻は虹色の輝きの粒子と一体化するように交わりながらヒロムを包み込み、稲妻と輝きの粒子の交わりの中に包み込まれたヒロムはその中で輝きを纏うように装いを改めていく。

 

 その姿は……とても、眩しいものだった。

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