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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
叛逆界雷編
1057/1085

1057話 罪に背く騎士


 自らが精霊の因子の守護者である事をヒロムやガイたちに間接的に明かす事となった黒い少年。彼はヒロムが姫神華乃とハートの霊体から授かった『勇気』の秘めた力を解き放つブレスレットと『可能性』の秘めた力を解き放つブレスレットの2つを合わせ再構築させた漆黒のブレスレットを装着した状態で自らの力たる漆黒の力を纏いながら呪具使い5人を倒しに向かおうとする。

 

 彼が戦線に復帰する、その戦いの間に彼の言葉で心を立て直したヒロムは完全な再起のために彼の言う通りに自身が何を抱くべきなのかを見つめ直そうとしていた。

 

 そんな中、ヒロムとの話を終え戦線に復帰する黒い少年の態度が気に入らないらしいアウロラは気分が悪そうに舌打ちをすると彼に向けて話し始める。

 

「ずいぶんとその男の肩を持つじゃない。私を利用した挙句、その男に期待して何かをさせるって言うのかしら?」

「勘違いするなよ、クソ魔女。アイツに期待するなんてだるいだけだ。オレは単にオマエの計画に乗った所でチビたちが幸せになれないって確信した上でアイツならチビたちの幸せのために利用出来ると思ってるだけだ」

 

「利用価値を見出してる、それって期待してるのと同義じゃないの?」

「一緒にすんな、鬱陶しい。失意の中に落ちて挫けるようなバカに期待する事なんてオレの中には何もねぇんだよ」

 

「口では何とでも言えるわね。でも……正直なところ、因子の守護者に成り下がっていた事は残念でしかないわね。アナタの事を悲劇の運命から救い出してあげたかったのに……まさか運命の歯車の1つになる事を選択するなんて、失望したわ」


「勝手に期待したのはオマエの方だろ?頼んでもねぇの期待して、都合悪くなりゃ失望したって?オマエの勝手な考えで話進めんなよクソだるい」

「だるいだるいと言いながら私に歯向かうのは何なのかしらね……まぁ、アナタが敵対する方針ならこちらもそうする他ないわね」

 

「はっ……そう思うんなら、オレを追い詰めてみろよ」

「ええ、言われなくても……ね!!」

 

 勝手に期待しておいて失望したなどと発言するアウロラに嫌気がさしている黒い少年は敵対する彼女を煽るように強気に返し、彼の言葉に乗せられるようにアウロラが禍々しい闇を解き放つと灰斗たち呪具使いを拘束する漆黒の力の鎖を全て消し去ってみせる。

 

 漆黒の力、それが形成する鎖の拘束から解放され自由を取り戻した灰斗たちは黒い少年を強く睨むと彼に全ての怒り・憎しみをぶつけようと駆け出す。

 

「よくもやってくれたね黒いの!!裏切った代償!払わせてやる!!」

 

「裏切ったも何も最初から組んだ覚えねぇよ、くだらねぇ」

「私たちをバカにしてくれたお礼……たっぷり味わいな名無し!!」

 

「名無し?あー……アイツに『姫神ヒロム』を譲るならオレの名前は無い事になんのか。だるっ……仕方ねぇ、コレの……そうだな、《ホープハート》の試運転ついでに考えてみるか」

 

 黒い少年への怒りと憎悪を燃やしぶつけようと駆け出す呪具使いを相手にするため歩を進める彼は雅蓮の言葉で今の自分に名前が無い事を認識すると《ホープハート》と呼称した漆黒のブレスレットの力の試運転を兼ねて敵を相手にするついでに命名しようと思いながら漆黒の力を高め始める。

 

 迎撃の意思を強める少年を倒すべく戦線復帰した朧波が先行し、加速を重ねる朧波は一気に彼に接近すると太刀の呪具による一閃を放とうとする。

 

「その首、貰うぞ」

 

 早々に戦いを終わらせようと朧波は太刀を素早く振って黒い少年の首を討ち取ろうとする。敵の一撃が迫る中で黒い少年は焦る様子を見せることなく……

 

「ドラン、ライト……暴れろ、『壊』!!」

 

 子竜の精霊であるドランとライトの名を口にした黒い少年の瞳が紅く光ると漆黒の力は龍の爪と牙の形となって朧波の一閃を防ぎ止め、さらに一閃を弾き返す勢いで爪と牙が朧波に攻撃を食らわせ敵の体を切り裂いていく。

 

「な……!?」

 

「何やってんだオッサン!!」

 

 予想外の反撃だったのか対応出来ず漆黒の力が変化した爪と牙に体を切り裂かれ負傷してしまった朧波が怯んでしまうと同じく戦線復帰した打剛が彼に加勢しようと大槌の呪具の力纏いながら黒い少年に攻撃を仕掛けようとする。

 

 打剛が迫る中で漆黒の力が変化した爪と牙は少年を守ろうと向かってくる敵を迎え撃とうと襲いかかっていくが、打剛は自身の能力に自信があるのか避けようとせず勢いそのままに突き進んでくる。

 

「避けないのか?」

「オレの能力を知らねぇのか?オレの硬質化とこの大槌の《墜厳》の鉄壁の前では……

「くだらん」

 

 ノアルとの戦いにおいて破られるまで『完全無欠』と自信満々で構えていた自らの力で強行突破に踏み込もうとする打剛の言葉を遮るように少年が言葉を冷たく吐き捨てると爪と牙は打剛に命中する。

 

 命中した所で能力と呪具でどうにか突破出来る、そう考えていた打剛だった。が、爪と牙が打剛に直撃した瞬間、敵が機能すると思われた能力がその効果を発揮する様子もなく爪と牙が敵を抉り貫いていく。

 

「……は……!?」

 

「その程度の力、壊せないと思ったのか?」

 

 甘いな、と黒い少年が右手を負傷した敵2人へかざすと爪と牙はその力を高めながら朧波と打剛き一撃を食らわせていく。

 

「……グランブレイク!!」

 

 朧波と打剛を倒すべく一撃を喰らわせようと迫る爪と牙は竜の姿を一瞬垣間見せた直後に強い力を発しながら2人の呪具使いに斬撃を食らわせ勢いよく薙ぎ倒してみせ、強力な一撃を受け再起不能に等しいダメージを受けながら吹き飛ばされた朧波と打剛は勢いそのままに倒れてしまう。

 

 あまりにも呆気なく倒された2人の呪具使い。2人の敵討ちなどではなく自分たちの怒りと憎悪をぶつけるべく雅蓮と雅麗は呪具の力を高め一撃を決めるために接近しようとした。

 

 何度目になるか分からない姉妹の呪具使いの接近、性懲りも無く向かってくる2人に対して少年は……

 

「次……小姫、小虎。遊べ」

 

 今度は瞳を蒼く光らせて小姫と小虎の名を口にする少年。子猫の精霊の2匹の名を口にした少年が指を鳴らすと爪と牙となっていた漆黒の力はその形を捨てると今度は無数の刃と弾丸となって向かってくる姉妹の呪具使いに向けて一斉掃射される。

 

 一斉に掃射される無数の刃と弾丸、迫り来るそれらに対して雅蓮と雅麗は当たり前のように無言で頷き合うと華麗で素早い動きを魅せつけるようにしながら躱し続け黒い少年に着実に接近していた。のだが……

 

「……どういう事!?」

「何で、何で……」

 

 躱し続けても途絶える気配の無い掃射される刃と弾丸。躱し続けでも尚次から次へと新たに飛んでくる攻撃、終わりが見えぬ中で躱し続ける姉妹だったが、次々に向かってくる刃と弾丸は彼女たちの前で心身共に追い詰めるが如く数多に増えながら襲いかかる。

 

「……『衝』、ストライクフィニッシュ!!」

「「あぁぁぁぁあ!!」」

 

 数多に増えながら姉妹の呪具使いに一斉に直撃していく刃と弾丸。全てが直撃した事により雅蓮と雅麗は全身をひどく負傷しながら倒れてしまい、姉妹が倒れると2人を追い詰めた刃と弾丸の掃射は止まってしまう。

 

「オマエぇぇぇえ!!」

 

 流れと口調から4人が倒された怒りから来る感情で駆け出したように加速する灰斗。灰斗が向かってくる中で黒い少年の瞳が翠に光ると漆黒の力が彼の姿をした幻影となって数体に分かれると敵を包囲するように配置についてみせた。

 

「なっ……」

「行け白紅、蒼黒……『舞』、イリュージョンラッシュ!!」

 

 複数の幻影の出現に灰斗の足が一瞬止まるとその瞬間を逃す事無く全ての幻影が動き出すと共に目にも止まらぬスピードでの連撃を灰斗に次から次に叩き込んでいく。

 

 足を止めた一瞬、僅かな時間の無意識の停止を突くように放たれた連撃の全てを抗う事も出来ずに全て受けるしかない灰斗。その灰斗が幻影たちの連撃を受け確実にダメージを受け続ける中で歩を止めぬ黒い少年は手を伸ばせば敵に触れられる間合いに達すると瞳を銀色に光らせ……

 

「白丸、黒丸……決めるぞ。『撃』……!!」

 

 ドランとライト、小姫と小虎、白紅と蒼黒。子竜、子猫、子狐の順に名を呼ぶように口にした少年が最後と言わんばかりに子犬の精霊の白丸と黒丸の名を口にすると彼の拳に漆黒の力が収束され、拳に収束された漆黒の力は強さを高めながら稲妻と成り、そして……

 

「インパクトバースト……!!」

 

 歩を止める事無く進み続け、全ての敵を退けて灰斗との間合いを詰めた黒い少年は強く地を踏み込むと稲妻と成った漆黒の力を纏う拳で拳撃を叩き込み、灰斗に拳撃が叩き込まれると拳の一撃に重ねるように漆黒の力炸裂し、炸裂による衝撃が重なる事で大きく強い力が解き放たれると灰斗は全身にそれを受けながら吹き飛ばされ勢いよく倒れてしまう。

 

 朧波、打剛、雅蓮、雅麗、そして灰斗……急激な力の高まりを見せていたはずの呪具使い5人が黒い少年に触れる事すら出来ぬままあっという間に倒された。

 

 5人の敵を倒した黒い少年、彼はため息をつくとアウロラに視線を向け、そして……

 

「……決めた。今この時から名乗る名前が浮かんだ。チビたちの未来を脅かす罪深き悪意を討ち潰す心……ギルナイト、それがオレの新たな名前だ」

「ギルナイト……ですって?何のつもりなのか知らないけど……ふざけた事を言ってくれるわね!!」

 

「長いと思うなら『ギル』でもいいぞクソ魔女。まぁ、これから潰されるオマエに呼ばれる気はまったく無いがな」

 

 自らを『ギルナイト』と名付けてみせた黒い少年。新たなスタートを切るが如く名乗ると同時に敵を倒すと宣告する彼は……

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