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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
叛逆界雷編
1054/1085

1054話 漆黒バスター


 ヒロムたちの味方として振る舞うかのように彼らの敵である呪具使いの1人・灰斗を迎撃し吹き飛ばしてみせた黒い少年。

 

 灰斗が吹き飛ばされ倒れると大鎌の呪具を構えた雅蓮と2本の鉈の呪具を構えた雅麗は彼に代わって黒い少年を仕留めようと闇を纏い呪具の力を高めながら駆け出し動き出す。

 

 呪具使いの姉妹が動き出す中で灰斗は舌打ちをしながら立ち上がると闇を強く纏いなかわら少年を睨むと全身の力を高めさせるヒロムのものとは名前だけ同じで性能は異なる《ソウルギア》を発動させ高速で動き出して彼を翻弄しようとした。

 

 黒い少年を倒そうと接近する雅蓮と雅麗に加えて立ち上がり《ソウルギア》の発動で力を高め加速しながら再度の攻撃を仕掛けようとする灰斗。高速で動き出した灰斗は少年を翻弄するかの如く縦横無尽に動き回り、敵の高速での縦横無尽に動き回りながら迫ってくる中で黒い少年は足を止めると深いため息をついて敵への不満をこぼしてしまう。


「だる……無駄に動かれると目で追うの疲れんだから勘弁してくれや。動くのはだるいのによ……まぁ、その程度なら動かなくても気配だけでいいんだろうけどな」

 

 黒い少年は深くため息をつくと動くのが面倒と話した通りに微動だにせず、高速で四方八方動き回りながら迫ってくる灰斗の気配を発言通りに微動だにせぬまま気配だけ追いかけようと静かに敵の気配の感知を始めた。


 動こうとしない少年に対して灰斗は気配を感知出来ぬようにしようとさらに加速しながら軌道を複雑化しようと試み、黒い少年の意識が灰斗の高速機動に対する気配感知に向けられると雅蓮と雅麗は気配感知に意識の向いている少年を仕留めるべく左右からの挟撃を実行しようとした。


 灰斗の気配感知に意識を向けているからか黒い少年は迫って来る姉妹の挟撃に対して反応する素振りなど見せず、反応が無いことから雅蓮と雅麗はこのまま決められると確信しようとした。のだが……



「……んなもん上手くいくわけない」


 このままならば挟撃を決めてダメージを与えられると確信しようとする雅蓮と雅麗の思考を把握したかのようにそれを冷たく叩き潰すが如く言葉を口にした黒い少年は漆黒の力を右足に纏わせると地面を蹴り、少年が地面を蹴ると纏われていた漆黒の力が地表で炸裂して漆黒の衝撃波と成りながら灰斗を襲った時のように姉妹に襲いかかろうとした。


 迫り来る漆黒の衝撃波を躱すべくき挟撃を諦め高く跳ぶ雅蓮と雅麗。挟撃を中断して高く跳ぶという選択により衝撃波の回避に成功するも肝心の攻撃の方はあと少しの所で阻止されてしまった。とはいえ諦めるはずがなかった。


 漆黒の衝撃波を躱すために跳んだ2人は次なる攻撃を仕掛けるべく宙で体を回転させながら黒い少年に対して雅麗は彼の正面に立つように着地を決めると鉈に闇と烈風を纏わせながら地を駆け、か雅麗が真正面から少年に攻撃を仕掛けようと駆け出す中で彼の背後に位置取るように着地を決めた雅蓮は大鎌の呪具に闇の力を強く纏わせると一撃を叩き込む機会を探るように構える。


 左右からの挟撃から前後からの挟撃、単なる挟撃の方向性が変わっただけじゃない。左右からの時は双方が仕掛けてくる事を容易く認識出来るが今度のは違う。前後からの挟撃のうち人間の視覚的な観点からも正面を認識するのは容易いが代わりに背後からの攻撃は気配等による感知での認識でなければ読み取れない。


 単なる前後からの挟撃ならそれで済む。が、今の状況においてはそれだけでは済まない。

 姉妹の前後からの挟撃が少年に迫っている中で今も彼を惑わすべく縦横無尽に高速で動き続ける灰斗、この灰斗の動きを気配感知にて探っている状態の彼は視覚情報からの雅麗への対応といつ仕掛けてくるか分からない高速機動の灰斗の気配感知をこなした上で背後からの雅蓮の接近とその一撃を対処しなければならない。


「1度目の挟撃は……陽動か!?」


 黒い少年と呪具使いの戦いを見守る形となったガイは姉妹の最初の挟撃がこの展開を引き起こすための陽動だったと理解すると蒼炎と共に霊刀《折神》と6枚の翼型の鞘の《煌翼甲》を出現させて呪具使いの攻撃の妨害に入ろうと考えた。


 が、その時だった。


「言ったはずだ天才止まり……休んでろってよ」


 少年を助けるべく敵の妨害を狙った介入を考え動こうとするガイのそれを感覚的に察知した黒い少年は念押するように静かに言うと漆黒の力を身に纏い、漆黒の力を纏った黒い少年は再び歩き出すと静かに漆黒の力を高めながら雅麗との間合いを縮め始める。


 向かってくるなら好都合と言わんばかりに雅麗は加速すると一気に少年に接近して連撃を放っていく……が、雅麗が連撃を放つ中でゆっくりと歩き続ける彼はまるで敵の連撃がどこを狙って放たれるのかを把握しているかのように無駄のない最小限の挙動で躱しながら躱せないものは手を添えるようにして鉈の軌道を逸らさせ無力化させていく。


 ゆっくりと進み続ける足を止める事無く最小限の動きで躱して逸らさせてで敵の連撃全て凌いだ少年。


 想定外の彼の動きと対処で一切のダメージを与えられなかった事実を突きつけられる雅麗は未だに止まらずゆっくり進み続ける彼に狼狽えたのか後退りをしてしまい、後退りを始めた敵に対して少年は冷たい眼差しを向ける。

 

「どした?こんなもんか?」

「あ……あぁぁぁあ!!」

 

 この程度かと煽るように問う黒い少年のその言葉に連撃を1つも当てられなかった雅麗は精神が追い詰められたのか狼狽してしまい、ただ何とかしようと焦りが先走ったのか雅麗は闇と烈風を強く纏わせた鉈による強力な一撃を慌てて放とうとした。

 

 だが、彼女のその焦りが命取りだった。

 焦りから放たれるその一撃はあまりに大振りで隙が大きかった。だからこそ黒い少年は彼女が放つ一撃を慌てる事もなく静かに受け流すように躱してみせ、そして少年は漆黒の力を拳に纏わせると拳撃を叩き込んで彼女を殴り飛ばそうとした。

 

「あっ……」

 

 隙だらけの攻撃を容易く躱された雅麗はカウンターの一撃が叩き込まれる瞬間に自らの危機を認識して焦燥感に襲われるが時既に遅し、彼女に少年の迎撃の拳から逃れる術は無かった。

 

 が、それは彼女単体で見ればの話だ。この瞬間、少年の意識は連撃を全て躱され焦りから一撃が大振りとなって危機に瀕する事となった雅麗を追い詰めるために一撃を放つ方へ行動が傾いたこの時を狙っていたかのように灰斗が闇を強く纏い高速で地を駆け抜け彼へ迫って雅麗を救うかのように一撃を叩き込もうとした。

 

「油断大敵……この時を待っていたんだよ!!」

 

 雅麗にカウンターを決めようとする少年、その動きは止められない。そこを狙ったかのように迫る灰斗の一撃を少年が止める手立ては雅麗同様に無い。

 

 カウンターを決めるために行動がそちらに向いている彼が咄嗟の判断で反応しても灰斗の一撃を受ける事は避けられない。そしてこの時を最大のチャンスと捉えた雅蓮は最大の力で放つ大鎌の一撃を決めるために高めた力を全て解き放とうとした。

 

 雅麗にとってのピンチが黒い少年のピンチに急転しようとする。流石にこれは手を出さない訳にはいかないとガイは先程の少年の念押しを無視するように走り出そうとした。

 

 だが……

 

「残念だがオマエらが仕掛けるタイミングは『ここ』じゃない」


 雅麗を迎撃し殴り飛ばそうとする黒い少年を倒すべく迫る灰斗と雅蓮の攻撃に対してどう見ても為す術など無いと思われる中で彼は敵に告げるように言葉を発し、その直後に彼の纏う漆黒の力が砕けるように散る。


 そして、直後……何が起きたのかすら認識する間もなく雅麗と灰斗が何かに襲われて吹き飛ばされて倒れ、2人が倒れる中後方で一撃を放つために力を高めていた事で何とか奇跡的に難を逃れた雅蓮は漆黒の力が消えた今がチャンスだと今度こそ決めようと確実に決められる間合いへ踏み込んで背後から勢いよく斬り掛かろうとした。


 だが、これも……


「無駄」


 雅蓮が一撃を喰らわせようと斬り掛かろうとすると黒い少年は敵に背を向けたまま漆黒の力を右手に集約させるとそれに剣の形を与え逆手に構えるように握るとまるで後ろに目でもついてるかのように防ぎ止めてみせる。



「なっ……!?」

「……だっる、3人束になってもこの程度かよ。ぬるいんだよ……ったく、こんなもんかよ」


「っ……!?」

 

 畳み掛けるように仕掛けられた呪具使いの攻撃の全てを一切の無駄なく対処した上で2人を倒れさせた黒い少年は歯応えの無さにため息をつき、彼の反応に本能的な恐怖に似たものを感じ取った雅蓮は思わず大きく飛んで間合いを取ろうとしてしまう。

 

 倒れた灰斗と雅麗は軽い負傷を負いながらも立ち上がろうとし、そんな中で彼は……

 

「もっと歯応えある感じでやれよ。でないと……準備運動にならねぇだろえが」

 

 

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