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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
叛逆界雷編
1043/1085

1043話 1枚目

 

 行く手を阻もうとする有象無象を仲間が引き受けてくれた。仲間のおかげで切り開かれた決着への道筋、かつての悲劇で途絶えた因縁が異なる形で浮上した今こそつけるべき決着に向けてヒロムは2人の精霊と共に因縁の相手へ迫っていた。

 

 《ソウルギア》の発動により身体能力が飛躍的に上昇している上に各挙動に対する瞬発的かつ爆発的な出力増幅を可能としている状態にあるヒロムは自らの後ろをついて来てくれているフレイとラミアを突き放すような加速を起こしながらアウロラへ迫ろうとし、2人の精霊が主に遅れながら走っている様を見たアウロラは面白そうに笑った。

 

「あらあら、滑稽ね。強くなり続ける主人の後ろを必死について走るなんて健気でありながら惨めでしかないわねぇ」

 

「他人の事より自分の心配でもしとけ」

 

 フレイとラミアを嘲笑うアウロラを黙らせるべくヒロムは冷たく告げると視認困難な速度で駆け抜け敵の背後を取って一撃を叩き込もうとした。

 

 だが、ヒロムが一撃を叩き込もうとするとアウロラはヒロムの動きを視認出来ているかのようにヒロムの一撃を華麗に躱し、予想外の敵の動きを見せられたヒロムは躱された一撃から繋げるように回し蹴りを放ってみせた。

 

 偶然なのか必然なのか、どちらかは分からないが敵を倒すには攻撃する以外に手は無い。そう考えるヒロムが放つ回し蹴りは超速と呼べる程の凄まじい速度でアウロラへ迫り彼女を蹴り飛ばそうとする……が、ヒロムの回し蹴りが迫り来る中、アウロラは滑り込むような軽い身のこなしで回し蹴りを避け、その動きのままヒロムの後ろへ回り込むと禍々しい闇を纏った手刀による突きで彼の腹部を抉り刺そうとする。

 

 2度攻撃が躱された、だがそれで止まるわけが無い。回し蹴りを躱されたヒロムはその勢いを活かすようにして反撃の一撃を手刀で放とうとするアウロラの方を素早く振り向くと白銀の稲妻を纏わせた拳で応戦した。

 

 ヒロムの拳とアウロラの手刀、白銀の稲妻と禍々しい闇。双方の一撃と力がぶつかり合い力と力の衝突による衝撃が生じると2人は引き離されるように吹き飛ばされ、衝撃に吹き飛ばされた両者は素早く立て直し攻撃を仕掛けるべくすぐに着地を決めようとしていた。

 

 だが、その瞬間だった。

 

 ヒロムとアウロラは吹き飛ばされた状態から着地を決めようとしている最中、この展開を待っていたかのようにフレイとラミアがそれぞれの宿す力と稲妻を纏いながら敵へ挟撃を仕掛けようと迫り、2人の精霊の挟撃が仕掛けられる中でアウロラは少し残念そうな顔を見せた。

 

「……あぁ、そんな事するの。何だか……拍子抜けしたわ、ね!!」

 

 向かってくるフレイとラミア、2人が仕掛けようとする挟撃に対して何かを察したらしいアウロラは当たり前のように着地を決めているヒロムを軽く睨んだ後に自身も着地すると足下の地面に禍々しい闇を流し込ませ、禍々しい闇が流し込まれた地面は突然亀裂を引き起こしながら闇の刃を無数に隆起させて2人の精霊の進路を妨害し、さらにそのまま2人を仕留めようとした。

 

「「!!」」

「そのまま串刺しに……

「させる訳ねぇだろうが!!」

 

 向かってくるフレイとラミアを無数に隆起する闇の刃で妨害した上でそのまま葬ろうと企てるアウロラのそれを打ち砕くようにヒロムは白銀の稲妻を解き放ち飛ばす事で2人の精霊の前に現れた闇の刃を全て消滅させて最悪を回避してみせた。


 ヒロムによって闇の刃は消滅し2人の精霊は無事に済んだが進路を妨害されたという事実を前に行動が止まってしまった事で挟撃は中断せざるを得ず、2人の精霊の挟撃が失敗に終息するとアウロラは闇を纏い消えるとヒロムたちから遠く離れ、かつ宙に浮遊した状態で現れる。


 挟撃が失敗に終わったフレイとラミア、2人の精霊の間に立つようにヒロムは素早く移動すると気にするなと伝えるような視線を2人に送り、彼の視線とそこに秘められた言葉を理解出来たフレイとラミアは静かに頷くと落ち込む事などせずに武器を構えてみせた。


 そんな2人の精霊の武器を構え立つ姿にアウロラは懐疑的に見ているようにも思える目を向けるとゆっくりと着地しながら何やら不満があるような口振りで話し始めた。


「主の力となるべき存在が主の足手まといになるなんて……存在意義があるのか怪しいものだわね」


「うるせぇぞ。フレイとラミアが足手まといだと思ってんなら出直して来い。2人は……いや、オレの精霊にはオマエに理解出来ない力があるんだからな」


「たしかにアンタの言う通り、今の私たちは《エモーショナル・クロス》を使おうと遅れを取るでしょうね。でも……それでもマスターは私たちを頼ってくれている」

「アナタには私たちが非力に見えるのならばそれは事実なのかもしれない。ですが、私たちとマスターには単純な力では成し得ない力を生み出せる」


「オレたちだからこそ発揮出来る力……オマエにないその力でオマエの全てを覆してやる」

 

「無理よ、無理。そんな綺麗事じゃ私を倒すどころか攻撃を当てる事すら出来ないわ。諦めて本気になりなさいよ……そんな足手まといにしかならない荷物なんて見捨てて」

 

「生憎だがオレの思考回路にそんな選択肢は無い。裏切ったクズならまだしも……苦しみを理解し寄り添い喜びを分かち合える、オレをいつまでも信じてくれている大切な家族を見捨てるなんて選択するわけねぇだろ!!」

 

「だから……その綺麗事じゃ私には敵わないっての!!」

「ならそろそろ用意しておいた手札を切るしかねぇ……フレイ、ラミア!!」

 

「任せてください!!」

「その想いに応えるわ!!」

 

 2人を見捨てるわけが無い、力強く言い切るヒロムのその言葉を綺麗事と否定するアウロラの言葉に対してヒロムは秘策がある旨の言葉を口にした後2人の精霊の名を呼ぶ。

 

 ヒロムに名を呼ばれたフレイとラミアは武器を構えるともう一度仕掛けようと駆け出し、2人の精霊が駆け出すとアウロラは目障りだと言いたそうな舌打ちをする。そして、彼女は向かってくる2人の精霊を消し去るべく禍々しい闇の力を高め撃ち放とうとした。

 

「どこまでも理解力の欠如した下等な精霊ね!!そんなに死にたいのなら殺してやるわよ!!」

 

 フレイとラミアの行動を現状を理解していないものだとして強く否定するアウロラは闇の力を高めて一気に解き放とうとした。その時だった。

 

「言ったろ……手札を切るってな!!」

 

 アウロラが禍々しい闇を強く解き放とうとした瞬間、ヒロムの瞳が白銀の光を帯びる。と同時にフレイの全身が蒼い光に包まれ、蒼い光に包まれたフレイはこれまでにない加速を引き起こしてアウロラの前から消えてしまう。

 

 フレイに何が起きたのか分からないアウロラはひとまずラミアを仕留めようと禍々しい闇を解き放って撃ち飛ばすが、禍々しい闇が迫る中でラミアは自身の武器にして霊装の刀を構え一閃を放とうとする。

 

「はぁぁぁあ!!」

 

 一閃を放とうとするラミア、その彼女の刀は紅い闇を纏い力を高めさせながら強い一撃を放たせるとアウロラが撃ち放った禍々しい闇を一刀両断して消滅させてみせた。

 

「なっ……

「はぁぁぁあ!!」

 

 ラミアによって攻撃を消されたアウロラが驚きを見せる中で蒼い光に包まれたフレイが天高くより急降下する形でその姿を現し大剣を振り下ろして敵へ一撃を斬ろうとする。

 

 フレイの上空からの接近に気づいたアウロラは禍々しい闇を纏うと鬱陶しそうな顔を見せながら姿を消し、アウロラが消えた事で対象を見失ったフレイの大剣がただ地を抉るだけで終わってしまい、フレイの攻撃から逃れたアウロラは再び宙に浮上する形でその姿を現す。

 

 そして……

 

「一体、何をしたのよ精霊の王!!」

「いちいち騒ぐなよ魔女。そんなに気になるなら大人しく倒されて逝け!!」

 

 フレイたちを見下していたアウロラを……ここまで大きな声を出すような反応を見せなかったアウロラの裏をかいてみせたヒロム。彼は自らに仕える精霊に何を施したのか……

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