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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
叛逆界雷編
1040/1085

1040話 淀みとなる違和感


 フレイがガイたちにヒロムの《ソウルギア》の真相を語り伝える一方……

 

 ヒロムと灰斗の戦いは止まることなく続いていた。

 但し、これについては一度でも止まった方が灰斗にとっては都合がよかった。

 

「こ、の……!!」

 

 《ソウルギア》の発動で自身の強化を行っている最中の灰斗の力は雅蓮や雅麗の3人で挑んでいた時より確実に強化され、その状態は間違いなく3人の呪具使いを相手に立ち振る舞うヒロムに匹敵するレベルだと断言出来るものだった。

 

 だが、《ソウルギア》を発動させた灰斗の力はヒロムを相手に互角までは持ち込めた灰斗はヒロムに一撃を叩き込む寸前までは健闘出来た。が、ヒロムが彼のものとは異なると豪語する本来の《ソウルギア》を発動させた事で何もかもが狂い始めた。

 

 攻撃を放とうとヒロムがその予備動作を取った時、灰斗は反応する間もなく吹き飛ばされ負傷してしまう、ヒロムが動こうとすると灰斗の死角に移動を済ませた上で彼が反応しようとすると既にに強い一撃が叩き込まれ終わってしまう有様だった。

 

 《ソウルギア》の発動による強化状態にある灰斗の反応領域外……もはや灰斗の全てが届かない域にいるヒロムの力は敵を圧倒的な強さを思い知らせるが如く確実に追い詰めていた。

 

 《ソウルギア》の強化に加えて闇を纏って力を高めていてもヒロムの力の直撃には耐える事が出来ず灰斗の全身は血だらけになるまでに負傷させられ、抵抗する気力も削がれてしまっている灰斗は吐血するとそのまま膝をつき手をついてしまう。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……!!」

 

「どうした?そんなもんか?」

 

 跪くような体勢で苦しそうに血と息を吐く灰斗の視界に入るようにヒロムは立ち止まり、ヒロムが立ち止まると灰斗は彼を見上げ睨むしか出来ず、彼は悔しそうに拳を強く握るしか出来なかった。

 

「オマエ……こんな力を、隠しながら……!!」

 

「あん?別に隠してたわけじゃねぇよ。単純にオマエら相手に使うために用意したわけでもねぇし、《ソウルギア》のこの状態も紆余曲折の果てでこの形に成っただけだから使わずに済むなら使わないつもりだっただけだ」

 

「ふざ、け……

「使う使わないで言うならオマエも早く使えよ、その両手の呪具。オレを倒すために用意された呪具ならさっさと使った方が身のためだ。でなきゃ……使う前に死ぬぞ?」

 

「ぐっ……!!」

「まぁ、《ソウルギア》を切り札みたいに出してきたところを見ると頼りない力しか備わってないんだろうけどな。使っても拍子抜けするだけなら無駄だしやめてもいいぞ」

 

 呪具の力を使えと敵に告げるヒロム。使えと言いながらも《ソウルギア》を出して偉そうにしていた様子から大した力は備わってないんだろうとして無駄と煽り、ヒロムの言葉をただ聞くしか出来ない灰斗は悔しそうに彼を睨むしか無かった。

 

 そんな中……

 

 ヒロムに一方的に攻撃され倒れたはずの雅蓮と雅麗が呪具の力と闇を纏いながら戦線に復帰し、復帰と同時に雅蓮は大鎌の呪具に闇を纏わせながらヒロムを切り裂こうとした。

 

「はぁぁぁあ!!」

「……出てこなきゃよかったのにな」

 

 雅蓮の攻撃に対して……いや、彼女の戦線復帰について呆れたような表情で言葉をこぼすヒロム。雅蓮の何かに呆れているのは確かであり、それが彼女の攻撃に対してなのか彼は迫り来る大鎌の攻撃を避けようとも防ごうともせずただ立っていた。

 

「ナメるなぁぁあ!!」

 

 避ける気も、まして防ぐ気も無いのならば……自らの力を過信し敵を侮っているのならば思い知らせてやる。そんな風に考える雅蓮は勢いよく大鎌を振り、彼女の大鎌は纏う闇の力を高めながらヒロムの頭を切り落とそうと首にその刃を迫らせた。

 

 大鎌が迫り来ても焦る様子もないヒロム。その態度が腹立たしくて仕方ない雅蓮は大鎌を振り抜こうとした。

 

 が、ヒロムを仕留めようと振り抜かれた雅蓮の大鎌の呪具がヒロムの首に刃を入れようとした瞬間、まさにその瞬間にヒロムがため息をつくと……

 

 

 いつの間にかヒロムは雅蓮の頭上に移動し、雅蓮が勢いよく振り抜いた大鎌は本来ならばいるはずのヒロムを斬らずに虚空を斬るだけで終わろうとしていた。

 

 だが、雅蓮の大鎌の攻撃が不発に終わる事を予見していたかのように雅麗は闇を纏わせた両脚で地を蹴り更なる加速を引き起こすと姉の呪具を踏み台にして高く跳び上がりヒロムに迫ろうとした。


「やぁぁぁぁ!!」 

  

「コイツ……鎌女の攻撃を利用したのか」

(単にオレを倒すのに躍起になってるだけの鉈振り回し女かと思ったが思ったより頭使えるのかよ。でも……) 

 

「これは予測出来なかったろ?」

 

 雅麗の行動と判断に意外性を感じるヒロム。姉と慕っていた雅蓮の攻撃の不発を利用したヒロムへの接近を行った雅麗の判断に感心するも何かあるような口振りで言葉を発する。

 

 ヒロムが言葉を発したとしても関係ない雅麗はヒロムに接近する中で鉈に闇を纏わせ斬撃を放とうとしていた。が、その時だった。

 

 ヒロムに迫る雅麗が鉈を振ろうとした直後、彼女の眼前で何かが爆ぜたような音と共に強い衝撃解き放たれて雅麗を強く吹き飛ばし、強く吹き飛ばされた雅麗は抗う事も出来ず倒れてしまう。

 

 自らの攻撃の不発を利用されるもそれすら不発に終わらされた雅蓮は吹き飛ばされた雅麗の身を案じるような反応を見せるも敵を倒す事を優先したのか大鎌を強く握り乱暴に振り上げようとする……が、その雅蓮の行動の一手が発起されると無数の稲妻が彼女に直撃し、稲妻が次々に命中すると雅蓮は膝をついてしまう。

 

 稲妻の命中で膝をつく雅蓮、その彼女の前に音も何も無く着地したヒロムが視線を向けると彼女は雅麗同様強い衝撃に襲われ吹き飛ばされていく。

 

 当たり前のように敵を倒していくヒロム。だがこの時、ヒロムは少しの違和感を覚えていた。

 

「……」

(おかしい、コイツら……とくに女2人が異常なくらいに頑丈過ぎる。ロン毛の方は《ソウルギア》の発動で明確に耐久性上がってるとして、あの女2人は単に呪具の発動だけで耐えてるのか?それに……)

 

「どうしてあの女2人は負傷しても回復してるんだ、て思ってそうな顔だな」

 

 雅蓮と雅麗、姉妹についての違和感に触れるように思考するヒロムのそれを読んだかのように灰斗が言葉を口にし、思考を読んだような敵の口振りに別段大きな反応を見せるでもないヒロムが灰斗を視界に捉えると敵は不敵な笑みを浮かべながら立ち上がった。

 

「へへへぇ……ここまで追い詰めてくれて助かったよ覇王。殺さずに痛めつけ続けてくれたおかげで……当初の目的が達成出来そうだ」

 

「あ?当初の目的?」

「みせてやるよ覇王、本当のお楽しみを。呪具、解放……【戒獄】」

 

 何か企んでいるような不敵な笑みと共に『当初の目的』という怪しげな言葉を口にした灰斗は全身に闇を纏いながら両手を音を鳴らすほどの勢いで合掌させ、合掌に伴う音の反響が起きる中で灰斗の纏う闇が力を高め、そして灰斗の足下の地面に闇と共に不気味な方陣が現れる。

 

 敵が何かを始める、目の前で起きる異常な現象を止めようと考えたヒロムは動こうとする……が、ヒロムが動こうとした瞬間、彼の中で何か電流のような違和感が新たに生まれて動きを止めさせる。

 

「!?」

(何だ……今のは……!?)

 

『ふふふ……やっぱりこうなるわよねぇ』

 

 自分の中に新たに出てきた違和感、それが何か分からないが故に動きを止めてしまったヒロムを嘲笑うように響き渡る声。

 

 声が響き渡る中で灰斗の足下の方陣は闇を更に放出させながら巨大で黒い門を出現させ、そして門が開いたその時……

 

 

「オマエ、は……!?」

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