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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
叛逆界雷編
1034/1085

1034話 託せる信頼があるが故


 現在……

 

 天高くから落下して来て地上に衝突した灰斗が倒れる中でガイたちの前に静かに着地して現れたヒロムは度重なる暴言に怒りと憎しみ、殺意を滾らせる雅蓮と雅麗の挟撃を処理しようと構えていた。

 

「殺してやる、覇王!!」

「雅蓮姉侮辱の罪を償わせる!!」

 

 ヒロムの暴言に感情の抑制が不可能となった雅蓮は大鎌に闇を纏わせながら連続攻撃を仕掛け、敵の連続攻撃に対してヒロムは落ち着いた様子で軽い身のこなしで躱し続けた。

 

 雅蓮の大鎌の連続攻撃を躱すヒロム。そのヒロムを倒そうと……いや、殺そうと企む雅麗は両手に持つ2本の鉈に闇を纏わせ、さらに雅麗は烈風をその身に纏うと加速して雅蓮の連続攻撃を躱し続けるヒロムの死角へ迫ろうとした。

 

 雅麗の動きを理解しているであろう雅蓮は大鎌の連続攻撃を躱すヒロムの動きを抑えようと大鎌の刃による斬撃に加えて柄による棒術を組み合わせた不規則なものへ切り替え、雅蓮の攻撃の変化に気づいた雅麗は姉の厚意を活かすべく更に加速してヒロムの認識から抜け出し闇に潜もうとした。

 

「ふーん……」

 

 姉の攻撃の変化、加速し認識の外に潜もうとする妹の存在。挟撃に晒されるヒロムは姉妹のどちらの動きも認識していた。

 

 姉妹の動きを把握するヒロム。どちらも倒すべき敵として認識するヒロムは白銀の稲妻の力を高めさせると雅蓮をまず対処しようと敵との間合いを強引に詰めてみせた。

 

「……っ、この男……!!」

「大鎌なんて長物、使うってんなら間合いを詰められないように注意しとくべきだったな」

 

 突然間合いを詰められた事に驚いた雅蓮の連続攻撃の動きが止まってしまい、間合いを詰められ動きの止まった敵に忠告の言葉を口にしたヒロムは敵の頭を掴むと相手が女だろうとお構い無しに顔面に膝蹴りを食らわせる。

 

「がっ……!!」

「雅蓮姉!!オマエェェェェェェ!!」

 

 ヒロムの膝蹴りをまともに受けた雅蓮は仰け反ってしまい、雅蓮がヒロムの膝蹴りを受け仰け反ってしまったその光景を目にした雅麗は怒りを爆発させるように叫びながらヒロムに迫り鉈での攻撃を放とうとした。

 

 が、雅麗が鉈を振ろうとした瞬間、ヒロムは瞬間移動と錯覚するような速度で敵の背後へと移動すると雅麗の膝裏を蹴って乱暴に体勢を崩させる。

 

 あまりに速いヒロムの動きに反応出来ず、それどころか膝裏を攻撃され体勢を崩された雅麗は鉈の攻撃を止めるしかなかった。

 

「嘘……」

「オレの認識の外に抜けれるだけの加速を得ておいて激昂して入り込んでくるなんて間抜け過ぎるな」

 

 膝裏を蹴られ攻撃を中断され、体勢をも崩された雅麗はせっかく加速で得たスピードをも手放す事となってしまい、そんな彼女の判断を間抜けと酷評したヒロムは彼女の後頭部を蹴ってうつ伏せに倒れさせ、倒れた雅麗に対しては情け容赦なく踵落としを放って敵の顔を地へ叩きつけた。

 

「んぎゃんっ!!」

「雅麗!!」

 

「こんなもんかよ呪具使い。姉の方は手応えありそうだが……妹の方はハズレだな」

「アンタ……雅麗に何て事してくれてんのよ!!」

 

 雅麗の攻撃によって倒された雅麗の名を叫ぶ雅蓮の事など無視するように呪具使いの姉妹にガッカリするヒロム。雅蓮は手応えがあるが雅麗は『ハズレ』だと酷評するヒロムの言葉に妹が自らのために怒りを爆発させたように妹のために雅蓮も怒りを爆発させる。

 

 妹へのヒロムの仕打ちを許せず怒りを滾らせる雅蓮は闇を強く纏いながらヒロムに迫って乱暴で大振りな連続攻撃を放ってヒロムを殺そうとした。

 

 が、ヒロムは雅蓮は接近に対して地に叩きつけた雅麗の顔を軽く蹴って彼女を蹴りあげると髪を乱暴に掴みながら盾にするように雅蓮に向けて突き出す。

 

 ヒロムに乱暴に扱われ、挙句人質みたく盾にされる雅麗を目の当たりにした雅蓮は放とうとする連続攻撃を止めるしかなく、ちょうど放とうとした一撃目を雅麗を巻き込まぬよう止めてしまう。

 

 が、この攻撃を止めた判断が仇となった。

 

 盾にされる雅麗を前にした雅蓮が攻撃を止めるとヒロムは雅麗を掴む手を離しその場で素早く回転して裏拳を放って彼女を殴り飛ばし、さらにヒロムは裏拳を放った直後の手を開き雅蓮にかざすと白銀の稲妻を強く撃ち放って雅蓮に命中させ彼女を負傷させた。

 

「「きゃあっ!!」」

 

「クソ甘姉妹が……敵を目の前にして家族ごっこを優先させるな」

 

 雅蓮と雅麗を当たり前のように対処するヒロム。そのヒロムの戦う姿を見せられるガイたちだったが……

 


「いや、状況説明しろよ!?」

 

「あ?んだよガイ。うるせぇぞ」

 

「うるさいとかじゃなくて!!何で上から降りてきた!?んで敵増えてんのは何でだ!?」

「たまたま出てきたから知らねぇよ」

 

「たまたまで敵が増えるわけねぇだろ!?」

 

「落ち着けガイ。それよりヒロム、あの長髪はさておいて今攻撃した女性は……?」

 

「ん?今のクソブスも呪具使いだ。敵だから変に優しさ向けなくていい」

 

「クソブスって、オマエ……」

「敵に余計な感情持つ必要ないだろ?あんなやつらの認識なんてこの程度でいいんだよ」

 

 状況説明をヒロムに求めるガイ、ガイに落ち着くよう伝えつつ雅蓮と雅麗の素性を聞き出そうとするノアル。

 

 2人の質問の間を取るように乱暴な言葉で答えるヒロムのその言葉選びにガイが思わず聞き返すとヒロムは聞いてもいない謎の理論を語って理解させようとした。

 

 理解出来るはずのない謎理論を語ったヒロム。このヒロムの謎理論を聞かされたタクトは疑問を抱くしかなく、ガイにその疑問を伝えようと呆れながら話し掛けた。

 

「……ガイ、何でヒロムってこんなんなのに姫野さんたちからモテんの?こんな乱暴で気遣いと無縁のヤンキーの何がモテんの?」

「気持ちは分かるが気にしたら負けだタクト。多分……オレたち男には分からないような魅力に惹かれてると納得するしかない」

 

「……オレ、ヒロムを反面教師にしてメイアを大切にするよ」

「その方がいい。参考にしたら……異性に嫌われるだけだ」

 

 もはや疑問を持つ事がナンセンスだと言わんばかりにガイは気にしないようにタクトに伝え、ガイの言葉を受けたタクトはヒロムを一種の手本とした上で想い人を大切にする旨を誓い、タクトの誓いに賛同したガイは下手に参考にしたら他の異性に嫌われるだけだと念押しした。

 

 彼らの会話の内容など気にする事の無いヒロムは敵の動きを警戒し、ヒロムの警戒が向けられる中で灰斗は立ち上がり、直前に倒された雅蓮と雅麗も順番に立ち上がり呪具を構えた。

 

 3人の呪具使いが立ち上がった。敵が現在の状態を目にしたガイたちは当然ながらヒロムに加勢しようと考え戦線に介入しようとする、のだが……

 

「手は出すな」

「手は出すなって……明らかに分が悪い戦いを傍観してろって言うのか!?」

 

 ガイたちの加勢しようとする動きを察知しただろうヒロムは彼らの介入を拒絶し、ヒロムからの拒絶が予想外だったガイは彼の拒絶の一言に聞き返す程度の反応しか出来なかった。


 ガイの反応、それはタクトやノアル、それにシャウロンの気持ちをも総括しているようなものであり、ガイの返した言葉に対してヒロムは軽く息を吐くと着ている制服の上着を脱いで乱暴に捨てるなり彼に……いや、彼らに自らの考えを明かし始めた。

 

「アイツら呪具使いはオレたちを相手に有利になれるような呪具を与えられている。最初の4人にオレたちも4人で対抗した……が、オレの相手には2人が新たに加わった。やつらの戦力がまだ隠されてるならオマエらに頼るのは愚策だ」

 

「ふざけるなよ?オレたちは仲間だ。頼ってこそ……

「だから最悪の時はオマエらに託す。万が一の時はガイ……オマエの判断に委ねる」

 

「っ……そうか、分かった。万が一かどうかの判断はオレの基準で下す」

「それでいい。オマエを信用してるからな」

 

 ヒロムの考え、それは仲間を頼らず単独で解決するものではなく、単独で目の前の敵の戦力を相手にして有事の際は仲間に託すというものだった。

 

 ヒロムの考え、そして何かあった時に仲間へ託そうとする彼の覚悟を理解したガイは彼の意思を尊重するように最悪に備えるように待機しようとした。

 

 信用しているからこそ……いや、仲間だからこそ頼る旨をガイたちに話したヒロムは仲間のため、そして守るもののために戦うべく白銀の稲妻の力を高めさせる。

 

「さぁ……呪具使いのクソ共、第2ラウンドといこうか!!」

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