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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
叛逆界雷編
1033/1085

1033話 暴言注意


 殺る気無しの灰斗を本気にさせるため……本心は敵を完膚なきまでに叩き潰したいであろうヒロムの攻撃に敵は追い詰められていた。

 

 流れとしてはヒロムが圧倒的優勢にある、それは間違いない。だが、ヒロムは追い詰めている敵を倒すために接近するのをやめると距離を置くように後ろへ跳んで流れを途絶えさせてしまう。

 

 行動としては不可解、しかし灰斗はこれを待っていたように不敵な笑みを浮かべた。

 

 そして……

 

 灰斗が指を鳴らすと新手が2人現れる。

 

 1人は大鎌を持つ長身、血のような赤い髪、不気味なまでに白い肌、ドレスのような黒衣を纏った赤い瞳の女。

 

 もう1人は2本の鉈による二刀流、汚れの目立つセーラー服を着た黒と赤で左右が異なる肩までの長さの髪の赤い瞳の少女。

 

 新手の2人は灰斗を助けるために現れたのか彼の前に立ってヒロムを視界に捉えながら武器を構え、新手の2人を明確な敵だと認識したヒロムは白銀の稲妻を纏い立つ中で灰斗と新手の2人を観察する目を向け思考を働かせた。

 

「新たな呪具使い……」

(盲目野郎は目を閉じ、アフロはサングラスだったから確認出来なかったが、あのクソロン毛とタクトを煽ったブス女、そしてこの2人の呪具使いは共通して瞳が赤い。やつらの呪具が人為的に生み出されたもので適応の有無で瞳に影響が出るとしたら共通点として成立するが……やつらがオレたちの攻略を前提とした呪具の手配がされてるって確定要素がある以上、他の要素を考えるしかない。赤い瞳、深く考えなくても分かるけど……まずはアイツが『アレ』を持ってるかどうかの確認が先決だ)

 

「クソロン……いや、おいサンドバッグロン毛。オマエ、どうやってその血を手に入れた?」

 

「は?サンドバッグロン毛!?人の事殴ってんのはオマ……

「自分で言うのも気持ち悪いがオレの連撃を当たり前のように耐えれる人間なんざ数える程度しかいない。その数える程度しかいない人間の中には連撃を受ける中で徐々に適応する戦闘狂がいてな……そいつは《月閃一族》って戦闘種族の末裔でその一族の血を宿している」

 

「はぁ?何?」

「もう1人の末裔も同じように血を宿している。で、戦闘種族の末裔は戦闘の経験を更新し続け成長する『閃血』なんてチートを持ってやがる。サンドバッグロン毛……オマエの耐久力はオレの連撃を受けて適応したんだろ?」

 

 戦闘種族、《月閃一族》。その末裔である戦闘狂・真助と戦闘種族の中でも選ばれた存在として進化したシオン。2人の持つ戦闘中に進化を促す血筋の効力たる『閃血』を持っている事を語るヒロム。

 

 戦闘種族の末裔の持つ効力を語った上で自分の連撃を直で受けた灰斗はそれを備えており、それを用いた事により連撃を受ける中で成長を起こし耐久力を更新して耐えたのだろうと考えたヒロムはその内容を突きつけた。

 

 連撃を耐えたカラクリをヒロムに突きつけられた灰斗。彼は……

 

 

 嬉しそうに笑い始めた。

 

「フフ……ハハハ、ハハハハハハ!!いいね、最高だよ覇王。たった数回連撃を決めさせただけでそこまで見抜けるなんてやるじゃないか!!あぁ、そうか……さっきの自分の首を絞めるってのは見抜いたからこその言葉だったってわけか」

「素直に受けてくれた事には礼を言うが……それならそれで死んでくれないと困るな。オレはオマエを殺して下に戻りたいんだが……まぁ、ネタが割れたならやり方はいくらでもあるからそれはいい。それよりも……だな」

 

 ヒロムの推察が正しかったらしく灰斗は嬉々とした反応を見せながら楽しそうに話し、敵の反応を無視するようにヒロムは面倒そうな反応を見せ、そして新手の2人に視線を向けるとヒロムは敵3人の共通点についてある『可能性』を語り始めた。

 

「オマエらのその瞳の色、そしてキモクソロン毛に『閃血』が備わっていた事……ブス女2人のそれがクソキモロン毛の手甲と同じ仕様なら流れ的に呪具使いって事になる。が、何よりも重要なのは呪具云々じゃない……オマエら、揃いも揃って《月閃一族》の血が入った混血なんだろ?」

 

「……へぇ。スゴいね、オマエ。覇王の卓越した観察眼ってやつ?それとも経験的なの?オレの事はともかくこの2人の事も見抜くなんてスゴいね」

 

「灰斗、アンタがお喋りだからバレてんのよ」

 

「え!?オレ何も話してねぇよ、雅蓮!?」

「アンタがあの男の推察に真面目に答えてたからよ、おバカが」

 

「オレのせい!?」

「アンタしか喋ってないんだよ、バカ!!」 

 

「ねぇ、雅蓮姉。アイツ……私の事、ブスって言った」

「落ち着きな雅麗。ああいう男は乱暴な言葉で女を傷つけないと自分を保持出来ないのよ。それにブス女『2人』って言ってくれたんだ。私も含まれてるから安心しな」

 

 ヒロムの推察に感心する灰斗。その灰斗がヒロムの推察について興味を示す中で彼に『雅蓮』と呼ばれた大鎌を手にした女は彼の軽率な言動を指摘し一喝した。

 

 雅蓮に灰斗が一喝される中、彼女と一緒に現れた鉈の少女はヒロムにブス呼ばわりされた事を根に持つような反応を見せ、雅蓮は少女の事を『雅麗』と呼ぶと優しく慰め励ます言葉を伝えていた。

 

 敵3人の会話。戦いの最中とは思えぬ会話に対してヒロムは……

 

 興味も何もないらしく白銀の稲妻を敵へ強く放出させて直撃させようとした。

 

 一見すると仲睦まじい団欒と解釈可能だが所詮は敵の戯れ、その程度の認識しかないヒロムは白銀の稲妻を直撃させて早々に決着をつけようとした。

 

 が、ヒロムが放出させた白銀の稲妻が迫る中で雅蓮は闇を大鎌へ強く纏わせながら斬撃を飛ばし相殺させ、白銀の稲妻を相殺した雅蓮は不敵な笑みを浮かべながらヒロムを見つめた。

 

 そして……

 

「アンタ……モテないだろ?」

「生憎、両手どころか360°包囲可能なレベルの華に恵まれてる。求めてなくても彩り増やしてくれるせいで休む間もなく乙女心を理解させられてる状態だ、非モテ厚化粧女」

 

「へぇ……私を非モテ扱いするだけならともかく、厚化粧だって?私は薄化粧なんだけどね……!!」

 

「雅蓮姉を悪く言うなんてコイツ……!!」

「そっちのクソ姉崇拝ヒス女は金魚のフンか何かなのか?自分がないのか?後ろついて回るだけなら保育園児でも出来るって学び直せ」

 

「……雅蓮姉、私、アイツ殺す……!!」

「それについては同感よ雅麗……この男、調子乗り過ぎ……!!」

 

「調子に乗ってる?違ぇよブス姉妹」

 

 ヒロムの煽りにもなっていない単なる暴言に怒りを隠せない雅蓮と雅麗。2人の姉妹は灰斗とは異なりヒロムを殺したいという意思を明確に見せ、殺る気を表すように闇を強く纏おうとする。

 

 ……が、その2人が闇を纏う中でヒロムは敵3人が一切反応出来ない、音も何も察知されない速度で灰斗の前まで簡単に移動してしまう。

 

「「なっ、消え……」」

「なっ、気づ……

「遅い」

 

 ヒロムの灰斗への接近、それを視界から消えた事によって認識した姉妹と目の前まで迫った事を認識し理解した灰斗。

 

 3人の反応など気にしないヒロムは認知の遅さについて一言冷たく伝えると灰斗を蹴り上げ、蹴り上げられた灰斗が屋上のフェンスを飛び越えるように吹き飛んでいくとヒロムはその灰斗を追いかけるように跳んでみせ、簡単に追いついたヒロムは大地へ叩きつけようと踵落としを灰斗へ叩き込んで地上へ落としてみせた。

 

「灰斗!!」

「アイツ……何者!?」

 

「オマエらより強い覇王だ。覚えておけ能無し約立たずシスターズ」

 

「……」

「……」

「「……殺す!!」」

 

 単に悪口か暴言を吐きたいだけだろうと疑念を抱きたくなるような言葉を吐いたヒロムは地上へ落ちていく灰斗を追いかけていくように静かに降下していき、ヒロムの言葉を許せない姉妹は殺意を限界まで高めながら憎き相手を追いかけるべく屋上を飛び降りる。

 

 こうして、現在に至る事となり……

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