1011話 不気味な呪具
5分間の時間稼ぎ、イクトに信頼されて託された真助はそれを成し遂げるべく画切との戦いを再会しようと駆け出し、真助が駆け出すと画切は長刀を構えると不気味な力の強さを高めるようにしながら動き出す。
「時間稼ぎなんて生温い……殺す気でやってやるよ!!」
『小僧、警戒しながら攻めろ!!』
「わかってらァ!!」
狂鬼の言葉に勢い任せに返した真助は妖刀《狂鬼》に黒い雷を強く纏わせながら敵との間合いを詰めると素早く振り抜くようにして画切の首を狙って一閃を放とうとし、真助の妖刀の動きを察した画切は長刀に不気味な力を纏わせると妖刀の一閃を防ぎ止めようとした。
真助の妖刀と画切の長刀は再度ぶつかり鍔迫り合いが起きようとし、先程力負けして押し返された真助は妖刀に纏わせる黒い雷をさらに強く高めさせると今度こそはと力を増させていく。
真助の力の高まりに対して画切は長刀に纏わせる不気味な力を高めるでもなく左手を添えるように持ち直すと不敵な笑みと共に体を後ろへと引くように動き、画切が後ろへ引くような動きを取ると力を高め押し切ろうとした真助は必要以上に踏み込む事となってしまい、さらに画切は左手を添えるように持ち直した長刀をも自身同様に引くように動かす事で鍔迫り合いになっていた真助の妖刀を受け流し、それだけでなく画切はその行動によって真助を自身から逸れるように体ごと受け流し体勢を崩してみせた。
体勢を上手く崩された真助だったが無意識なのか両足に黒い雷を集めさせると地に流さすようにしながら爆ぜさせ、黒い雷が爆ぜた事による衝撃を利用するかのように真助は宙に浮くと素早く回転しながら立て直すと共に回転斬りを放って画切に次なる攻撃を仕掛けてみせようとした。
が、画切は真助のその回転斬りに対して反対方向に回転しながら長刀で止めると妖刀を受け流すようにしながら躱してしまい、回転斬りも止められ受け流された真助は着地と同時に妖刀を逆手に持ち地に突き刺すと自身の周囲に黒い雷を強く放出させて広範囲攻撃を仕掛け画切を追い込もうとした。
妖刀による剣術ではなく能力による範囲攻撃、流石の敵も対応が難しいだろうと真助は思っていたが画切は当たり前のように不気味な力を纏いながら宙を舞うように避けてしまい、それだけでなく真助の次なる動きに備えてか画切は足場のない宙に不気味な力を用いて滞空してみせた。
真助を見下ろすように宙に立つ画切だが、対する真助はその画切の行動を黙って見ているわけがなかった。
宙に立つ画切に対して鋭い眼光を向けるようにしながら真助が瞳を妖しく光らせると黒い雷が巨大な腕を形成しながら画切を握り潰そうと迫り、真助の黒い雷が形成した巨大な腕が迫ると画切は長刀に不気味な力を纏わせて一閃を放って動きを止めさせようとするがその程度では黒い雷で形成された巨大な腕は画切の一閃による攻撃をものともせず弾き消すと画切の体を掴もうとした。
「捕らえた!!」
「呆呆、これで捕まえられると思われてるのは心外ですな」
画切を捕らえた、そう確信した真助に対して画切は不敵な笑みを浮かべると不気味な力を高めると同時に長刀を素早く振ると黒い雷の巨大な腕を切り刻み壊し消滅させ、画切は宙に立った状態で長刀を構え直すと今までにない素早い動きで一瞬にして真助との間合いを詰め、さらに画切は間合いを詰めると同時に素早い一閃で真助の体を抉り斬ろうとした。
「遅遅、オマエは吾には及ばなかったようだな」
「それは早計だろ?」
真助との間合いを詰め素早い一閃で仕留めようとする画切が僅かにでも自らが有利だと確信したその瞬間、真助が黒い雷を強く放出させるとそれは先程画切に破壊されたものと同形状の巨大な腕となって真助に迫る長刀を防ぎ、一閃が決まると確信していた画切は予想していなかった2本目の黒い雷の巨大な腕の出現と妨害に驚かされたのか動きが数秒程度鈍くなり、それを見逃さなかった真助が瞳を妖しく光らせると新たな黒い雷の巨大な腕を生み出すと同時に拳を強く握らせ一撃を叩き込ませてみせた。
「な、に……!?」
画切に破壊されたものを含めると3本目となる黒い雷の巨大な腕の拳撃を防ぐことも出来ず体に直で叩き込まれた画切は対処する暇もなく拳撃による衝撃を受けながら殴り飛ばされ、殴り飛ばされた画切が黒い雷によって体を負傷しながら勢いよく倒れると真助を守るように現れ動いた2本の黒い雷の巨大な腕は元々の黒い雷の力となって彼の持つ妖刀《狂鬼》の中へと取り込まれていく。
「ナメすぎなんだよ、クソ野郎が」
『ふむ、実戦初使用とはいえ上手く使いこなせたな小僧』
「今のは狂鬼の支援ありだから何とか使えただけだ。オレは元々造形術とかそういうの苦手だからこの手の事は誰かしらの支援ないと使えねぇ。それ分かってるから手を貸してくれたんだろ?」
『ふっ、自惚れる気はないか……良い事だ。ひとまずはオレの補助前提で機能しているが使用するタイミングや用途は小僧に委ねているから使うならば遠慮なく使え。オレがそれに合わせて出力を調整するから小僧は敵を仕留める事だけを思考しろ』
「はっ、分かりやすくていいじゃねぇか。なら……
「愚愚、今ので倒した前提で事を進めるとは吾はナメられたものだな」
真助の黒い雷による攻撃を受けて吹き飛ばされ倒れたと思われた画切は妖刀の中に宿る狂鬼と会話する真助の言葉を閉ざすように言葉を発し不気味な力を纏いながら起き上がり、起き上がった画切の体が負った傷は纏われた不気味な力によって消されてしまう。
「再生能力……!?」
『あの呪具の中に仕込まれているらしいな。となるとあの呪具……』
「解解……本来ならばオマエ相手にこれを使う気はなかったが仕方がないこと。オマエがその妖刀の力を完全に出さないのであればこちらが先に使わせてもらおう」
「あ?何様のつもりだ?」
「誤誤、吾を侮るな。吾のこの呪具の力を前にしてその余裕が残せるか……試させてもらおう」
何かを企む画切、その画切が右手に持つ長刀の天に掲げるように構えると敵の纏う不気味な力の力が急激に高まりを見せ、さらに画切の周囲の空気が突然重く不気味なものへ変わり始める。
そして……
「呪具解放……骸嶽!!」
画切が叫ぶと長刀が妖しい光を発すると不気味な力が異様な力の高まりと共に周囲に広がりを見せ始め、妖しい光を発する長刀が異様な力の高まりを見せる不気味な力を取り込むと画切の右腕に絡まるかのような黒い痣が浮かび広がり、黒い痣が顔の右半分にまで広がると画切の右眼の白目が黒く染まり、そして画切の背に不気味な力が集まると黒い痣が広がっていたのか衣服を突き破るようにして画切の背から左右一対となる不気味な骸骨の腕が2本出現し画切の姿を人から離れたものへと変えてみせた。
「なっ……何だアレ……!?」
『まさか……呪具の力に肉体を喰わせたのか!?』
「再再、戦闘再開だ鬼月真助。吾と『骸嶽』の力……その身で存分に味わうがよい!!」
『詮索は後だ小僧!!』
「分かってらぁ!!こっちも……やるしかねぇ!!」
異様な変化を遂げた画切を前にして対抗するかのように殺気を剥き出しにする真助。黒い雷をこれまでより強く纏った真助は纏った黒い雷の一部を刀の形にして妖刀を持っていない方の手に装備する事で二刀流となりながら敵を倒すべく駆け出した。
真助が二刀流となり異様な変化を果たした画切と激突しようと迫る中でイクトは……




