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レディアント・ロード 2nd season  作者: hygirl
守護武闘編
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101話 秘められた意志


 霊装について、そう切り出したカズキ。カズキは何を知っていて何を話そうとするのか、少しではあるが気になるヒロムだが同時に霊装について離そうとするカズキに対して意見を返したくなる思いが頭の中にあった。

 

「霊装についてって言うけど、オレの霊装の《レディアント》ならともかくフレイたちの霊装のことなら少なくともアンタより詳しいつもりだ。半年前ならともかく今更アンタに語られることは何も……」

 

「落ち着け、姫神ヒロム。オマエが霊装について理解・把握してることは分かっている」

 

「なら今更何を……」

 

「だがオマエが知らないことともあるはずだ。例えば……霊装の意志、とかな」

 

「霊装の意志……」

 

 カズキが口にした《霊装の意志》、そのワードにヒロムは聞き覚えがあった。

 

 ペインとの戦い、あの戦いで《レディアント・アームズ》を発動できなかったヒロムの言葉に反応するように現れたヒロムに似た姿をした光、あの光を見たペインは今カズキが口にした《霊装の意志》という言葉をペインは戸惑いを隠せぬ様子で口にしていた。今ここでカズキが話そうとする、それはつまり《霊装の意志》という言葉が……その言葉の指す存在が今後のカギとなるとヒロムはすぐに理解した。

 

「その霊装の意志ってのは何なんだ?

アンタが語ろうとするってことはよほど重要なことなんだろうな?」

 

「重要なこと、になるな。何せオマエがペインを追い詰めるほどの急激な成長を見せるきっかけになったのだからな。霊装の意志について話す前にオマエが把握してるであろう霊装について話しておこう」

 

「霊装について?」

 

「オマエの持つ《レディアント》とオマエの宿す精霊がそれぞれ持つ武器である霊装、それらはまず大きく2つに分けることが出来る。他の霊装と繋がることによりその力を引き出すのが《レディアント》、霊装として単体でその力を引き出して力を発揮できるのが精霊たちが持つ武器である霊装だ。このくらいは分かるな?」

 

「……昔に比べればそういうことも意識してるから理解してる」

 

「前者の《レディアント》はオマエそのものを体現していると言っても過言ではない。元々の能力がないオマエが精霊の力を借りて戦うのをより高度なものに昇華させようとしているのがその霊装だ。そして精霊たちが持つ霊装はそれぞれが持つ力を存分に発揮させるかのようにそれを高めるための力を備えており、高められたその力の一部をオマエは《レディアント》を通して借り受けている」 

 

「ああ、そうだ」

 

「ちなみに……霊装を持つ精霊が14人いるわけだが、オマエはこの数について何か理解してるのか?」

 

「……7つの大罪と7つの美徳、フレイたち14人はこの2つで分けることが出来る。フレイ、マリア、アイリス、ティアーユ、ステラ、ユリア、アリシアの7人は光の側面としての強い力の性質があることから7つの美徳として、一方のラミア、フラム、テミス、シェリー、セレナ、セツナ、セラは逆に闇の側面としての強い力の性質があることで7つの大罪として分類出来る」

 

「光と闇、大きく2つに分けることが可能だということだな?」

 

「ああ。フレイたちの力と各霊装の能力、そして精霊同士の相性などを加味してもそれは間違いない」

 

 霊装について、そして自身の宿す精霊・フレイたちについて話していくヒロムに対してカズキは真剣な表情で話を聞き、ヒロムが話を終えるとカズキはヒロムの話した内容について自身の知識を混じえて彼に話していく。

 

「基礎知識は十分だな。なら次はオマエの霊装と精霊の霊装との大きな違いを話そう。オマエの精霊の霊装、これは精霊が現界した時点で主たるオマエに万全に仕えるために最初から用意されていたものであり、精霊の霊装には今さっき言った霊装の意志は存在していない。これは霊装の意志に位置する存在が精霊自身であるからであり精霊と霊装が1つの個体として識別可能だという表れでもある。一方でオマエの霊装は多くのことを経験して人として成長し、困難にぶつかった際の精神的な成長を遂げてオマエが後発的に手にした霊装だ」

 

「フレイたちは最初から持っていたのに対してオレは途中からだから霊装の意志が存在してるのか?」

 

「……やはりそう解釈してしまうな。

姫神ヒロム、そもそもの理解と認識が間違っている。霊装、それがそもそも何なのかをオマエは理解しているか?」

 

 カズキの質問、霊装とは何なのかという質問にヒロムは答えようとしても答えられなかった。自身の宿す精霊が当たり前のように使用し、自身も成長とともに得たその霊装を何の疑いもなく使用してきた。それ故かカズキの質問の『霊装とは何か』という単純な質問に答えられなかった。

 

 あまりにも当たり前のように扱ってきたものについて答えられない、そんな状態にあるヒロムの反応から察したカズキはヒロムに自身の質問した『霊装とは何か』について話していく。

 

「そもそも霊装とは『霊魂の力・素質を最適化する装具』『精霊が与えられる武装』などを簡略化した呼び方だ。前者の呼び方をする場合はオマエの《レディアント》が該当するが、大抵の場合は霊装とは後者の意味で呼ばれることがほとんどだ。精霊が与えられる武装、それが霊装でありオマエの精霊はそれを完全に使いこなしてるからこそ霊装の真価を発揮しながらオマエにその一部を貸し与えることが出来るんだ」

 

「つまり……何だ?」

 

「オマエは霊装は選ばれたものに与えられるものだと解釈している。仮に本当に選ばれたものにしか与えられないのならばオマエと14人の精霊は何によって選ばれたのかおかしいと思うはずだ」

 

「……まぁ、そうか。そう言われたらそうだな」

 

「わかりやすく言うならば『霊装=精霊の武装』、そしてオマエに与えられたのは精霊たちを使役するための媒体と置き換えられる霊装だ」

 

「……なんかややこしくなってきたな」

 

「この辺は別にオマエがどう理解してるかの確認でしかない。本当に重要なのは霊装の意志についてだ。何故オマエの《レディアント》にはそれがあり、何故オマエの精霊にはそれが無いのか……考えたことはあるか?」

 

「いや……つうか、そもそも霊装の意志とかいうのは最近知ったんだぞ?」

 

「ならわかりやすく話してやろう。霊装の意志……それは精霊としての自我を持ちながらも人の魂と同化し本来ならば人が扱えぬ霊装を霊魂そのものの性質を変えることで使役を可能にさせ、霊装を扱うものを正しく導こうとするのが霊装の中に芽生えた意志だ」

 

「……?」

「?」

「?」

 

 カズキの話を聞いてもいまいちピンと来ないヒロム。ユリナたちも全員キョトンとしたような顔をしており、彼らの反応を見たカズキはため息をつくとヒロムに話した。

 

「オマエが精霊を複数同時に扱えるのは《レディアント》の中の霊装の意志となってる精霊としての自我がオマエの魂と同化してるからであり、オマエが《レディアント》を介して精霊の霊装を借り受けて使えるのは霊装の意志となっている自我とオマエの魂が同化してることによりオマエ自身は人間でありながら精霊として存在の両立を可能としているからだ」

 

「んだよ、そういうことならさっさとそう言え……」

「待ってください。じゃあヒロムくんは今、人じゃないんですか?」


 カズキが話し直した内容で理解したヒロムの言葉を遮るようにユリナは不安を隠せずにカズキに質問してしまい、質問されたカズキは彼女を落ち着かせようと丁寧に話していく。

 

「精霊になるはずだった自我である霊装の意志が同化してることによりたしかに姫神ヒロムの霊魂は人でありながら精霊としての存在を確立しているが、キミが不安を感じるようなことにはなっていない。今の姫神ヒロムは霊装の力を使う時だけ霊魂の性質が人と精霊の両立を行うというだけだから心配はない」

 

「そ、そうですか……」

 

「で?その霊装の意志とやらについてある程度話してくれたみたいだがその先については話してくれるのか?今のオレはその霊装の意志が魂と同化して性質変えてるとかはよくわかったがその後はどうするとかあるんだろうな?」

 

「そうだな。それを話していくためにも……色々オマエに教えておかないとな」

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