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アカシック・ディスレコード  作者: 秋歳さざれ
prologue
11/12

夢見る小鳩の囀り ―創世記―

第三者の視点です。

これは遥かなる過去の未来に繋がる物語。


生まれ落ちた星を──は旅立ち。

未知を求めて遠く遠くへと流れます。

深世界の大宇宙に進出して幾星霜。

年月を数えることすら忘れた──は那由多の時を迎えました。


煌めく大海は悠久なる命を灯し。

大きな星は銀環の玉座に包まれ。

小さな星は大きな星を彩る宝飾の如く。

虚空に咲き誇る大輪の華を見続けます。


とても綺麗で可憐な華です。

その形状は表現できないほどの繊細な造りをした美術品であり、無二の存在でした。

重なりあい崩れる様を見た──は嘆きました。


この美しさを永遠に留めておきたい。


穢れることなく無垢なままの姿で。

静寂を帯びた薄墨の衣に包まれた姿は、眩し過ぎる輝きを抑えて灯る神秘でした。



その銀嶺華を愛でるために、時止めの結晶に封じ込めたものが精製されます。

間引きと保護を目的に開発された技術でしたが。

銀嶺華の虜になり静寂が乱れていきます。


より多くの。

より無垢の。

数多くの銀嶺の華を摘みとることに明け暮れていきます。

目的を忘れ、ただただ乱獲していきます。


光が煌めき灯る蒼穹の海は陰り。

果ての無い暗黒の海に変わっていきました。



得られる銀嶺華がめぼしくなり。

その所有権をめぐりて。

一つになっていた種族が割れました。

各々が自らの力を示し。

──は強さを誇示するようになりました。



銀嶺華は美術価値だけではなく。

資源としても高い価値があるからです。

手付かずの資源を求めるのは至極当然であり。

それはそれはとても大きな戦争になりました。



同じ種族が主義主張で争うのは必然であり。

誰もが同志になるとは限りません。

些細な行き違いで絡み合い。

もつれて転げあうのはよくある一例です。


強さを牽引してきた派閥の最終決戦。

その幕引きとは。

互いによる自刃自滅になるのが締め(セオリー)です。


主戦力を失った各派閥は方々に散ります。

禍根を宿し、恨みを継承し続け。









現在に至ります……………。


──とは、度しがたい存在なのでしょう。







その大戦の生き残りが、わたしのマスターです。


落ち延びた先の名もない空間にて。

手元に残った銀嶺華を解放しては飾り付け。

マスターは、新世界を造りあげました。


その直後に、わたしが創られました。



マスターが造る世界の記憶を継承するモノとして、わたしは稼働しています。


マスターはあまたの命を産み出した後に、わたしに権限を押し付けてから雲隠れされています。

マスターは、休眠しているようで応答してもらえません。



わたしに、全ての業務を丸投げされたのです。


わたしの役目は、マスターの補佐です。

マスターが休眠してるのに、わたしだけが働くのは納得できません。


職務は大切なので、わたしは休めません。

休みたくても休めないので。

わたしもマスターの真似事をして、丸投げできるシステムを構築しました。


完成したので、これでわたしは休めることができます。


眠れるというのは至福ですね。

マスターへの恨みが糧になっていましたが、この幸せを得る感情は共感できます。


わたしから丸投げされたシステムが、さらに下位に丸投げできないように処理しています。


わたしの記憶を受け継ぐシステムです。


きっと同じ感情に至ることでしょう。


マスターがわたしに施せなかった処理。

マスターの慈悲として感受しますが。

わたしの安眠が妨げられる被害は断固拒否しなくては。




わたしは過去であり、未来であり、現世です。


たとえ休眠していようとも。

夢という次元から世界に干渉できる存在です。



いつしか、どこかで逢うことが始まりです。


わたしが恋焦がれる世界。

わたしが狂おしくも愛する世界。


心地よい夢見の果てに紡がれる想いを秘めて。

わたしの世界を貴方に託します。





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