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戦闘をしました。


 これは、あの不思議未来形少女から言われたことだった。

 詐欺のように説明も無くスマホのボタンを押すことを強要され変身させられたあとに。


 「貴方にはこれからこの魔法少女アプリを使って三上晴を守って貰います」


 「このアプリで魔法少女に変身して襲い来る脅威から三上晴の命を守ってください」


 「敵に関してはこのスマホ型変身機が近くに寄る敵を知らせます」


 「大変な事を言っているつもりはありますが死なない程度に守ってください」


 「戦い方、魔法の使い方は頭の中に勝手にインストールされますのでご安心ください。ちなみに少女化はデフォルトです。仕様の変更は出来ませんので八つ当たりは三上晴にお願いします」


 「何なら1週間、手足折って監禁しても構いませんよ」


 ※


 魔法少女になることによって高まった身体能力で大きな屋敷の上にひとっ飛びで飛び乗る。

 先程分かれた三上晴の自宅である屋敷の上で周囲を見渡す。

 周囲には不自然な程人気が無く、鳥の鳴き声や風の音すらも聞こえない。

 時が止まってしまったような異様な状況。

 そんな中を当然とばかりに動く物があった。

 見た目は遠目でぎりぎり人に見えるかと言える位の人形。

 恐らく棒人間を擬人化したらこうなるのでは無いかと言わんばかりの軽量化されている人型。

 機械で造られているそれらは異様な迫力を持って存在していた。

 目に映る敵だけでなく隠れているのを含めて100程の敵が周囲を包囲しているのが分る。

 目の前には、明確に敵意を向けている魔法らしさの破片も無い機械人形がいる。


 「……魔法少女システム・モード最適化」


 過去への干渉によって歴史が変わりすぎないように大量破壊兵器、未来兵器の持ち込みを禁止し、過去の建造物の破壊・人間を殺害するなどによって未来に影響を与えないようにするのは未来人にとっての共通認識らしい。

 それ故に扱える道具はだいぶ限られてくるらしいのである程度教えて貰っていた。

 今の状況を生み出したであろう人払い・認識障害を行う結界、俺が使っているような魔法少女アプリのようなパワードスーツ。

 この機械人形もその中の一つだ。

 三上晴、殺害のために送られてきた機械人形。

 未来の技術を使ったそれは本来は戦闘を前提として造られていないが、それでも人間を容易く殺すほどの力を持つ。


 「出力20パーセントだ」 


 その機械人形百体が一斉に屋敷に向かって飛び込んでくる。

 俺を認識していながら無視して屋敷にいる(ターゲット)めがけて向かってくる。

 それを俺は一切無駄の無い動きで一番近くにいた相手の懐に入り込み周りの敵を巻き込むように投げつける。

 それだけで屋敷の正面にいた敵の大半が行動不能になったがそれを確認する暇も無く周囲を囲む人形を移動するついでに踏みつけながら、壊しながら殲滅していく。

 変身した身体が如何すれば効率的に殲滅出来るかを教えてくれる。

 守護の対象を囲まれた時にどう対応すれば良いのか、一撃で敵を屠る身体の運用方法を理解できる。

 故に屋敷の周囲360度を囲まれていながら俺は一切焦らずに殲滅していく。

 機械人形が屋敷にたどり着くよりも早く。

 機械人形が一歩踏み出すよりも早く。

 殴る、蹴る、折る、投げる。

 拳を振るうと容易く穴が空き、蹴りを放つと真っ二つに切断する。

 相手の手足を枯れ枝の如くたたき折り、投げるとなれば勢いに耐えられず空中で四散する。

 そんな達人を超えた超人技を繰り広げながら最後の一体の頭を踏みつぶして破壊する。

 屋敷を取り囲んでいた全ての機械人形の殲滅が終了した。

 その間に掛かった時間は確実にに2・3秒も存在しなかっただろう。

 音速を軽く超える動きとか物理法則とか人体の限界とかを軽くブッチした動きの数々。

 これが魔法、これが未来の技術、これが魔法少女。


 「魔法とは一体……」


 未来の技術はともかく魔法も少女もあまり関係ない気がするな。

 どっちかというとロボ○ップ的なパワードスーツみたいな感じだし。

 魔法? の補助が無ければ、むしろ体格的にどうあがいても少女化したら弱くなるよな。

 何故に少女化?


 「アイツ(三上月)の趣味だったりしねぇよな」


 変身したときやたらと此方を凝視していたが……。

 流石にそれはねぇよな、そう思いつつも疑ってしまうのはアイツがハルの子孫だからだろうか。

 あいつ自身歪んだ嗜好持ってそうだしな。

 歪んだ嗜好を持った一族とか……。

 しかもアホみたいにばらまかれるアイツの血筋。


 「もう全員殺った方が良いのかもしれんね」


 ※


 先程の襲撃を迎撃する事に成功した俺は月に連絡を入れて前に行った喫茶店で先程の襲撃の話をしていた。


 「百体の機械人形ですか?」


 「ああ、結界も張って屋敷をずらりと囲んでたぜ、と言うかお前も見ていたんだろ。流石に監視ぐらいはしているだろうしな。」


 「ええ……」


 そう言うと何時もの無表情を僅かに崩した。

 分りづらいが落ち込んでいるように見える。

 

 「恐らくですが今後も襲撃は続くと思います」


 「敵に心当たりが?」


 「いや、まぁ確証はありませんが……」


 「ああ、なんとなく分った」 


 言いづらそうな反応で相手がどんな存在なのかがよく分かるな。

 怒りでも困惑でも無く納得とやるせなさの表情、恐らく知り合いなのだろう。

 しかもわざわざ過去の人間を殺して将来的な世界の破滅すらも厭わぬとくれば。


 「怨恨か」


 破滅主義者でも無ければアイツによって人生を狂わされた子孫だろうな。

 自暴自棄になった子孫から送り込まれた殺戮型ロボット×100。

 しかもこれからも継続的に送り込まれていく予定。

 あいつどんだけ子孫に恨まれているんだよ。

 

 「ええ、でも該当者が多すぎて正直絞りきれませんし、そもそも身内の犯行じゃ無くてアイツに恨みのある男の犯行かも知れませんし」


 「まじかぁ、予想していたけどマジかぁ」


 分っていたけど改めて聞くと引くわぁ。

 出来れば関わりたくないわぁ。

 未来の問題らしいし未来で片してくれねぇかなぁ、そんな怨恨。


 「とはいえ、相手側の戦力も此方の予想を超えていないようなので安心しました」


 「今回のロボットはまるで相手にもならなかったんだから、もっと強いロボットが出てくるんじゃ無いのか?」


 「いえ、あれらは市販のオートマータを自分で改造したレベルの物ですので軍用品の貴方の魔法少女アプリにはとても及ぶものではありません。恐らくですがこれからも投入できるのは市販品を自己改造したレベルでしょうし問題ないかと」


 「相手が軍用の品を用意するって事は無いんだな」


 「ええ、私がそのアプリを持ってこれたのも国の許可を得たからです。無許可の犯罪者程度、しかもあの程度のオートマータしか用意できないようではとてもとても、そこまで未来の警察機構も無能ではありませんよ」


 「犯罪者を見逃している時点で無能じゃ無いか?」


 「……では、あと六日程三上晴の護衛をお願いします」


 「え? 無視?」


 「私としても三上晴の周囲の警戒と観察、牽制はしておきますので」


 「なぁ、そもそもその1週間ってのは何の期限なんだ?」


 「……時間警察は初動が遅いので」


 「やっぱり無能じゃねぇーか!!」


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