ヒロイン? 誰ですか? 俺でした。
久しぶりに書きたくなってしまった。
「あった、あった。良かった、無事だった」
先程の魔法少女の襲撃を乗り越えた俺は放置していた揚げ物とタルタルソースの材料を回収していた。
正直、原型をとどめていることは期待していなかったが、奇跡的に材料は無事だったようだ。
これで、なんの憂いも無く油に濡れることが出来るというものだ。
「しっかし、如何した物か」
先程まで此方の命を狙ってきた魔法少女を思い出す。
生まれて初めて受けた、殺意という感情。
自分に向けられたわけでもないというのに増悪に濡れた目で見られただけで身が竦む所だった。
あの後満身創痍ながら逃げ出した魔法少女ソレーユ、何らかの未来道具で人形を止めた月を思い出す。
月の乱入によって有耶無耶になったが、恐らくまた乱入してくるだろう事は想像に難くない。
正直な話、未来の道具にも、ハルの子孫達の関係性にも深く関わるつもりは無いので聞くことは無い。
この1週間が終われば未来の公権力に全部ぶん投げればいいのだ。
少なくともハルの生存は保証されている以上、他のことはどうでもいいことだ。
深く関わるだけ損だろう。
そのはずなのだが・・・。
「あの目がなぁ」
分らないことだけ、信じられないことだけでも分ることが一つある。
魔法少女ソレーユ、彼女の眼に有った殺意と憎しみは本物だったと言う事だ。
「どうしたものか・・・」
ハルの護衛、人形と魔法少女のコンビネーションへの対策、月の援護の継続性。
それだけでもどうすればいいのか、考えるだけの材料すら無いのだからお手上げだ。
「考えるだけ無駄なら、暴飲暴食でもしてストレスでも発散させるか・・・ッ!すみません!」
当初の予定道理、自宅に帰宅して揚げ物祭りとせねばならん。
そう思いながら自宅へと帰る道で人にぶつかってしまった。
魔法少女姿である以上普通なら弾かれるような体格差でも踏ん張れるからか、逆に相手を弾いて尻餅をつかせてしまったみたいだ。
「大丈夫ですか・・・ッ!?」
何故コイツが此処に、月は何をしている。
そんな考えが脳内を埋め尽くす。
目の前にはえらいイケメンな男がいる。
イギリス人の母譲りという輝くような金髪。
多少幼さの残る童顔ではあるものの整った顔。
まるで女のように線の細さ。
母親の実家は名家の金持ち。
少女漫画に出てくるような王子様のような奴だ。
そんな完璧超人がえらい呆けた顔で此方を見ていた。
※
目の前にいるのはモテすぎイケメン三上晴、現時点ではそこまで被害がないが将来的にはモテすぎイケメン寝取り野郎ヤリチン種馬三上晴に進化する疑惑のある友人だ
現実でのBボタンの実装が待たれるな。
「・・・・・・」
何だコイツ、いきなり此方を見て固まりやがって。
「・・・あの、怪我されましたか?」
「・・・・・・」
「怪我が無さそうなので帰りますね、本当にすみまs「あの!?」」
「一目惚れしました」
誰に?
「どうか、僕と付き合ってくれませんか」
親友に?
前略、親友様。
私の貴方への認識が親友から怨敵に変化する日もそう遠く無さそうです。
敬具。
ちょこちょこ書いていく