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智枝理子の資料集  作者: 智枝 理子
Sep2エル編バッドエンド「孤高の王者」
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3.終章

 ラングリオンの闘技場の上空で、白い羽が舞う。

「ポラリス」

 背から生えた白い羽を羽ばたかせながら、ポラリスがヴェラチュールの前で止まる。

「終わりだよ」

 ヴェラチュールがポラリスを見て溜息を吐く。

「終わりか」

「終わりってどういうことだ。レイリスに何をしたんだ」

「私は何もしていない。…お前も一度見たことがあるだろう。対となる精霊が消える瞬間を」

「対となる精霊?そんな精霊、どこにも…」

「ポラリス。竜の山の封印の棺を移動したのはお前か」

「おや。失礼な言い草だね。封印の棺が竜の山にあるなんて、誰が言ったんだい」

「ルーベルに守らせていたのではないのか」

「さぁ、どうだろうねぇ」

 竜の山にあった封印の棺が、今は王都で保管されていることを彼は知らない。

「どうせお前は棺を見つけられっこないのさ。アンシェラートに封印の棺を破壊させ、レイリスを追い払うのに使おうとしたようだけど、見事に失敗したね」

「封印の棺を寄越せ。神の力さえ取り戻せば、あれを止めることなど容易い」

「棺だけ手に入れてどうするつもりだい。精霊の力なくして、あれは開けないというのに。どうあがいても世界は終わる。…ほら、ご覧よ」

 遥か遠くで、大地から伸びた手に向かって複数の光が取り巻いている。

「地下に居た神々がアンシェラートを地中に押し戻そうと戦っている。何度見ても美しい光景だねぇ」

「何故、終わりに導いた」

「お前の支配する世界には終わりしかないってことさ」

「世界はいずれ終わる。私がそれを伸ばせるのは確実だ」

「お前のやり方には飽きた。未知を探すのが私の役目」

 ポラリスがエルロックを見る。

「私の知る終わりは少しずつ変化している。エルロック。リリーシア。運命に左右されない君たちが世界の希望だ」

「希望?」

「希望?」

「人間に希望を見るのか」

「ふふふ。私は人間贔屓なのでね」

「今は一体、誰の姿を借りているんだ」

 ヴェラチュールがポラリスに向かって風の魔法を起こすと、ポラリスのローブのフードが外れる。

 その顔を見て、エルロックが驚く。

「その顔は…」

「ばれてしまっては仕方がない。その目に焼き付けておくと良いよ。…新しい世界でも、その魂に刻まれた記憶を呼び出すことが可能かもしれないからね」



 アンシェラートと、その片割れである創世の神の魂が手を結び、根源の神、オーへと還っていく。

 大地が崩れ、自然が崩壊し、星の生き物が死に絶える。

 その魂が片割れを求めて死者の世界へと押し寄せると、生まれることのない世界で魂は自らの片割れと共に一つとなり、全ての魂が根源の神・オーに還る。


 それは世界の終りであり、はじまり。


END.


 詳しい後書きは活動報告に書いてあります。

 今回のバッドエンドは、エルとアレクの信頼度が一定以下だと発生するイベントです。具体的に言うと、二章ラストの「62 大切なものは目には見えない」がなかった場合、バッドエンドになります。

 地上にレイリスと対になる大精霊は存在します。

 ポラリスの顔が誰かわかりますか?エルが知っている誰かです。でも、あの人じゃありません。


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