159 意気衝天
熱気球に戻って、キャロルが用意してくれたサンドイッチを食べる。
「美味しい」
ゆっくりランチを食べられる時間があって良かった。
熱気球の魔法の玉も、まだ持ちそうだ。……でも、創世の神との戦いで吹き飛ばされてしまえば使えない。無事にここで留まってくれれば良いけど。
あ。
このサンドイッチ、ローグから貰ったマスタードを使ってるのか。
美味い。
「水筒に温かい飲み物でも淹れてくれば良かったな」
せっかくだから、温かいコーヒーと一緒に食べたかった。
極寒の神の台座なら、すぐに冷めてしまうかもしれないけど。
瓶に入ったオランジュエードだって、凍ってないだけましだろう。
「じゃあ、今度来る時は持って来ようね」
……今度って。
『また、こんなところに来たいの?』
「えっ?あの、そうじゃなくって、今度、ピクニックに行く時とか……」
『どこにピクニックに行く気?』
「えっと……」
……これも、ピクニックみたいなものか。
『僕は、もう少し温かい場所が良いな』
『そうだな』
『そう?私は、グラシアルでも構わないわ。オーロラもきれいだし』
『そおねぇ。綺麗だわぁ』
『グラシアルはピクニックに行くようなところじゃないだろ』
『人間には遠いねー』
『なら、グラム湖は?』
『それが丁度良いだろうな』
グラム湖か。
「春になったら行こう。桜が綺麗なんだ」
「うん」
リリーが微笑む。
……その笑顔が見られるだけで、幸せ。
空にはオーロラが舞っている。
まるで昼と夜の境目があるかのように、薄暗い北の空には星が瞬き、南の空には太陽と月が輝く。
「不思議だよね。太陽と月が並ぶなんて」
「あぁ」
太陽の輝きに負けないほどの輝きを放つ月。
月は、太陽の力を蓄えて輝くと言われているけど。
満月の時だって、あそこまでの輝きを見たことはない。
「綺麗だな」
「うん」
二度と見られない瞬間。
それを、人間が簡単に来ることのできない場所で見てるなんて。
……神の台座。
外側からしか観測できなかった場所に、今、居るんだ。
「神の台座の探索依頼が出たら引き受けても良いな」
「え?」
「神の台座は未開の地だ。でも、熱気球があれば、来ることが出来るだろ?だから、その内、探索依頼も出るかもしれない」
風の精霊の力を借りずに自由に飛び回るには、熱気球の改良も必要だけど。
「冒険者ギルドって、そんな仕事もあるの?」
「ギルドじゃない。国が主体となって編成するんだよ」
「え?秘書官の仕事?」
なんで、そうなるんだ。
リリーの額に指を当てる。
「未開地の探索は騎士の仕事だぞ」
「えっ?私?」
「隊長として、国の代表として。時には周辺国との交渉を行い、時には未知の脅威から隊員たちを守る役目を負う。……それこそ、騎士物語とかになってるんじゃないか?」
最近では、騎士の仕事は戦闘がメインと思われているけど。
昔は、国王の代理として各地に赴くこともあれば、未開の土地の調査や開拓を行っていたこともある。
「私、そんなこと出来るかな……」
「出来るよ」
もっと自信を持てば良いのに。
「困ったら、助けてくれる?」
「言っただろ。引き受けても良いって」
リリーがやるなら、一緒に行きたい。
「今度は、ちゃんと水筒を持ってこないとな」
リリーが微笑む。
「うん。温かい飲み物を淹れて来ようね」
リリーと一緒なら、どこへ行っても何をしても楽しくなるに違いないから。
「あの、あのね」
急に挙動不審になったリリーが、あちこちを見回した後、深呼吸をしてこちらを見る。
「北は、あっちだよね?」
リリーが指で示した方角は。
「正解」
真北。
「やったぁ」
リリーが嬉しそうに微笑む。
可愛い。
『呑気なもんだね。世界が終わるかもしれないのに』
「終わるなんて、誰も思ってないよ」
『創世の神の恐ろしさをしないからだろう』
「メラニーは……」
リリーが周りを見る。
「ジオ。ユールも、バニラも知ってるの?」
皆、当時のことを知ってるのか。
『空から落ちた光線が大地を焼き尽くしてー……』
『降り注ぐ岩石が地下深くまでめり込んでいったわぁ』
『風は嵐となって荒れ狂い、あらゆるものを根こそぎ巻き上げた』
世界の崩壊。
大精霊の力でも、あれほどの被害が出せるんだ。より上位の存在が行使する破壊なんて、想像を絶するだろう。
『神々が戦った時もそんなに被害が出たなんて……』
『また、そうなるかもしれないの?』
ナターシャ。アンジュ。
『でも、今の世界は、そんなに壊れたことがあるように見えないけど』
『あの男が、植物を再生させたからな』
『大精霊たちも、自然の再生に奔走してたんだよー』
『わずかに生き残った生き物たちがぁ、今まで命を繋いできたのよぉ』
『そうして、世界は立ち直った』
ラグナロクの記録に書かれていたこと。
長い時をかけて、世界は再生した。
『私……。今の世界が壊れるなんて思いたくないわ』
『僕も。そんな怖いこと、起きないで欲しい』
「壊れないよ」
「大丈夫だよ、皆」
『……簡単に言うんだからさ』
イリスの気持ちもわかるけど。
それでも、今、真っ直ぐに進めるって信じられる。
「でも、良いのかな」
『何が?』
「創世の神は、アンシェラートを迎えに来ただけなのに。……一つになりたいと思っているだけなのに、それを邪魔するなんて」
『何言ってるの?創世の神とアンシェラートが一つになれば、世界が終わるんだよ?』
「そうだけど。私たちばっかり幸せになってて良いのかなって……」
なんていうか。
リリーらしいな。
「どうせ、神にとっては一万年も一億年も、気が遠くなるような月日も全部一緒だ。世界の終りまで待ってて貰えば良い」
「えぇ?そんなに長い間、待てないかもしれないよ?」
「俺はちゃんと我慢してたぞ。一か月以上も」
セルメアに行った時。
リリーが頬を膨らませる。
「だって、セルメアに行くのにひと月もかかるなんて、エルは言ってくれなかったから」
「……は?」
なんだそれ。
異国に行くんだし、地図を見れば……。
『リリーだからねー』
……そうだった。
周りから、リリー以外の笑い声が聞こえる。
「あの……。ごめんなさい」
あぁ。本当に。
すぐ傍に居るリリーを抱きしめる。
「エル?」
「好きだよ。リリー」
「えっ?あの……。私も、好きだよ」
可愛い。
いくら一緒に居ても飽きない。
ずっと一緒に居たい。
だから。
「絶対、この世界を守るよ」
リリーが居る世界を。
大切な人が居る世界を。
「うん。守ろうね」
一緒に。
※
リリーと一緒に、アルテアの元へ戻る。
「大樹が大きくなってる」
「すごいな」
ヴィエルジュの大樹。
さっきと比べると三倍ぐらいの高さに成長してる。それに、ほのかに全体も光ってるな。
これが、アンシェラートの力で溢れた姿?
「行こう」
「うん」
リリーと一緒に、シミュラが作った盛土の上へ。
魔法陣が地面のあちこちに描かれている。
全部で十個も?
「戻ったか」
アルテアがこちらを見る。
その傍には、ヴィエルジュが。
背が高くなった大樹の洞は、ここに開いたらしい。
「この紙に指示を書いた。月の力で指示通りに魔法陣を繋げ、そこに太陽の力を流し込んでくれ。……杖は返す」
「ん。わかった」
アルテアからメモと杖を受け取る。
……多いな。
「一番下にあるのって、太陽の魔法陣?」
「そうだよ」
俺が知ってるのとは、少し違うけど。
太陽の力に対応した魔法陣なのは間違いない。
「太陽の力を流すって……。太陽の精霊を呼ぶの?」
……そういえば、知らないんだっけ。
「リリーが使うんだよ」
「え?」
もう、隠しておけない。
「リリーが無意識に使っている魔法の正体。あれは、光の魔法でも何でもない。太陽の魔法だ」
知らないなら、知らないままの方が良かっただろう。
「どうして、私……?」
混乱してるな。
「説明は後。手伝って」
「……」
……納得しないか。
でも、今は上手く説明する自信がない。
不満そうに膨らんだ頬にキスをする。
「もう。怒ってるんだよ?」
リリーが上目遣いでこちらを見る。
可愛い。
「気づいてたけど、認めたくなかったんだ。……だから、後でゆっくり話すよ」
今は魔法陣の完成が先だ。
全体は、縦方向に三本のラインに分かれてる。
左のラインに三つ、右のラインに三つ、魔法陣が等間隔に並んでいる。
中央のラインは変則的に四つ並んでいる。等間隔に並べば良いはずが、何故か上から二番目が空白だ。その下は等間隔に三つ並んでいる。二番目が抜けているせいで、不自然に下に一つ飛び出してる。……飛び出しているのは、太陽の魔法陣だ。
十個の魔法陣は、精霊の属性に対応している。
中央の一番上は月。
次の段は、左が闇で、右が真空。
次の段は、左が炎で、右が水。
次の段は中央に光の精霊の魔法陣。
次の段は、左が氷で、右が大地。
次の段は中央に風の精霊の魔法陣。
そして、中央の一番下が太陽。
「エル」
「ん?」
俺の方に来たリリーが、両手で俺の顔に触れる。
「私、エルのことが好きだよ」
リリーが俺を引き寄せて、キスをする。
「だから……。私の一番大切な人で居てくれる?」
……それが、リリーの答え。
リリーを抱きしめる。
「一緒に居られて幸せなんだ。離れたくないし、離したくない」
太陽の力を持っていると気づいた時から、ずっと不安だった。
これが、どこかで運命付けられたものじゃないかって。
リリーの頬に触れて、その瞳を見つめる。
「ありがとう。大切に想ってくれて。……どんな事実があろうと、どんな要因があろうと、一緒に辿って来た道は嘘じゃない。この関係は何があっても変わらないって。そう思えるのは、リリーが信じられるからだ。だから、自分の気持ちも真っ直ぐに信じられる」
リリーは、どんな不安も吹き飛ばしてくれるから。
「愛してる」
リリーとキスをする。
「ありがとう」
ここまで、二人で一緒に来た。
だから、信じられる。
「始めよう」
「うん」
視線を魔法陣に落とす。
……まずは、月と真空の魔法陣を繋ぐ線を描く。
「リリー。ここに太陽の力を流し込んで」
「えっ?えっと……」
リリーの肩を抱く。
「落ち着いて。このラインを自分の力で光らせるイメージで、魔力を流し込むんだ」
杖を渡すと、リリーが杖を持って、悩む。
「あの……。直接、触っても良い?」
「良いよ」
杖を受け取ると、リリーがしゃがんで、月の魔法で描かれた金色の道に触れた。
すると、その道が別の色で輝く。
これが太陽の力?
「これで良いの?」
「あぁ。これと同じことを、順番にやっていくんだ」
続いて、月と闇の魔法陣を繋ぐ。
リリーが同じように触れると、今度は違う色に輝いた。
―虹の女神は、世界を繋ぐ架け橋。真実を繋ぐ女神って。
これが、あらゆるものを繋ぐ力。
「じゃあ、次は……」
それぞれを繋ぐ道。
月と真空、月と闇、月と光。
闇と真空。
真空と光、真空と水。
闇と光、闇と炎。
炎と水。
水と光、水と大地。
炎と光、炎と氷。
光と大地、光と風、光と氷。
氷と大地。
大地と氷、大地と太陽。
氷と風、氷と太陽。
そして、風と太陽。
このすべてを、繋ぐ。
※
「これで全部?」
「あぁ。完成だ」
「……出来たぁ」
リリーが大きく息を吐く。
やることは単純だけど、流石に、これだけの量を描けば疲れるな。
「エルロック。杖を貸してくれ」
「ん」
杖をアルテアに渡すと、アルテアが月の魔法陣と光の魔法陣の間に入って、そこに新しく魔法陣を描く。
不自然に空いた中央二番目の空間。やっぱり、そこにも魔法陣が入るのか。
「リリー。大丈夫か?」
「うん」
疲れてそうに見えるな。
俺と同じ量の魔力を持っているなら、そう簡単に魔力が枯渇することは無いとは思うけど。
「ケイルドリンクでも飲むか?」
即席で作れる用意はある。
でも、リリーは首を傾げた後、大げさに首を振った。
「大丈夫。元気だよ。ほら、平気だから、心配しないで」
……そんなに苦手なのか。
「エルロックは月の魔法陣へ。リリーシアは太陽の魔法陣へ」
「ん」
「はい」
リリーが太陽の魔法陣の方へ走って行くのを見送って、中央の一番上にある月の魔法陣の上へ。
隣でアルテアが新しく描いたのは、転移の魔法陣に似た図柄のものだ。
つまり、魔力を集める為の魔法陣。
「大精霊たちよ。力を貸してくれ」
離れた場所に居た大精霊たちが集まって、それぞれの魔法陣の上に立つ。
デルフィが連れてきた真空の大精霊、リスプも居る。
っていうか……。
「お前たち、俺から離れてた方が良いんじゃないか?」
『じゃあ、あたしはぁ、リスプの所に行くわぁ』
『僕はエイダを手伝う』
『では、私はアーランの元へ行こう』
『シミュラの方へ行く』
『じゃあ、デルフィを手伝ってくるよー』
『えぇ?じゃあ、私もパスカルの方へ行こうかしら』
イリスもリリーの元を離れてパスカルの所へ行ったみたいだ。
『私は君といるよ』
精霊の声……?
誰だ?
アルテアの方から聞こえた気がするけど。
「離れていた方が良い」
『わかってる?ここは極寒の地なんだよ?離れたら君は凍え死ぬよ?』
「これだけの魔力が集まるなら問題ない。エイダの元へ行け」
『むぅ』
エイダってことは、炎の精霊?
エイダの元で、炎の精霊が顕現した。
あの精霊……!
ずっと、リンの巫女と旅を続けていた炎の精霊だ。
今も、一緒に居たのか。
「∀1∈。準備は良いか?」
アルテアが、大樹に居るヴィエルジュを見る。
「出来ている。……しかし、空は雲で覆っていた方が良いかもしれない」
「そうだな」
アルテアが天に向かって手を上げると、周囲が雲に覆われた。
太陽と月の姿が見える場所以外、すべて。
創世の神が、真っ直ぐこっちに向かってくれれば良いけど。
「では、始める」
「わかった」
ヴィエルジュの大樹が、さっきよりも眩い輝きを放つ。
アルテアが魔法陣に何か書き込むと、すべての魔法陣も輝き出した。
……封印の棺を封印した時を思い出す。
力が奪われる感覚。
魔法陣同士を繋ぐ線を辿って、すべての力がアルテアの元に集う。
「エイルリオン……」
杖を地面に立て、アルテアがエイルリオンを手にした。
月が太陽と重なり、両者は共に眩い輝きを放つ。
太陽と月は、地上からは観測できない場所で創世の神の力に抗ったものの、その力を越えて進んだ創世の神が、美しい星にアンシェラートの輝きを携える神樹を見いだす。
み
つ
け
た
「来る」
太陽と月が重なる方角から真っ直ぐ目的へ向かって突き進む神。
その神に向かって。
地上から極彩色の光が放たれる。
「アルテア!」
アルテアが、ふらつく。
なんて力だ。
まずい。
このままじゃ、押し返される。
一人じゃ無理だ。
手伝いたいけど、今、ここを動けば月の力が……。
そうだ。
「レイリス!」
名前を叫ぶ。
「エル」
来てくれた。
でも、説明してる暇はない。
「俺の代わりに、ここに立ってくれ」
「は?」
「お願い」
レイリスを魔法陣に残してアルテアの魔法陣へ行き、一緒にエイルリオンを持つ。
……なんて、重圧だ。
「世界を守るんだろ!絶対に倒れるな!」
真っ直ぐ、この地に向かってくる巨大な力。
これが、創世の神。
「エル!彩雲を貸して!」
鞘から抜いた彩雲をリリーに向かって投げる。
「ありがとう!」
彩雲を何に使うかは、わからないけど。
剣なら……。
「レイリス!イリデッセンスもリリーに渡してくれ」
「リリー、ちゃんと受け取れよ!」
レイリスが、リリーに向かってイリデッセンスを投げ渡す。
「ありがとう!」
リリーが、自分の隣にリュヌリアンと彩雲を並べてる。
何をするつもりなんだ?
続けて、リリーがイリデッセンスを掲げた。
「いっけー!」
リリーが、雲の隙間に向かって光を放つ。
放たれた光は、エイルリオンから伸びる光を越えて、遥か遠く……?
どこに行ったんだ?
「スタンピタ・ディスペーリ!」
……なんで、封印解除?
「なんて器用な真似を」
「どういう意味だ?」
「リリーシアは、神の力を使い、はるか遠くに居る太陽と月の女神の力を呼び寄せている」
「は?」
「今、私たちは創世の神を挟み撃ちにしてる」
周囲に、淡いベールを纏った光が広がっていく。ここを起点に、まるで世界中へ広がっていくかのように、広く遠く……。
「これは……?」
「虹の大精霊の力は、世界を繋ぐ力」
世界を繋ぐ……?
「エルロック。リンの力を使いこなせ」
「リンの力?」
アルテアが消えて。
……急に、極彩色の光の輝きが増す。
重い……。
両手でしっかり持っているのに、溢れる力でエイルリオンが震える。
目標を見失うな。
しっかり構えて。
剣が示す方向を常に創世の神の中心へ……。
『エル』
今、少しでも気を緩めたら。
『エル』
少しでも力が入らなくなれば。
『エル』
少しでも集中を乱せば。
『エル』
すべてが一瞬にして崩れてしまう。
『エル』
絶対に、負けない。
『エル』
絶対に、守る。
『エル!』
「……え?」
『聞いているのか?』
「メラニー」
『手伝うわよぉ』
「ユール、」
『オイラもー』
「ジオ」
『私も』
「バニラ」
『私も頼って』
「ナターシャ」
『僕も』
「アンジュ」
『ボクも、手伝うよ』
「イリスまで……」
目の前で、イリスが顕現する。
『人間一人を支えるぐらい、ボクらにだって出来るからね』
近くに居たら危ないって、言ったのに。
……こんなことをすれば、守るって契約を果たせない。
でも。
「助けて」
一人じゃ、無理だ。
『当然だ』
『ふふふ。まかせてぇ』
『力になるよー』
『助ける』
『良いわよ』
『僕も頑張る』
『頼りにしてよ』
「ありがとう、皆。顕現してくれ」
ふらつきそうになる体を、今にも落ちそうな腕を、皆が支えてくれる。
そうだ。
いつだって、一人じゃなかった。
傍に居てくれる誰かが居た。
一緒に居ることを望んでくれる誰かが居た。
離れていても、俺のことを想っていてくれる誰かが居た。
身体が覚えてる。
背中を押して支えてくれる皆の声を。力を。
エイルリオンの震えが収まる。
手に持つ力は遥かに強く、どんどん増大していくように感じるのに。
剣の先は、迷うことなく真っ直ぐ創世の神に向かって伸びている。
『急に楽になったわ』
『エル、何かしたの?』
首を振る。
見えないものに支えられてる。
……これが、世界の加護?
戦っているのは、ここに居るみんなだけじゃない。
もっと、多くの何か。
世界中の声が。
祈りが、聞こえる。
『繋がった』
極彩色の輝きは創世の神を捕らえ、太陽と月も加勢する。
大丈夫。
一人じゃない。
今、あらゆるものが繋がってる。
絶対に、押し返す。
この世界を終わらせたりなんかしない。
絶対に、守る!
る転し、巡る耀きのすきまから
ての形をしたものが現れた
し方八方から集った力をあてて抗う
いのちの煌めきを宿すおおきな祈りと
あたたかい生命と意思でうまれた希望で
未知を架ける
ら さ
な よ
よ な
さ ら




