Sep:ラングリオンの貴族制度
・ラングリオンの貴族の序列
国王陛下≧皇太子>大公>その他王族>公爵>伯爵(宮中伯、辺境伯)>子爵>首長
爵位を与えられるのは「国王」で、「公爵」「伯爵」も一部の爵位を与えることが出来る。
爵位は必ず貴族冠と共に与えられ、その冠の正式な持ち主が貴族の当主となる。
退位した国王は大公陛下と呼ばれる。序列としては皇太子に次ぐとされるが、国王の父であることからも、国王よりも尊敬を集める立場に違いはない。
また、ラングリオンの法律上、「国王」「王子」「王女」と同じ名前を新しい子供に使ってはならない。ただし、婚姻、爵位を叙任する等で王家を離れた場合は、その限りでない。
・貴族冠
公爵なら公爵冠、伯爵なら伯爵冠と呼ばれ、形にも厳格な規定がある。
貴族冠を身に着けられるのは当主のみ。
貴族冠は失くすと爵位を失いかねないぐらい大事なもの。普段は家宝として大切に保管され、爵位を継ぐ時、新年のお祝い、国王の戴冠式等、特別な日にだけ身につける。
宝石や金属で出来た貴族冠は、めちゃくちゃ重くて常時着用出来るものじゃありません。でもって、歴史の長い家系であるほど流行に合わなくてダサく見えてしまいます。
豪華は豪華なんですけどね。宝石一つ一つだって、ばらして売れば価値があるものに違いはないです。なので、貴族冠を守ること(もしくは守れるだけの軍備を用意できること)も貴族の務めだったりします。
じゃあ、普段は冠を付けないのかって言うと、ちょっと違います。
お洒落な貴族は、普段は自分で作った略式冠をつけてます。略式冠を作る時には規定があり、爵位に応じた基本の型があります。
略式冠は個人の持ち物とされ、代々引き継がれたりはしません。また、誰が当主かわからなくなる為、貴族の間では冠は当主以外着けてはいけないとされていますが、略式冠は爵位を譲った貴族が着用しても良いものとされています。
国王陛下も普段は王冠を身につけません。剣術大会等の公務では自分好みに作った略式冠を身に着けてます。
また、喪中の人は冠をつけないという慣習があります。
略式冠…小冠、通常冠、式冠、何にしようか決めかねていた件ですが、一番わかりやすい感じになりました。
≪階級≫
・国王陛下(Roi de Ranglion)>
ラングリオン王国の君主。貴族や領主を選定できる。国のあらゆる権限を持つ。
一等騎士。
・皇太子(Prince heritier/Fils de Ranglion/Maitre de Eirlion)>
国王陛下と並ぶ一等騎士で、聖剣エイルリオンと剣花の紋章の正式な持ち主(皇太子が不在の場合は国王陛下が持ち主)。
貴族や領主を選定できる立場には居ませんが、その権力の幅は国王と同等で、ナンバー2と言うよりはトップが二人いる状態に近い。
何故、ラングリオン王国で、王位継承者を皇太子と呼ぶのかと言うと。
1.アルファド帝国の慣例を受け継いだから。
この地域では次期帝位継承者(時期皇帝)を皇太子と呼んでいた為、次期支配者(次期国王)を皇太子と呼んでいる。
2.旧アルファド帝国の正式な継承者だから。
ラングリオン王国として、新しい国を作りましたが、それはラングリオンがアルファド帝国の資産領土等を引き継ぐことも意味している。その為、次期支配者が皇太子と呼ばれる。
3.王太子より皇太子って呼び方の方が(作者の)好みだから。
・・・お好きな説をどうぞ。
※Prince heritier:王位継承者の王子
※Fils de Ranglion:ラングリオン王国の子
※Maitre de Eirlion:エイルリオンの所持者
・大公(Grand Duc)>
退位した国王で、敬称は陛下。大公陛下と呼ばれる。
王妃は同等の身分とされ、国王の退位と共に、大公妃、大公夫人(Grand Duchesse)、あるいは単に姫(Princesse)と呼ばれることも。敬称は陛下。大公妃陛下。国王が故人となった場合もこれは変わらない。
皇太子が居る場合、国王は退位(譲位)の時期を自分の裁量で自由に選ぶことが出来ます。
また、余生を過ごす場所を直轄地の中から自由に選ぶことが出来ます。公爵に招かれた場合は、公爵領で過ごすことも出来ます。
大公、大公妃共に、国から年金が支払われます。
ただし、異国を居住地とする場合は支払われないこともあります。
・その他王族(Prince、Princesse)>
王族とは、国王と直接血の繋がりのある者と王妃を指す。
つまり、国王の両親、兄弟姉妹、子、孫等である。
その他の王族とは、国王、王妃、皇太子、大公を除く王族のことである。
基本的に領地を持たず、爵位を与える等の権限はない。
王子は生まれながらの騎士として、幼少の頃に三等騎士の叙勲を受ける。
王女は騎士の叙勲を受けない。(騎士を目指すなら、従騎士からやらなければならない)
成人後は、国から年金(役職給与みたいなもの)が支払われる。年金は本人の辞退や婚姻、爵位の叙任等によって終了することがある。
これは、王子、王女としての身分は失わないが、王家を離れることを意味する為である。
ラングリオンの法律上、「国王」「王子」「王女」と同じ名前を新しい子供に使ってはならないとされる。(王妃は含まない)
しかし、国王が退位した場合や、王家から離れた場合(婚姻、爵位の叙任等)、使用が可能となる。
例:王弟「フィリップ」。ヌサカン子爵の叙任を受けた時から王家を離れている扱いなので使用可能です。
「マルグリット」姫。すでに嫁いでいるので使用可能です。
現国王である「アントワーヌ」、皇太子「アレクシス」、第三王子「エリオット」は使用不可です。
王子や王女は、異国の王族や貴族と結婚したり、世継ぎの居ない貴族の養子に迎えられることが多いです。特に最近では、男子の子供が居ない貴族が王子を迎えたがる例が後を絶ちません。
統治者が居なくなった(戦争、貴族の位の剥奪等)土地の爵位を継ぐ例や、新しく開墾された土地の領主となる例もあります。
何かと引っ張りだこな為、一般市民のような生活に落ち着く王族は、ほぼ居ません。
※年金・・・老後の保障を目的とした日本の年金のイメージとは少し違います。給与のように毎年支払われるもので、フェリックス王子もこれを研究費用や従者の給与に充てていました。
・公爵(Duc)>
国王から公爵の地位を与えられた貴族。
次期公爵を決めるのは現公爵。世襲が推奨される。
子爵の位を与えることが出来、首長の選定が可能。
爵位に付属する騎士の位は二等騎士(実は王子より上)。
ラングリオンの公爵は三人で、それぞれ南部三地域を任されています。
南部東のデュランダル地方を治めるオルランド公爵。
南部中央のジュワユーズ地方を治めるルマーニュ公爵。
南部西のオートクレール地方を治めるオリヴィエ公爵。
王家に忠誠を誓うことで王族とほぼ同等の支配権を得ていて、高度な自治権を持っています。イメージとしては州制度に近いのかな。つまり、独自の法を作って良い。
本編で出てきた、孤児の扱いが変わるのもそのせいです。
ただし、各地域にも国の直轄地がいくつか存在しています。辺境伯が治める領地とか、子爵が治める領地とか。直轄地ではアルマス地方と同じ法律が適応されます。
もしかして、ラングリオンの国王陛下はアルマス地方を治める公爵なんじゃないかって?
それに近いですが、主従関係ははっきりしています。
ちなみに、アスカロン湾を挟んだラングリオンの西隣、ティルフィグン王国。そこはかつてラングリオンの属国で、その君主は公爵と同等の扱いでした。
・宮中伯(Comte)>
国王から伯爵の地位と官職を与えられた貴族。
次期伯爵を決めるのは現伯爵。世襲が推奨される。
爵位を与えられる立場には居ませんが、首長の選定は出来ます。
爵位に付属する騎士の位は三等騎士。
今のところ、オルロワール家とノイシュヴァイン家のみを指します。
地方に伯爵家としての領地も与えられているが、王都に住み、国王陛下を支えることを推奨されている。領地における支配権は条例の制定程度。
オルロワール家に与えられた官職は、書記官。
国王の命で文書を作成するのが仕事だったので書記官って言われてますが、その仕事は多岐に渡ります。
要するに宰相で、国王陛下の政治を補佐する人。行政におけるトップ。
外交を取り仕切る役目も担い、国王に代わって軍を動かせるだけの発言権も持っています。
ノイシュヴァイン家に与えられた官職は裁判官。
法の番人であり執行者。要するに司法のトップ。
王都で誰もがお世話になる守備隊はノイシュヴァイン家が上司だったりします。ラングリオンにおいて警察に近い存在の守備隊は、法に則って職務を遂行する人たちなので。
・辺境伯(Margrave)>
国王から伯爵の地位を与えられ、辺境警備を任された貴族。
次期伯爵を決めるのは国王だが、基本的に現伯爵の推薦通り。世襲が推奨される。
子爵の位を与えることが出来、首長の選定が可能。
爵位に付属する騎士の位は三等騎士。
公爵ほどの支配権は持っていませんが、法に則った条例の制定が出来ます。
辺境伯とは、国における重要な軍事拠点を守る伯爵。公爵領にも存在しますが、辺境伯の土地は国の直轄地扱いです。
例としては、リックが拠点としているフォション辺境伯(デュランダル地方)、ヴァジュイル辺境伯、ラングフォルド辺境伯、そしてロニーの家であるイエイツ辺境伯。
・子爵(Vicomte)>
子爵には色んな種類が居ます。
子爵その一。
国王陛下から子爵の地位と領地を得る。
次期子爵を決めるのは国王だが、基本的に現子爵の推薦通り。世襲が推奨される。
首長の選定が可能。
爵位に付属する騎士の位は三等騎士。
領地において、条例の制定を行う権利を持っている。
例:エグドラ子爵、国王妃の出身であるベーリング子爵
※シュヴァイン子爵。これは特殊な例で、ノイシュヴァイン家から分家として出ることを国王陛下が認可したので、陛下から貰った領地と三等騎士の位があります。ただし、次期子爵の決定権を持つのは本家であるノイシュヴァイン家。基本的にシュヴァイン子爵の推薦通りです。
子爵その二。
公爵から子爵の地位と領地を得る。一代限りのこともある。
領地を得ている場合、次期子爵を決めるのは公爵だが、基本的に現子爵の推薦通り。世襲が推奨される。もちろん、一代限りの場合は本人で終わる。
首長の選定が可能。
爵位に付属する騎士の位は四等騎士。
領地において、条例の制定を行う権利を持っている。
例:ヌサカン子爵。ずっと世襲していましたが、世継ぎに恵まれなかったこともあり、王弟フィリップが爵位を継ぐことになりました。
子爵その三。
伯爵から子爵の地位を得る。必ず領地を得ると言うわけではない。
名誉称号のような使われ方で一代限りの場合が多く、貴族冠が与えられないことまである。
領地を得ている場合、次期子爵を決めるのは伯爵だが、基本的に現子爵の推薦通り。世襲が推奨される。もちろん、一代限りの場合は本人で終わる。
首長の選定は不可能。(そもそも、その規模の土地を得ることはない)
爵位に付属する騎士の位はない(与えられるのが五等騎士までで、四等騎士以上の騎士に爵位を与えると騎士の位が下がってしまう為)。
領地における権限は首長と同じで、ただの役人であることが多い。
例:・・・挙げられるような家が本編にも外伝にも出ていないのですが。一代限りなので、当主が死んだら爵位を喪失し、貴族冠も返還します。名前だけの名誉称号という感じです。
子爵その四。
誰かから地位を得たわけでも、領地を持っているわけでもない人が勝手に名乗る。
もちろん爵位に付属する騎士の位はないし、貴族冠もない。
もともとは、爵位を継がなかった公爵や伯爵の子息のことを、敬意を込めて子爵と呼んでいたことから分家として出す習慣が生まれたこともあり、子爵と勝手に名乗る人が後を絶たない。
例:爵位を継がなかった公爵や伯爵の子息が勝手に名乗る。
一代限りの爵位のはずなのに、子爵の子息が勝手に名乗り続ける。
成金の商人が勝手に名乗る。
騎士団長が勝手に名乗る。
などなど。
子爵と言われても、誰から爵位を得たかが大事で、それが謎の場合は怪しい貴族であることは確か。
貴族制度は建国初期に作られたものからほとんど変わっていません。
そろそろ、もう一つ下位の爵位でも作らないと子爵って地位が適当過ぎる。
作者も適当に割り振ってるから仕方がないんですが。
・首長(Maire)>
町や村を法に則って管理する人。いわゆる長。
もちろん法や条例を制定する権利なんて持っていません。
騎士の位もありません。
単にお役所仕事をする人のトップ。
こちらも勝手に子爵を名乗る人が居ますが、本当の子爵なら持っている権利の幅が違います。
本編で、エルがリックと一緒に王都の周囲にある街を巡ってた時に会った人が多分そう。
エルは領主って言っていた気もするので、もしかしたら子爵って名乗ってる人だったのかもしれません。
爵位に、侯爵と男爵はありません。だって、公爵と侯爵が存在したら、確実に誤変換が多くなる。それに、女性が男爵と名乗るのもどうかと。まぁ、男社会なので女性が爵位を継ぐパターンは稀なんですが。
税制度とか。
領主は土地の徴税権を持っていて、市民は税金の納付義務があります。と言っても、徴税権があるのは伯爵以上の貴族と子爵その1だけ。他の子爵は、決められたお役所仕事をする首長の位置づけとさほど変わりません。
また、領主は国王に対し、徴税の報告と何割かの税金の納付義務があります。(それ以外は、その土地で使って良い)
ただし、公爵領はその限りではない。国王に対し、徴税した税金の納付義務はない。
その代わり、貴族には毎年支払わなければならない特別税がある。爵位に対する税金みたいなもの。公爵家は高めに設定。他の爵位に対しては低めに設定。義務ではないけれど、特産物や金品の献上品が贈られることもある。
ラングリオンはお金持ちの国なので、全体的に税金はそれほど高くない。
ただし、市民に対する課税額は領主の裁量に任されているので、土地によって額が違う。災害が多かったり、生活の利便性を上げたがる人が多い等、インフラ整備にかかる費用が高い場所は必然的に課税額が高くなり、特産物があったり交通量が多いなど、外貨を稼げる場所は税率が低くなる。また、国王の直轄地の方が税率は低めと言われている。税金に対して文句がある場合は、上司の貴族や国王に陳情することで、領主に是正を求めることができる。
出入国税は、オービュミル条約加盟国の市民と冒険者は無料とされている。他にも条約を結んでいる国は無料になっている。刀の国との交易が盛んになったのも、ラングリオン王国との間で出入国税が撤廃されたため。
関税を決めるのは国王。公爵でも関税は勝手に決められない。
・・・税金の話までしたらきりがない。冒険するのに必要な情報はこんなところでしょうか。要は、異国に行くのに税金はかからないってことです。