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エリンジウム  作者: 透水
6/7

答え合わせ

ここまで読んできてくれた方、ありがとうございます。

ここらですっきりさせたいと思いますので、最後までよろしくお願いします。

『ごめんね。こんな所に呼んじゃって』

『別にいいけど、どうした?』

『…』

『暑いからさ、教室に戻ろうぜ』

『あの!』

『ん?』

『私、ずっと前から好きなの!』

『わり『この花が!』』

『…あ、あー。この花か』

『そう、これ。この花が…、好き』

『この××××××は夏の花で、ヨーロッパや南米アメリカが原産なんだよ』

『さすが、環境委員は詳しいな』

『まあね。カズも詳しくなりなよ』

『そうだなー。せめて学校に咲いてる花の名前と花言葉は覚えようかな』

『うん。そうだね』

…。

悲しい夢を見て、また泣いていた。

今度は、覚えている。

俺はなんということをしてしまったのだろうか。

時計の針は午前2時過ぎを指していた。

椅子で寝ていたから背中が痛いが、着替えて外に出た。

行く場所は決まっている。

俺は走った。走って、走って、走って、全力で走った。

過去に戻れるんじゃないかというほどに走った。

そして俺はようやく着いた。

夢にまで出てきた学校の生垣の前に。

約束も何もしていない。

それでも、一昨日のあいつの行動を考えれば確信があった。

あいつは必ず来る。

俺が来てから十数分後。

アズは来た。

着替えてきたらしくアズも制服だった。

俺と違って歩いて来たから、案外、同じタイミングで出たのかもしれない。

病室を抜け出すならまだしも、病院を抜け出すなんて、やっぱりこいつはアズなんだと改めて思わされる。

アズは校門の手前で驚いた顔をしたが、そのまま、おそらく一昨日と同じように校門を乗り越えた。

そして俺を見ながら歩いてくる。

笑顔で、けれども泣きながら。

俺は目を逸らさずにアズを見て立っていた。

制服の男女が二人、夜明けの学校に立っていた。

「お前も制服なのか」

「うん。カズこそ制服なんだね。汗かいてるよ」

「これくらいどうってことない」

「ふーん」

「…」

「…」

「ねえ!」「あのさ!」

「ごめん」

「悪い」

「ううん。先にいいよ」

俺は一呼吸置いてから話した。

「あのさ!お前、悩みを消すなんてやめろよ」

「どうして?」

「それは、お前が嫌なことだと思うから」

「…ねえ。私が二年前に言おうとしたこと、分かったの?」

「思い出したよ」

「そっか…。私が悩みを消してもらうことは嫌?」

「ああ。嫌だ」

「…」

「もう一度、また。今度は俺から言わせてくれ」

「…うん」

「あの時はあの関係が心地よくて、変えることが恐かった。それに、お前も同じだと思ってた」

「けれどお前は、そうじゃなかった。それなのに俺は、無かったことにしてしまった。ごめん」

「…」

ここで言わなければ、また後悔する。

悲しませてしまう。

言おう。

言わなければ!

「ずっと前からアズが好きだった!今でも好きだ!」

「付き合って下さい!!」

「うん。ありがとう!」

「私も、好きだよ。花よりもカズが」

見事ハッピーエンド。

俺達はお互いに、知っていながら知らない振りをしていた関係を、ついに終わらせた。

そしてお互いに、答え合わせをした。

ラスト1話が残っていますが、実質これで読み終わりでもいいと思っています。

告白のシーンはとても大変でした。

なぜなら僕は非リア充というくくりの人間だからです。

人間としても非人間と言われるような性格です。

とにかく、これですっきりさっぱり、といきたいところですが、まだ少し残っている謎は取り除きたいと思います。

次話、最終話です。

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