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人生初の異世界で~俺だけ何も貰えなかった~  作者: 氷鬼
一章 始まりと絶望
9/81

8話 三人の出会い

少しずつ読んでくれる人が、増えてるので嬉しいです。

質問とか疑問が、有れば言ってください。


それでは、今話もよろしくお願いします。


....日の光で、目を覚まし辺りを見回す。

自分の部屋だと、確認し立ち上がるが。

体の節々が痛い、床で寝てたらこうなるか?。


「うぁー痛すぎる...、夢じゃないな」


机の上に有る、元々の色が変化した、黒の日記。

その隣に、黒く歪んだ指輪があった。

モルータ様?、指輪は聞いてないですが?。

触って....も、平気だよね。


ーーーツンツンーーー


大丈夫みたいだな、日にかざして見たけど?。

とにかく黒いな、歪んでるけど指に嵌められるのか?。

左手の人差し指に、近づけて....。


ピカッて一瞬だけ光って、指に嵌まった。

てか、サイズがピッタリだ!。

今の光はサイズ調整の為?、魔装飾品マギアアクセなのか?。

じゃこれも父さんのか?、....そうだ!。

父さんだよ!、送ってくれるって言ってたけだ、本当なのか?。

疑う訳じゃないけどさ...、袋収納メッシスは何処だ。

えっーと?、何処に置いたかな?。

ベットの下...無い、毛布の中にも無い。

タンス、洗面所、スキマ、何処を探しても無い。

アレ?、何処にやった?!。


朝から部屋中探した、何時間も見つからず。

....ふと思い出したよ、見つからないように、隠してた事。

確かこの壁の~?、ここだ魔柔石ミーヤで隠した場所。

魔力を流してと、おっ出てきたよ袋収納メッシス


大変お騒がせしました、無事に発見です。

さて気を取り直して、袋収納メッシスで父さんを探すが。

.....無い、本当に無いな?。

全部出したけど、その中に父さんはいない。

モルータ様は、本当に送ってくれたのか。

モルータ教が有れば、入ってるレベルだよ?。


ある程度の確認も、終わって。

残りの血をどうするかを、考えないとな?。


黒の日記を読み、他に変わってないかを、確認しつつ。

今後の目標を考えていた、王族の血は直ぐに手に入るが...。

下手をしたら、俺の身が危ない。

忌神子姫タブシビルセスも、この城の何処で監禁か隔離されてる。


手はひたすらページを捲り、最後の方に手紙があった?。

丁寧に蝋印されてる、手紙を開き中を確認する。


===============================


これを読んでるって事は、爺さんに会ったんだな。俺の血を得た物を、強制的に日記の中に、連れていく為の魔法がかかってる

。そこで爺さん...死と生を司る神モルータに会えた筈だ。この手紙は爺さんに会った後に、出現する仕組みだ。


死んだ俺には、何も出来ないが。一つの魔装飾品マギアアクセを用意した。その指輪は相手に、強制的に催眠状態にし傀儡とする。魔法や耐性は、無効にするから安心して良い。何だって"幻惑級アルシオン"だぜ?。


==============================


はい、少し待て。

この指輪は幻惑級アルシオンなのか?、それはまた凄いな。

物には等級があって、コレが物の価値を、決める物だったよな。

等級は全部で6つ有る、6つの中から幻惑級アルシオンは、上から2番目だ。


神級テオス幻惑級アルシオン聖級セイク希少級エステ普級フェーレ屑級スクラ


どうやって、それを知るには、専用の機械を使うらしい。

陸の持ってる、聖剣は聖級セイクになる。

父さんが持っていた、片手剣ロングソード普級フェーレになる。

屑級スクラは、魔力が無く使えない物を指す。

基準が内包してる、魔力の量だな。

おっと手紙に、戻ろう。


=============================


内包してる魔力が、半端ないぜ下手したら、一国の王にすらなれる代物だからな。確かめ名前が.....?、『催眠ヒプノディストみ』こんな感じだった気がする。


使い方は簡単だ、使用する相手に指輪を向けて、魔力を流せばそれで終わる。非常に脆いから、扱いには気を付けろよ。

残りの血を集めるなら、俺が作った組織の"スレイヤー"が、役に立つ筈だ、星形の看板を下げた店が目印だ、そこで俺の名前を出せ。後は向こうがやってくれる、伝える事は以上だ。


後この手紙は、読み終わった後.....燃えます

証拠隠滅です

=============================


えっ?、燃える?。


ーーーボッーーー


物凄い勢いで手紙は燃え、数秒で灰と化した。

後に残された俺は、唖然となり燃え火を、残した灰を眺める。


って!、見てる場合じゃないよ!。

か、火事になるだろう、早く消さないと。

父さん絶対に、何かの影響だろ。

もし目の前にいたら、殴っていたよ...。


う~ん"催眠ヒプノディストみ"が、使えるか試す必要があるよな?。

適当に誰かに使ってみよう、その後に星形の看板って多分、昨日行った『スターリック』の事だよな?。

違ったら、謝って逃げよう!。


よし今日の予定が、決まったな。

一つ:指輪の効力を試す。

二つ:スターリックに行く

三つ:一が確認できたら、王に使う。

じゃさっそく、誰かに使いに行くか。


出掛けるために、服を着替え、顔を洗い、寝癖を治して。

必用な物を持って、部屋から出ていく。


..............


..........


......


部屋を出てから、メイド長のアテラさんに会った。

茶色な短髪で青の瞳、容姿は美人で出るとこは出てる。


数多くの男性からの、交際を断ってきた。

それが普通の断り方なら、問題がないだが...。

少なからず男性に、トラウマを持たせた経歴を持っている。

クラスの男子も数名は、トラウマを埋められている。

アテラさんに会うたびに、真っ青な顔して震えている。


ちょうど良いや、アテラさんに試してみるか。

確か結構強いって話だから、精神系の耐性を持ってる筈だ。


「おはようございます、アテラさん」


「おはようございます、勇者マサキ様」


「勇者は、止めてもらって良いですか?」


「いえ、そのような事は出来ません。サラ様を救ってくださった方に、出来る筈が有りません」


うん、やっぱり言った程度で、やめる筈がないな。

じゃさっそく使いますか、えーと指輪を相手に向けて魔力を流すだよな?。


催眠ヒプノディストみ、』に魔力を流す、紫色の光が灯った。

一ヶ所に光が集まり、アテラさんに伸びていく。

額に当たって、そのまま内に吸い込まれるように、溶けていった。

これで良いんだよな?、ちゃんと掛かってるのか?。

アテラさんそんなに、変わってないぞ?。

キョトンと首を傾げてるし、いつも通りの感じがする。

.....催眠だから、何か言わないとダメかな?


「あの~アテラさん?、本当に勇者と呼ぶの止めて。三回、回って犬のマネ」


「.....」


アテラさんの目に、変化が来た。

両目に星みたいのが?、現れている。

それからその場で、三回、回って犬のマネを初めて。


「ワン!、ワンワン。わぉーーん」


お見事な犬のマネだ、再現度が半端ない。

....元に戻すのも、同じやり方で良いのか?。

試しにやってみるか。


「元の状態に戻り、仕事に復帰してください」


うん?、治らないな、さっきと同じやり方をした筈だか?。

....成る程!、命令形にしないと効かないのか。

命令系統、以外は判定されない使用か。

"催眠ヒプノディストみ"の使い方しか、書いてなかったしな。

使用注意とか、書いてないから分からないよ。


こんなアテラさんを、見られたら大変だから。

戻さないとな。


「元に戻り仕事に帰れ」


「それでは、勇者マサキ様。仕事も有りますので、失礼いたします」


軽く会釈して仕事に、戻っていたアテラさん。

前の命令はキャンセルされ、新しい命令を優先されるのか。

効果は実証されたな。

何かを命令系統に?、言ったら受理されたって事で、星が現れ。

その後に、行動に移す。


....思ってた以上に、ヤバイ代物だよ!。

幻惑級アルシオンは伊達じゃないよ、王にすらなれるよ。

まぁ王になるつもりは、無いけどね....。

使えるって分かったから、さっさとスターリックに行くか。

そういえば、非常に脆いだよなコレ袋収納メッシスに、入れておくか。

使いたい時に、取り出せば良いもんな。


................


............


......


城門から出て、スターリックに向かう。

大通りには、物が溢れ人で活気に満ちている。

物の値段を値切ったり、商品を仕入れる商人。

外壁の外を出る、冒険者....。


初めて冒険者を見たな、軽鎧や重鎧を装備して。

武器は様々だ、短剣、片手剣、大剣、槌、槍、杖。

体格が良かったり、小柄な人、本当に様々な人達がいる。

案外、女性が多かったのには、ビックリした。


冒険者ギルドもデカいな、高さは三階建てだと思う。

....そんな正確までは、分からないよ。

何が悲しくって、冒険者になるだろう?。

死ぬのが怖くないのだろうか?。

まぁ俺には関係ないな、そんなこんなで着きましたよ?、


星の形をした看板、『スターリック』。

一回しか来てないけど、混んでるな。

主に女性客ばっかだけど、カウンターに美男のリック。

接客中のスタラ、本当にモテモテな二人だ。


スタラさんが、こっちに気づき近寄ってくる。


「いらしゃい、って昨日来てくれた...お客さんだよな?。また来てくれたのかい」


「今日は、食べに来た訳じゃないですよね」


ここで父さんの、名前を出せば通じるのだろうか?。


「そうなの?、冷やかしに来たなら、帰ってくれるかい」


「"古里初"って言えば通じますか?」


突然何を言われたのか、分からない顔をしてるが。

後ろからリックさんが、スタスタと此方に歩いてきた。

来る途中に、横を通りすぎた女性が、『キャー』ってピンク色の声援を出していた。


歩くだけで声を、出されるとか....。

どの世界もイケメンは、凄いなー。


「スタラ、すまないが今日は閉店するから。客にかけてくれるかい?」


「分かったよ、リックが言うなら従うよ」


お客の元に小走りで、行っては事情を説明し回ってた。

全部に声をかけて、こちらにOKのサイン出していた。


「着いてきて」


それだけを言って、店の奥に歩いていく。

通されたのは灯りの無い、真っ暗な部屋だった。

少し湿って感じする、それにちょうと悪臭がした。

つい最近、どこかで嗅いだ事のある臭い。

.......どこだったかな?。


「椅子に座って、少し待ってろ」


先程の優しい口調が、嘘のように荒々しい口調に変わってる。

此方が怪しいのか警戒を、全快に下手な事をしたら殺す、みたいな気がする?。

暖かい眼差しが、今じゃ冷たい。

何秒か凝視してから、部屋を出ていった。


「流石に、この悪臭漂う部屋で、待たされるのか、辛いな...」


部屋に何か無いのか、目で周囲を見回した。

隅から隅まで、やはり暗くって何も見えない。

...やっと目が暗闇に、慣れだし。

そこで隅の方で、横たわってる人みたいなのが見え始めた。

モゾモゾと蠢いていた。



椅子から立ち上がり、蠢いてる物体に近づく。

近づくたびに、悪臭は更に漂う。

耳に微かに聞こえる音。


「......っ.....っ」


「....そこに。誰かいるのか?」


声に反応したのか、絞り出すように声を出した。


「....助けて....くれ、ここには..いたくない」


「いったい、何があったんだ?」


「余は、バル・デオ・ヌウシュ」


バル・デオ・ヌウシュ、貴族だよな名前からして。

しかし悪臭の原因が、貴族か....。

股間からアレが、漏れだしてるし。

.......うん、正直近寄りたくない。


「えっと?、貴族でよろしいですか?」


「そうだよ、しかも伯爵だよ」


後ろから声がして、振り返ると。

壁に寄りかかった、リックさんがいた。


「いつの間に、いたんですか?」


「最初からだよ」


扉から出る振りをして、気配を消して。

部屋にいたらしい、何でそんな、めんどくさい事やってるの?。

悪臭漂う部屋に、居るんだったら。

臭いを、どうにかして欲しい。


「その伯爵バル・デオ・ヌウシュが、何でここに、いるですか?」


「自分の地位を、使っては人の命を奪った。償いをさせる所だよ、でも殺すつもりは無いよ」


何でもないように、言ってるけど!。

怖いよ、...充分に怖いですよ。


「具体的には、どうするですか?」


前々から考えていたのか、悩む素振りもなく。

顎に手を当てて、淡々と言ってくれた。


「財を与え、近隣の村に食糧を恵み。魔物や盗賊から守る、傭兵を雇う。簡単に言えば金を、ばら蒔く人形に洗脳するつもり」


都合の良い、人形にするって事だよね?。

この貴族も....、まぁ自業自得だね。


「ふざけるな、余が何故!。金を与えないといけない、奴等の金は余の物だ!」


凄い何処かで、聞いた事のあるセリフだ。

『俺の物は俺の、お前の物は俺の物だ』。

確かこんな感じだったな、どこのガキ大将だよ。


バル・デオ・ヌウシュ、長いから勝手に略してバルって呼ぼう。

で、バルの言葉で、リックがキレたのか?。

無言で腹を蹴ってる、何度も何度も。

怒りが収まったのか、バルの顔に唾を吐いた。


「すみませんね、お見苦しい所を見せてしまい」


本当に申し訳なさそうに、言うもんだから。

キレる前とキレた後の、差が激しい...。

だって吐血してるよ、コレって死ぬじゃないですかね?。

下手したら。


「い、いえ、もう大丈夫ですか?」


「はい、大分スッキリしました。そろそろ本題に行きますか?」


なんて艶々した表情してるのか、最初に見た笑顔をよりも素敵な笑顔をしてるよ。


「そうですね、ここに来た....」


「大丈夫ですよ、理由なら知ってますから。ただ一つだけ聞きたい事が、あるので答えて貰えますか?」


最後まで言う前に、声を被せてきて。

こちらに質問してきた、真剣な眼差しで答えろと言ってるかのように。


「はい、私で答えられるのなら?」


「ハジメ様と、貴方の関係は何なんですか?」


少し間を空けてから、重々しく口を開いた。

嘘や誤魔化しは、効かないと悟ったのか。

本当の事を言った。


「家族です」


たった一言、だがその一言に想いが詰まってる。

リックさんは、それを聞いてから、少し驚きながら同時に冷静になった。

鋭い目付きで睨み、問い返してきた。


「それは、本当ですか?」


「ここで、嘘を言うつもりはない。父さんが作った組織を、疑う必要が何処にもない」


真樹の言葉に、納得したのか目に涙が溜まっていた。


「改めて貴方の名前を、聞いても宜しいですか?」


「父さ...古里初の息子、古里真樹です」


名を聞いたのか、方膝を床につけて。

頭をたらし、跪ついた。


「我等が主様の最後の、命令で我等スレイヤーは。本日もってマサキ様に、仕えさせて頂きます」


いや、急すぎね?。

父さんが作った組織だけどさ、スレイヤーの事なんて何も知らないよ。

そんなでボスが、変わったら下の者に示しつかないだろう?。


「いやいや、ボスにはならないよ!。父さんがスレイヤーに、行けば力になるからって、書いてたから来ただけだから!」


本当だよ?、スレイヤーのボスになるなんて聞いてないよ?!。

そもそも俺に、組織運営なんて出来ないし!。


「我等の気持ちは、変わりません。我等がの主は、マサキ様です。我等を手足と思ってくだされば、良いのです」


頑なだな、何がなんでも主になるのは嫌です。

さっきから黙ってたけど、いつまで跪く?


「それよりも、部屋変えませんか?。臭すぎて辛いです」


「た、大変失礼しました。直ぐに違う部屋にご案内します」


前の態度が、良かったな。

今凄くやりづらい、部下と社長のやり取りを感じる?。

って、言ってもドラマとかで、見ただけだからな~。

実際はもっと違うよ、俺の偏見ですよ。


「あっ、その前にリックさん。この人はどうするですか?」


今まで、忘れてた貴族のバル。

しかも、死にかけのおまけ付きだぞ。


「あぁ~とりあえず、洗脳が出来る呪術師シャーマンが来るまで放置ですね?」


「このまま、放置したら死にますよ?。それに呪術師シャーマンが、来る必要はないと思いますよ?」


袋収納メッシスに入ってる、『催眠ヒプノデスェトみ』で催眠?、洗脳?、出来るはず。

アテラさんの時に出来なかった、事もやりたいし。

ちょうど良い、人がいるもんな~。


「それは、どうゆうことでしょうか?」


「その前に、この人の傷を治してもらって良いですか?」


「わ、分かりました」


渋々とバルに、癒魔法の〈キュア〉をかける。

みるみると傷が塞がり、意識を取り戻していた。

目覚めるなり、喚き叫びだした。


「死にたくなかったら、黙れ。マサキ様これで、良かったんですか?」


「ありがとう、リックさん。今から催眠かけるから...」


袋収納メッシスから、"催眠ヒプノデスェトみ"を取り出し。

左手の人差し指に着けた、バルの顔に向けて。

指輪に魔力を流す、先程と同じで紫色の光が集まりだした。

一ヶ所に集まった紫の光は、バルの額に当たり吸い込まれた。


「それは!、ハジメ様が持ってた"ヒプノデスェト"」


「バルに命じる、自らの財を近隣の村に与え。魔物や盗賊から村人を守れ、"お前の主はリック"だ」


命令が受理され、両目に星が宿った。


「了解しました、御主人様」


「うん、ちゃんと効いてるね。コレからは、リックの言う事聞いてくださいね?」


「はい、承知しました。よろしくお願いします、リック様」


一体何が、見たいな顔をしてるリックさん。

突然の事で困惑して、狼狽えている。

リックさんと傀儡バルのやり取りを、繰り広げていた。

『リック様~』『ちょ、止めてください!』。

傀儡バルが、リックさんの靴を舐め回していた。


...今回の使用で、知りたかったのが『催眠ヒプノデスェトみ』で、二番目の主人を設定出来るのか?。

成功みたいだな、命令で設定が出来る!。

それに二番目リックが、ちゃんと機能してる。


「そこまでだ、バル。椅子に座って、大人しく待ってろ」


「承知しました」


素直に聞いて、椅子に座った。

口を閉じて、大人しくしてる。

靴を舐められていた、リックさんは肩で息をして。

呼吸を落ち着かせて、此方に物凄い勢いで近づく。


「マサキ様、一体どうゆう事ですか?」


「とりあえず、部屋を変えてから。そこで説明するから...」


すぐ隣の、部屋に移動した。

日の光が窓から入った、先程と違い暖かい部屋だった。

傀儡バルに、"催眠ヒプノデスェトみ"を使った。

実験を説明した、リックさんは成る程と納得していた。


「って、事なんですよ。それにリックさん、コレ知っていたんですね?」


「え、えぇ~。昔ハジメ様が、使っていたのを見てました。しかし"催眠ヒプノデスェトみ"を、そんな風に使ってるのは初めて見ました」


「そうなのか?、父さんなら多分気づいてた筈だからな?」


俺が気づけるなら、父さんも直ぐに、気づいてた筈だよな?。

それに、まだやりたい実験があるだよな~。


「マサキ様は、この先どうするのですか?」


「唐突に何ですか?、やる事は決まってますが...」


王にも使って、色々聞き出すに決まってるじゃ?。

その後は...まだ保留で。

あっ、そうだ、コイツらにも手伝って貰おうかな?。


「リックさん、1つだけお願いが有るですけど?」


「何なりとマサキ様、我等は貴方の手足ですので。必ずや全うしてみます!」


そんな気合い入れられても、まだボスになったつもりは無いですよ。

...勝手にボスにするのは、止めてくださいね。


「三日後にーーーーーーーー」


「しかし!、それでは。多くの人が、巻き込まれます」


「だから、コレを使うだよ」


そう言って"催眠ヒプノデスェトみ"を見せて、訳を話した。

真意を理解したのか、安心したのか口端をつり上げて、笑って承諾してくれた。

それから、各方面のスレイヤー達に指示をだし。

速やかに行動に移していた。


やはりリックさんは、凄いな...。

俺なんかよりボスに、向いてるでしょう。

指示は的確で、部下達に信頼されてるし。

それに良いなアレ、赤い色した金属の板。

それに向かって、指示だしてるだもんなリックさん。


「リックさん、それって連絡用見たいな、感じですか?」


「分かりますか、遠い場所と連絡できる。"遠隔通信機ケイタイ"、ハジメ様が作った物で。確か同じ物と連絡が出来るって、言ってました。スレイヤーしか持ってない代物で、希少級エステなんですよ」


やはり携帯なのか、形的にも二つ折りの奴だし。

コレならまだ有りそうだな、父さん達が残した遺物が。


「携帯がまだあるのなら、1つ貰えませんか?」


「えぇ良いですよ、帰る際にお渡しますね」


「よろしくお願いします、リックさん」


「マサキ様は、この後どうするのですか?。もう昼ですし一緒に、食事などいかがですか?」


そういえば、朝から何も食ってなかったし。

思い出したら、お腹空いてきたな...。

リックさんの料理を、食べれるとか最高すぎるでしょう!。


「是非!、ご一緒させてください!」


「準備しますので、店の方行ってて貰えますか?」


「了解です♪」


言われた通りに、店の方に向かい。

店内を掃除をしていた、スタラさんがいた。

一所懸命に床やテーブルを、綺麗にして額に、うっすらと汗をかいていた。

スタラさんの目と合い、手を止めて此方に向く。


「話は終わったのかい?」


「はい、終わりました」


「そう」


素っ気なく返事をし、テーブルと椅子の準備を始めた。

丸い木のテーブルに、それを囲むように、3つの椅子を並びだした。

準備が終わったのか、椅子を1つ引いて。

手で示し、座るように促す。


引いた椅子に座り、横にスタラさんが座る。

近くで見ると汗が滴り、少し甘い匂いが漂う。

それもど大きくない胸、だけど小さい訳じゃない。

美少女妻、日本なら憧れる存在だろうな。


「何で勇者が、ここに来たんだ」


怒気が含まれてる声で、耳元に言われた。

スタラさんの方を見ると、笑ってるが視線が冷たく、突き刺すように見つめる。


「勇者って、知ってたんですね...。それで私を、どうするですか?、殺しますか?」


「いや、殺さないよ。ただハジメを、殺した勇者が憎い。見つけ出して殺してやる」


父さんを殺したのが、勇者だと知ってるのか。

それほど憎いらしく、手を握りすぎて、爪が食い込んで血が出てる。


「スタラさんと、ハジメはどういった関係何ですか?」


「命の恩人よ...、昔死にかけてた所を助けて貰ったのよ」


悲しげな表情をする、もう会えないだと知って。

目を涙で濡らし、袖で涙を拭って向き直る。


「でも、分かってるの、城を襲った者がどうなるのか。それでも、信じられなくって....。ハジメは強いだよ、国相手に挑んで勝つんだから!」


父さんは幸福者だな、色んな人達に好かれて。

母さん、モルータ様、リック、スタラ、こんなに父さんを想ってくれてる。

スタラさんには、本当の事を言わないと。

それが俺の出来ることだから、殺されても文句は言えない。


「ハジメを殺した、勇者は....俺です」


一瞬何を言われたのが、分からない顔をしたが。

直ぐに我に返り、目を目一杯開き怒りを顕にした。


「お前が...お前がハジメを、殺したのか!。何で何で、殺したんだ。ハジメが死ぬくらいなら、お前が死ねば良かったのに、返してよ。ハジメを返して、うわぁぁぁぁぁぁぁ」


怒りが爆発して、言いたい事を言って、途中から泣き出した。

気持ちは痛いほど分かるよ、だから殺される覚悟は出来てるよ。


「覚悟は出来てるよ....、殺したのは事実だから。許せないのなら、.....手にしなよ」


腰に着いてる袋収納メッシスから、父さんの片手剣ロングソードを取り出し、スタラさんに差し出す。

顔を上げて手を前に出し、柄を握ろうとするが、手を止めて躊躇った。


「どうしたの?、俺が憎いだろ?。なら握ってここに刺しなよ」


心臓の場所に、指で指す示す。

自分の中で葛藤してる、スタラさん汗がだらだらと流れてる。

暫くその状態が、続いたが。

スタラさんは、手を引っ込めた。

真っ直ぐ此方に向き、口を開いた。


「...ここで、お前を殺しても、私が救われない。スレイヤーはいつ殺されても、可笑しくないし。それでもハジメを、殺した貴方には生き続けて貰う。だからハジメの意思は、私が引き継ぐ」


自分の中の答えを、見つけたのか先程と違う雰囲気をしてる。

顔付きも良くなり、清々しい程スッキリしてる。


「リックさん、いるのは分かってますよ」


「バレてましたか、すみませんねマサキ様」


さっきから奥の方で、覗き見てるし。

スタラさんが剣を持って、殺しに来たら即座に殺す準備してやがったし。

危険すぎるでしょう、何ですか?見たいな顔しやがって~。


「悪趣味な野郎だ」


「そんな事、言われたら作る気力が、なくなってきたな~。はぁ~これじゃなぁ~」


料理を人質にしやがった、何て極悪人なんだ!。


「すみませんせんでした!」


「それで、良し。じゃ今から作るから、座って待っててよ」


厨房に入り、料理の準備を始める。

食材を切り肉を炒めてる、酒を香り付けに入れ。

ボッと勢いよく炎が上がる、作る所を見られるのは、意外と楽しいな。

店の中に美味しい匂いが漂い、更に腹を空かせていく。

チラチラと外を歩く人達も、立ち止まりガラス越し見てくる。


出来上がった料理を、皿に盛り付け。

テーブルに並べていく、どれも美味しいそうだ。


「酒は飲めるのかい?」


リックさんは、酒を手に持って見せてくる。


「何歳から酒って、飲めるの?」


「15才から飲めるよ、その歳ぐらいは大人として扱われるよ」


「じゃ頂くよ、出来れば甘いので...」


「了解♪」


一緒に酒を、飲めるのが嬉しいみたい。

鼻歌しながら、酒を選んでる。


「お待たせ、じゃ食べようか」


選んだ酒を、グラスに注いでいく。

赤紫に見えるワイン?、果実酒で甘い匂いがする。


「マサキ様、挨拶をお願いしますね。新たなスレイヤーの長に、なるですから挨拶は大事ですよ?」


「えっ?、頂きますじゃダメなの?。そもそもボスには、ならないよ!」


「ボスになるでしょう?、ならパッと言いなさいよ。料理が冷めるから、速く」


スタラさんまで!、ただの食事じゃないの?

勝手にボスに、するとか可笑しいでしょう?。

そんな期待する目で見るな。


「はぁ~分かりました、挨拶すれば良いですね。...えっ~本日は大変天気に恵まれ、今日が.....」


「ちょうと、待ちなさいよ。もっと簡潔に出来ないの?」


「流石に長いですよ、マサキ様?」


お前らな、やらせておいて何なんだ!?。


「もっと短くすれば、良いですね。...三人の出会いに乾杯!」


「「乾杯!!」」


グラスを軽くぶつけ、食事を始める。

焦げ目がついたパン、特製ソースのサラダ、ステーキ、コーンスープ。

コレがまた旨いだよな、普通のパンなのに、柔らかくほんのり甘い。

ソースのかかったサラダも、ソースが絶妙で野菜本来の味を引き立てる。

ステーキも、ナイフを入れるとスッ~と切れる。口に入れれば、肉汁が溢れてくる。

コーンスープも、程よい甘味で内から暖まる。


「旨いな」


「リックの料理は、世界一よ」


「褒めても、デザートしか出てきませんよ?」


褒めてデザートが、来るなら褒め倒すぞ。


「そういえば、二人の名前って偽名なんだっけ?」


「「ぁ~」」


「...まぁたいした理由は、無いよ」


「そうね、簡単に言えば。スレイヤーに入ると、前の名を捨てるのよ。それで新しい名を頂くのよ」


「ゴメン、意味が分からない?」


リックさんが、変わりに説明してくれた。

スレイヤーに入ると、自分の家族や知人が襲われたり、しないようにする為に。

前の名前を捨てるだと、新しい名を幹部の人達から頂くらしい。

因みにリックさんと、スタラさんは幹部だと言われた。

裏切りとかを防ぐ為に、前の名前は魔装飾品マギアアクセで人質にしてる。


「それって、結構危険なんじゃ...?」


「大丈夫だよ、抜ける時は記憶を消して、名を戻してあげるよ」


「それに、私達は自分達の意思で入ってるから」


裏切りは、絶対にないと?。

そう言う事ですよね、普通に感心しますね。


「父さんは、凄いな~。リックさんや、スタラさんにこんなに、慕われてるから...」


「...父さん?、何でハジメを父さんって言うの?」


「スタラ聞いてないのか?、マサキ様はハジメ様の、ご子息だよ?」


「そんなの聞いてないよ!、どうゆう事よ!」


スタラさんは驚愕して、詰め寄ってくる。

俺と父さんの関係を、知って詳しく知ろうとしてきた。

リックさんは、果実酒を飲みながら、様子見してる。


「とりあえず落ち着いてよ、リックさん、スタラさんにはお話ししますから」


「分かったは、聞かせて頂戴...」


「よろしいのですか、マサキ様?。お話し辛いのでは?」


先程の会話を、思い出したのか聞いてきた。


「あぁ、大丈夫だよ二人には、聞いてほしいから...」


それから話した、初めて父さんと会った日や。

その手で殺してしまった事、血の事などを話した。

神モルータ様の話しはしてない。

話し終わった時、二人は黙って聞いててくれた。

スタラさんは、驚愕して悲しみの、表情をした顔を手で覆って俯いた。

リックさんは、表情に変化は無かったが、拳を作り震えていた。


「...話しは以上です、これが父さんと俺の繋がりです」


「マサキ様も、お辛かったでしょう...」


「うぅ~~スッん、さっきあんな事言って、ごめんなさい~ー」


俯いたまま、涙を流していた。

拳をより強く握っていた、グイっと果実酒を飲み干ししている。

自分が言った事を、思い出して泣き出したスタラさん。

涙や鼻水とかを垂れ流し、謝ってきた。


「今はもう、大丈夫ですよ。父さんを想ってくれる、人がいるだけ幸せですから...」


「「.....」」


パンと手を叩き、場の雰囲気を変える。


「...そろそろデザートを、食べますか?」


二人も頷き、スタラさんは冷蔵庫からホールケーキを持ってきてリックさんに渡す。

渡されたホールケーキを、素早く三等分にカットする。

白い皿に盛り付け、並べていく。


「これはまた.....、凄いですね!」


目を輝かせながら、カットされたケーキを眺める。

クリームや生地が崩れてない、綺麗な断面が見える。

間に入った果実が、コレまた旨そうだ。


「頑張って作りましたからね」


素っ気なく言うが、口元がニヤついてる。

それを見たスタラさんが、側までよってきた。


「リックの奴、褒められて内申喜んでるだよ...」


「見てて、分かりますね」


「だろぅー~」


「二人して内証話ですか?」


「「違う(います、かな)」」


ジッーと見ては、直ぐに元に戻っていた。

ケーキを食べながら、時間は過ぎていく。

色んな話しをして、ビックリしたのが、二人は夫婦じゃなかった事だった。


「....本当に二人は、夫婦じゃないですか?」


もう一度確認に為に、二人を見据えて問うった。


「違うよ、組織上の都合で夫婦を、演じてるだけだよ」


「そうね夫婦の方が、色々都合が良すぎるもんね...」


もう...やだこの人達、私の純情返して.....。


.............


.........


.....


「それじゃ帰る前に、忌神子姫タブシビルセスについて何か無いですか?」


「...えっと、血の資格で必要なんだよね?」


頷いて言葉を繋いだ。


「そうです、どうしても血は必要です」


「ここ50年で、忌神子姫タブシビルセスは聞いてなですね...」

申し訳なそうに、話すリックさん。

スタラさんも同様で、忌神子姫タブシビルセスの話しは聞いてないみたい。


でもモルータ様、"いる"って言ってたから産まれてる筈なんだよな?。


「それじゃ城について、何かないですか?」


また二人は頭に手を当てて、考え出す....。

速くもスタラさんは、『ゴメン、何もないや』言っていた。

何か思い出したのか、ハッと顔を上げてまた下げる。


「いや....しかし、もし...そうだとしたら...」


「何か、思い出したんですか?」


「推測になるけど、5年前城に産まれた王女がいたけど。一年ぐらい経って、突然の病で亡くなってしまったんだ。もし生きてるとしたら...、忌神子姫タブシビルセスの可能性が高い...」


その話しは信憑性は、高いはず?。

モルータ様が言ってたのは、この事だよな。

でも、見ずらいって言ってた筈だから、何かしらで遮断されてる可能性があるな。


「見つけ次第殺すのが、基本なんですよね?」


「その筈だよ、殺さないと多くの命が、亡くなるからね」


「生かしておいて、損得はありますか?」


「いや、無いよ。知性がない獣と同じだから、手当たり次第に殺して喰らうから損になるだろ....。もし得となるなら、魔族の地に放つのが良いじゃないかな?」


制御できない化物だから、敵の地で殺させる。

良いと思うけど、運ぶまでの味方の被害がでかくね?。

たった忌神子姫タブシビルセス一人が、幾つもの街とか滅ぼすのに国の兵だけでは無理だろ。

躾れば...。


忌神子姫タブシビルセスは躾とか調教で、何とかなりますか?」


「無理だよ、忌神子姫タブシビルセスには幻覚や洗脳は効かないだ」


耐性が有るって事か、それじゃ効かないわけだね。

じゃ実質的、損だよな国が忌神子姫タブシビルセスを匿ってる、何て知られたら他国や隣国が黙ってないはず。


「....あのさ、もしかしたらさ」


おもむろに手を上げた、スタラさん。


「自分の娘だから、殺せなかったじゃ...ないかな?」


他の国から襲われるかも知れないのに、一国の王がそんな危険な事するはずないじゃ。

国の重鎮が、見過ごす筈がないよな?。


リックさんも呆れてるけど、急にまた難しい顔して考え出した。

自分がバカな事を、言ったと思ったスタラさんは。

グラスに入ってた、果実酒を一気に飲み干して気を落ち着かせていた。


「スタラさん、訳を聞いても良いですか?」


「そんな深い訳が、ある訳じゃないの。ただ親が子を殺せないじゃないかな~って、思っただけだから」


「スタラさんらしい、考えで良いと思うよ?」


「そうかな!?」


嬉しそうに笑顔を見せる、スタラさん。


「リックさん?」


「は、はいマサキ様?」


「何か考え事してましたけど?、大丈夫ですか?」


「大丈夫です、スタラが言った事を考えていただけなので。....もし娘が殺せない訳があるなら、それは何かなと...?」


やっぱりリックさんが、ボスになるべきだよな~。

思量深く、部下に慕われてるし。

うん、ボスはリックさんだな。


「リックさんが、スレイヤーボスになってください。見てて分かりました、ボスに相応しいのがリックさんだと」


「冗談は止めてください、私がボスなんて無理ですよ...」


苦笑しながら言ってたが、真樹の顔をあまりにも真剣だった。


マサキ様は本気なのですね、私をボスとして相応しいと。

本気で行ってるのですか、なら此方もそれに答えないと。


「本気で私がなれるのですか?」


「なれる、リックさんなら父さんが作った組織を任せられる」


真剣な表情...ハジメ様と、同じですね。


「分かりました、不祥ながら。マサキ様に変わりボスをやらせて貰います」


「おめでとう、リック...」


「ありがとうスタラ、それにマサキ様。ありがとうございます」


「やっぱり相応しい人が、やるのが良いよな」


スレイヤーのボスが、リックさんに決まった。

この人なら間違った事はしない、それだけ器量がデカい。


「もう帰りますね、それでは三日後お願いしますね」


「分かりました、指定の場所に用意させて頂きます。それと此方が"遠隔通信機ケイタイ"です」


二つ折りの金属の板を、袋収納メッシスに収納した。

二人には見送られながら、朝歩いてきた大通りを歩いてく。




「これからよろしくね、ボス♪」


「さてスタラ、初仕事だから頑張りますよ」


「了解です、因みに仕事の内容は?」


「三日後の楽しみにしなさい、国を揺るがす事件が起きますから....」


店の中に戻ってく二人、その場に吹く風と音だけが残る。






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