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人生初の異世界で~俺だけ何も貰えなかった~  作者: 氷鬼
一章 始まりと絶望
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7話 真実


今話もよろしくお願いします。

少しでも、面白いと思ってくれた、幸いです。



「えっーと、死と生司る神モルータ様で、よろしいですか?」


「そう固くならなくって良い、何もせんから気軽にせよ。今はただの老人じゃよ、資格得し者よ」


「分かりました、で、その資格得し者って何ですか?」


神は分かった、その資格得し者が何なのか?。

いつ資格を取ったのか、分からないが聞かないと。


「ふむ、資格と言っても、まだ仮じゃがの。真に資格を得るには、三つの血が必要不可欠じゃ。王族の血、忌神子姫タブシビルセスの血、魔王殺しの勇者の血が必要じゃ。それの三つの内、一つはお主は得ている。後二つ集めれば、真の資格を得る。.....ここまでで、疑問は有るか?」


"資格"を聞いて、更に謎って言うか?、疑問が増えた。

王族の血、忌神子姫タブシビルセスの血、魔王殺しの勇者の血。一つを俺は得ている?、父さんの血が"資格"の一つか。

魔王をその手で殺した、勇者は父さんしか知らない。

でも100年たっても、有効なのか?。

三つの内の、王族の血は案外普通だ、聞いたことの無い単語?。

忌神子姫タブシビルセスは、初めて聞いたぞ何処に居るのかすら知らない。


「俺が得た血が、魔王殺しの勇者の血ですか?」


「そうじゃ、ソナタのお父上がそれに当たる。....さぞ辛かったろう、父上を息子の手で殺めてしまったのだから。」


ーーーーーーーー!。

俺の、俺の気持ちを分かる筈がない。

モルータ《爺さん》が俺を、理解できる筈無い、勝手に語るな。

何なんだよ、寂しげな顔しやがって!。

何が言いたい!、今にも泣きそうに涙を浮かべやがって。

殺してやる、神でも殺してやる。


モルータは眉間に、手を当てて白い目に、涙を溜めていた。

古里 初の死を本気で、悲しんでるように。

おもむろに、口をゆっくり開いた。

心を読んだのか、俺が思っていた事を言われた。


「...儂には分からないと?、ソナタの気持ちを?。儂とソナタの父上は、友だったのじゃよ。ハジメが初めて来た、100年からの古い付き合いなのだよ、共に酒を交わし、神の儂でも態度を変えない男だった。妻や子の話で嬉しそうだったり、悲しげな表情をする、面白味の尽きない友だった.....」


悲しいのが、俺だけだと思うなよの意味を含めた、内容だった。

モルータとハジメ《父さん》の想い出だった、その姿は、悲しく楽しげだった。

まるで今も共に、語ってように見えた。


父さんの事を、本気で思ってくれてたのか....。

良かった俺以外にも、想ってくれる人がいて。


「モルータ様、大変失礼しました。父さんを...想ってくれる人が、自分だけだと思っていたので。本当にすみませんでした!」


精一杯謝った、勝手な思い込みで、モルータ様を貶してしまったのだから。


「よい、ソナタの気持ちは、痛いほど分かる。物心が着く前に、離ればなれになった、子と父の再開が悲惨過ぎた。知らない奴からの、同情や慰めなど、怒りを覚えて当然じゃ。...儂でもそんな奴がいたら、殺していた筈じゃ。ハジメを100年見続けた儂だからの、ハジメの子が再びこの世界に、召喚されてからソナタを見ていた。辛かったな...、もう一人で背負い込む必要はない」


モルータ様の言葉が、胸に心に響いてく。

今の今まで抱えっていた、罪悪感が薄れていく。

溜まっていた涙が溢れ、嗚咽をしながら泣いていた。

不意にモルータ様が、抱き締めてきて、暖かい物が流れてくる。


安らぎを感じさせる光が、身体を覆いつくす。

白黒の魔力、何処までも透き通っていて、美しかった。


「も、モルータ様....ありがとうござ..います..」


「好きなだけ、泣きなさい。一人で背負い込む必要はない。儂が側におる、この場所には二人しかおらんよ」


モルータ様の胸を借りて、声が渇れるまで泣いた。

数十分か数時間か分からないが、目が腫れ上がり、顔をはぐちゃぐちゃだ。

そっとモルータ様から、離れて腕袖で顔を拭いた。

ロープの胸辺りは、涙で濡れている。

泣いてる間、何も言わず側に居てくれた。

父さんがいたら、こんな感じなんだろうか。

父さんじゃないけど、父さんの温もりを感じた。


「もう..大丈夫です、大分楽になりました」


「ふむ、そうか、でわ話の続きを、しても平気かの?」


俺から離れて、自分の座っていた、黒塗りの椅子に座り直した。

それから間を空けて、話を続けた。


「...ハジメ、魔王殺しの勇者の血を、ソナタは浴びたろ?。その時に資格一つを、得たのじゃよ」


「そもそも資格を得て、何の意味が有るんですか?」


資格を得る条件は、分かったけど?。

それを得たから一体何に、なるのかが分からない?。


「そうだったの、まだ説明してなかったな。すまんの、今から話させてもらうかの」


「いえ、大丈夫です。色々ごちゃごちゃに、なっていて忘れてましたから..」


最近泣いてばっかだな俺、涙脆いだな。

少し前までは動揺しないが、自慢だった気がするけど。

今じゃ見る影もない、何も無くなったな~。


「資格を得れば、ソナタの行く場所"転神ロンリグダイ神殿"の道が開く。そこで儂の本体がいる」


血が道を開く鍵か、父さんは知っていたから、俺に教えたのか。

...そこに行かないと。いけない何かが有る。


「じゃ目の前にいる、モルータ様は...?」


「これも儂だが、力の無い姿だと思ってくれ。ハジメはこの事を知っていて、ソナタに言ったのだろう。転神ロンリグダイ神殿を」


やっぱり心を読んだのかな?、知りたい事を教えてくれる。

神が凄いとかじゃなくって、モルータ様が凄い!。

モルータ様以外の神は、正直どうでもいい...。


「心は読んではいないぞ、そんな力は今の儂には無い。何を考えているのかを、分かってるだけじゃ」


無いって言われても、今も考えていた事を当てられたけど?。

俺って読まれやすいのかな?、陸も読んでいたけど?。


「流石です、モルータ様。因みに神殿に行くと、どうなるんですか?」


「...ここでは話せられ無いのじゃよ、すまぬの。ただそこで渡す物が有る、ハジメからの贈り物じゃよ。来るまでの楽しみにしときなさい、はて後は何を話さないと、いけないかの?」


この場所では話せない、内容って事?。

それに、父さんからの贈り物って何ですか?


今は置いておいて、後の楽しみにしないとな。

話していないのは?、忌神子姫タブシビルセスとこの場所だよな?。


「えっと?、忌神子姫タブシビルセスの血、この場所についてです?」


「そうじゃたの、先ずは忌神子姫タブシビルセスについて話すかの。ごく稀に女性の中に、神と魔物の血を、宿して産まれてくる子がいる。その身が神の血であれば、神巫女の役割得るのだが。魔物の血を宿した子を、忌み子となる。その姿は人と変わらないが、血肉を求める化物と化す。その二つを宿した子を"忌神子姫タブシビルセス"と言う、別名『災厄をもたらす者』。」


....一回整理しよう。

先ず女性にしか、忌神子姫タブシビルセスが産まれない。

神の血を宿した女性が、神巫女メディウムの役割を得る。

主な事が。

一つ:神の声や少し先の未来を、見たり聞けるらしい。

二つ:強力な天恵ギフト、持ってる事が多い。

三つ:驚異的な回復力を、持っていて滅多に死ぬ事がない。

産まれてくる確率が、10年に一人ぐらいで産まれる。

三つの内の一つを宿している、複数は絶対にないらしい?。


魔物の血宿した女性が、魔化アパリと呼ぶらしい。

ある程度成長すると、血肉を求め獲物を探す。

主な事が。

一つ:戦闘力が高く、身体能力も高い。

二つ:知性がなく、狂暴で見境なく暴れる。

三つ:血肉を喰らえば食らうほど、強くなる。

産まれてくる確率が、5年に一人で産まれる。

魔化アパリは、全てを持っているため、見つけ次第に殺す事を義務づけられてる。

匿ったり隠せば、周りの人全てが処刑される為、血眼で探し尽くし。

首をはね、遺体を燃やすのが普通らしい?。


これを踏まえて忌神子姫タブシビルセスが、危険か踏まえていこう。

そもそも産まれてくる確率が、100年に一人産まれる。

なぜ『災厄をもたらす者』と呼ばれるか、それは.....。

二つの性質を持って、産まれる為である。

魔化アパリの性質を、全てを持っているのと。

神巫女メディウムの性質を、一つ持っている事が。

『災厄をもたらす者』と呼ばれる由縁。


考えてみて欲しい、魔化アパリの戦闘力、身体能力高さに、喰えば強くなる。

神巫女メディウムの、声や未来を見えたり聞ける、強力な天恵ギフト、驚異的な回復力。

その内の一つを持ってると、仮定してくれ。

村や街に国が、幾つも消える危険を、持ってると思わないか?。


触らぬ祟りなんとやら。

そんな奴は基本的に、地下深くに封印が当たり前だ。


「どれだけ危険が、分かりました。それなら血を得るのは、難しいのでは?」


「それがの、例外が産まれたのだよ?。知性を持った忌神子姫タブシビルセスが、こんな事は初めてだ」


「それって? 更に危険が上がってませんか、そもそも何処にいるですか?」


「確かに危険は、上がったが。上手く行けば危険が、少ないとも言える筈じゃ。それに今は...ソナタがいる国に居るぞ?」


........?。

今何て言った?、『ソナタがいる国に居るぞ?』それは国が滅んでるでしょう?。

見つけ次第に殺す事を、義務づけられてるんだよね?。

何? 知性がある忌神子姫タブシビルセスだと、見つけられないの?。


「ちょうと、待ってください?。知性が有るから、上手く隠れてるですか?!」


「いや、この体じゃ上手く見えん。だか監禁されてるなこれは、城の何処かにじゃ。ソナタで見つけた方が、速いなこれは?」


「監禁されてるって、可笑しくないですか?。基本的に強いですよね?、何故黙って監禁されてるですか?。」


「....国の王に聞いた方が、速そうだな。何か知ってるようじゃな?。おっと、そろそろ時間が無くなってきたようじゃ?。」


まるで今見た用に、話すモルータ様。

目を細め、遠く凝視している。


俺が話を脱線し過ぎたから、時間が無くなってきたのか?。

残り時間で、聞きたい事を聞かないと。


「すみません、知りたい事をは話せそうですか?」


「大丈夫じゃ、だがここからは一方的に話す事になる。心して聞きなさい」


それからモルータ様は、時間のある限り話してくれた。

この場所が古里 初の日記だと、黒い煙が俺の精神だけを運んできて事。

色とりどりの花が、記されてない100年の内容だと、記憶の花達だと。


そして俺だけギフトを、貰えなかったのかも、教えてくれた。

俺の体はウェルムに合わせて、作られてこの世に誕生した。

未成熟の体は、少しずつ環境に適応して行くだと...。

産まれて数年の子が、体ができる前に別世界に渡る負荷に、耐えきれず。

不完全な状態になってしまった事、肉体と魂が適合出来ない事。


例えるなら、コップに水を淵までギリギリに、入った状態だ。

そこに何かしらの、衝撃、追加、で溢れたり壊れたりする。

で、今の状態にギフトを与えたら、どうなるか?。

もう、分かるだろう?、....肉体も魂も崩壊する。


俺の極端な、ステータスを覚えてるかい?。

アレも、この体が原因だとモルータ様が、教えてもらいました。

そんなステータスで、父さんを倒せたのは。

父さんが息子だと、気付いた動揺と、サラの魔法『幻影光ファントムライト』で、倒せた事。


普通なら、父さんの実力なら一秒もしないで、あの場の者は死んでいた。

本当は殺すつもりは無く、腕や足を切り飛ばして、先頭不能にしようとしていた。

だから俺でも、剣を受け止められていた。

廊下にいた、騎士達は部下かが殺していたと。


王の寝室で、族を一人殺せたのは、半分意識の無い状態で。

コップの限界量が上がった事で、ギリギリだったミズが収まった事で、本来の力が発揮できたらしい?。


「と、まぁ今話す事は、こんなもんじゃ。ついて来れたか?」


内容の濃さを気にしたのか、理解できてるのかを伺って来た。

確かに理解できない点が、多少だが有るが、何とか理解できた。


「....はい、大丈夫です」


気の無い返事をしてしまった、理解する事に頭を使い過ぎた。


「ゆっくりで良い、後は...。そうじゃハジメからの、伝言があるの?」


「父さんからの!、伝言ですか!」


「ふむ、そうじゃ。『父さんに、似て男前だ』と、言っていたの最後まで奴らしいの」


モルータ様も思い出して、苦笑していた。

父さん....貴方は最後まで、俺の父さんだよ......。


「父さんの伝言、しかと聞きまたした。モルータ様、ありがとうございます」


「よい、友の息子は、儂の子でもあるからの。....おっとそうじゃた、ハジメの亡骸は元の世界に、送っておく」


「......?」


今何て?、送っておく?出来るですか?。


「死者なら、送れるが生者は送れないがな。すまぬのソナタも一緒に、送ってやりたいが出来ないのじゃ」


本当に心を、読んでるよね?。

俺が知りたい事を、バンバン当たってんだけど?。


「お願いします!、父さんを母さんの元に。お願いします!、モルータ様!」


「心得た、そろそろ時間じゃな。また会える事を願っておる」


急に瞼が重くなってきた、立つことも出来ず倒れる。

薄目でモルータ様を見続けた、しわくちゃな手が頭を撫でられながら。

意識が途切れた、眠るように。


「この先、辛い運命さだめが待ってるが、乗り越えてきなさい。ソナタに、創造神メッセの御加護を」


胸に手を当て神の親、創造神メッセに祈りを捧げた。




設定が分からないと、言う方は?。

もうすぐで、勇者版の物語を、作りますので。

待ってくれると、有りがたいです。

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