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人生初の異世界で~俺だけ何も貰えなかった~  作者: 氷鬼
二章 北の大陸 ハースト
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70話 彼の歩む道

久しぶりに更新です!!。

更新が出来なかった間に、ブックが増えてたり!。

Pvが10万に届いてはいないけど、本当に届きそうだったりで驚きと感謝で胸がいっぱいです!。


これも読んでくださる皆様のお掛けです!。

ありがとうございます!!。



白い部屋に椅子に座りながら投影される映像を、眺める部屋の住人。

自身が壊した長机を放置しながら、自分の思い通りに要ってない現状に憤りを覚える。


「素晴らしい変化を見せてくれたのだけど、クズ()を殺せなければ意味がない...」


言葉の端々に淡々と見せる冷たさ。

忍を殺せなかった一点を達成出来ないのであれば、幼かった少女のシル...だった化物は彼の中から役立つの劣等レッテルを貼られた。


「いや待てよ...多少なりは役に立ったか」


いつも人目がある所では白い仮面を身に付けてるが 、今は外してる為に表情が伺えるがそれを見る者はいない。

顎に手を当て彼なりに少しは役に立ったと思い、考えを改めた。


幼い子供の少女シルだった化物、映像に映るは以前に比べて醜悪であり、より一層化物らしかった。

上半身は腐りかけ、下半身は同化したのか何処から手に入れた竜の体になっていた。

そして、何故か不死者の大群を従えていたのも興味深かった。


それらを踏まえて彼は複数の考えを思い浮かび、心のメモに次行う実験を記しておく。


(まぁ...いいか。それよりも変っさんの方はどうなってるかな)


今回は多少の私情を挟んだが、本来の目的であり本題の方を観る事にした。


「.....ん?.....んんんん?!」


何度も見直したが城の中の光景だと分かるが、そこに映し出されたのは辛うじてガース・ヘルズだと分かる、異形の化物が縦に真っ二つに斬られ倒れていた。


「ハ....ハハッハハッ!。結局変っさん死んだのか、やはり...ベノム・クロウラには勝てなかったか」


彼は笑う。


期待もしておらず少しの同情だけで、商人のニルギヤを通して"力"を与えただけだった。

何よりも魔族一と名高いベノム・クロウラの力量を知りたかった、それだけの為の当て馬だった。


結果はベノム・クロウラの一剣両断により、何も分からずの異形の化物になったガースが死んだだけ。


彼は映し出していた映像を消して、床に落ちていた魔柔石(ミーヤ)を足を上手く使い空中に蹴ると、手で掴み魔力を流す。

彼が愛用する何時もの白い仮面に変えると、それを被ってはドアの向こう側にいる客人に体を向けた。


「賢主様。聖主様が緒見えになりました」


廊下で待機していた彼の部下が、彼の役職名で声を掛けられる。

ドアは内開きに押され、廊下から聖主がにこやかな笑みを見せながら入ってる来る。

椅子から立ち上がり大いに訪れた事に歓迎する。


「これは聖主様、少し荒れてますがどうぞお座り下さい」


取り出した魔柔石に魔力を流し、即席のシンプルな椅子を型どり、柔らかめなクッションを挟み座るように促す。


「そんな堅苦しい挨拶はいらん、今日はマ~坊と茶飲みに来たのだから」


お歳し80を越える聖主と呼ばれる爺さんは、手にしていた茶葉が入った袋を持って、彼を親しみを込めてそう呼ぶ。


「いいですね、なら茶請けを用意させましょう。スタラ」


マー坊と呼ばれた彼は、椅子と同様に魔柔石でテーブルを作り。

廊下にいる部下の名を呼ぶだけで、待たずしてドアは開き茶請けと共に、茶を飲む為の一式まで用意して登場する。


素晴らしい働きに感心する。


「聖主様。茶葉を頂いても宜しいでしょうか?」


椅子に座る聖主にスタラは主よりも敬意示すように頭を下げた。


「えぇ、是非お願いします。それと、わしのだけ少しだけ冷ましてくれると嬉しいの」


「猫舌」なのだと付け加えて聖主は、スタラを存外に扱わず御願いする。

彼はそれを見て、(やはり前聖主とは違うなぁ~)と改めて思った。

今の聖主...の前の聖主の名前は忘れていたが、酷い人族主義であり、人族以外の種族を嫌悪していた。

そこに、自分よりも格下の相手には聖主という権位を使い、好き勝手をしては。

信者達を自分の思想と思い通りになるように、手塩を加えて表向きには愛嬌を振り撒いていた。

そんな外道でクズを知った彼は、同じく外道な手段を使い聖主の地位を剥奪し。

信者達の前で歪んだ思想と裏を暴き、それらを取り除くように、公開処刑した。


(そのついでに、甘い汁を吸っていた人達も一緒にね...)


その数....849人が同じ日に彼の手によって処刑されていた。


「所でホラン、聴きましたか?」


聖主ホランテァ・ナハストを彼もまた愛称で呼ぶ。


「はて?、何をかの?」


「獣人族が、小国との戦争に勝ったそうですよ」


さも、他人事のように切り出す。

それは彼が贔屓する組織スレイヤーを通じて、伝えられた一つの出来事であった。


「......そう...か、悲しい事に。亡くなられた方々に()の導きにて天に召されますように.......」


戦争で亡くなった全てにホランは冥福祈る。

祈りが終わるのを見計らってスタラが、準備出来た茶をテーブルにそっと置いていく。


「ありがとうスタラ.....美味しいですね....」


彼は一言そう言うと、淹れたての茶を一口飲み感想を漏らした。


「痛み入ります」


主の御言葉を頂くが、スタラを意にも返さず淡々と返すだけだった。


「うむ、わしはもう少し冷ましてから頂くかの。.....マー坊よ」


言う通りに冷ましてくれた筈の茶を見てホランは、もう少し冷まさないと飲めないと考え、仮面越しに飲む彼の愛称を呼ぶ。

その声音には聖主たる安らぎを感じられた。


「後悔はしないのか?。...やはり、わしも背負うべきじゃないだろうか?」


カップをテーブルに置いて彼は溜め息を吐き出した、なんとなく何を言われるかのを分かっていたから。

それに対しての返答は随分前にも話していた、けどホランはまたしても掘り返す。


「その必要は有りませんよホラン。これは私の贖罪なんです、以前にも言ったように本当(・・・)の意味で世界が平和になるには。全てを独りに擦り付けなくちゃいけない、それは他の誰でもなく私なのですよ」


変わらない彼の言葉を聞き、ホランは悲しい表情を見せる。


(そこに...わしが入る余地が無いことに)


心の中でポッと呟く。

彼に言った所で、風のように吹き抜けて消えてしまうから。

誰かに胸の内を打ち明ける事はないだろう。


それからはホランは気持ちを切り替えて一時間ほど、彼との話に花を咲かせた。


「さてマー坊、わしは帰るとするよ」


茶と茶請け、何よりも彼との時間を楽しんだホランがそう伝える。


「もう、お帰りになられるですか?」


「すまんな、本当なら長く居たかったのだが。そろそろ、今日の教えを伝えねばならないからな」


そう名残惜しそうに言うホランに、彼もまた名残惜しかったが。

聖主という立場上、信者達との時間は怠る事が出来ない大事な事であった。


「....そうですか、次の時までには美味しい茶請けを準備して待ってますね」


また、来るのを楽しみだと含ませて彼は椅子から立ち上がった。


「ほーなら楽しみにしておくかの、わしも良い茶葉や何かしらを持って来るかの」


次の来訪する時を思い浮かべ頬が緩む。


スタラは聖主様のお手を煩わせないように、事前に扉を開いて待機していた。

彼女にホランは礼を伝えると、部屋から出ようと歩きだす。


「聖主様...皆が聖主様の御言葉を御待ちです、今日も素晴らしい教えを.....」


歩き出した背中に向けて彼は、自身の立場である賢主として言葉を掛けた。

ホランは何も答えずに、ただ、親和な笑みを見せた。

出ていった事を確認したスタラが扉を閉める音だけが、部屋に響いた。


彼は立ち上がった腰を再び椅子に座り直し、物思いに耽ってみた。


その間もスタラは着々と片付けを済ましていく、魔柔石(ミーヤ)で出来たテーブルの上には何も無く。

持ってきた台車に、先程まで二人が使った皿とカップが乗っかっていた。


「それでは賢主様、失礼いたします」


「ご苦労でしたスタラ.......あぁ、そうでした暫く私は留守になるから後は頼みます」


労いの言葉を掛け、スタラが出る寸前に彼は出掛ける用事があったのを思い出した。


「分かった、それで何時いつ戻ってくるの?」


「素が出てますよ...スタラ。そうですね半年ほどですかね?」


部屋に二人だけの状況が、彼の部下としての役目を素に戻した。


「はいはい、分かってますって。それで半年も何処に行くのさ?」


ぶっきらに言うや、椅子に座る彼に問い掛ける。


「そうですね、西の大陸(ダウス)の方で仕込みと人材確保ですかね?」


スタラの問いに彼は答える。

教えてもらった所でスタラは「ふーん」と返しただけだった。


「聞いておいて興味が無さそうなのは、どうなんですかね?」


スタラの態度に彼は、とっさに思った事が口に出てしまった。


「いや~聞いた所で自分には関係ないなって、思ってさ~」


「まぁ、良いですけどね....。それじゃスタラ、ホランを頼みますよ」


「そんな不貞腐れないでよ、全く。分かったから、さっさと行きなさい」


不貞腐れた言い方をする彼にスタラは微笑した。


「言われなくっても行ってきますよ....」


座ったまま彼が瞬間移動(消えそう)になる前に、スタラは声を掛けた。


「マサキ。行ってらしゃい」


彼の顔は見えないがスタラは、半年も会えない分のとびっきりの笑顔を見せた。


「はい、行ってきます!」


彼もまた、その好意に示すように。

白い仮面を外して、何時(いつ)ぶりかに見せる素顔を見せて応えた。

それを気に目の前から消えると、スタラは数分ほど部屋に居座っては自身の仕事に戻っていった。


白い部屋は先程まで賑やかと人の暖かみが、嘘のように静まり返っていた。


次に帰ってくるのは半年後、それまでこの部屋は誰も立ち入る事はなかった。

残されたのは壊れた長机、魔柔石で出来た椅子とテーブルのみだった。

月日が経つほどに、物や部屋にはホコリが何よりも語っていた。


一応これで二章は終わりになります

色々と「あの後はどうなったの?!」「中途半端だな!」みたいのは、有るのとは思いますが。

自分の中じゃこの話で二章は終わり、三章に入る予定でした。


語られてない部分はこの先の章で、出すか出さないかを考えてるつもりです。

何卒ご理解をお願い致します。


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