66話 負の連鎖
シアに異変が生じる前。
それは勇者の一人である成行の仲間が、ボロボロの姿で野営地に現れた事で騒動となった。
「お....おむえら!!。マジで心配したんだぞ!、死んでないってのは分かってても、無事なのか重症負ってないのか。すげー心配したんだからな!」
ビックボア一頭に股がった二人を見て、成行は声を震わせながら駆け寄っては声を掛けた。
「よぉ、成行泣いてるのか?」
「ごめんね心配させちゃて、予想以上に手強くって逃げるのに時間掛かっちゃた」
一也も佑樹も乗ってきたビックボアから降りて来ては、心配させ過ぎたしまった成行に。
ケロッとした口調で言うが、重症とは言えない程度の傷を覆っていた。
それは、佑樹が言っていたように不死者の中に強い個体が居たのだろう。
「マジで泣きはしないけど!、合流すんの遅ぇしー!。何よりもこんな姿みたら、慌てるに決まってるだろ!」
(あぁ...心底心配したんだからな、ったくよこんなに怪我を負っちまいやがって)
成行は二人の生命を確認できる腕輪のお掛けで、死んではいない事を分かっていたが。
それでもと不安な気持ちは募り、良からぬ空想を考えてしまっていた。
だからこそ、生きて動いてる二人を見て。
心の底の突っ掛えが取れ安心しきって、生傷が絶えない二人に抱き着いた。
「バカ...お、お前!。痛いだろう!、此方は怪我人だぞ!」
成行の包容によって生じる痛みに一也は、苦情を申すが離そうという気配はなかった。
「あーー確かにこれは痛いね、流石にもう限界です.....」
一也に同意しながら、既に限界に差し掛かっていた佑樹は、成行の包容の中で崩れていく。
「お、おい佑樹!。大丈夫なのか!、このまま死ぬなんて無いからな!」
倒れる行く佑樹を片手で支え、一也に抱き付いていたもう一方の片手で揺すりながら話し掛ける。
「大丈夫だ死なないから、寧ろ疲れて寝ただけだ。ってか俺もマジで限界だから、視て来た事を伝えて寝る」
一也の言う通りに口に手を翳すと寝息が掛かる、本当に寝てるのだと分かった。
「あぁ、分かった直ぐにギースさんの所に行こう」
佑樹と同様に限界に達していた一也も、今にでも眠りに堕ちそうな寸前を耐え。
成行と別れた後の自分達が視た事を伝える為に、この野営地の責任者に伝えようとしていた。
成行は寝てる佑樹を、騎士達が運んできた担架に載せて救命テントへと運ばせては。
今も大群との戦いの作戦を立ててるテントに、一也と一緒に足を赴かせた。
中に入ればギースを中心に、複数の部下の騎士達と共に地図の上で作戦が練られていた。
「カズヤか....。部下から騒ぎの報告は聞いていたが、ユウキ共に無事で何よりだ。....本当は直ぐにでも休ませたいが、視て来た事を聞かせて貰えるか?」
ギースは一也と佑樹の無事に安堵しては、成行と共に赴いた理由に気付き、先に切り出した。
「いえ、俺も佑樹も寝て休めば大丈夫なんで気にしないで下さい。それよりも視て来た事を一戦交えた事をお話します」
事の事態を分かっている為に一也は、自分が視て戦い知った事を話始める。
.........
.....
...
一也と佑樹は成行と別行動を取り、行群する不死者達の大群を少しでもと遅らせようと戦い始めた。
骨人、歩く死体腐獣多く分けても低級魔物が多く。
中級不死者骨人が武器を持った戦士、狩人、歩く死体が複数合わさった紡ぎ死体、腐獣が一体一体繋がった腐合獣。
戦い事態はバラバラに動き鈍く、全然苦にはならなかったが。
それは唐突に連携を取ってるかのように動き出し、一体一体倒すのに時間を取られ始めた。
次第に二人だけでも優勢だった筈が、合間合間に低級不死者の中に自分達よりも強者がその場で存在進化し生まれた。
不死の王のして不死者達の主、虚ろく血のように光る眼窩。
冷たい冷気のように揺らめく黒い外套の隙間から見える、白い骨がカタカタと音を鳴らしながら動き出し。
俺と佑樹には、いや、生きてる生物には知り得ない何かで不死者達に指示を出していた。
「佑樹!!、不死の王だ!」
不死の王誰もが1度は聞く有名な敵キャラとして出てくる、俺もRPGゲームをやってる時に強キャラとして見た事があった。
そん時はレベルも装備も能力も万全で、苦戦を強いる事も無く倒せた。
だが、存在進化を果たし生まれた不死の王には、勝てる等考えられなかった。
体が今すぐにでも逃げろと言ってくる、アレは俺達が勝てる存在じゃないと。
「分かってる!!、でも、こんな大群に囲まれてる状態じゃ逃げられないよ!」
不死の王の指示なのか、俺と佑樹は見渡す限りの大群に囲まれ逃げ道なんて無かった。
「どうにかしてアイツを倒すか、大群を切り開くかの.....どっちかだな」
「一也はバカなの!、どうみても後者しかなくない?!。Aランク指定の化物に叶う筈がないじゃ!」
自分で言っておいて後者しかないと思った、まだこうやって俺と佑樹が話せる程の余裕が有るのは。
不死の王が直接殺りに来ないからだと思う。
俺達が弱い存在だと知ってなのか、後方の大群の中で、ジッと此方を見ているだけ。
いや、疲れ果てるのを待ってるのかも知れない。
「俺が切っ掛けを作るから、佑樹はそこを突いてくれ!」
「おう、少しの間は任せろ!」
俺は動きを止め集中した。
囲みの中で何処が脆く、逃げる為の道を作れるのかと。
一点を貫くという意味では俺が一番である、手に握るランスを構える。
足に力を込める、これでもかっと言う程に血管が浮き出した。
動く事が出来ない格好の俺に襲い掛かる敵は、佑樹が近よらせずに守護してくれた。
それを見て俺は「流石だな」と溢した。
佑樹の天職守護者と呼ばれる盾役だ、武器も下が尖った大盾で不死者を突いたり面にぶつけ倒したりする。
一生懸命に俺を守っては近付けまいと奮闘する姿に、俺と成行は佑樹の天職を初めて見た時納得していた。
三人で居る時いつも俺と成行を気遣い、何か有れば守ろとしてくれる優しさに。
「佑樹!、準備はいいか?」
「もちろん、何時でもイケるよ!」
佑樹の返事を合図に俺は天恵を使う。
"周り気の視ず"、声に出した瞬間に周りの音も景色も無くなる。
ただ一点を、構えたランスが伸び足に込めた力を解放した。
俺の前に有る全てを貫く為だけに、突進する。
天職重騎兵として大群を蹴散らす、音も景色もない中で自分が何をしてるのかせえ分からない。
俺の天恵は俺自身の事だった、細かい事を気にせず何かに集中すれば。
何も見えない聞こえない中で、集中した何かに夢中でしかなかった。
天恵が終わり間近になり、景色も音も徐々に戻ってきた。
「ーーーい!、あーーかせー!」
完全には戻ってない音が佑樹の言葉を曖昧にする、が、俺は何を言ってるのか理解していた。
完全に元に戻った時には手にしてるランスは、先から真ん中まで砕けていた。
これに関しては天恵を使った後、武器自身が最後まで耐えられず折れてしまう。
それでも俺は自分の後ろを振り向き、やり遂げた成果に満足し。
大群の囲みからの逃げの一手を決める事が出来た、そこを佑樹が更に確実に囲みの端を捉えていた。
「一也!」
俺を呼ぶ声に直ぐ様に思考を逃げに切り替えた。
「分かってる!!」
俺と佑樹はせっかく出来た道を、全力疾走で駆け出しては。
囲みから抜け出し後ろを見向きもせずに走る、すると後ろから不死の王の叫びが聞こえた。
骨の癖してどうやって叫んでるだよと、考える暇も無く。
背筋が凍るおぞましい声が森に響き渡り、俺はブワッと嫌な汗を吹き出し恐怖してしまった。
足が止まり掛けるのを必死に堪えながら走る。
後ろから聞こえる不死者達の足跡、体力という概念がない彼奴等は何処までも追ってくる。
木々の合間を縫いながら走り抜けると、開けた場所に出て俺と佑樹は足を止めてしまった。
「ゴ....ブリンなのか?」
佑樹の口から漏れる疑念は俺も同じように思った、そいつは黄色い花が咲いてる地面を掘っていた。
白い肌に斑模様が有り、存在しない筈の性を身に醜悪な顔面はゴブリンその者であった。
片腕は無く所々と腐り始めていながら、不死者だと思ったが、息遣いをし血を垂らす所を見ると生きていた。
「佑樹!」
俺は佑樹の後ろから現れた不死の王に一速く気付き、魔の手から佑樹を突き飛ばした。
「...ぐ..ぅ.....」
不死の王の魔の手に首を絞められ、息が出来ず苦苦しみながら。
なんとしても逃れようと暴れるが、魔の手は刻一刻と、息が出来なくなる表情を楽しむように力を強めていく。
「一也!!。今助ける!」
突き飛ばされた体を直ぐに反転し、大盾を不死の王に突き立て一也を救出しようと激しく攻め立てる。
不死の王は意に介さず佑樹の猛攻さえ、白い骨から見える顔は嗤っているように見えた。
「離せ離せ離せ!、一也を離しやがれ!!」
ガッガッと鈍い音が骨と大盾の合間で起きる、佑樹の焦燥と怒声が入り混じった。
不死の王に全く打撃が効いてなくても、必要に攻め立て一也を助けようとしていた。
不死の王は佑樹の行動に飽きたのか、ほんの少しの眼窩に写すと空いてる骨の片腕で軽く薙いだ。
ガッキンッと大盾に触れると硬い音が鳴り、瞬間に防いだ佑樹は、地面を掘る雌のゴブリンの元まで飛ぶ。
ダマスカス鋼で出来た大盾は、不死の王の魔の手により吹き飛ぶ空中の途中で。
折れ曲がり四方に亀裂が走ると、盾としての機能が失った屑級になった。
薄れかける意識の中で俺は、不死の王によって吹き飛ぶ佑樹が、気持ち悪い雌のゴブリンの足元に居るのを見ながら。
首を絞める魔の手に息も手足も何も出来ず苦しい中で、この場に居ない誰かに助けを求めていた。
俺は流石に助からないだと分かりきっていた、それでも佑樹はまだ生きてる。
せめて雌のゴブリンから、不死の王から助けて欲しいと切に願った。
けど、俺も佑樹もこの場に居ない誰かでも、予想付かない現実を目撃した。
不死の王の魔の手から解放され、息が出来なかった所に猛烈な空気が口から肺へ肺から口へと。
何回も繰り返し朦朧としていた意識が、ハッキリと機能していく。
俺を佑樹を救ったのは、地面を掘っていたアノ雌のゴブリンだった。
腐り掛けた体でありながら片腕のみで、不死の王に殴りダマスカス鋼よりも硬い骨を砕く。
その光景に頭が余裕で付いて来なかった、Aランクの不死の王が見た事も聞いた事も無く。
存在しない性の腐り掛けた雌のゴブリンによって、砕かれた骨を食べていく姿は戦慄した。
「一也....僕達が目に入ってない内に離れよう。不死の王よりも化物には勝てない、今の内に逃げよう」
吹き飛ばされ這いながら来た佑樹の言う通りに、「あぁ」と気の抜けた返事しか出来ない俺は。
佑樹の肩を支えながら、音を極力出ないように後退して逃げた。
その時に骨をバリバリ咀嚼する化物と眼があったが、何かに我慢してる顔付きが垣間見えた。
.........
.....
...
「...とまぁ、後は時間を掛けて佑樹の治療しながら。俺達と同様に逃げてたビックボアを脅...手懐けてここまで来たって訳だ」
自身に何があって何を視たのかを語る一也は、脳内に焼き付いた化物の姿を鮮明に覚えていた。
話を聞いていたギースと成行の表情は険しかった
。
成行は自分が居ない所で、二人が怖く痛い目にあっていた事に悔しく後悔していた。
あの時、自分も一緒に行くべきだったと思い直した。
「そうか...皆今一度、カズヤとユウキに、そしてナリユキに最敬礼!」
ギースがそう掛け声を掛けると、その場にいた部下達は一也と成行に向けて敬意を示す。
この場に居ない佑樹にも彼等の敬意が送られた。
二人はギースと騎士達の突然の最敬礼に驚嘆し、どうすれば良いのかと慌てふためく。
「そ、そんな俺達は結局は何も出来なかったですよ!、だから誉められるなんて....」
不死者大群の数さえ、そんなに減らす事も出来ず足止めすら出来なかった上に。
不死の王に敵わず殺され掛けた中で、たまたま奇跡的に逃げられただけなのを一也は恥じる。
「一也、佑樹が誉められるなら分かりますけど、俺はオゲタ村の人達をここに連れてきただけで、何も出来てないです」
成行は自分がした事は村に危険を知らせ、安全な場所まで一緒に来ただけだった。
だからこそ実質何もやってないのと同類だと感じていた。
「カズヤもナリユキも、それは違うぞ....」
二人の言葉を聞いてギースは否定しては、言葉を切って二人の眼を見て続きを再開させた。
「三人が起こした行動は、どれも恥ずべきものじゃない。危険を知らせなければ、あのまま村は不死者大群に呑まれ多くが死んでいた。或いはナリユキが村人達に付き添わなければ、危険が少なくっても、0じゃなければ道中で魔物や盗賊に襲われていた可能性もあった。カズヤと佑樹が少しでも惹き付け、時間を稼いでくれたからこそ逃げる時間が出来た。それに生きて持ち帰った情報は、我等国の存亡を救う手助けとなった」
先程まで自分達の行動を恥じていた二人は、ギースの口から語られる事に静かに耳を澄ます。
「もう一度言っておこう。カズヤ、ナリユキ、ユウキ、貴殿らの働きは民を国を救う手助けとなった。女王サラ様に代わって感謝する、.....ありがとう」
騎士団団長ギース・スプレイは今一度、胸に手を当て最敬礼を示す。
団長の後に続き騎士達も足並みを揃えて、二人に深く感謝を示した。
二人は涙を流す事は無かったが、心の底から自分達の行動が報われた事に感謝しては。
それを伝えてくれたのが、訓練などで世話になり偉い立場に居るギースからだったのが嬉しかった。
「お力になれて本当に良かった、此方こそ礼を言いたいぐらいですよ.....ってて」
安心しきった不意に襲う痛みを声に漏らしながらも、その表情は笑みを浮かべていた。
「か、一也大丈夫か?!」
一也の痛みの声を聞いて成行は声を掛けた。
ギースは直ぐ近くの部下に合図を送ると、部下は一也に近付き回復ポーションを取り出して飲ませる。
「ポーションを飲めばある程度の傷は癒えるだろうが、精神面でも疲れは出てる筈だ。医療テントで一先ずは安静にし休んでくれ、ナリユキも寝てないだろうから一緒にな」
一也が飲んでいる最中にギースはそう言った、それを聞いて二人は御礼を伝えては。
ギースの部下に連れられてテントから退出しては、佑樹も居る医療テントに向かった。
テント内に残ってるギースと部下は、今回の不死者の大群の見識を数段と危険度を高めて改めた。
「ふぅ~.....。さて、カズヤから聞かされたと思うが、今回の魔物災害に不死の王が出現の....後に。リクから聞かされたルージュの報告に出ていた雌型ゴブリンが、シノブにより討伐されているが。それと同種に近いのが、不死の王を倒す程の力を持っていると推測される」
淡々と一也から聞かされた内容と、街ルージュでの報告、陸と忍から上がっていた危険性が高い人の成れの果てが。
今回の魔物災害に現れた事の重大さを、ギースは重い溜息共に部下達に話す。
「ギース様。今回の魔物災害による不死者の大群は、全軍で対峙しても無理が有るかと....」
「そうです!、不死の王が出現と有れば一体だけとは限りませんし。何よりも魔物災害の発生源も特定出来てません、迷宮なのか、自然発生なのか、はたは何処かの策によるものなかさえ」
ギースは黙っていると、部下達が各々の意見を話始める。
それは徐々にヒートアップしていくと、次第に互いを罵る迄に至った。
ギースさえ部下達の気持ちは痛い程分かる。
東から迫る不死者の大群のおよその数は、推定だが万を越えていると、偵察した部下達から聞かされていた。
それに、東のサーヒスの方にも雑魚が迫まり、未だに数を増やしているとベノムから言われた。
「静かにせんか!。互いに罵声を浴びせるぐらいなら、少しでも状況を良くしようと働かせんか!!」
ドンとテーブルを片手で叩き、くだらない事を抜かす部下を叱りつける。
すると途端に静かになり、部下達はない知恵を絞り出そうと捻る。
そこに慌ててテントに入ってきた騎士が転びながら、蒼白な顔面で叫ぶ。
「ああああああ...ぱりです!!」
叫ぶ言葉は非常に吃り、何を言ってるかを理解できなかった。
「落ち着け!、何があった!」
近くいた部下が転んだ騎士を起き上がらせては、ゆっくりと何があったのかを聞こうとする。
顔面蒼白な騎士も、深呼吸しながら何があったのかをゆっくりと叫ぶ。
「...あ...魔化が....野営地にでで出た!!」
騎士の口から聞き捨てならない単語を聞いたギースは、目に止まらない速さで蒼白な騎士の胸元を掴み揺らす。
「おい、それは本当なのか?!。嘘じゃねぇだろうな?!」
鬼の表情で口調が荒くなるギースに、蒼白な騎士は「この眼で見ました!」と自身の眼を指で指しながら伝えた。
「それでどうした!、赤子を始末したのか!?」
自分よりも気を荒くする団長を見て、幾分が落ち着き取り戻した蒼白な騎士は、事細かく説明する。
「確かに魔化特有の瞳をしたそいつは、村人達からのテントから出て自分とぶつかった後。馬に乗って野営地から逃げていきました!」
「待て待て、馬に乗って逃げただぁ?赤子がか?。そんな話聞いた事ねぇぞ?」
ギースは魔化になった赤子から幼子が、馬に乗って逃げた等の話や文献を見た事も聞いた事も無かった。
だが目の前の騎士が嘘を付く必要がないのを分かってはいるが、どうしても信じられなかった。
「赤子や幼子じゃありません!!。そいつは16才の少女だと同郷の村人が言ってました!」
蒼白な騎士の言葉を受け、掴んでいた胸元を離しギースは深く考え出す。
(そんなバカな.....村人が魔化を匿っていた?、いやそんな危険を犯す等有り得ないな。なら、今魔化に成ったとでも言うのか?!)
何度も考えては否定し、理解できない現象に頭を悩ませるが考えを一旦止める。
「魔化は馬に乗って何処に行った?」
それよりも馬に乗った魔化が何処に向かったのかを、ギースは蒼白な騎士に問いただす。
「そいつは東南の方角に向かいました!」
「分かった....。お前達は魔化と同郷の村人達を事が事だ、他の村人達に知られないように尋問しろ。匿っていたのか少女に付いて詳しい詳細を持ってこい、それと戻ってくる事も踏まえて警戒を強まらせろ!」
「「「「はっ!!」」」」
テント内にいた部下と蒼白な騎士は、ギースの指示通りに動き出す。
一人残ったギースは行き場の無い感情を、テーブルに叩き付け壊した。
「クソ.....。次から次へと、厄介事が舞い込んで来やがる.....」




