64話 迫り来る脅威
1ヶ月近くも更新と音信不通で、申し訳御座いませんでした。
バイクと車の接触事故に合い、奇跡的にですが右腕は骨折、左腕はヒビ、後は擦り傷や打撲等の程度で済みました。
せめて何かしらでも、楽しみに読んでくださる皆様には御伝え出来れば良かったのですが。
今一度何も出来ず1ヶ月近くも更新出来なかったのを、深く御詫び申し上げます。
現在は本当に少し指が動く程度に回復し、こうして更新を開始できる事に深く喜び感謝してます。
少しずつですが遅れを取り戻せるように、背一杯頑張らせていただきます。
大変長く暗い話で申し訳御座いませんが。
今後も『人生初の異世界で~俺だけ何も貰ってない~』を宜しくお願い致します。
時間にして11時であり、もう少しで12時と昼前になる時。
健康的な茶髪の二本のオサゲの女性は、一人使い込まれた錆びたスコップで地面に土を掘っていた。
深さ2m横1.5mの穴を。
黙々と土を掘り出しては地上に掘った土の山を作る、そうして完成した穴に女性は。
本来の目的である物を深さ2mの穴に、ロープで括られた棺桶を労るようにそっと下ろした。
土で汚れた服装等気にせず、汚れてしまった手の甲で眼を擦り口を開く。
「ガーじぃ....安らかに眠ってね...」
ガーじぃと呼ばれ親しかった者の死に、女性は自分が小さい頃から色々と世話になった事を思い出しながら。
小さな山となった土に、錆びたスコップを刺しては土を穴に放る。
棺桶の中身には沢山の花と、ガーじぃの遺灰を納めた坪が一つしか入ってない。
これはゾンビに成らないようにする為に遺体を燃やした、前者の理由の一つになるだろうが。
後者の理由の方が最も重要であった。
それは、不死者に変えもう一度殺してその姿を晒さないようにする為が大きかった。
そんな辱しめをさせない為に、遺体を灰に成るまで燃やし。
白い花のリユと一緒に棺桶に入れるのにも訳があった、死者の道を示す道標として使われると考えられていた。
棺桶に土が被っていき、徐々に棺桶の形が見えなくなっていく。
それでも穴が埋まるまで土を穴に放り。
穴が埋まり余分に曲線を描くように突起した所に、手製の木の十字架を地面に打ち。
リユで作った花の冠を掛けて上げ、スコップを地面に刺しお祈りを捧げる。
「偉大なる神を。貴方様の御膝元に逝かれました者に、安らかな祝福を御与えませ」
偉大なる神に祝詞を告げ、逝かれて者の事をお伝えする。
じっくりと30秒程掛けて、眠るガーじぃとのお別れをしては。
瞼を開き刺したスコップを抜き、ガーじぃが眠るお墓に深くお世話になった事に対して一礼する。
それらが終われば、その場から離れ村の井戸に向かった。
数分もしない内に着いた井戸で水を汲み上げ、汚れた手と顔を洗う。
服に付いた土は軽く叩く事で取れるが、それでも茶色に汚れた部分は残ってしまった。
「シアよ。何から何まで任せてしまってすまないのぉ~、ガルドラの奴も上からそう言ってるだろしのぉ」
片足に不自由がある老人は杖を突きながら、シアに布を渡してそう言う。
シアは老人から布を受け取りお礼を伝え、濡れた顔と手を布で拭く。
「もう~何言ってんの、タルじぃ~。私がしたくってやってるだけだから、それに皆体が悪いだから無理はさせられないよ」
タルじぃと呼ばれた老人に対してシアは、笑顔を浮かべながら本心を語る。
村にいる若者は自分を除いて後二人しかおらず、村に残っている大人も50~75の年齢であり、皆体に不調を訴えており。
畑仕事や力仕事は基本的に三人で対応していた、それも前まではシアが大半だったのだが。
今じゃ陸から教えられた事によって二人は、力仕事も速さも以前とは見間違える程に成長した。
「シア....本当ならお前は「やめて」...すまない」
タルじぃ~が何かを言い掛けた言葉に、シアは一言割って入り先の言葉を止めさせた。
「ごめんね、タルじぃ~の気持ちは嬉しいけど。私は此処が大好きだから、離れるなんて考えられないよ。お婆ちゃんが見守ったオゲタ村に、タルじぃ~や皆が居る場所。それにリストとアンの面倒見なくちゃいけないから、どのみち離れるなんて選択は無いよ」
タルじぃ~だけじゃない、オゲタ村に居る皆が、何を想って言ってくれているのかは、痛い程理解しているつもりだった。
だけど、シア自身は微笑しながらも。
分かりきった自分の気持ちをタルじぃ~に伝えた。
「そうか、シアが決めたのなら。わしら皆言う事は無いが、それでも村に縛られて欲しくはないな.....」
微笑するタルじぃ~の笑みは、哀愁を帯びた物に感じられた。
シアは何も言えずにいると、タルじぃ~は満面な笑顔を見せて一言何か言ってから去っていった。
何を言ったのかはシアには聞こえなかったが、きっと他の村人の所に行くと言ったんだと思う。
シアの思考はそんな所にまで回らず、タルじぃ~が言い掛けた言葉に無意識に考えてしまった。
(....これでいいだよね....お婆ちゃん)
自身の服の内側から取り出した、首元から下げてい二つの御守りを、縋る思いで握りながら祖母を呼び掛けた。
御守りの中には祖母の血で書かれた手紙が有り、そして初恋の相手から頂いた十字架の首飾り。
この二つの存在が、シアにとって大事な心の拠り所でもあった。
しばしの間、そうしてると馴染みの声が自分を呼んでるのを聴こえた。
握っていた二つの大事な首飾りを無くさないように、服の内側に仕舞い汲んだ水を持って歩きだす。
「シア~腹減った~、何か食わせてください!」
「シア姉~私もお腹減ったよ~」
お腹を空かせた二人が甘えた声でシアに近寄る。
「もう、しょうがないな~。直ぐに作って上げるから、修行で汚れた手と服を落としておいで」
「「はーい~!」」
言われた通りに汗や土で汚れた手や服を洗いにリストとアンは、シアがさっきまでいた井戸に向かう。
二人が向かうのを見てシアは自分の家に向かい、お腹を空かした二人の為に昼飯を作り始める。
(さて....今日は何作ろうかな?)
畑で取れた野菜や、リストとアンが前日に狩ってきた魔物の肉を手際よく下拵えするなかで。
シアは思案顔を浮かべながら、大量に着実に作り始めていた。
今じゃあの二人は、大の大人4人分はペロリと完食してしまう。
「「シア(シア姉~)、洗ってきたよ!」」
扉を開けて入ってきた最初の一声を聞いて、作る料理を何時も馴染みの物にする事を決めた。
「はいはい、直ぐに出来るからリストは食べられるように準備、アンは此方に来て手伝ってちょうだい」
「「あいよ(うん)」」
個別に指示を出すと二人から返事が返ってくる。
言われた通りにリストは、棚に閉まっている木皿を人数分用意してはテーブルの上に置き。
木のスプーンを出して自分の役割を終える。
手暇になってしまったリストは、調理する二人の後ろをチョロチョロする。
「リスト.....うざい、大人しく座ってて」
シアの補助するアンが、横目に映るリストに一喝する。
「.....ぉう」
一喝されたリストは見間違える程にテンションが下がると、椅子に座り大人しく待つ事にした。
その傍目にシアはクスッと微笑する。
それから30分程で手早く料理を完成させた。
「「「いただきます」」」
今じゃ習慣にも成りつつある食材への感謝。
食卓を囲む三人は手を合掌して同時に言う、村に訪れた勇者の存在が大きく出ている証拠だった。
食卓に並べられた料理を三人は雑談を交えながら頂き。
先に食べ終わってしまったシアは、二人を見て心を満たされる。
自分が作った料理を美味しく食べ、笑みを浮かべ楽しい一時をくれるこの子達が愛しくあった。
そんな楽しい一時はあっという間に過ぎ、大量にあった料理は全て完食しては。
リストもアンも午後の修業に行ってしまった。
一人家に残るシアは食器を片付けては、椅子に座わりに頬ずくと頭がカクん前に揺れる。
一瞬であるが瞼が閉じる感触を感じられたが、「起きないと」と思ってもまたしても瞼が降りうつらうつらと眠気に誘われた。
頬ずく腕を枕変わり睡魔に身を委ねては、そのまま寝息を立てて眠ってしまった。
..............
.........
....
それから程なくしてシアは外の大きな音に目が覚める。
むくりと起きると涎が出てたのに気付き、服の袖で拭い椅子から立ち上がると。
音が外からの為にドアを開けて、外の様子を見に行く。
日はそれほど変わってない事を知ると、自分が寝てからそれほど経ってない事を知った。
(皆....集まって何してるのかな?)
音の出所に耳を頼りに向かっていると、そこに村の皆が集まり人溜まりが出来ていた。
距離が段々と近付いていくのにつれて、会話声が聴こえた。
「頼む!。ここは危険なんだよ、直ぐにでも逃げないと危ない!」
黒髪黒目の青年が必死に伝える。
「そう....言われてもなぁ~.....突然来た旅人を信じられる筈がないだろう」
村の一人が怪訝な目付きで、突然村に来た一人の青年にそう言った。
「本当に大量の魔物が大勢こっち向かってるんだ!、此処で口論してる時間はない。今も少しでも逃げる時間を俺の仲間が稼いでるだ!!」
青年の顔付きが焦燥に駆られる。
今も仲間の二人が此処に押し寄せようとする魔物の大軍を、二人だけで食い止めているのに。
直ぐにでも青年は、二人の元に駆けつきたい衝動をグッと堪えるのに。
ここの村人達が全然話を聞いてくれない事に苛立ちを抱く。
シアは聴こえてきた会話の内容に耳を疑う気持ちでいっぱいになり、その人溜まりに駆け足で向かうと。
人の間を縫うように移動し村人皆の前に躍り出る。
黒髪黒目の青年は突如現れた茶髪のオサゲの女性を見て、少しでも話を聞いてくれる事を切に願う。
「申し訳ないのですが詳しくお聞かせ願えませんか?」
青年はシアが喋り出すと、他の村人達がこぞって静観する事に驚き疑念する。
「すまないが貴女は?」
「オゲタ村の村長代理のシアです」
村長代理と言った女性は、嘘など言ってる風には見えず。
真剣な眼差しで有りながらも、服の裾を掴み不安を圧し殺していた。
青年は眉間に皺を一回寄せただけで、後は特に反応は無かった。
そこに詳しく聞こう等は思わない、今だけは直ぐにでも離れて欲しいという切実な思いが有るために。
「分かりました村長さん、自分は冒険者の成行です。先ずは簡潔に御伝えします。此処から森に入った東南の方角に不死者の大群と、それらを引き連れ動く不気味な化物か此方に向かってます。大群の速度からすると.....速くても1時間もせずに、この村...オゲタ村を飲み込みます。今は俺の仲間が時間を稼いで居ますが、それも長くは持たないと思ってます!」
シアは黒髪黒目の勇者様と見た目の特徴が似てるナリユキと言った青年の話を聞いて、嘘を言ってるような感覚は感じられず。
そこでオゲタ村近くの森の東南と言われた方角を見て、静かに眼を細めじっくりと眺める。
自分でも眼は良い方だと思いながらも、遠い東南の空を見て確信する。
本当に僅かだけど鳥達が飛び立ち、下方の方から土煙のようものが微かに見えた気がした。
(やっぱり...あの方角はリクさんが話してくださった竜の住み家だったはず、それに亡くなって埋めてきたとも言ってた!)
シアは成行から伝えられた不死者に、何とも言えない不安を抱く。
その話が本当なら、"今"考える中で最悪な事態が起こるのではないのか、いや、もうすでに起こってしまった後じゃないのか。
と、塾考した為にひんやりと冷たく嫌な汗が大量の吹き出てしまった。
そこからの行動は速かった。
「皆!、今から此処を離れて国まで逃げます。簡単に荷物を纏めて、直ぐにでも此処に集まって!。アンとリストはタルじぃ~一緒に蔵に置いてある必要な物と台車を運び出してきて。さぁ皆、直ぐにでも取り掛かって!」
シアは背後に居る皆の方を振り向いて、事が重大だと分かるように怒鳴るように言う。
村人達からシアが決めた事には嫌な顔をせずに、負けじと大声を出して答え行動を始める。
「ダルじぃ~抱えて走るから掴まっててくれよ、アン行くぞ」
「おう....リストは力持ちだな」
抱えられたタルじぃ~はそんな感想を漏らす。
リストはシアが言われた通りに村の蔵に向かおうと、杖を付いて遅いタルじぃ~を抱えて魔力強化をして行こうとして動かないアンに声を掛ける。
「うん、直ぐに行くから先に行ってて」
アンにそう言われて、リストは簡素に返答してタルじぃ~共に村の蔵に向かった。
アンはリスト達に背を向け、シアを見上げる。
その表情はこの先の不安や恐怖心が滲み出ていた。
「シア姉~.....」
それらが湧き出るように声を出し、姉であり母であり誰よりも頼りになるシアの名前を震わせた。
シアはアンの目線に合わせるようにしゃがむと、手を握り自分の方に引き寄せては、背に腕を回して優しく抱擁する。
「大丈夫よ、誰も死なせないから。今は代理だけど私が皆を守るから、それにねアンだけじゃないよ。私も怖いよ、だって魔物の大群のなんて聞いて死ぬかもって思うもん。....だけど一人じゃ何も出来ないの、だからね甘えになちゃうけど...アンやリスト、皆には力になって欲しいなぁ~」
シアは自分の心情を吐露する。
それは初めての経験だ、魔物の大群等滅多には起きない。
限りなく0に近いと言っても良い、有るとすれば未発見のダンジョンから魔物が這い出てくる時ぐらいしかない。
それほどの確率が低い魔物の大群は、小さな村で殆どが歳を老いた老人と子供が二人、成人した女性しかいなければ。
足になる馬や乗り物がなければ、逃げ切る事等皆無に等しい。
それだけで身も心も恐怖し絶望に落とされていた。
先に気付いたとしても此処から近い国であるヘルズ国まで、歩いて移動になれば2日~いやオゲタ村で考えるのであれば4日は掛かる。
飲まず食わずで歩き続ける程の気力は有る筈がない。
そこまで思い至ったシアは、誰よりも重責を抱え脚は震え顔は血の気が引き。
唇は紫色に似るほどに体調が悪くなっていく、独りだけなら形振り構わずに逃げ出したかった。
が、そんな事は赦される筈は無い。
自分の首からぶら下げてる御守りが、お婆ちゃんが、初めて恋をした勇者様に合わせる顔が無かった。
「.....っう.....シア姉~も怖いの?」
「そうよ、怖い...すっごく怖い。でも、皆が居る、アンが居る、ちょっとだけ心配だけどリストも居る。何よりアンとリストは勇者様に鍛えられたのよ?、ほら!...この前だって自分よりも大きくって重い猪だって持ち上げられる程強いだよアンは。そんなアンは自慢の妹で家族で何よりも私の誇りなんだから、自信を持ちなさい」
シアは力強く子を諭すようにアンの耳元で言う。
「うん.....うん...」
それに対してアンは目を赤く腫らせては頷き返す。
涙を我慢した上で、ここまで言ってくれる姉に情けない姿を見せまいとして。
「.....もう行けるでしょう?」
「.......うん!」
「そう、リスト達が待ってるわ。....はい!、時間が無いだから行く行く!」
優しく背中を一撫ですると、次には気持ちを切り替えるように背中に活を入れるように、少し力を込めて叩き。
抱擁を辞めては立ち上がり、アンをくるりと反転させ送り出す。
アンは数秒だけ立ち止まった後、背筋を伸ばしリストとダルじぃ~が居る蔵に走り出した。
(皆は絶対に死なせない!)
シア自身もアンのお掛けで気持ちが軽くなる、姉として母としてアンにアレだけ言ったのだ。
なら、自分が怖いだけで自分が死ぬとしても、必ずオゲタ村の皆を生かす事に、決意を改めて強固に覚悟を決めた。
後ろで二人の行動を黙って見ていた成行は、涙ぐんでいた。
親友の二人も心配だが。
こんな人情溢れる姉妹を魅せられては、オゲタ村の村人達を安全区域まで連れていかなければと使命に燃えていた。
.............
.......
...
それから10分程で集合場所に皆が最低限の荷造りをした荷物を、リストとアンが運んできた台車に乗せては。
歩けない村人を6人を窮屈であるが、乗せてオゲタ村を出発していた。
最低限な荷物しか載ってない台車は、重さにすれば60㎏しかなかった、地球からすれば子供二人には無理な重さであったであろうが。
台車を交互に引くリストとアンの魔力強化により、身体能力を上げる事で可能にしていた。
長時間の魔力を使用する為に疲れが色濃く出る為に、引く時は交互に互いに休憩する事は言ってある。
もう一つの村人6人の重さは、一人辺り平均で46㎏であった。
6×46で276㎏の重さであり、台車をシア一人でそれほど苦にはならずに引き、速度は先の二人に比べればそこそこ出てはいるが遅い。
正しリストとアンは勇者である陸の教えにより、魔力強化が出来る為に苦に成らずに済んでいるが。
シアは一切魔力強化を使用していない、何よりも自身に流れる魔力を認知してはおらず。
魔力量は微々でしかない、そんなシアが苦にも無く引くのは単純な膂力と足腰の身体能力の高さでしなかった。
そして他の村人と冒険者と名乗った成行は、ヘルズ国が整備した街道を歩いていた。
村人達が先頭を歩き後方と周りを警戒する成行は
、二つの台車を引く三人に本日の驚き回数を上回る驚きをしていた。
荷台を引く二人の子供の魔力操作の錬度と、身体能力の強化の高さは自分よりも上であり。
何も無しで純粋な身体能力を発揮する村長代理には、はたまた負ける成行はオゲタ村の凄さを身に染みた。
(久し振りにスゲーって思えたな~異世界....)
内心でそんな風に思ってると、成行は足が縺れ転ばそうになった老人を支える。
「おっと、爺さん大丈夫か?。国に連絡はしてるから、もう少しだけ頑張ってくれ」
成行はオゲタ村に来る前に一緒にいた親友、一也と佑樹と共に一回しか使えず貴重な連絡用の水晶を使っていた。
国からの返答は騎士が急ぎ此方に向かわせると言った旨だった、それが何時で何時間後に来るのかは分かってはいない。
それでも細い糸のような希望には違いない。
成行は老人に皆に聞こえるように、そう言った。
「これは...ありがとうございます冒険者様」
転ぶ所を助けられた老人は成行に礼を言い、自分の足で歩き始めた。
それからは成行は会話する事は無かった、オゲタ村の人達での会話は合間合間に成り立っていたが。
村を出てもうすくで一時間も経つ、背後を気にはするが、まだ魔物の大群の影すら見えてない。
今頃は大群は自分達が居た村を飲み込んでいるはずだと、成行はそう思考する。
それが当たるように背後で大きな土煙が大きく立ち上ぼると、背筋が凍るようなおぞましき声が轟いた。
それは自分だけの幻聴ではなく、此処に居る皆にも聴こえた。
「なんじゃ!、今の声は!」
「あぁぁぁぁぁ、もう終わりじゃ!!」
「も、もっと遠くに逃げるんだ」
「やだょ~怖いよ。リスト、シア姉~....」
「大丈夫だよアン。俺が着いてるから、絶対に守るから」
おぞましき声を聴いた皆が脚を止め、喚き慌てる。
アレほどの魔力強化が出来る子供でさえ、不安になり恐怖は当たり前なのだから。
その中で村長代理だけは違った。
ドンッオオオオとおぞましき声を消し去るように、足を地面に踏み降ろした。
そこに含まれた威力がどれ程なのかは知らないが、地面は陥没し、声を張り上げた。
「立ち止まる暇が有るのなら歩いて!、少しでも遠くに逃げなきゃいけないだから!!」
村長代理の言葉は、代理の台詞ではないが此処に居るオゲタ村の皆に勇気づけるには充分に効果はあった。
誰も一言も発しないが、互いに眼を合わせ頷き黙って歩き始めた。
歩く速さも先程よりも速くなっていた。
まだ村から距離が12㎞しか離れない、これじゃまだ追い付かれる可能性が高かった。
が、なのに村長代理の言動から、また一時間と時間は進んだが。
背後から迫り来る魔物の大群の気配が無かった、その事に成行は不思議に思い始める。
一也も佑樹も、まだ戦い時間を稼いでいるとは到底思えない。
力量は三人とも若干の差異は有るが、それほど変わらない筈だった。
だからこそ、とっくに逃げている筈なのだと考える。
殺られて死んだとは成行は一切考えない、何故なら自分の腕に着けている細い2つ腕輪に変色は見られなかった。
死んでないと分かればそれだけで希望が持てる。
成行が着けている腕輪は、クラスメイトの斉藤 勉が作った魔装飾品であった。
完成したのも成行達三人分であり、旅立つその日に出来たのを頂いた。
一つの腕輪に対して一人の生体情報を組み込むことで、その人物の安否を確認できる代物だと斉藤はドヤ顔で言ってのけた。
「正式名も無いがな」とも言っていたが、そんな事はどうでも良かった。
組み込んだ生体に何かしら有れば、腕輪は状態を表すように色を変える。
単純にすれば黒く変色すれば死亡になり、赤が危険、となる。
成行は時々と背後と腕輪を気にしながら歩く。
時間の感覚で言えば五分後とだろう、それから、また30分は経つ。
今は小休憩に入ってる、皆を休ませ自分は見張りに徹する。
主に見るのは来た道の方だが、周りにも警戒は怠っていない。
「何で動きは無いだ?、他の場所に移動したか?」
「何がでしょうか?」
成行の一人言に反応する声に、成行は横目で人物を見ると自分の一人言を説明するように話し出す。
「いえ。今の自分達の移動だと、大群が迫っていても可笑しくないですよ?。それなのに、いくら見渡しても魔物の一匹姿形も見えないのに不思議に思ったですよ?」
「.....それは、ナリユキ様のお仲間が頑張ってるのじゃないですか?」
「いやいや、それはないっすね。まともに戦える奴なんて、数えても俺らの中じゃ数人しかいないですよ」
俺らに含まれる複数人はとは、召喚されたクラスメイト達に事であった。
陸、忍、舞花、葵の4名と、前は此処に咲音も居たが今は騎士団長ギースに個人的に教えを受けて一速く合流しようと奮闘してる。
「そうなんですか?」
「そうですよ。さて、休憩を終わりにして動きましょう。シアさんは皆さんに声を掛けて下さい。俺は水の補充しておきます」
成行は代理との会話を切り上げて、お願いをしては。
自分は水魔法が使える為に、道中の水分補給の水を補給をする。
移動までの準備が終われば最初と同じように、列を組み街道を進む。
そして、その日は結局。
不死者達に大群に追い付かれもせず、日は傾き夜を迎えた。
不死者は夜に活発に動く事も考えると、移動が妥当なのだが。
やはり後方からの姿は確認されず、周りにも他の魔物の危険が無い事も確認され。
成行が寝ずに見張りを買って出ては、歩き疲れた村人達に食事と充分な睡眠を取らせる。
焚き火の火を尽かせないように木をくべては、成行は静まりきった寝ずに夜を過ごす。
空に浮かぶ星がゆっくりと動き、大きく位置が変わってるのに気付いた時には「結構経ったな」と呟いて。
時の流れを静かに感じた。
「はぁー、彼奴らは無事だと良いなぁー」
何度目か溜息混じりの言葉を吐きながら、成行は二人の身を案じた。




