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人生初の異世界で~俺だけ何も貰えなかった~  作者: 氷鬼
二章 北の大陸 ハースト
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55話 新種討伐③

更新出来ずにすみませんでした。

今話を自分が想い描いてるのと違う事に悩み、書いては消してを繰り返していたら。

更新が出来ない日々を送っていました


家に入った忍の様子が可笑しく、魔法を直ぐにでも発動出来るように維持しながら、僕も家の中に踏み入れた。

そこで見た者に一瞬だけ思考が停止した、昼間と冒険者ギルドから出されて偵察した冒険者には。

家の中に目標がいたと方向までされていた、当然家には雌型ゴブリンしか居ない筈なのに。

いざ、中に入れば、子供の女の子が何かに恐れ震えていた。


その側で忍が子供を怖がらせないように、目線は成るべく同じ高さにして、優しい口調で話し掛けていた。


「もう、大丈夫だ?。俺達が助けに来たから、安心してくれ?!」


そう言って、言葉が伝わっていない事を知りながら。

震える子供を抱き寄せ、背中を優しく不慣れながら撫で落ち着かせようとしていた。


『.....して...を...して』


抱き寄せた子供から聞き取りずらい声が聞こえ、忍は撫でる手を止めず聞き取る為に耳を寄せた。


『いかして、こをふやして。いかして、こをふやして。いかして、こをふやして。いかして、こをふやして。いかして、こをふやして.......』


「うわっ!」


聞こえた子供の言葉に、背筋が凍ったような感覚に陥り声を上げて子供から離れてしまう。


それは瞬時に、脳内で自分が知ってる言葉として構成された。


『生かして、子を増やして』と。


雌型ゴブリンの昼間の光景を視てなければ、此処にいる子供は恐怖で精神が参り。

外の音を聴こえないようにする為に耳を塞ぎ、一番強烈な部分を口にしてるだけだったんだろう、とさえ思えた。

が、子供から距離を取るように驚いた衝撃で、身を離し子供の口が微かに震えるように動いてるのを視た。

それは、今も同じ言葉を囁き続ける子供の姿。


「どうした?!、忍?!」


子供の面倒を任せていた陸は、家の中を調べてる途中で忍の突然の声に振り向き問い掛けた。


忍は重い腰を上げゆっくりと陸に近付き、今した聴いた事を伝える。


「...分かった。その子は僕が連れ出すから、そろそろ此処を離れよう。タチェックさん達も準備が終わってる筈だから、何時までも此処に居たら僕達も巻き込まれる」


「あぁ、その子頼むな....」


隅っこにいる子供を陸がお姫様抱っこのようにして、忍と共に家から出て白斑ゴブリンの間を通っていく。

住みかから出ると丁度良く、冒険者達がローズリア発案の作戦を実行開始した。


ローズリアが建てた作戦は火によって、内漏らしを無くす火計であった。

当然、一ヶ所に集めなければならない為、僕と忍は囮役を勝って出て。

引寄せてる間に冒険者達が、火を使う際に燃え広がらないように外側に工夫した。

主に、周りに水を浴びせたり、木をある程度伐採する等して自分達な作業を悟らせないように時間を掛けて行った。

すると、後は内側に火を放てば次第に火は大きく燃え、火種となる内側に向けて進んでいく。


だが、これはあくまでも第一段階に過ぎなかった。

次の第二段階には本来なら雌型ゴブリンと、人の成れの果てである白斑ゴブリン達の相手をしながら。

外側と内側から内漏らしを無くす予定だったが、僕が放った光の球ライトボールが強力過ぎて白斑ゴブリンは眼が使えず戦闘不能となった。


最初は、この作戦は冒険者ギルドマスターであるタチェックは拒否した。

街ルージュから近いルー森は、薬草が多く自生し比較的安全に採集できる場所でもあった。

また、冒険者に成り立ての人達に取っては、1食ありつける日銭場でもあり、街の人達も出入りもあった。


そんな重要な場所に火を付け、森が燃え広がる異変が生じればルージュ冒険者ギルドの評判も落ちてしまう。

けど、異変を生じると言っても時間を掛ければ森は元戻りになる。

でも、今晒されている脅威に対応しなければならない。

そんな両端の葛藤に悩まされていたタチェックに、ローズリアの一言で実行を決意した。


『彼等を、ちゃんと弔うべきです』


森に火を付ける事で、人の成れの果てで有る白斑ゴブリン達の火葬として。


ふと冒険者ギルドでの話しを思い出した陸は、事前に決めていた抜け道を駆ける中で思い出していた。

忍を前にして腕に抱いてる子供を配慮しながら、やってくる火の脅威から抜け出し、背後に見える勢い良く燃えながら内側に向かっていく火に振り返った。


火に晒された白斑ゴブリンの焼かれる声が、嫌好しに構わず耳に何時までも残った。


「.....どうか、安からに」


それは心の内でも呟く、元は人であった彼等に心からの御冥福を祈った。


..........


.......


....


ルー森から出て直ぐに、僕達の姿を見たタチェックとナッテイックが、安堵したような表情を浮かべながら声を掛けてきた。


「おぉ!、無事で良かった...」


忍の肩を叩きながら、後ろにいる僕を見て言葉の先が消える。


「リクさん、シノブさん。本当は休ませたいのですが、お疲れの所を申し訳ございませんが、詳細をお聞かせ頂けますか....その子供は?」


副ギルドマスターとしてナッテイックは、危険な役目を引き受けた二人に敬意を示しながら。

森での現状を聞こうとして兄タチェック同様、陸が抱いてる子供を見て問うた。


陸はルー森での詳細を話しながら、子供を見つけた経緯と雌型ゴブリンが居なかった事を伝えた。


「そうか、なら、子供は此方で預かる。行方不明者の中に子供は居なかった筈だからな、その辺を調べるとして.....あぁ、ナノ君子供をお願い出来るかな?」


「はい。分かりました。リク様、お預かりしますね?」


「お願いします」


そう言ったタチェックは、近くに居たギルド職員女性に簡略に伝え、抱えていた陸から子供を預っては奥の天幕えと消えた。


「では、当一番の目的である雌型ゴブリンですが、今回はコレの討伐が最優先事項です」


「ナッテイックが言ったように、雌型ゴブリンを討伐出来なければ作戦は成功とは言えない。リク、シノブ、すまないが他の冒険者達と一緒に捜索を頼む」


陸と忍の二人に頭を下げ頼む。


「もちろんです、直ぐにでも探しに行きます」


「頼まれるまだもねぇ、見付けて倒すまでやるつもりだ」


そう言って、疲労してる筈の二人は再びルー森に踏み入れた。

ルー森に入ると、自分達が倒した白斑ゴブリンの死骸を冒険者達が次々と外に運んでいく。

会う冒険者達には雌型ゴブリンの事を伝え、周囲に気を配る事を注意する。


雌型ゴブリンの事を聞かされた冒険者達の表情は、恐怖と不安が混ざったような顔付きとなり、急ぎ足で森を駆けていった。


それからは、纏まった数の冒険者は一つに固まりながら捜索する。

陸と忍の二人もルー森を隅々まで探していった、何処かしらに出来た洞窟が無いか、内側えと燃え尽きた住みかに抜け道が無いか。

雌型ゴブリンが通った後も、痕跡が何か無いかと一つ一つ丁寧にくまなく探した。

多くの人が何時間も不眠不休でルー森内を探したが、気付けば空が明るく照らされ始めた。

太陽の片隅が姿を表し夜が明けた事を知り、冒険者達も陸も忍も一度帰る事を決めルー森を出ようとしたが。


不意に足を止め耳を澄ます。


「ん?、どうし....?」


足を止めた陸に忍はそう声を掛けようとして、不意に陸の手によって遮られた。


「静かに、何か聴こえないか?」


自分の耳に届いた音が気のせいかと考えたが、木々の葉の揺らぎ、風が吹き抜ける音、他の冒険者達の声。

そんな雑多な音の中で聴こえた音、この場に似つかわしくない歪な音。


「.....こいつぁ、彼奴らの産声だ!」


音の正体に気付いた忍が、そう叫んだ。

言われて気付いた音の正体に、陸は音が聞こえた方角を向き悪寒が全身駆け巡った。

その方角は簡易的に作られた拠点がある方だった、それはつまり、雌型ゴブリンが多くの人の眼を逃れて襲撃した事になる。


音の正体が産声とするなら、雌型ゴブリンは其処で"繁殖"行動を行っている事になる。


陸は何かを考える前に動き出していた、今の位置から拠点まで全力で駆ければ10分もしないで辿り着く。

その速さに冒険者の横を通りに抜いて、気付いた時には既に居ないとなるまでに。

数秒後に何か逢ったんだと遅れながらに気付き、姿が見えなくなった二人を追い掛ける。


森を抜けるまでに産声はハッキリと聞こえだし、あの時の光景が鮮明に浮き出ては思考を払いのけ消す。


「「「「オギャアァァァァァァ」」」」


森を抜けた時、目の前に繰り広げらた光景に眼が自然と逸らそうするのを我慢する。

口から黄色掛かった泡を吹いた男女の腹が裂けた死体から、内側から姿を現した白斑ゴブリンの幼体達。

天幕等が吹き飛び、地面は抉れ、無数の悲惨な死体の視線の奥。

砂煙が立ち込める中で、大きな影が暴れているのを捉える。


「チッ!、絶対に彼奴だけは許さねえ!!」


自身の不甲斐なさに舌打ちをし、大きな影に向けて声を張らす。

重量級の鉄斧を構え、立ち込める砂煙を斧を振るった風で飛ばす。


砂煙が消えた今、雌型ゴブリンの姿が見える。

時間的に考えるのなら、昨日の昼間に見た時と変わらないが。

今にも醜い顔を近付け、片手で抵抗出来ずに握られてる人物の唇を奪おうとしていた。


「や...めろぉ!!、兄さん...汚い手...ら離......せ!!」


兄さんと叫ぶナッテイックは、雌型ゴブリンにやられたのかボロボロになっていた。

体中傷だらけでありながら、声を絞り出して手を伸ばしながら雌型ゴブリンに立ち向かおうとしていた。


「させるかぁ!!」


タチェックの危機に聖剣ルクスを抜いた陸が、雌型ゴブリンとの間を縫って片手を斬り落とした。


「キャギャャャャャ!」


斬られた痛みに、苦痛な声を上げ後ろに飛ぶ雌型ゴブリン。

地面に着地と同時に、陸に恨めしい視線を向けては次に来た攻撃を避ける。


「そいつらを安全な場所に避難させろ、こいつは俺が相手しとく!」


雌型ゴブリンを対峙して、鉄斧で攻撃を次々と仕掛ける。


「少しの間だけ頼む!。タチェックさん、ナッテイックさん、今はこの場を離れましょう」


両肩にタチェックと、ナッテイック掴ませ安全な場所まで歩かせる。


「....うっ..」


「リ...クさん、兄を助け..て頂き...ありがとうござ...います...」


自分じゃ助けられなかった事を憂いながら、兄の危機を救ってくれた陸と忍に感謝する。


「それよりも、此処で何があったんですか!」


攻撃の被害が及ばない場所に二人を地面に寝かせ、話が出来るナッテイックに聞く。


「...リクさんが...連れてきた子供が....突如......雌型ゴブリ....ンに変わったです」


ナッテイックは事が起きる前に起きた出来事を、手短に自分が伝えられる部分を語った。

その瞳に映る子供が"化物"に変わる瞬間であった。

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