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人生初の異世界で~俺だけ何も貰えなかった~  作者: 氷鬼
二章 北の大陸 ハースト
40/81

35話 酷な願い

更新日を間違えてしまい、更新が出来てませんでした!。

少しでも楽しみにしてくだっさていた方には、本当に申し訳ございませんでした!。


森に入ってから全速力で駆ける、足を魔力で覆い身体強化をしてグリューンが居る場所に向かう。

途中でホルンベアがビックボアを襲ってる間に出てしまったが、素早く動いていた陸は二匹を素通りする。

二匹も間を通った陸を感じたが、陸が向かった方向を知ると同時に興味を失い。

襲われているビックボアは、ホルンベアの隙を突き逃げ出す。

一瞬の隙を突かれたとはいえ、獲物を逃がした事に激怒し元凶である、陸が向かった方えと四足で駆けるが。

その時には陸の姿等見える筈が無かった...。


...........


.......


...


昨日と変わらず、陽黄花ようこうかを守るように囲み、眼を閉じて寝ているグリューンの姿があった。

森の境目に踏み掛かる所で、翡翠の瞳が開きむくりと頭を起こした。


『良く来ましたね陸、立っていないで此方に来なさい』


スキル『念話』で話し掛けるグリューンに従い、陸は近付く内に、日に照らされた美しく綺麗な緑鱗が目に入る。

グリューン自身が一つの大樹のような、力強く生命力が溢れるような森の源にさえ感じた。


「.....グリューン。昨日から考えてました、何故、僕が異世界から来た勇者って知ってるだろうと?。そこで『鑑定』され視られたのかと、それか、グリューンが見守ってきた国が"ヘルズ国"ではとも考えました.....」


陸は昨日のグリューンの言葉から、自分なり考えた結果がこれだった。

見守って来た国はヘルズ国で間違いではない筈、それなら異世界から勇者召喚されている事を知っていて不思議じゃない。

なら、何故、『鑑定』が出てきたのか。

この世界じゃ『鑑定』と言うスキルは、他のスキルと違い特殊だった。

その特殊性により持ってる人は少なく、ある魔物倒すと同時に得られる、称号に『鑑定』スキルの獲得が出来る。


それもグリューンの話しから、忌神子姫タブシビルセスの元に多くの魔物が集まった中にボタムラビットがいた筈なんだ。


ボタムラビット、levelは優に100は越えるがステータスは低く、成人を迎えた子供ですら倒せる程に弱いが。

鑑定眼を持ちその瞳に見られた対象の情報は、多くの近くにいる魔物達の知らされる。

その情報を元に対象に魔物達をぶつけ、弱っている者達を狙う非道な生態をしている。


魔物図鑑と呼ばれる本に、ボタムラビットの事がこう書かれていた。

冒険者達が持ち帰った魔物の生態、学者達の研究によって記された書物。

それはを一つにした貴重な本を、サラのお陰で城の禁書庫で閲覧した知識を陸は思い出していた。


『その、どちらも正解と言うべきでしょうか。わたくしは確かに『鑑定』を持ってますが、陸を勇者と知ったのも植物達から聞いたまでです』


「植物から聞いたと言うのは?、そのまんまの意味ですか?」


陸のを考えを肯定したグリューンだが、『鑑定』は使わず植物から聞いたと言う、その事に陸は疑問を問い掛ける。


『そうですね、この辺の森はわたくしの手足にもなり耳にもなる。そして陸が言うようにずっと見守ってきたのも....友が築いたヘルズ国ですよ』


懐かしむ表情をしては、ヘルズ国がある北を向いて呟くような言った。


「じゃ、昨日から僕達の会話も聞いてたって事ですか、何が目的で来たのかも?」


『えぇ、聞いてましたよ何が目的なのかさえ。そして今、此方に向かって来ている魔物の音さえ』


そう言って、陸が出てきた場所を見る。

陸も釣られって同じように見ると、通常じゃ音など聞こえなかったが。

魔力纏いを使い身体強化をすると、半径500mの音が耳に届く。

獣の唸り声、枝を踏み折る音、後は風に揺れる葉と木々の音しか聞こえなかった。


「本当に此方に向かってきてますね?、少し僕が追い返してきますね」


聖剣ルクスの柄に触れながら、音が聞こえた方に歩き出そうとした所をグリューンが止める。


『その、必要は有りません。もう追い返しましたよ』


「えっ?!」


直ぐに魔力纒いを使い、音の行方を探すと何かから逃げるような声と息遣いをしていた。

音は段々と小さくなり聞こえなくなっていた、半径500mから抜けた居なくなっていた。


「.....植物を使って追い返した?」


『こんな感じですよ....』


「........!」


陸の言葉を聞いて、グリューンは此方に向かっていた魔物にしたような事を実際に見せてくれた。

地面から無数の木の根が伸びては、椅子の形して他の根が陸の手足を捉え強制的に座らせた。

最初は声を上げようとしたが、絡んできた木の根は優しく丁寧であった為にされるがままにされた。


『これがわたくしの力です、通常の根とは違いわたくし自身と同じ硬さをする、矛になり盾にもなる』


座ったまま話を聞く陸は、椅子となっている根を触れグリューンが言ってる事を実感する。

根特有の柔らかさの中に、鉄を凌駕する程の硬さを感じた。

全力で斬ったとしても傷を付けれるかさえ考えた、この木の根からはやっぱり実力差を思い知らされた。


絶対にグリューンには勝てそうに無いな...。


『さて、陸を呼んだ本題に入る前に忌神子姫タブシビルセスについて話した方が良いですね』


グリューンの言葉を聞いた陸は、ハッとした表情をしていた。

陸は何故勇者の事を、知っていた事について考えていた為に、すっかり忌神子姫について忘れていた。

陸の心情を察したグリューンは、丁寧に忌神子姫タブシビルセスが何なのかを話していった。


この異世界では、三種類の特別な存在がいる。

尊崇し敬愛されるなか、恐崇され畏怖の対象にさえあった。

そんな三種類の特別な存在は、生涯"女性"だけにしか産まれない"男"は産まれて来ないらしいく。

「本当に男の人はいないの?」と念を押してグリューンに聞いてみた所、首を横に振りながら過去一度とも現れた事は無いと断言された。

話を途切れさせてしまった僕に、グリューンは続きを話しても良いかと促したので、頷いて話の続きを聞いた。


そんな三種類の特別な存在は其々に名称があり、昨日グリューンが話してくれた中にも出てきたのが。

忌神子姫タブシビルセス『災厄を齎す者』と呼ばれている者は、これから出てくる二種の"力"を宿している。

一つが神巫女メディウムと呼ばれ、二つめが魔化アパリと呼ばれている。


神巫女メディウム魔化アパリ忌神子姫タブシビルセスの三種がいるのは分かりましたが、それは何で判断されるですか?」


グリューンの説明を聞いていた中で、陸は思った疑問を問い掛けた何が元で分かるのかと。


『二つは産まれてから直ぐに分かるが、神巫女なら身体の何処かに"聖痣せいこん"と呼ばれる印が有り。魔化は"眼"で判断される、縦長の獣の瞳をな...。その中で忌神子姫だけは別です、アレは一目見れば分かる本能が危険だと』


忌神子姫について話す時グリューンは、巨体を震わせていた。

過去に古き友と出会うきっかけともなった忌神子姫を、遠目で見た時に感じた恐怖を本能が危険の鐘を鳴らし。

その場から逃げろと叫んでいるのに、自分の身体が言う事を聞かず歩き出した事を思い出してしての震えだった。


神巫女は身体の何処かに聖痣せいこんが有り、魔化は眼で判断され忌神子姫は"本能"か......。


グリューンから聞いた情報を自分なりに理解をしては、神巫女と魔化について知っていく。


グリューンが言うには神巫女には、神の声を聞いたり先の未来を視る事が出来るらしく。

その他に強力な天恵ギフトや驚異的な回復力を身に付けてることも有り。

その為に国や勢力が強い組織的な者達に、手厚く保護されたり、拉致当然の誘拐や奴隷として売られる事も珍しくないらしい。

それ為、神巫女を背負った"女性"は隠し通さなければならい。

自らを他者から守る為に.......。


それじゃ、何時までも神巫女は危険と隣り合わせじゃないか!!。


陸は声に出そうになったを押し殺しては、内心で神巫女を背負った女性達の境遇に激昂していたが。

それよりも悲惨な事をグリューンから聞かされると、「産まれてきた子達には関係ないのに」と嘆いてしまった。


それは、魔化の方が神巫女よりも酷かった為に。

この世に産まれただけなのに、魔化と分かっただけで直ぐに殺されてしまうのだから。

それでも稀に赤子の時は魔化では無かった者が、ある程度成長してから魔化と化し、肉親や兄妹近隣の人達を殺して喰ってしまう。

魔化には人として自我は無く、ただ喰う為だけの獣となり食べれば食べる程に力は増しっていく。

そして最後は......、


『.....殺される。生かしておけば多くの命を喰らうのだから、それは今もこうして話してる間に何処かで産まれ死んでいるのだから.....』


グリューンも魔化となった人に悲しく同情するが、それが世の理である為に仕方ないと言った。


「そんな『仕方ない』って!、治す方法とかはないですか!」


『ありません。魔化になった者が多くの命を奪う前に、苦しませずに逝かせるのが優しさです』


「殺して上げるのが優しさなんて残酷過ぎます!、なりたくってなった訳じゃないのに....」


断言するグリューンの言葉に陸は声を荒げてしまった、グリューンに当たっても意味は無いのは分かってるつもりでも。

内から出てくる怒りを抑えらずにいた、"殺す"事が優しさなんてクソくらえだと思えた。


『本当に陸は優しいのですね、ですが致し方ないのですよ、魔化とはそれ程に危険なのだから....』


と言っては、陸の想いにグリューンはそう答えた。

その後に、続いて小声で『やっと、本題に入れる』と呟いた


「.....三種がどの様な者なのか分かりました、それでグリューンの本題とは何なんですか?」


少しだけ気分を落ち着かせて、そうグリューンに聞いた。


わたくしは、もう残された時間は少ない。本当ならこの場所でる筈でした、貴方(陸)に会うまでは.....』


「......?」


陸はグリューンの言葉の意味を理解できなかった。


グリューンは古き友がくれた陽黄花ようこうかの場所で、静かにねむる予定だった。

その時が来るまで永い時間この場所に居座ったなかで、竜から見れば幼い二人の内一人の青年に出会った。

何処までも純粋な瞳をし、愛した人を大切な人達を守ると宣言する"力"なき青年。


かつての古き友を視てるような錯覚すら思えた、古き友も幼竜であったグリューンに、同じような事を言っていた。


「俺は守りたい、此処から見える人達皆を。その為には"力"がいる、だから俺と一緒に来てくれないか?、俺はお前が欲しい」


今でも古き友の言葉を覚えている、幼竜であったグリューンに手を差し伸ばして笑みを浮かべる友の姿。

初めて見た忌神子姫から、これまで過去に三度も現れた災厄。

多くの死者が出たが、見事撃ち取って救った英雄は三人もいたが相討ちで生涯の幕を閉じた。

だからグリューンは決心した、出会ったばっかの青年を見極めてどうするかを。


『陸....貴方の手で、わたくしの息の根を止めて欲しいのです。優しい貴方には残酷な事かも知れませんが、どうか陸の手で殺して.....』


これがグリューンが陸を見極めた答え、酷な事を言ってるのを承知で陸に悲願する。

当然こんな事を言われた陸は困惑する、呼んだ本題が自分を殺せと、意味が分からない状態になっていた。


「何を言ってるのか理解できません!、冗談なら止めてください本気で笑えませんから!」


本気でグリューンが言ってるのは分かった、ひたすら陸を見詰める翡翠の双眸を見て理解してるが。

陸は心から否定する、出会って二日だがグリューンの事はそれなりに好意的に想えていた。

グリューンが許してくれるのなら『友』だと、心の底から言えたのに。

そんな『友』を自分の手で殺すなんて、出来る筈が無かった。


『そう言うと分かってました、だから強行手段を取らせて頂きます。本当にごめんなさい陸...』


「なっ!!」


陸に一言謝りを入れると、地中から自分の手足も同然の木の根が無数に出ては、陸に巻き付こうと伸びた。

陸はその場から避けようとしたが、それよりも速く根が陸の動きを封じ巻き付いた。

その事に驚き声を出たが、直ぐ様に根を解こうともがくが一切抵抗が出来なかった。


「グリューン!。こんな事は止めてくれ!、僕に殺させないでくれ!」


『恨んでくれても結構です、こんな非道な事を差せるわたくしを。ですが陸...貴方は守る為に"力"が欲しいのでしょう、この先出会う強者から守る為に受け入れなさい』


ぐるぐると円を描くように陸の身体を覆っていく根、それは右腕を完全に覆い勝手に動かしていく。

腰に下げた聖剣ルクスの柄を掴もうと、だが陸は右手を硬く握り開かないように維持する。

それでも根から糸のような値が伸び、硬く握り締めた右手の指の隙間から侵入していく。

一本一本に糸のような根が巻き付き、指を開かせていく。


信念有る者に力をビリーフ・フォース!!」


"殺させない"信念の元に自身の天恵ギフトを発動させる、髪や瞳が白銀に変わっていくの同時に。

身体の内から力が沸いてくるのを感じながら、白銀の魔力を身体に覆っていく。

陸の変化に気付いたグリューンは、陸の変わりように驚きスキル『鑑定』を使い覗き見た。

元々のステータスが分からなかったが、覗き見たステータスを見て驚愕し。

根が破られる前にと陸の右手を動かしていく、ブチブチと根が千切れる音が響いていく。


陸は身体に巻き付いた根を、力任せに引っ張り千切っていた。

それでも地中からどんどん根が溢れ、陸の身体を封じようと巻き付いていた。

こればかしは陸もラチが空かないと感じ、火傷で済めば良しと思ったが。

そうはいかないと分かってながら、自身に向けて火魔法を放った。

ボワっと勢い良く自分が燃え上がり、この熱量なら木の根も燃え尽きてるだろう考えたが。

火に包まれた陸の身体には、今も動く根があった。


「クソっ!、まだだ、もっと魔力を注げば....」


悪態つきながら、今よりも魔力を注ごうとしたがグリューンの声がそれを遮る。


『無駄ですよ、そんな火じゃわたくしは燃えませんから。それにもう終わりですよ、酷な事をさせてごめんなさいね.....』


そんな火じゃ燃えないと言うなかで、終わりを告げながら謝った。

陸も気付いた時には、右手には鞘から抜けた聖剣ルクスが握られていた。

火で燃えたと思った、ほんの一瞬の隙を突かれていた。

綺麗な緑の巨体がゆっくりと近付き、根で動かせた右腕がグリューンの心臓辺りの位置を取り。

右手に掴まれた聖剣ルクスの剣身に、陸の白銀の魔力が勝手に集まっていく。

グリューンは聖剣ルクスに先に触れると、どんどん沈んでいった。


「ダメだダメだ!、こんなのは止してくれ!!。.....あっ....あぁぁぁぁ...あ....あ」


聖剣ルクスから伝わる重さや赤い血が、右手に触れていき感じさせた。

必死に止めようとした陸は、"殺させない"と天恵ギフトを使ってまでしたのに、結局は無意味に終わってしまった。

剣身がグリューンの心臓に達し勢いよく血が吹き出し、力無く横に倒れるグリューン。

それと同時に、身体に巻き付いていた根も力無く地面に落ちる。


「こんな事されても喜べる筈が無いだろ!、グリューンを殺してまで手に入る"力"なんて無意味だ!」


横に倒れたグリューンに向けて、怒りと悲しみの思いの丈をぶつける。

ボタりと右手から聖剣ルクスを落とし、立っていられる程の力も無く倒れる。

天恵ギフトの効果が発生した、信念を遂げられなかったペナルティが陸に降り掛かった。


〈levelが上がりました〉

〈称号"森緑竜の友"を獲得しました〉

〈称号"竜殺し"を獲得しました〉


意識が閉じようとしたなかで、無慈悲に無機質な声が頭に響き眼を閉じた。


皆様!

明けましておめでとうございます!!。

今年も宜しくお願い致します( ☆∀☆)

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