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人生初の異世界で~俺だけ何も貰えなかった~  作者: 氷鬼
一章 始まりと絶望
4/81

3話 生活

大変遅くなりました

最近は忙しく書く暇が無かったですm(__)m


今回は長く書いてみました。



自分を部屋まで案内したのはメイド長のアテラさんだった、そんな人物に案内される程、自分にそんな価値はない。

部屋に入り次第俺は、そのままベッドにダイブして先程の事を思い出していた。


「ーーー本当に戦うのかな、嫌だな~」


右に左にゴロゴロ転がり、八重さんとの会話を思い出しては悶絶して先ほどの自分を恨み羞恥に顔を染めていた。


「何が『手伝います』だ断れよ俺、ステータスは赤子並みだし。寧ろ守られる側だし、これで生きて行けるかが問題だわ!」


柔らかいベッドに顔を埋めて喚き出す。


ヘルズ国もその内に、戦争に巻き込まれるなら逃げた方が懸命だよな。

でもな逃げるってどこに行くんだよ、この世界の地理もないし金も無い逃げる前に積んでるし。

ーーーーーはぁ~今後の予定でも決めるか、第一に金だな有れば色々出来るはず、第二に地理を覚えた方が役に立つもんな。

後は何かある....か..な、ヤバ眠くなってきた明日から頑張るしかないな.........。


その日の出来事に心身ともに疲れてしまい、意識を手離すように眠ってしまう。


..............


..........


......



ーーーーーーーーアレから一ヶ月後ーーーーーーーー 。


訓練場で戦う意志が有る者は戦闘訓練して、能力の確認や力を高めていた。

俺も頑張って最初の3日ぐらいは皆と訓練した、鉄剣なんか降ってみたが直ぐに筋肉痛で終わった。

皆とのステータス差が有る事で付いていけなかった、それを見ていた騎士からは出ないように言われもした。

俺はそれを理由に訓練に出なくなった、それでもクラスの皆の事は嫌でも耳にする。

その中で谷風・八重・宮田・佐藤・坂巻の五人は、たったの一ヶ月で物凄く強くなってるらしく。


俺としては参加しなくってラッキーって思って、図書室でこの国や世界について調べていた。


「一ヶ月も本を読んだし、ある程度の事は分かってきたな。次は金はどうやって集めるか?」


知識は集まったけど金をどうやって集めるか、ウェルムで稼げる方法は在るにはあるけど俺のステータスじゃ出来ないからな。


ウェルムが異世界の名称だと分かったのは、絵本に書かれた神話で知った。

創造神メッセが創造した世界、あらゆる生物を産み出して。

その生物達が繁栄した世界で、創造神メッセは役割を与えた神を作り自身は眠りについた。

って感じの内容だった、作れるだけ作って自分は寝るってどうなんだろか。


俺もただ本を読んでいた訳じゃない、出来る事は何でもやった。

剣術は今でもひっそりと振りだけでも継続してたりする、全然様にはならないけど。


後は細工・商売・礼儀作法・魔法も、どれも一般以下でしかならなかった。

ステータスプレートにはスキルとして、努力が反映されていた。

それは素直に嬉しかった。


「さて、日課の魔力操作やりますか」


懐から出した魔柔石ミーヤに魔力を、流すとイメージで形や色が変わる不思議な石だった。

初めて見たのは細工師ののぞ....見に行った時だった、決してこっそり覗き見た訳じゃない。


その魔柔石ミーヤのおかげで、魔力の量も増えるし魔力操作もスムーズに出来るようになった。


ーーーーーー!!!。

これで金儲け出来そうだな、イメージで変わるって事は繊細に隅々までイメージして何かを形にすれば人気がでるじゃないか。

この世界に無い物を地球の物なら売れる、何故なら見た事がないのなら興味を抱くじゃないのか?。


思ったら吉日それ以降は凶日ってね。


指から魔力を出して魔柔石にイメージを乗せる、光ながら少しずつ形になっていく魔柔石ミーヤ


鮮やかなピンクの薔薇......良し、うまくいった我ながら完璧だな。


「.......」


...う、後ろから視線を感じる物凄く見られてる。図書室でやっちゃダメだったかな?。


「素晴らしいですね、こんな綺麗なピンクは初めてです」


「...王女様!。が、何でここに?!」


ビックリしたまさか、王女様がいるなんて思うはずがない!。

何でここにいるの本当に.....。


後ろからの視線が王女様、サラ・ヘルズだった事に驚き何故いるのか伺ってしまう。


「ドアの隙間から光が出てたので、見に来たらフルサト様がいたので。このような所で何をやっていたんですか?」


そっか光か...図書室じゃ光るって事無いもんな。

次からは気を付けよう。


魔柔石ミーヤで、魔力操作をしてました王女様。メルシーさんはお付きでは無いですか?」


右手を胸に当て軽く一礼して述べた、礼儀作法を教わった時コレが自分よりも目上の人物やる挨拶だと教わった。


「..メルシーは名前で呼ぶんですね、部屋の外で待機してます。この一ヶ月でフルサト様だけが、名前で呼んで頂けないのですが?」


城のメイド達は貴族の令嬢で、家名を持ってる人達が多いが中には持ってない人達もいる。

代表で言えば、メイド長のアテラさんが家名を持ってない。

メルシーが公爵令嬢で、王女サラ・ヘルズ専属メイドだ。


「名前覚えてくださり、ありがとうございます。ですが、私と王女様はそこまで親しくないと思われますが?」


この王女さん初日で、クラス全員の名前を覚えた上で、特徴や性格まで正確に覚えてしまった。皆と親しくある意味、王女さんもチートなのかと知れないある意味で。


「.....そうですね、フルサト様の言う通りそこまで親しくないですね。ですが親しくなりたいのは本当ですよ」


そんな純粋な瞳で凝視するなよ、俺は王女さんと親しく成りたくないのに。


この一ヶ月間、城の騎士達にはそれなりの表に、出さない態度で接して貰っていたが。

兵士達には思いっきり嘲笑の対象として嫌われている、勇者の中で無能で子供にすら負けると......。


だって赤子並みのステータスだから。


だから、この一ヶ月は図書室や自室で籠っていた、必要な時以外はあまり出歩くかないようにもしていた。


これも城を歩き回った性だと思う、所々で騎士や兵士の話しを盗み聞きしている主に駄目な勇者様(笑)っと。

まぁ、こんな反応されるのは分かっていたから良いけどね...。


真樹がその事実を知ったのは、城を隅から隅まで徘徊していたのが原因だった。

徘徊途中で騎士や兵士の、陰口似た侮蔑の言葉の数々を聞いてしまった。


「はぁ~分かりました、では名前で呼び合う事から始めますか王女様?」


「はい、それで大丈夫ですフル...マサキ様」


「いきなり下で呼ぶのは....、後様はいりませんので」


王女様に様呼びされる所を騎士や兵士に見られた最悪だと思い、王女様にやんわりと言う。


「分かりました、マサキ様それで魔柔石ミーヤのこれは何ですか?」


オイこら人の話を聞いてたか、マジでスルーですか?。


様呼びはいらないと言った側から、様呼びをする王女様に「何だこいつ」はと口から出そうになったが寸での所で堪えた。


「人の話を聞いてましたか王女様、....まぁ良いですけどね別に。これは元いた世界の花です、薔薇って言って結構キレイなんですよ」


「....そんなですね、見惚れるぐらい綺麗です...。マサキ様の世界は、こんなに綺麗な花があるですね」


目を爛々として真樹が作った、薔薇の魔柔石ミーヤを眺めている。


「良かったら、お譲りしますよ?」


「よろしいんですか!!」


真樹が薔薇をサラ・ヘルズの手に渡す、突然の申し出に驚きながら笑顔を浮かべて喜んでいる。


「えぇ良いですよ、花には花言葉が有りまして。ピンクの薔薇には、元の世界で言うと上品や感謝、幸福って有るですよ」


「マサキ様は博識なんですね、こんな素敵な物ありがとうございます♪」


こんなに喜んで貰ったなら、作ったかいが有るもんだな。

王女様がこんなに喜ぶなら、貴族令嬢や女性を中心に売れるよな.....。


王女サラ・ヘルズの反応を見て、金を得る算段が一つ出来た。


「そんなに、博識では無いですがね...。まぁ喜んで頂けたなら、こちらも作ったかいが有ります」


真樹自身も博識とは本気で思ってない、母さんが資料として買っていた花図鑑を読んで覚えていたに過ぎない。

良く付箋紙が貼られた花図鑑の一ページを、良く読んでいた母さんの姿を見る日が多かった。


「えぇ大切に致します、後は名前で呼んで頂けたら嬉しいですね?」


「えっとお、オウジ.....サラ様?」


凝視するなよ笑顔がスゲー怖いだけど、何でそんなに名前に固執するかね?。


「様はいりません?」


「....さ、サラ」


「それで、よろしいです!」


うわーー罰ゲームか、何でこんなに恥ずかしい思いしないといけないじゃ~!!。

しかも良い笑顔だなオイ...速くこの場から出よう、じゃないと羞恥で悶え死ぬ。


「でで、では私はこれでし、失礼します!」


早口で噛みながら言い終わると、そのまま速歩きで出口に向かって行く。

サラ様を置いて自分の部屋に帰る前に振り返り、笑顔で挨拶するサラ様に一礼してから退室する。

外で待機していた、メルシーさんにすれ違い様に挨拶をして行くのだった。


「今日はありがとうございました、またお暇の時で良いのでお相手してくださいね」


「分かりました、それでは失礼します」


微笑みながら言うメルシーさんに、当たり障りない返答を返した真樹は早足で自室に向けて歩く。


ーーーーあっ~もう恥ずかし過ぎる!!。


「うふふ、顔を真っ赤にして可愛いだから。それにしてもバラですか魔柔石ミーヤで、これ程の物を作るなんて素晴らしです」


マサキ様は勇者様方の中で、一番弱くって臆病者で人に好かれない人だと、聞いてましたけど全然違ってました。

リク様とは正反対の人ですわ、強く勇気があって自然と人に好かれ導く風格を持っているのに対して。

マサキ様は自分から人との距離をとって、表では弱者を装い裏では努力を怠らない、どの様な人でも態度を変えない方でした。

ましてや、どれ程の魔力をお持ちなのか....気になりますね?。

魔柔石ミーヤでこれ程の物を作る事が異常なのに、魔力を流しても形が変わる処か。

私の魔力を弾くなんて、しかも"固定リープシング"してないなんて。

本当に一番の弱者のですか?、ステータスは偽る事が出来ない筈ですし......。


サラは魔柔石に出来た薔薇に含まれた魔力に、真樹を見た目通りに捉える事が出来なかった。


「サラ様?、気分が優れないのですか?」


マサキと交代で入ってきたメルシーが、サラ様の表情を見て伺いしてしまう。


「大丈夫よメルシー、マサキ様から頂いたバラと言う花を眺めていただけよ」


真樹について考えを辞めて、メルシーの声で意識を引き戻すとバラを見せる。


「大変美しいですね、これをフルサト様がお作りになさったのですか?」


鮮やかなピンクのバラを見て、サラと同様に目を爛々として見とれていた。


「えぇ、そうよメルシー。これで髪飾りやブローチにしようと、思うですがどうでしょうか?」


サラの提案に、メルシーが頷きながら肯定していた。


「とても素晴らしい提案です!、直ぐに城の彫金師にお願いしておきます!」


「お願いねメルシー。それじゃ行きましょうか、勇者様方の訓練も終わった頃合いですし」


メルシーに髪飾りかブローチをお願いして、自分も図書室から出て訓練場えと歩いていく。


「はい、承りましたサラ様」


そう返して、メルシーはサラの後ろについて訓練場に向かっていく。


魔柔石ミーヤ

鉱山のどこからでも取れる一般的な鉱石、主な特徴は魔力を流す量で硬度や形や色が変化する。

色や形は魔力を流す人のイメージで変わり、量が多ければそれだけ硬く丈夫になる。

ただし、それは魔力を流してる間だけの時間までで、形や色に硬度を維持するためには"固定リープシング"を付与するしかない。

固定リープシングにも例外がある、付与した人よりも魔力を流せば形や硬度が変化する事もある。

よって戦う為に用いる事は困難に近い為に、鉄鉱石の方がまだ需要がある。

※10㎝で2mまで伸びる


私は以前教えて貰った魔柔石を思い出し、何時になっても元に戻らないバラの魔力量を不思議に思った。


.................


..........


.....


ーーーーー自室の中ーーーーー。


一人で図書室の事を思い出して、サラ様の姿を思い出していた。


「キレイな人だなやっぱり、スタイル抜群で優しく気遣いがうまく。髪ははサラサラで艶があり、声は癒しを与えるほど透き通り耳に心地よかった.....」


.........!!。

うわキモ何言ってるだよ俺、意識し過ぎだバカ野郎!。

アレか関係ない美少女が声をかけるだけで、『こいつ俺に惚れてるのか』って思い込みする奴か。

どんだけ痛々しいだ、相手は第一王女で次の王だぞ。

それがたまたま、会って声をかけ慈悲をくれただけの話だ。

『こんな奴に声をかける私ってイケテる~』って奴だな、アレそう思うと....落ち着いてきたな我ながら単純な奴だな..フッ。


自分を卑下にする事で、精神的に落ち着きを取り戻した。

文字だけでサラ様を表すなら、自分の口から出た先程の言葉が適切だった。


「単純な奴だな俺って、そういえば最近ステータス見てなかったな。久々に見るか」


懐からステータスプーレトを取りだし、軽く念じると文字が浮かび俺のステータスが見え始めた。


===============

古里真樹 17才

level 1

種族 人族

職業 町人

HP 1000

MP 5000

攻撃力 20

防御力 50

知性 1000

敏捷性 60

器用 2000

天恵

称号"異世界からの人"


スキル

『異世界翻訳』『魔力操作』『魔力増幅』『剣術』

『集中(大)』『細工5』『魔力回復(微小)』

耐性

=============


おぉ!!。

一ヶ月前と違って結構上がってるな、MPが5000とか前は500だったのに。

攻撃力は相変わらず非力だな、10しか上がってないし知性と器用は四桁なってるから満足しよう。

でも、可笑しく無いか?、レベルupとかしてないのに四桁って?。

まぁ、異世界の事だから良く分からないし、日本にいた頃より頑張ってるな。

『細工5』まで上がってるのは、魔柔石ミーヤのおかげかな様々だな。


自分のステータス情報に疑問を覚えるが、日本とは違う異世界だと割り振り気にしない事にしていた。


「ふぁーんあ、眠いなまだ鐘5つしかなってないし?」


鐘1つで二時間たった事を現す、鐘が鳴り出すのは朝の5時からだと決まってる。

日の出共に起床するのが当たり前らしいく、そんな訳で今の時刻が15時になる。

ちょうど良いお昼寝タイムだった。


「今ん所やる事無いし、皆は訓練とかしてるから起こされないな。よしお昼寝タイーム!!」


ベッドに潜り枕の気持ち良さ毛布の温かさ、幸せだな~国も世界も変わらない共通の幸せだな。



ーーーーーーーーーー夜23時ーーーーーーーーーー。


9つの鐘の音を耳で捉えて、目を爛々としてゆっくりと開け始める。


「...う..ん.....今何時だ?」


ふぁー寝過ぎたけど眠いから....もう一眠りしよう。


部屋から見る外の景色が真っ暗で、真樹は寝過ぎたと後悔する。

それでも眠気が有る為にもう一度目を閉じて、眠る体勢にするがぐぅーぎゅるぎゅるーーーーと腹の虫がなる。

眠気の目を擦りながら、自分の腹に手を当て腹減ったと呟く。


食堂に行けば何がしら食材が有るのよな、無かったら諦めて帰ってこよう。

もう既に食事の時間は終わってる為に、自分の夜ご飯は無いなと考えた。

そのまま部屋から出て、廊下を歩いて数十分。

何かにビクビクしながら、周りをキョロキョロしていた。


「マジで腹へったな~、食堂は確かこっちで合ってる筈だし?。夜の城って....結構怖いな」


幽霊とか出たらどうしよう、城って何かしらいるのが定番だもんな。

それにしても窓から見える夜の景色って良いな、日本にいた頃とは全然違うなこの辺は役得だったりする。

お、食堂が見えてきたな食べ物が有ります用に....。


夜の徘徊は今日が初めてだった、普段は明るい内に徘徊してる為に夜の雰囲気がガラリと変わっていた。


食堂の入口から入って行くが、何も見えない事に立ち止まる。


「灯りが無いから真っ暗だな、灯りは何処だったけな?」


燭台を見つけて近くに合った火種で火を灯し、光源を確保してから真っ暗な食堂に入っていく。


でも泥棒みたいだな、誰かに見つかって斬られても文句言えないな...。


そんな事にを考えてしまい、鳥肌が立ってしまった。

奥に有る厨房に無断で入り、何か無いかと探し出す。


「.....お、パン見っけ~ありがたやー」


やたらと固い感じかするパンに、歯を当てて食い千切る。

そんな表現があってるのか、パンじゃない音をしながら噛み千切れた。


何でパンからガリッて鳴ったの?、固すぎるでしょう顎が疲れてくる。

王宮のパンがこれで良いのか?、まぁ無断で食ってる俺が文句言えないよな...。


ガリガリッと音を立てながら、固パンを少しずつ減らしていく。

真樹が手にしたパンは固くなりすぎた為に廃棄する物だった、それを知らずに固いパンにかぶり付く。


ふぅ~食った食った、良く噛んだから満腹中枢だっけ?。

そんな物を刺激された筈だから、お腹一杯になってると良いなぁ.......。


結局その後もないかと探したが、見つけたのは固パン1つだけだった。

燭台を持って食堂から出ていき、部屋に帰る途中の通路から音がして耳を傾けた。


ーーーーガサガサ....タンタンタン『......ッ』。

黒い影は通路を曲がった所で姿が見えた、辺りも警戒しながらなのか慎重に駆けていく。


何だよ彼奴は、ちょうービックリした!。

本能が危険信号で知らせてくるし、そんなスキルは無い筈なのに彼奴はガチでヤバイって知らせてくる。

強者の風格出過ぎでしょう、..こ、こっちに来やがったどうしよう隠れなきゃ...頼む見つかるなよ......。


通路を曲がって行った怪しい奴では無く、格好は似てる三人が此方に向かって来ていた。

一人一人から強者の威圧をビシバシと、肌に感じていた為にギリ見えない柱の影に息を潜め騒がしい心臓を、黙らせ自身の存在を消していた。


『時間がない、素早く王女サラ・ヘルズを殺すぞ。こんな馬鹿げた事を止めさせるぞ!』


『『....はっ!!』』


一番先頭を走る怪しい奴が、そう言うと後ろを着いていく同じ格好の怪しい奴等も小声で答える。

真樹が隠れた柱の通り過ぎて、初めて真樹は大きく息を吸って吐いた。


極度の緊張でその場に座り込み、助かった事を喜んでいるが直ぐに事態危うさに気づいて。

立ち上がっては誰かに知らせる為に走っていた、真樹は馬鹿みたいに気付いてなかった。

自分が怪しい奴等が行った方に走ってる事に、思考がうまく機能していなかった。


「城に賊で良いのか?、それよりも侵入ってヤバくね?!。警備してる奴はどうしたんだよ、さっきの言い方だとサラ様が危険じゃん!」


頭の中で考える思考は全て口から漏れ出る、パニックを起こしていた。


いくら走っても誰の姿も見えず焦りが生じる、その筈も真樹が来る前に賊が全て排除済だった。

不思議な事に死体が無く、何処にも血の跡が無かった。


誰かに知らせたいのに、誰もいないじゃん!。

ちんたらしてたらサラ様が危ないし、俺が行った所で足手まといだし。

それでも危機が迫ってる人を放って置けないし、時間を少しでも稼げれば騎士達も来る筈だし.......行くか。


来る途中で幾重に迷走をしたが決心さえしてしまえば、足は自然と一生懸命に走ってしまう。

普段立ち入る事が出来ない王族の寝室の廊下に足を踏みいる。

そこを護ってる筈の国の屈強な騎士達が、今は床に伏してる動かない肉の塊だった。

辺りを血で埋めつくし、賊の二人と相討ちになったんだろ。


一人足りないな、賊は三人いて床で死んでるのが二人だけだ。

じゃもう一人は先に....!。


「....すみません、急いでるので借りていきます!」


死んでる騎士の側にあった血がベッタリの片手剣ショートソードを拾い、王女の寝室えと向かっていく。


部屋には王女様を必死に、護ってた騎士が倒れ賊の一人が今にも持ってるロングソードで殺そうと、一歩また一歩慎重に距離を縮めている。

ロングソードが届く距離に近づき、腕を上げ上段から斬りつける構えをし。そのまま降り下げた一切ブレがない剣筋は、敵でも見惚れる程の美しさがあった。


『キァァァァァァァァァ』


クソ....届け!


.......キンーーーーーーー。


部屋に金属がぶつかった音が広がってから、再び静寂が場を支配していく。


ふぅ~間に合った....。


素早く剣を横に振って賊を遠ざけるが、もう一撃加えるために剣を振るうが賊は後ろに一歩下がって軽やかに避けてしまう。


「どこか怪我は、有りませんかサラ様?」


何処か怪我が無いかと、目を凝らして見てしまうが無事だと知って賊の方を見る。

さっきから何も仕掛けて来ない、隙だらけなのに何もしてこなかった事に違和感を覚える。


「......え、えぇ大丈夫です。それよりも、どうしてマサキ様がいるのですか?!」


死ぬ間近だったサラ様は助かった事に安堵するが、助けられた人物を見ると困惑して聞いてくる。

それも無理はない、真樹のステータスはとても助けられる様な状態じゃないのを、サラは知っていた。


「まぁ詳しい話しは後で、今は逃げる事だけを考えてください」


『マサキだと?、いやそんな筈は無い』


賊は俺の実力が分からないから、迂闊に動けない今がチャンス。

出口は1つで後ろにサラ様がいる、よーく考えたらピンチだな。


部屋から逃げられる気がしなかった、自分一人でさえ無理なのに後ろにいるサラまで助けられる余地が見つからない。


「もうすぐ騒ぎを聞いた騎士達が来ます、ですので撤退してはくれませんか?」


刺激しないように丁寧な口調で話し掛ける。


「......来る前にお前らを殺せば問題ない、それにお前の実力じゃ勝てないぞ?」


あちゃー、さっきので見切られてるし!。

もうハッタリとか無理じゃん、速く騎士達来ないかな~。


真樹は半ば諦めかけていた、少しの応戦で実力を見切る相手には勝てないと。


『よく聞いて下さい、私が時間稼ぐから隙を突いて逃げて貰えますか?』


『.....分かりましたが、マサキ様を置いては行けません。なので、微力ながら私も魔法で支援します』


魔法で支援とか、うまく行けば二人で逃げれるな!。


サラ様が魔法を使える事に、逃げられる可能性が上がった事を内心で喜んでいた。


そんな淡い期待を真樹は抱く。


「作戦会議は終わったか、なら最後の時を後悔して死ね」


「待ってくれるとか嬉しいですね、そのまま見逃してはくれないですか?」


「王女を置いて行くなら、見逃せてやる」


「............それは、出来ません」


「今、少し考えたろ?」


賊に考えを当てられてしまい、身を硬直して冷や汗が出てしまう。

賊の提案に乗ってサラ様を見捨てようと頭に過ったが、自分の中の理性が踏み止まった。


「けして、そんな事は有りません」


「そうか」


短く言い終わるのと同時に駆け出していた、気づけば目の前でロングソードを振りかざししていたのを。

ショートソードを出来るだけ早く、間に割り込ませて受け止める。


「ちょ、危な!」


こちらも反撃で蹴りを御見舞いするが、空振りしてしまい体勢を崩してまう。

直ぐに立て直して上段からショートソードを振るうが、賊はゆったりした姿勢で躱す、すれ違いにロングソードの腹で腕を叩き付けられる。

叩き付けられた腕を抑えて、痛みに我慢して賊を見上げる。


こいつマジでヤバイな絶対に俺じゃ勝てないぞ、経験差が違いすぎるし赤子並ステータスでどうこう出来るもんじゃない。

これが谷風達ならまだ、なんとか勝てるじゃないか?。


此処にいるのが自分じゃなく、谷風達なら状況覆せたのかもしれない。

俺はそんな事を考えながら、実際に此処にいるのは自分だった。


「弱いな」


「弱いのは知ってるさ、何だってレベル1だからな。それでも帰る為に、出来る事はやってんだよ!」


当たらなくっても剣を振りかざし、賊の剣を何とか受けとめ腹に拳を喰らい派手にぶっ飛び壁にぶつかる。

胃から吐瀉物を吐き出す、食堂で食べたパンの形が原型を留めていた。



「.....ッゴホ!」


吐瀉物を吐いた口に広がる熱い物が一杯になり、外に出すベチャと...血を腕で拭う。

賊に鋭い目を向け殺意を剥き出し。

その場から立ち上がり駆ける、近くの物を投げ目眩まし用途で死角に入り突くが、賊の前では意味が無く粉砕する。


「傷有るものに癒しを"キュア"」


サラ様の手から放たれた回復魔法で、真樹の傷が癒えていき痛みが引いていく。


「助かりました、サラ様」


「すみませんが、もう少しだけ時間を下さい!」


「出来るだけ、やらせて頂きます」


もっても1分が限界だな、武器がショートソードだけとか辛いな。

手数を増やせば行けるか?、それとも会話して稼ぐか?。

......確か魔柔石ミーヤがあったはずだ、アレで不意を突けばーーーー考えるよりも行動有るのみ。


「貴方は何で、サラ様を狙うのですか?」


「....お前が知る必要は無い」


「ここには勇者達居ます、どれも強力な天恵ギフト持ちで逃げれると思いますか?」


「だからどうした、異世界から来たばっかの勇者等、雑魚に等しい」


戯ける様に肩を少し上げて、勇者達を嘲笑する。

賊の目には勇者達は雑魚に等しく、興味が無さそうだった。

なら、目の前にいる自分は雑魚以下として映ってるのかと思った。


「それは...どう」


会話の最中でも問答無用に攻撃してくるし、何故お前が勇者が異世界から来たって知ってる!?。


こいつは絶対何か知ってる、何としても聞き出してやる。


「何でお前が知ってるだよ!?」


「口調が変わってるぞ?」


袈裟斬りで賊の左肩から右脇腹を狙い放つ、読まれてたのか素早くかわして。

その反動を利用し、裏拳が顔面に襲い真樹は剣を手放して床に落としてしまう。

鼻は折れ鼻血が垂れる、身体の力が抜けて膝が床に付く。


あぁ~、クソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソ。

直ぐにでも殺せる筈なのに、完全に遊んでやがる!。


目の前の余裕な態度を取る賊に対して、そして何も出来ない自分に対して止めようがない悪態が来る。


立ち上がろうと思い力を入れるが、賊の足が背中を踏んでしまい身動きが出来なかった。

バタバタと抵抗するが、顔の横に剣を突き付けられ"死"をかんじてしまう。


「殺す前に聞いておいてやる、名はなんとう言う?」


何でそんな事を聞くのか、分からなかったが真樹はせめて口で抵抗の意思を示す。


「....お前に言う必要はない!!」


「いいから答えろ」


顔に痛みが走る、裏拳で痛い筈なのに新しい新鮮な痛みが来る。

突き付けられた剣が目下を斬った、血が溢れる様を肌が感じる。

そこに先程は違う恐怖が身体に迫った、自分は生かされてる事をハッキリと感じてしまった。


「ま、真樹....マサキ・フルサト」


「!!!!!!!」


賊が名を聞くなり大きく動揺して、足に込める力が抜けるが分かった。


「大いなる光が敵を惑わす"幻影光ファントムライト"」


この時サラはスキ見逃さなかった、真樹が1秒でも稼いだ時間で練り上げた魔法が外まで光が照らす。

真樹の名を聞いて動揺した賊には、普段なら効かない魔法を諸に受けてしまう。

視界には自分を惑わす為の幻惑が映る、この時、賊の視界に映ったのは愛した女性の姿がいた。


「.....瞳」


口に布が覆われたいた為に真樹は聞き取れなかった、それでも背中に乗る足に力は入っていない。

真樹は自分が持てる力の限り足から逃れると、常に持ってた魔柔石ミーヤに魔力を流すと。

一番身近で直ぐに思い浮かべられる、賊の持っていた(ロングソード)をイメージし賊の腹を刺し貫いた。


一目で致命傷だと分かる。


手に伝わる肉を刺す感触が妙にくっきりと感じる、それは自分が初めて人を殺したのだと知った。


そのまま賊は後ろに倒れると刺し傷から血が広がっていく、 真樹は広がる血を見て酷く動揺する。


「こ、殺すつもりは無かったんだ!」


誰に言った訳じゃない言葉は自分で自分に言い訳をする。


倒れた賊が口を覆う布を取ると、必死に口を開き始めた。

血が逆流したのかゴポッと口元から流れる、そのまま微かな声で何か言ってるのに気付き聞こえる位置まで近寄った。

人を殺した動揺から無防備に近寄った事を気にする精神は持っておらず、真樹は耳を傾けて賊の言葉を聞く。


「.....お前の母の..名は.古里...瞳じゃないか?」


ーーーー何で賊が母さんを知ってる!!!。


微かな声で聞き取れた賊の言葉に、真樹は驚きを隠せない。


「な、何で?。知ってるんだ?!」


母の名前を知ってる事に疑問を投げ掛ける、サラが何かほざいてるが今は耳に入らない。

目の前の賊の事で頭が一杯になり、周りが見えなくなっていた。


「..ゴホッ...そうか、やはりな瞳の面影がある..な。気づいてやれなくって.....ご...めんな。痛い思....いさせて....ごめんなま...さき」


命を奪った相手に謝りを言うが、意味が分からなかった。

賊は死ぬかもしれない状況で涙を流して精一杯の笑みを見せて、自分の名前を呼ぶ。


「オイ、どうゆう事だよ!。説明しろよ!」


声を荒上げて賊に問いただす、今も口がワナワナ震えながら言葉が続いていく。


「時間が..もう少ないが、...よく聞け..俺の名は.."はじめ"真樹の.....父親....父さ..んって.....呼んでく...れ」


はじめ!!、それは父さんと名前が一緒だった。

オイ...まさか....嘘だろ親父は事故で死んだって....。


「親父は事故で死んだ筈だ、死んでないなら何でウェルムにいるだよ!」


「の..残るしかなかった...んだ、...誰かが世界に残らないとハァハァ帰れなかった...。良いかよく聞け真樹.."ーーの神殿"の、奥に行けば....分かる」


「そこに行けば良いのか、父さん!」


初めて会った人を父と呼ぶには抵抗があった、けど、それよりも心が目の前の賊だった人を父だと思ってしまった。

母を知っていた....何よりも俺を見る眼が暖かかった。


「こんな....不甲斐ない...父で..、ごめんな....瞳に愛して..るって.い..」


血の気が無くなり蒼白になり、声を出せる程の力は残ってなく言いたい事を最後まで言い切れず安らかに逝ってしまった。

真樹はその事実が受け止められず、賊が父さんだと知った瞬間に何かが崩れた。


「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


ごめんなさい、ごめんなさい。

そこには、泣きじゃくる子供が一人いた。

父の亡骸に謝り、息子の手で殺めてしまった罪の意識に泣き続けた。


『男が泣くな最後に息子の顔が見られて満足だ』


幻聴か神の悪戯か、父の声が聞こえた気がした。


戦争シーンは疲れました

どっかしら誤字とか有るかもしれませんが

指摘とかして貰うと嬉しいです。



※3話をフル修正しました。

特に父さんと戦う所を、念入りに改善しました。


※8月20日に真樹と賊の部分を少し変えております。

その他に間間に文を増やしたり、脱字等を修正致しました。

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