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人生初の異世界で~俺だけ何も貰えなかった~  作者: 氷鬼
一章 始まりと絶望
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閑話 最初の選択

陸の視点です。


勇者召喚されクラスの皆が、それぞれ宛がわれた部屋で休んだ次の日。

僕達皆は、朝から大勢のメイドさん達の案内で食堂に来てた。

それぞれが仲の良い友人達で固まって、長方形のテーブルを囲み座る。


「おはよう、舞花、葵、咲音。昨日は良く寝れた?」


「りっくん~おはようー....ふぁー...」


眠そうに目を擦りながら、大きく欠伸をする。

女の子としてどうなのだろうか?、それでも、何時もと変わらなく可愛いかった。


「陸、おはよう。ほら舞花もっとシャキとしなさい、この通り寝不足よ」


葵も寝れなかったのか、背伸びしながら舞花の丸まった背中に手を加えて正す。

背骨なのか何処かの骨がボキッと、爽快に鳴り舞花は痛がっていた。


「陸君、おはよう。所でマサキ君を見なかった?」


咲音も寝てないのは分かるが、食堂を見回してお目当ての彼を探していた。


「みたいだね、あぁ....それなら古里は、彼処に居るよ?」


そう言って僕は、食堂の隅っこで一人座って金属の板(ステータスプレート)を凝視してる、彼を視線を向けて咲音に教えた。


「ありがとうね陸君。皆、ちょっと行ってくる!」


気合いを入れて意気込んだ咲音は、颯爽と彼の元に向かい声を掛けていた。


一体古里の何処に惚れたのだろうか?、あんなぶっきらぼうな態度をしてるのに?。


「分からないって顔をしてるわね?、それとも、まい......」


「うわぁぁぁぁぁぁ!、ちょ葵!、ストップストップ!!」


「あら?、いきなり叫びと他の人達には迷惑よ?」


コイツ~!、絶対に分かってて言ってる!。


面白そうにニヤっと笑ってる葵に、僕は声を出して遮った。

「舞花の事でも考えていたのかしら」って続けようとしてた、それも隣で寝掛けてる本人の横で。


「どうしたのりっくん!、お腹空いたの?!。待ってて今持ってくるよ!」


「わぁぁぁぁ大丈夫だから舞花!、食事ならさっきメイドさんが、持ってきてくれるって言ってたから!」


お腹が空いてた舞花は、僕を訳に眼を光らせて厨房に行こうとしてた。

僕は焦った、舞花なら問答無用で厨房に乗り込み怒られるイメージが出来てしまった。

葵も多分同じだろう、舞花の行動に呆れて寝不足の頭を手で抑えてた。


「舞花落ち着きなさい。ほら、今運んできてくれてるのだから大人しく座ってなさい」


葵の言葉に僕と舞花は、視線の先にいるメイドさん達を見た。


確か...ワゴンって呼ぶんだっけ?。


僕は何となく、料理を運ぶ滑車が着いた台の名前を考えてしまった。

我ながらどうで良いと思い、メイドさんが運んできた料理を見て朝から豪華だと思えた。


「ありがとうございます」


次の人に運ぼうとしたメイドさんにお礼を言うと、メイドさんは笑顔をで会釈してから移動する。

今更だが、此処にいるメイドさん達は美人ばっかで地球じゃ考えられないぐらい、レベルが高くクラスの男子も直視出来ず照れていた。


まぁ、僕には舞花だけだしな~。

幸せそうに食べてる姿は、心を洗われるように癒される。


『顔が気持ち悪いわよ・変・態・さ・ん』


ボソッと僕にしか聞こえない小声で葵が言う、直ぐ様思考を取り払って姿勢も顔も正し。

葵に一言返そうと見るが、何事もなく舞花と食事していた。

毒気が抜かれた気分になり、僕も暖かい内の食事に手を出した。


昨日とは違い質素に見えるが、日本に居た頃とは違いって言っても1日しか経ってないが。

それでも僕達には豪華だった、バランスの取れた料理どれも美味しく、現にお代わりをしてる人達もちらほら出てる。

その中に舞花も居たが、僕はそれだけでお腹一杯になった。


それから30分程で、皆の食事が終わり食後休めに紅茶を飲んで落ち着かせていた。

メイドさん達が食べ終わった食器を下げていき、確か...メイド長のアテラさんが前に出て来た。


「おはようございます勇者様方。そのまま姿勢で結構ですので、本日の予定を聞いてくださいませ」


その佇まいは上品に優雅で、クラスの男子を数人は虜にしていた。


「本日は、この後一時間後に初めての訓練を致します。訓練用の服を勇者様方の御部屋に置いておりますので、そちらに着替えてから訓練場に、担当のメイドが御案内致します。では、私はこれで失礼します」


最後にそう言って深く礼をしてから、食堂を出て行く他のメイドさん達も、メイド長のアテラさん頭を下げていた。


「じゃ、僕は先に行ってるよ」


「りっくん、また後でね」


「えぇ、私達はもう少ししたら行くわ。訓練場で会いましょう」


二人に声を掛けて椅子から立ち上がる、ふいに横目で彼と咲音を見て声を掛けるか迷った。

一方的に声を掛けている咲音に、彼はめんどくさそうに相槌を打って視線だけを此方に向けていた。

僕はそんな彼の目と合ってしまった。


多分....連れてけか、助けろかな?。


目だけでそんな事を言ってる気がした、だから頑張れと目で返して食堂を出ていった。

その後ろで「嘘だろ」って、呟きが聞こえた気がした.....。


.............


........


....


皆それぞれの部屋に置かれた服に着替え、担当のメイドさんに訓練場に案内され着いていく。

そこは、学校の運動場の二~三個は入るぐらいの大きさだった。

周りには無数の座る場所があり、何となく闘技場に近い印象を感じた。


「うは~!、広すぎるぅー!」


「舞花ちゃん、そんな風に走ると転ぶよ?」


広すぎる空間に舞花は無邪気に走り回っていた、子供のような仕草に何人かは小さく笑っていた。


「だいじょうぶ大丈夫だよ!.....あっ」


咲音の心配を余所に、地面に出来ていた窪みに足を取られ盛大に転ぶ.....。


危ない!。


「......え?、りっくん?」


舞花が転びそうになった時には、僕は自分でも驚く程に速く駆け寄り、小さな身体を支えていた。

舞花の呆けた顔を見ながら、ゆっくりと立たせて僕が居たであろう場所を見る。


あれは?、僕がやったのか?。


そこは今いる場所から30mは有ると思う、少し地面が抉れ砂埃が立ち宙に舞う。

周りに居た人達は、ただ呆然と立ち此方をいや僕を見てた。


「....これが....鍛えれば....」


大切な人を護れる、改めて僕はこの世界に来た恩赦()を認識した。

今も呆けた顔をして見てる舞花に、僕は微笑を携えて向き合う。


「さぁ、皆の所に戻ろうか」


「え?、あっ、うん?....」


そう言って僕は舞花の手を握って、呆然としてる皆の所に戻っていく。

そんなちょっとした騒動が合った30分後に、全身に鎧を纏った人が僕達の前に現れた。

30前半な見た目で、その身から漂う只者じゃない感。


そんな全身を鎧に纏った人は、スゥーと空気を吸い込み....広い訓練場に声を轟かせる。


「整列!、今から勇者様方に戦い方を教える。ヘルズ国騎士団長ギース・スプレイだ」


腕を組ながら自己紹介するこの国の騎士団長、国で一番の実力を持つ人が僕達に戦い方を教えてくれる。

でも、背筋に走る嫌な感覚がギース・スプレイに視られてるだけで止まらなかった。


「ほぅ~...」


当の本人は感嘆しながら僕達を、寝踏みするように見回していた。

そして、ふいに嫌な感覚がしなくなり他の皆もそれを感じていた。


「まず勇者様方には壁に沿って、ひたすらに走ってもらいます」


笑顔をで告げるギース・スプレイに、は訓練場を見回す。

ひたすらと言う曖昧な表現、ゴールも無くただ走れと言われ、僕達は誰も動こうとしなかった。

走りに行こうとしない僕達に、ギース・スプレイは眼光を鋭くし威圧する。


「走れ」


短い一言に先程感じた嫌な感覚が蘇る、何も言い返す事も出来ず僕達は黙って走り始める。

皆がギース・スプレイから物理的に距離を取ろうと、最初の内に全力疾走して離れていく中で。

一人だけは動かず、寧ろギース・スプレイに近付く。


「すみませんが、私は辞退しても宜しいですか?」


「....マサキ君?」


彼の奇行に僕と咲音は立ち止まり、二人して彼の元に向かっていく。

彼は正面からギース・スプレイと対峙して、懐から何かを取り出して見せ付ける。


「......成る程な、お前が例の勇者様だな。確かに赤子並みに酷いな、それなら隅っこで剣を降ってな、お前の当分の目標はスキルを狙え、それだけで劇的に何かが変わる訳じゃないが。今よりマシになる筈だ」


ギース・スプレイは見せられた物を見て、独り出に納得し彼に助言を与える。

彼もそれに納得したのか頷きながら、頭を下げてお礼を言ってから隅っこまで歩き。

一人の騎士から木剣を不馴れに降り始める、それを見届けたギース・スプレイは、走らずに此方に来た二人を見据える。


「あぁ?、何でお前らは走ってないだ?」


「「すみません!!」」


また、眼を鋭くしたギース・スプレイに僕と咲音は素っ頓狂な声を上げて全力で走り出した。

走り出して三時間には、僕達は地面に寝そべっていた。


隅っこで木剣を降っていた彼は、いつの間にか居なくなっていた。

それからも最初の訓練の時には頂きました彼は、徐々にその姿を見せず図書室に篭り出した。

僕達はそれほど気にする必要は無かった、クラスメイトの半分は一週間で訓練に参加はしなくなっていたから.....。


何時もその日を思い出しては僕は後悔していた、最速く彼に声を掛けたり、クラスメイトの異変に気付ければ結末は変わっていた筈だった。

粋先生の言葉を無視して突っ張った僕の罪、あの日のような悲劇は起こさない.....。


それが、皆を煽って焚き付けた勇者の責任。



今後も宜しくお願い致します。

閑話は後4話ぐらい有りますので、暫しのお付き合いをお願いします。m(__)m

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