20話 問答
右腕以外動けないって、本当にヤバイな色んな意味で.....。
でも、まぁ良いか...リックさんが無事に逃げてくれれば.....。
それよりも魔柔石解除しないとな。
下半身を拘束され今も立ってる状態で、倒れる事が出来なく上半身をぶらんとしているサイルから、魔力を流して魔柔石を解除する。
今も貫かれて致命傷となった傷からは、生暖かい血が流れて着ている服を赤くする。
解除された下半身は、頭から地面に向かい倒れる。
「おっ...と....」
勢よく倒れるサイルに、真樹は声も漏らしていた。
解除した魔柔石に再び魔力を流して、サイルの体を優しく受け止め地面に下ろしていた。
せめて.....これぐらいはな、殺してしまった人の責務だよな....。
どんなに非道な人間でも、殺めたならせめても遺体は丁重に扱うべきだと思い。
真樹は自身の心に区別を作り、自分が出来る最大の敬意示していた。
魔柔石に何回も魔力者がを流して使っては、サイルの遺体を仰向けにしたり、開いてる瞳を閉じさせていた。
一通りの事が終わり、魔柔石を使い城門付近の壁にもたれ掛かる。
魔柔石便利すぎるでしょう.....、今度から様付けで呼ぼう....。
それにしても、ここまで酷い状態になるとは考えてなかったな~ー。
考えた策も結局は使えなかったなし.....、俺ってダメダメだな.....。
壁にもたれ掛かりながら真樹は、自分に呆れ苦笑してしまう。
当初と今に至る結果が違いすぎて、乾いた笑い声が出ていた。
最初に考えた策は、白い義手を使い遠くから針みたく伸ばして援護か、出来れば動きを制限出来れば御の字で。
動きを完全に封じる為にはリックに任せて、真樹は近付き催眠歪みで洗脳し逃げるみたいな策だったのに。
それが、準備が終わって見ればリックがボロボロの状態で、ふらつき倒れる一歩前であった。
そんな姿を見れば何を置いても、近付き安否を確認しないといけなかった。
自分から援護が出来る距離を潰しては、迫ってくるサイルに対して、バカの一つ覚えみたく突っ込み玉砕される。
結果はこの様だなぁ.....。
視線だけは自身の四肢に向いていた、健を切られ一生動く事も無い両足、肉を抉られ内に隠れた骨が見える始末。
そのまま傷口を塞がれ、再生も期待できない状態。
希望が有るとすれば、勇者の中で一人八重咲音ただ一人だけだ。
あの死闘と呼ぶべき戦闘を行った訓練場、玉座の間で見せた"治療"。
失った部位を生やす事も可能なのだから、戦う前の綺麗な状態に治せる程の力。
彼女なら真樹の一生物の傷を治せるだろうけど、真樹はそんな考えを頭から消していた。
何故なら、実行不可能な状況を自分で作って来たばっかだった.....。
身勝手すぎるよな、「今さらどの口が言ってるの?」って宮田が言いそうだし......。
坂巻なんか寧ろ傷を悪化させそうだしな~、佐藤は.....仲裁か黙る....?。
玉座の間で自分の言動を思い出しては、三人がやりそうな行動を考えていた。
もう、時間切れか.....。
「こ、これはお前が殺ったのか?」
遠くから金属音を鳴らし、城門まで来た兵士が場の惨状に驚きながら問い掛けて来た。
それを聞いた真樹は、兵士に向けて笑みを見せて一つの答えを口にする。
「見て分からないのか?、お前の目は節穴か?。それとも、頭が悪すぎて理解が出来ないのか?、それだったら謝る...すまんな」
「なぁ!」
出てきた言葉は兵士をバカにする言いに、兵士の出鼻を挫き何を言われたのか理解したのか。
顔を赤く真っ赤にさせ激昂させていた、今にも腰に着けてる剣を抜く勢いだった。
「良いのか?、陛下の王命に殺せってあったのか?。お前一人の判断でそんな事が出来るのか?、下手したら王命に背いた事で罰しられるじゃないのか?」
バカにした言いを継続しながら、兵士がやろうとした動きを封じる。
城の中で聞いたガースの王命の内容を、頭の中で思い出しながら兵士に聞かせる。
真樹が言ってる事に理解したのか、剣柄から手を離すが怒りを宿した瞳では睨んでいた。
「これを殺ったのはお前で良いんだな!。もし、少しでも動いたら敵対行動と見なし即斬るからな!」
「分かってるよ、それに動きたくっても動けないから安心しろよ。それよりさ、一つ聞きたい事が有るだけど良いよな?」
人に聞く態度とは裏腹に、人を苛つかせる口調に兵士を更に怒りを増っていく。
視線だけを動かし、真樹の体をじっくり隅々まで見ていく。
言葉通りに動けない事が分かり、それでも警戒は怠らずに口が開く。
「....何が知りたい」
「まぁまぁ、そんなに身構えなくっても平気だから。な~に簡単な質問だかさ、ここに来たのはお前だけなの?。他にも金属音や声が聞こえた筈なんだけど?」
真樹の耳に捉えた音は、確かに複数の音の金属音や人の声だった。
それが目の前にいる兵士一人だけなのに、真樹は疑問に思っていた。
「ここに来る前に他にも居たが、今は勇者や騎士様を呼びに行ってる。逃げられると思うなよ....」
あれ?、意外と素直に教えてくれるだな?。
「だか~ら大丈夫だって、こんな体じゃ逃げられないだから」
「ふっ」
こいつ鼻で笑いやがった.....。
兵士は真樹えの返答の代わりに、もう用事が無いなと言わんばかりに鼻で笑った。
それから何回か声を掛けるが、全てが無視し死んでしまった騎士やサイルに、胸に手を当てて冥福を祈っていた。
冥福が終わったのを見計らって声を掛ける、「遺体って、この後どうなるですか?」と敬語を使い訪ねていた。
兵士は見向きもせずに、後ろ姿を向けて声が届く。
「....遺体は丁重に遺族の元に還す、お前みたいな罪人は怨まれ続けて最後は"斬首"だ」
「そうですか、遺族の元に還されるですね。それに最後は....晒し者が決定か....」
遺族に還すと聞き、真樹は心から騎士に向けて謝罪の念を送る。
そして自分の死刑の内容が決まっていた事に、驚愕するが素直に受け入れていた。
「お前は何でこんな事を....」
真樹が起こした罪に、兵士は直球で聞いてきた。
真樹は動かせる右腕を顎に当て、考えるポーズを取る。
「うーん、知ってどうする?。お前が何か出来る事は一切無いし、それに知れば命が無くなるけど?、それでも良いなら話すけど?」
辛辣に突き放し最後は命が脅かされると脅し、真顔で問い掛けていた。
兵士は体を震わせ、手を左右に振り拒絶を表していた。
「いや、そこまで聞きたくない。それに裏に足を踏み入れて死にたくないからな。お前は正にそんなの状況って事か.....運がねぇな~」
「さぁー何の事か分からないや~?」
真樹が置かれてる状況を知り、兵士は憐憫の情を向けていた。
それに対して真樹は、何を言ってるのか分からないと右腕を使って表す。
スゲーなこの人、今のやり取りで色々察したぽいっな。
この人なら....いけるかな?。
目の前の兵士の詠みに、真樹は感心していた。
将来的に有望な人材だと、胸を踊らせるような出会いに感謝していた。
それと同時一つの計画が閃いたが、それも成功する事は無いとも分かりきっていた。
何でかって、真樹だからの一言で説明が納得できる程に、真樹自身が考えた事が何一つ成功していないから......。
「ねぇ兵士さんや、名前を聞かせてくれない?」
「あぁ?、別に良いぞ?。ヨウだ、家名も何もないただの一兵だ」
「ヨウ....良い名前だ、因みにもう知ってると思うけどマサキ・フルサトよろしく」
先程前の険悪な雰囲気が消え、場違いにも程がある自己紹介し合っていた。
「それでさ、ヨウに一つだけお願いしたい事が有るだけど良いかな?」
「はぁ?、いきなりで何だ?」
突然のお願いに兵士のヨウは、困惑した表情をしていたが。
真樹はそんな事を知らんと言うばかりに、話しを続けようと口を動かしていく。
「共犯させようとか、逃亡に力を貸せとか言わないから安心してよ。伝言を一つだけ、勇者の一人に伝えて欲しいんだけどダメかな?」
「...........」
聞こえてなかったのかな?。
話しを続ける真樹に、ヨウは口を開けっ放しで固まっていた。
「共犯させようとか、逃亡に力を貸せとか言わないから安心してよ。伝言を一つだけ、勇者の一人に伝えて欲しいんだけどダメかな?」
「聞こえなかった訳じゃねぇよ....」
「あっ、そうなの?。固まったまま動かなくなったから、てっきり聞こえなかったのかって思ったから?」
「大丈夫だ、ちゃんと聞いてる。何で伝言なんだ?、普通ならお前が言ったみたいに逃亡の手助けとか、言うのが当たり前の筈なんだが?」
最もな疑問に真樹はうんうんと頷き、遺体となった騎士を見ながら答える。
「逃亡や共犯何かに手を貸せば、どうなるかは想像が出来てると思うけど。そうならないように伝言だけをお願いしたいだよね?」
真樹の答えにヨウは納得したのか、手を頭に当てて「やっぱりか」と呟いていた。
「成る程な....、お前が伝えたい内容は分かった。一つ、自分が置かれてる状況、二つ、ここで横たわってる死体、三つ、黒幕の計画を潰す事の三つを勇者の一人に伝えるって事で合ってるか?.......おい?どうした?」
「.....いや、兵士の癖に勘が鋭い奴だなって思ってたけど。ヨウって兵士じゃないよね?、こんだけ優秀な奴がいるなら、とっくに上に居ても可笑しくない筈なんだけど?」
真樹はヨウの言動と読みの深さが、ただの兵士じゃないと感じ驚愕していた。
本当に優秀な人材なら、ガースの耳に入りそれなりの役職を与えて、手元に置いてる筈だと考えていた。
「何を言ってやがる、俺はただの兵士さ。他とは違って、少し頭が回るぐらいに良いぐらいさぁ」
「それは嘘だよね?、この国のクズは私怨の為に少しでも戦力が欲しい。それならヨウみたいな頭が回る兵士は、手元に置いて逃げ出さないように繋げる筈だよね?」
「そんな考えも有るが、国の兵士なら逃げれば家族や大事な人達が失うと分かれば。否応なしに戦う為に戦場に赴くだろ?」
今のヨウの発言で真樹は確信する。『やっぱり兵士じゃない』と内心で自分の考えが正しいと。
「ヨウさ....気付いてるかは知らないけどさ、自分の国の王が貶されたのに、どうして平然としてるの?。普通なら怒ったり剣を抜くとか、そう言った行動を起こすのが当たり前じゃ無いですか?」
「ぇ....あっ...そ、それは....」
自分が言った事を思い出し狼狽する、真樹はそれを見て止めの一言を告げる。
「私怨のクズで反応しなかったって事は、それを知ってる人物か或いは関係者。で、結論を言うとヨウって魔族だよね....」
目を大きく見開ってから、降参と言うかのように両手を上げて溜息していた。
「降参だ.....、どの辺りで俺が魔族だと分かった?。いや答えるまでも無いか....、クァー俺とした事が見抜かれるとかやらかしたぜ。この事がバレたら、ベノムの旦那に怒られちまうぜ....」
ガックリと肩を下ろし、ヨウの口から出た「ベノム」に怒られるのを恐がっていた。
そんなにヨウの姿を見た真樹は、呆然と真っ直ぐに見ていた。
あれ?、こんな直ぐに認めちゃうの?。
もう少し惚けたりとか、話しを反らすとかあった筈なんだけどな?。
それからヨウは気合いを入れ直して、改めて此方に振り向き近付いてくる。
「お前......中々の奴だな、俺の変装を見抜いたんだ自身持って良いぜ!。だからお前の願い事聞いてやる、それで誰に伝えれば良い?」
近付いて来たヨウは、目線を合わせる為にしゃがみ、真樹の右肩を叩きながら聞き入れてやると微笑しながら言ってくる。
「あっ....うん、ありがとう。谷風 陸って言う、イケメンな上に女の子にモテモテな奴に伝えてくれれば良い.....。口封じ為に、殺したりとかしないの?」
それに対して、真樹は困惑気味に伝える相手の特徴を教え、バレた口封じとか無いのかと聞いてしまう。
「タニカゼ・リクだな......分かった、お前の伝言はしっかり伝えておく、それに弱ってる相手を殺すとか卑怯だろ?。じゃ、俺は行くわ」
伝言を伝える相手の名前を連行しながら、今の真樹を殺すのは卑怯だと言って、近かった顔を離しては。
その場から立ち上がり、そそくさと去って行こうとし足を止める。
「そうだった、もうすぐで他の勇者達が来るみたいだな。じゃあな、有る意味で同士だったよお前....」
「......ヨウ、マサキ・フルサトだ。最後ぐらい名前で呼べよな」
最後まで名前を呼ばなかった、魔族のヨウに大きな声で名前を告げていた。
ヨウは本名なのかと考えたが、それでも敢えてヨウと呼んでいた。
少し目を離した時には、すでにヨウの姿は見えなくなっていたが真樹は微笑みながら、遠くから見える白い獣に股がった佐藤舞花の姿が見えていた。
獣は賊の襲撃があった夜に見た、体長三メートルで可愛らしい犬の姿。
あの日、色までは見てなかったが綺麗な白で触り心地が良さそうな毛並み。
「見てて癒されそうだな.....」
白犬に股がって遊ぶ小さい子が、真樹の脳内に映り正直な感想が漏れ出す。
「見つけたーーーー!!」
「...っう....、もう少し声量を下げてください。頭に響きますので....」
白犬に股がった状態で、真樹を発見した事に大声で叫び、耳が痛くなるような音を出していた。
「お願いね、シロ!」
「グルッ......ウォンンンンンンン」
シロと呼ばれた白犬は、唸り一つで返事し遠吠えを始める。
それは何処までも届きそうな程、高く響くような音だった。
数秒の遠吠えが終わった白犬は、舞花の方を向きまた唸り一つで声を掛けていた。
「その犬って、なんなん?」
「白妖って種族で、可愛らしい犬で名前はシロだよ!。......はぁ!、いけない!。フルっちには聞きたい事が有るんだからね!、逃げられると思わないでよ!」
真樹が犬について聞くと、舞花は目を爛々と輝き出して、白妖のシロの頭を撫でながら説明し。
直ぐに要件を思い出したのか、ハッとした表情をして真樹に警告する。
「残念ながら逃げられるだったら、とっくの当に逃げてますよ。この体じゃ逃げられないので.....」
軽口を叩きながら、右腕だけを上げて降参のポーズを取る。
「フルっち!。どうしたの、その体!。.......これを、......殺ったのはフルっちなの?」
「.........」
真樹の体の状態を知り、初めて周りの惨状が目に映り少女の顔が歪む。
聞かれた真樹は、先程の兵士とは違う対応をする。
目を伏せ口をつむぎ、沈黙で返答を返していた。
「ねぇ?、何で何も答えないの。これじゃ他の皆に誤解されちゃうよ、.......お願いだから答えてよ.....」
「............」
「ねぇってば!!」
「「舞花!」」
何も答えない真樹に痺れを切らし、舞花は大声で怒鳴る。
舞花の怒鳴りを聞いて、近くまで来ていた葵と咲音が慌てて駆け寄る。
真樹は顔を上げて合流した三人の姿が目に映る、そこで三人と目が合い険悪な雰囲気が訪れる。
舞花はさっきから黙ってる真樹に対して、怒りや戸惑いが表情に出ていた。
葵は静かに周りを見渡し、舞花が叫んでいた理由を知り冷徹な目を真樹に向けては、咲音の手を止めていた。
咲音は真樹の体を見るや直ぐに、癒魔法を掛けようと詠唱しようとし葵に止めらる。
三人がそれぞれ違った態度をしていた、だが真樹はここで笑みを浮かべ三人を見詰める。
「まぁまぁ、落ち着いて取り敢えず地面に座りなよう。所で坂巻の姿が見えな....っ....!」
呑気と言うように、空気を読まずにそんな発言し一瞬の間に頬に痛みが走る。
前に向いてた筈の顔が横に向き、城門から見える街の風景が映る。
「何で笑ってるの!、今がどうゆう状況か分かって無いの?!」
真樹は数秒思考を停止し、直ぐに理解する葵に叩かれたんだと.....。
笑みを浮かべてた表情が無くなり、ゆっくりと向きを直しては、何処を見てるのか分からない無機質な瞳が三人を捉える。
「状況が分かってない.....だと、ふざけるなよお前らよりは俺の方が、知ってるに決まってる!。それを後から出てきた分際で、調子に乗るなよ!?。良いように使われ、傀儡と化した人形共が!。好き放題言いやがって、お前らは何も分かってない!、分かってないなら変に手を出さないで引っ込んでろよ!」
徐々に込み上げる怒りに身を任せて、口から放たれるのは酷く汚い罵声だった。
咲音、舞花は真樹の言に身を震わせ、何が起こったのか表情を曇らせていた。
葵は冷徹な眼差しは変わらないが、真正面から真樹の罵声を浴びて一歩後退る。
「マサキ君!。落ち着いて深呼吸しよう、それでゆっくりで良いから、何が起きてるのか話してくれないかな?」
「そうだよフルっち!、話してくれないと此方も分からないよ!。仲間を頼ってよ、どんな時でも力になるから!」
「真樹と陛下が、玉座の間でどんな会話をしたのか話しなさい......。私達には知る権利が有るわ」
優しく語りかけ落ち着かせようとしたり、激情に任せてた「分からないよ」と声に出して伝え。
真相を知ろうと冷静に聞き役に回る等、一人一人順番に話し掛けそれぞれの性格が現れていた。
そんな中で真樹は、怒りの形相で顔が歪み三人を睨み付ける。
「都合が良すぎるよな、坂巻に殴られてる時にお前らは止めないで傍観してたのによ。殴られる度に痛みが襲い意識が消える前に治療され、再び痛みが襲う。お前らにこの痛みが分かるか?、分からないよな?。常に仲間同士で傷付け合い、死ななければ何をやっても良いだよな.....。お前らって結局は何がしたいの?」
真樹は玉座の間で坂巻に殴打されてる間、忍を止める為に行動していた事を知らない。
体に走る激痛は分かる筈がないと叫び、訓練場で見た光景の悲惨な惨状を思い出していた。
体の一部が切り取られたり、魔法で腕が炭に変わる等それを躊躇なく躊躇いもなく、実行していた友と呼べた筈の他人。
そんな中で自分も、この世界の常識に呑まれ堕ちている事を実感していた、否しないといけなかった。
クズとサドと同じ、外道と化し自分の性で死んでしまった人達。
彼等にはあの世が有れば、謝り地獄で罪を償おうと誓っていた。
「待って!、私達は傍観なんかしてないよ!。あ~ちゃんは忍君を止める為に動いてたよ!、それなのに何でそんな言い方を....し...ちゃ..うの」
段々と語尾が弱くなり、最後は耳を澄ませないと聞き取れなかった。
目尻に滴が溢れ頬を伝い、重力に従い下えと落ちていく。
「それが本当でも、俺とは違い力を持ってるのに止められなかったのか?」
「いい加減にしなさいよ真樹、あのまま殴られ続けてれば死んでたのよ。あのバカは、そんな事も考えずにやってたの、咲は死なせない為に治療していたのに?。真樹にはそれが分からないの?」
何処までも冷たい声が、真樹を正面から浴びさせる。
「分かる筈が無いだろう?、要はさ殺す気が合ったって事だよね?、それが分かってて本気で止めたのか?。玉座の間に入る前に何処かの部屋で見てたんだろ?、都合の良い場面や会話をな.....」
棘の有る口調で話し、冷たい表情が更に冷たさを増っていく葵の顔が目に見えた。
「本気で止めたに決まってるでしょう!、それにーーーー」
「ねぇ、フルっち....さっきから何を言ってるの?」
葵の言葉を遮っては、聞いてたら疑問だらけの事に舞花は口を挟む。
「何を言ってる?、それこそ此方が知りたいよ。突然変な事を言い出してるですか?、アレですか頭がイちゃたんですか?。隣にいる八重に見て貰った方が良いじゃない?」
「そうじゃないよ!、......都合の良い場面に会話とか、仲間同士で傷付け合いとか。フルっちは何だか違う事で、怒っているみたいに聞こえるの?」
「はぁ?、どうやら本気で頭がイちゃてるな.....。八重の力で治してやれよ?」
訳が分からない事を言い出した舞花に、真樹は真顔で八重に向かって言い放つ。
急に声を掛けられた咲音は「えっ!、私!」と驚きを露にしていた。
「舞花ちゃん、大丈夫?。痛い所とか合ったら言ってね?」
「大丈夫だから!、そんな心配そうな顔しないで!。ただ、フルっちが怒ってるのは分かるの.....、でもね...根本的な部分が違う気がするの?」
「どうゆう事なの舞花?」
舞花が何を伝えたいのか分からず、葵は詳しく聞く体制に入る。
「う~ん」と何て言って伝えようかと、頭を捻って長考に入る。
真樹は二人の様子を見ながら、期待の眼差しで知らず知らずに見詰めていた。
暫く考え出してから、何を伝えるのか整理が着き話し始める。
「あのね.....何故そう思ったのか分からないけど、まずフルっちと私達の会話が成り立っていないのは分かるよね?」
「それは分かるわ、主に真樹が話そうとしないからね....」
「うん、会話が噛み合わないだよね?」
原因が俺だと言ってないか宮田やつ?。
「でね、仲間同士で傷付け合う、都合の良い場面や会話をってフルっちが言ったじゃん?。これってどう意味かなって考えたの......」
「.....そうね、確かに言ってたわ。今、考えれば可笑しな話だわ、誰かさんの態度に冷静さを忘れてたみたい。誰かさんのね!」
「じゃ!、そこに何か意味が有るって事だよね?」
その誰かさんって、俺ですよね?。
「で、考えた結果なんだけどね。私達が見たあの映像は偽物で、黒幕が居るとなると....魔族だと思うだよね?」
これ程までに...........、こいつはダメだな......。
真樹は舞花の考えた答えを聞き、瞳から色が失い顔に陰りが差し気力が無くなっていく。
目で見て分かる程に、三人に対して期待が持てなくなっていた。
「舞花の考えも一理は有るわ、それだと今城の中に魔族が居るって事になる訳ね。ここで死んでしまった、サイルや騎士が魔族に殺され真樹の体をこんな風にした原因だとも言えるわね......。それを速く見つけないと後々、今以上に大変な事にも繋がる訳よね?ーーーー」
「どうしようあ~ちゃん!、マサキ君と他の皆が危ないよ!」
「あのさぁー.....」
憶測が少し出ただけで、事件の黒幕が魔族だと決まるような雰囲気を、三人の場を中心に流れていた。
そんな中に真樹は声で遮り、これ以上の的はずれな会話を続けさせないと言う意志が込められていた。
「何か言う気になった訳なの?」
声を発する事を躊躇してしまう程に、葵が冷たく棘の刺せるぐらい鋭い口調で、真樹の方を向き言い放たれた。
真樹はその態度に慣れ苦笑しながら、葵と目を合わして言葉の先を続ける。
「ちょっとだけ良いかな?、まず黒幕が魔族ってのは酷い考えだと思うだよな。そんな考えだったら、この先の出来事全ては魔族の性にして行くのか?。......違うだろ?、そんなじゃ魔族も良い迷惑じゃないか?」
真樹の言葉に舞花と咲音は、ハッとした表情を作り自身の言を思い出し暗い顔をする。
葵だけは元から考えていたのか、冷たい凛とした表情が少しだけ崩れ、驚いた表情をしたのを真樹は捉えた。
それも、直ぐに元に戻され口が開く。
発しられた声には、先程までの冷たさが無く少しだけ暖かみを感じる声だった。
「そうね.....、何でもかんでも魔族の性ってのは酷い話しだわ......。なら、ここで真樹が知ってる事を話してくれても良いじゃない?。だけど、それを貴方は話しくれないのよね.....」
段々と仲間外れにされるような、寂しい表情をしては自分の体を抱く仕草をして寂しさを紛らせていた。
「話す話さないじゃなく、お前達に教える事は一切何も無いだけだよ。今の俺らってさぁ....平和で周りが死ぬ事もない日本に居た時とは違い、ウェルムは少しの油断だけで死に繋がるし、殺したくないのに殺さないといけない世界。もし、共通点を上げるとしたら、騙し合い、一部の人達だけが裕福な環境、権力や力を持つ立場、そして.....何処の世界でも居る人間のクズ。じゃ、今の俺達ってどっちの世界の住人なんだろうな?」
饒舌に語り出した真樹に、三人は静かに聞き入れ問い掛けられた質問の答えを導き出す。
「地球に決まってるわ、産まれも育ちも日本なんだから」
一速く答えを出したのは葵だった、揺るぎもない声で「地球」と凛とした表情で言ってのけた。
「私も.....地球だよ?、日本に帰って家族に会って謝りたいかな「迷惑かけてごめんなさい」って.....」
続いて答えを出した咲音も「地球」だと答えた、家族と言う言葉に真樹はほんの一瞬だけ表情が歪む。
「う~ん、フルっちが何を伝えたいのか分からないけど舞も地球だよ?。此方で育った記憶なんか無いからね?」
『記憶に無いのは当たり前だろ』と内心で舞花にツッコミ、最後に残った舞花も「地球」だと答える。
コイツら何も分かってないな.....、本当に心の底から地球だって答えられるのか....。
三人の答えを聞いた真樹は、決まっていた答えに呆れを抱いていた。
「良いじゃないかな?、宮田の言う通りだよ産まれも育ちも日本なんだから、地球だって言えるよな。実に分かりきった答えだよ.....本当に....」
「貴方の質問に答えたけど、これに何の意味が有るわけ?」
「特に何も無いよ?、答え次第では知ってる事を話しても良いかって思うだけだから?、気にしなくって良いよ?」
「.....それで、真樹の聞きたい答えは聞けたのかしら?」
「さぁーどうだろうね?、暇潰しに聞いてみた感が強いから質問に意味は無いよ?。だから特別にゲームしようか?」
おどけて言う態度に、三人は「はっ?」って言いたそうな顔をしていた。
「「「ゲーム?」」」
「そう!、ゲームだよ。ルールは簡単だね互いに一問一答していく感じだよ?、これだったら聞きたい事も聞ける、事件の顛末も知れるかも!。で、どうする一石二鳥の一問一答は?」
「それは、本音で答えるか嘘で答えるかって内容で言いわけ?。此方は三人で一問?、一人で一問どっちなの?」
細かくゲーム内容を確認する葵に、真樹は驚愕してしまう。
此処まで乗り気なるとは思ってもいなかった、他の二人もやる気みたく葵に全てを任せてる感じだった。
「そうだね.......、そっちは一人一問で此方は一つは真実で話して残り二つは嘘でどうかな?」
「それで良いわ、舞花も咲もそれで大丈夫よね?」
一問一答ルールが決まり、内容の不備が無いと感じ葵は了承して他の二人に確認を取る。
「舞はそれで大丈夫だよ!」
「三問全部が嘘は無いだよね?」
「そこは信用してくれても良いよ?、俺に有る手札は真実が1、嘘が2つしか使えない。なら最後に使える右腕を賭けても良いよ?」
信用の対価として真樹は右腕を上げる、両足も左腕も使えない状態で、唯一使える右腕も使えなくなれば四肢全てが消える事になる。
「そこまでしなくって大丈夫だから!、私もその内容で大丈夫です」
真樹の決意に咲音は、手を小刻みに震えさせて否定してルールに了承する。
「じゃ、始めようか?。一石二鳥の一問一答ゲームをね.....」
真樹の開始合図で、四人のゲームが始まる......。
ネット環境が乏しい場所に来てる為に、この話が更新されてるのか不安でしょうがないです!。
暫くはそんな環境に滞在する為に、来週分の更新が遅れます。
身勝手で有りますが、今後も宜しくお願い致します。
その間は書けるだけ書いて、話しのストックを大量に作って見せます!!。




